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自由貿易のバス」に乗り遅れた政治の機能不全ぶり!


2010年11月16日 DIAMOND online 真壁昭夫 [信州大学教授]

最近、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関する議論が白熱している。わが国の将来に大きな影響を与える重要な問題について、様々な意見を持った人が議論を戦わせることは、悪いことではない。

 しかし、TPPについて無視できない懸念がある。先日政府は、農業分野を含めた原則関税撤廃を目指す協議開始の基本方針を閣議決定したが、現在の民主党政権がしっかりした政治のリーダーシップを発揮して、明確な解決策を国民に示すことは、難しいと言わざるを得ない。

 ひとことで言えば、現政権にこの問題に対峙する十分な能力があるとは考えにくいのである。

 この問題については、おそらく積極推進派の産業界と、絶対反対を唱える農業関係者の狭間で、しっかりした方針を打ち出すことができず、うやむやのうちに何らかの妥協案で落ち着く可能性が高い。

 国内の議論が迷走を続けている間、世界の趨勢は自由貿易の方向に向かっている。その流れに乗り遅れ始めているわが国は、今回のチャンスを逃すと取り返しのつかないほどのハンディキャップを背負うことになりかねない。

 国内の農業改革を先送りする一方、産業界の競走力をすり減らす。その結果、わが国は徐々に国力を落とし、世界の一流国からドロップアウトする。そうした「悲観的なシナリオ」が、現実味を帯びてくる。

政府にTPPに対峙する能力はあるか?
「自由貿易のバス」に乗り遅れてはならない!

 現在、情報・通信技術の発達によって、世界経済のグローバル化は一段と加速し、物理的な国境の垣根は著しく低下している。そうした流れに呼応して、世界の主要国は貿易の自由化の流れを促進している。

貿易自由化によって享受できるメリットの方が、それによって起きる国内産業へのデメリットなどよりも大きいと認識されているからだ。

 わが国の経済は、工業品の原材料などを海外から輸入し、それを加工して技術集約度の高い部材や完成品にして海外に輸出するという、基本構造を持っている。その基本構造を勘案すると、自由に海外から様々なものを輸入できる一方、製品を低コストで輸出できることは、経済全体にとって大きなメリットがあるはずだ。

 問題は、賃金水準の高い先進国に共通する農業部門だ。海外から安価な農業製品が入ってくると、高コスト構造の農業部門が耐えられなくなる。

 特にわが国では、伝統的に農業部門に対する保護政策が定着しており、TPP参加によって、国内の農家の多くが淘汰されることが、大きな懸念材料になっている。いまだ農業部門からの反対意見は強力で、民主党政権内にも根強い反対意見がある。

 わが国経済全体から考えると、自由貿易のバスに乗り遅れることは得策でないことは、論を待たない。バスに乗り遅れることは、わが国の経済的な衰退を加速することも考えられる。

 問題は、いかにして農業関係者から出ている問題を解決するかにかかっている。短期的には、農業保障制度を作って、農家が淘汰されることを避けつつ、時間をかけて農家が生き残れる状況を作ること、つまり「農業改革」が必要だ。

「一票の重み」が重い農村が保護され、農業改革が先送りされてきた構造的な問題!

 従来、わが国の政治は、農業部門を重要な票田と認識してきた。政権担当政党は、「一票の重」みが軽い都市部から様々な名目で税を徴収し、それを「一票の重み」が重い農村部に、補助金などの名目で所得移転をしてきた。

そして農村部は、その見返りとして、選挙時に「政権政党への投票」という格好で報いてきた。それが、長期にわたる自民党政権を維持するメカニズムの1つにもなっていた。

 その間、従来の事業者の減少などもあり、わが国の農業の競争力は低下した。政策当局は、競争力が低下した農業を維持するために、高率の輸入関税の実施や補助金などによって農家が淘汰されることを、回避する政策を採った。

 そのため、わが国の農業は多くの分野で国際競争力を失う結果になった。つまり、一時の痛みを覚悟してでも農業分野を改革する努力を、怠ってきたのである。

 農林水産省などにぶら下がる格好で、様々な組織ができ上がっており、そうした組織が大規模な既得権益層を形成していることも明らかだ。彼らは、ゆくゆく貿易自由化による関税の撤廃などによって、既得権益を失うことを恐れており、そう簡単に自由貿易のバスに乗ることを認めることはないだろう。

既得権益層との調整をいかに行なうか?農業従事者も口にする「農業改革」の必要性!

 しかし農業従事者の中にも、少数だが「今回のTPPをきっかけに、わが国の農業のあり方を変えたい」との意見もある。それらの人々を糾合して、わが国が長い目で見て生き残れる、新しい農業を作ることが必要だ。

 ある農業従事者は、「仮にTPPが流れても、今のままでは日本の農業は10年持たないかもしれない」と指摘していた。彼によれば、高品質のブランドを作るなど、農業分野にも工夫の余地はいくらでもあるという。それを実践することが、まさに農業改革だ。

 わが国の農業を変える必要性については、おそらく多くの人の賛同を得ることができるだろう。その一方で、一部の稲作や畜産農家、さらには既得権益層などからの反対が強いことも間違いない。

それらの意見を聞き、調整を行ない、さらに必要な施策を講じたうえで、将来わが国が進むべき方向を国民に示すことが、本来政治に求められる役割(機能)である。

現政権の政策運営ぶりを見る限り、明確な方針が出される可能性は低い?

 しかし残念だが、わが国の場合、目下その政治の機能に大きな期待を持つことができない。長期間続いた自民党政権下でも、農業に関する大規模な改革を行なうことはできなかった。

 現在の民主党政権の政策運営ぶりを見ていると、今回のTPPに関しても明確な政策方針が打ち出される可能性は低いだろう。仮に、口では自由貿易推進を唱えたとしても、本格的にそれが結実することは考えにくい。

 かつてわが国の経済が元気で、高成長を遂げている間は、それでも何とかなった。強力な経済力によって、国民の間にも希望があり、人々は「生活水準の向上」という目に見えるベネフィットを手にすることができた。

 強い経済力がバックにあったため、国際的な地位が上昇し、外交能力は稚拙でも、それなりの政治的な発言力も維持することができた。「経済一流、政治三流」でもよかったのである。

 ところが、現在のわが国の経済は安定成長期に入り、人口減少・少子高齢化という問題にぶつかっている。こうしたときこそ、政治のリーダーシップによる調整機能が求められるのだが、わが国にはそれがないのである。

 今回のTPPにしても、現在の民主党政権がわが国の将来の基礎を作ってくれるとは、考えにくい。とはいえ、あまり悲観的であっても何も生まれない。少なくとも、世論形成をするぐらいの気概は持ちたいものだ。

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