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「小泉マジック」に学び政調会に歳出削減策を出させよ !
玄葉光一郎
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%84%E8%91%89%E5%85%89%E4%B8%80%E9%83%8E
2010年11月16日 DIAMOND online 上久保誠人 [立命館大学政策科学部准教授]
菅直人政権が、「事業仕分け」第3弾と、2011年度予算の「元気な日本復活特別枠」配分を決める「政策コンテスト」に取り組んでいる。「政治主導」による予算編成を目指すものだが、その手法の限界が見えてきている。
「事業仕分け」の限界
「事業仕分け」第3弾では、天下りや無駄な事業を生む土壌になっていると指摘されてきた「特別会計(特会)」が仕分け対象となった。国土交通省所管の「社会資本整備事業特会」、経済産業省所管の「貿易再保険特会」、厚生労働省所管の「労働保険特会」などの「廃止」や「漁船再保険及び漁業共済保険特会」など農林水産省所管3特会の「統合」などが次々と決定した。
しかし、特会を「廃止」して一般会計に戻しても、その事業そのものが廃止されるわけではない。例えば、貿易再保険特会を廃止しても、実質的には独立行政法人「日本貿易保険」が業務を行っている。農水省の3特会統合も中の勘定が別なら実際は同じである。
また、蓮舫行政刷新相は「目標金額は示さない」として、仕分けの主眼が財源捻出よりも特会の透明性確保にあることを強調している。仕分けの予算削減効果は限定されているからだ。例えば、昨年11月の事業仕分け第1弾では、予算削減効果はわずか7000億円程度であった。
官僚はさまざまな手を使って予算を復活させている。「廃止」や「見直し」の判定を受けながら別名称で事業を続けたり、廃止された複数の事業を統合して予算を増額要求したり、判定で示された予算の縮減幅を小さくしたり、廃止時期を延長して事業を存続させたりしている。
実際、来年度予算要求では、厚労省の「健康増進対策費」、外務省の「日本国際問題研究所補助金」、総務省の「宝くじの販売促進・普及宣伝事業」、厚労省の「女性と仕事総合支援事業」など仕分けで廃止と決定された事業が、名前を変えてゾンビのようにゾロゾロと復活しているのだ。行政刷新会議は、特会の仕分けと別に、これらの「再仕分け」を実施するが、どれだけ官僚の抵抗を排除できるかは不透明だ。
「政策コンテスト」の限界
菅政権はムダ削減の一方で、新成長戦略などへの予算の重点配分のために「元気な日本復活特別枠」(1.3兆円規模)を設けた。この特別枠には各省から「主要都市間の高規格幹線道路整備」「高速道路無料化」(国交省)、「在日米軍駐留経費負担」(防衛省)、「小学1、2年生の35人学級実現」(文科省)、「農業戸別所得補償」(農水省)などを含む189事業(総額2.9兆円)の要望が提出されている。
これらを絞り込むために、政務三役が要望の説明を行い、玄葉光一郎国家戦略担当相を議長として評価する「政策コンテスト」が公開ヒアリング方式で行われた。ヒアリングはインターネット上で公開し予算編成の透明化と「政治主導の演出」を図る狙いがある。
しかし、ヒアリングで各省に割り当てられた持ち時間はわずか30~45分。政策の効果などについて深い議論ができたとは言えない。与党内からは「単なるパフォーマンス」との批判も出てきた。復活した民主党政務調査会では、個別利益を要求する「族議員」の声が強まる(第54回参照のこと)。この特別枠を巡る争奪戦も激しさを増すだろう。結局、省庁や族議員を抑えられず、最終的に財務省が仕切ることになるとの見方がある。
「抵抗勢力」政調会に歳出削減策を立案させた
「小泉マジック」に学べ
この連載では、玄葉光一郎政調会長が国家戦略相を兼務することで、むしろ族議員を抑えるのは難しくなり、「政治主導」は困難に陥ると指摘した(第58回参照のこと)。しかし、玄葉政調会長には参考にすべき格好の事例がある。小泉純一郎政権が最終の年(2006年)に取り組んだ歳出削減策だ。
2005年、衆院総選挙の地滑り的大勝利で、小泉政権は郵政民営化を実現した。自民党内の「抵抗勢力」の一掃に成功した小泉首相(当時)は、内閣改造・党役員人事で経済財政相に与謝野馨氏、政調会長に腹心の中川秀直氏を起用し、経済財政諮問会議と自民党が一体となって動く政策立案システムの構築を目指した。
一般的に小泉首相は「官邸主導」体制構築を目指したとされる。しかし、実は「官邸主導」は小泉首相にとって、あくまで「構造改革」を実現するための「手段」に過ぎなかった。小泉首相が究極的に目指していたのは、政調会の主流が改革派となり、それを首相が掌握する政策決定メカニズムの実現であった。
そして、小泉首相は歳出削減策の立案を自民党政調会に命じた。族議員の温床である政調会は、それまで予算を「要求」しても、その「削減」に取り組んだことはなかった。小泉首相は族議員の政調会への影響力が雲散霧消したことを好機とみて、前代未聞の「マジック」を繰り出したのだ。
中川政調会長は政調会に「歳出改革プロジェクトチーム」を発足させた。各政策分野の責任者(主査)には「族ボス」以外の政調副会長の面々を任命し、各分野別会合メンバーは各部会長や各省の副大臣・政務官を起用した。歳出削減決定のプロセスに、なるべく多くの自民党議員を参加させ、取り込むことが狙いだ。そして、最終的な意思決定は、従来のボトムアップではなく、中川政調会長、甘利政調会長代理、伊藤達也政調会長補佐と主査のトップダウンで進める形にした。
歳出削減プロジェクトチームは、2ヵ月に渡り、5つの分野別会合だけで合計63回の議論を行った。自民党内からは参議院を中心に死に物狂いの抵抗が起こったが、中川政調会長はそれらを拒絶した。
結局、小泉政権最終年度の「骨太の改革2006」には、11.4兆円~14.3兆円の歳出削減策が盛り込まれた。小泉首相は「財政改革は財務省だけじゃできなかった。諮問会議だけでもできなかった。党も巻き込まなければできなかった」と絶賛した。
玄葉政調会長は、族議員化が進む民主党政調会を改革勢力に変えるために、「小泉マジック」を参考にすべきだ。少数のパフォーマーによる「政治主導」演出の限界を自覚し、より多くの議員が改革に参加する仕組みを作り上げることに、玄葉政調会長は「政治力」を発揮すべきである。
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