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名古屋市は減税が先か、借金返済が先か

2011.03.02(Wed) JBプレス 木下敏之
 
 福岡でも花粉が飛びかう季節となりました。私も花粉症の症状が出ており、今年は昨年よりもひどい感じがします。福岡は大陸と近いので、時々、汚染物質の含まれた雲が流れてきますが、もしや中国からの大気汚染物質の影響で症状がひどいのでは? などと思ってしまいます。
 駅頭では、4月の統一地方選挙の候補予定者が頑張っていますが、民主党系の候補者の悲鳴も聞こえてきます。赤い丸が2つついたビラを配っても、ぐしゃぐしゃに丸めて捨てられてしまったとか。大変厳しい状況のようです。
 かといって、自民党に入れたいという人が増えているわけでもありません。棄権が増えないとよいなと思います。

名古屋市は借金をしながら減税?

 さて、前回は、中京都構想などについて自分の考えを述べましたが、河村たかし市長の公約の1つに「市民税の10%減税」があります。私は、最初にこの話を聞いたときは、さすがに名古屋市は財政が良いのだなと感心していました。
 しかし、財政の良い名古屋市でも、2010年度予算で1000億円を超える借金をしています。大幅減税をしながら借金をする? とても妙な感じがしました。
 名古屋市の2010年度予算は一般会計で1兆345億円あります。収入のうち、市税は合計4769億円。そのうち市民税が約1600億円以上ありますので、10%減税すると約160億円の減収となります。名古屋市の人口は約223万人ですから、住民1人当たりでは年間で7万2000円の減税です。
 一方で、増加する支出を賄えないので、1233億円の借金をしています。これは、減税で今の世代の負担を減らし、借金で次の世代の負担を増やしているとも言えると思います。
 
景気対策として減税を考えているのなら、それはそれでよいと思いますが、世代間の負担の公平などを考えると、「本当にこれでよいのか?」と疑問を感じます。

高齢者の増加によって迫られる厳しい選択

 名古屋市の借金残高も決して少ないわけではありません。借金残高は、一般会計の分だけでも約1兆8000億円あります。与謝野馨大臣の「減税するよりも借金を返済せよ」との趣旨の発言は、世代間の公平という観点からは、大いにうなずけるところです。
名古屋市役所の財政データを基に筆者が作図(次のグラフも同じ)。名古屋市の財政の資料について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
 恒久減税をして、これからの増加する費用が賄えるかという点でも不安が残ります。名古屋市は、他都市と比較すると市税収入が豊かな都市ですが、名古屋市の福祉関係の経費は他の都市と同様に増え続けているのです。
 以下の表は、扶助費という高齢者対策や保育所関係の費用や、生活保護の費用などを含めた費目の予算額の1994年からの推移ですが、一貫して増え続けています。
 そして、この額はこれからも増え続けていくと思います。理由は簡単で、これまで名古屋市は人口が増え続けていましたが、これからは、人口の減少と同時に進行する高齢者の急増の影響を受けるからです。
 
以下の2つの表のように名古屋市の総人口は、2030年でも211万人となだらかにしか減少しませんが、高齢者の数は急増するのです。しかも、高齢者人口に対して老人ホームの整備が進んでいませんので、これからも高齢者の福祉や医療関係の経費は増加する一途です。
国立社会保障・人口問題研究所のデータを基に、筆者が作成(以下、同)
 しかも、高齢者関係費の増加が予想される一方で、働く世代の中でも最も消費が旺盛と言われている20歳から40歳までの世代が急減します。このことは、トヨタ自動車のお膝元の名古屋といえども、今のままでいけば消費はじりじりと低迷し、その分、市民税収が減少する可能性を示唆しています。
 
 
今回の市民税の減税は、景気回復の1つの手段としてはあり得る政策でしょう。しかし、このままでは、福祉関係の費用を賄うことができません。
 そのため、(1)市民税率を元に戻す(もしくは今まで以上に増税する)、(2)福祉サービスのレベルを下げる、(3)何らかの産業振興策を行ってその効果により税収を増やす、ことの中からどれかを選ぶ厳しい選択が必要となると思います。
 果たして、市民や河村市長はこのような将来の見通しを意識して、減税を選択したのでしょうか? 賢明な名古屋の市民のことですから、いずれお金が足りなくなることを理解したうえでの、一時的な減税と議員給与の削減を選択したのだろうとは思うのですが・・・。

地方分権の主張に欠けている意識

 なぜ、このような話を長々としたかというと、地方分権の議論をしている時に、地方自治体の政策に必要な費用をどのようにして手当てするのかをきちんと意識していない人が、あまりにも多いからです。
 地方分権の推進のために、地方に財源を渡すべきだと主張する人はたくさんいます。しかし、事業の実施主体が誰であっても、福祉の費用など必要なお金を税金で賄えていないという現実があります。
 
これから、そのギャップはますます拡大します。国が持つ財源を地方に渡しても、それだけでは、福祉など地方が行う仕事の費用が足りないのです。
 地方分権を主張する人の多くは、このことを意識していません。必要なお金はすべて国が地方に渡すべきだと虫のいいことを言うのです。
 また、これまで、福祉などの事業や公共事業を推進するために、政府は借金を重ねてきましたが、財源を地方に移すとなると、政府の借金の一部も地方に移すことになります。ところが、それを受け入れる覚悟をしている自治体は聞いたことがありません。地方が負担しないとしても、結局、借金の返済は住民の負担となります。
 このような地方分権に伴う厳しい面についても、これからはどんどん議論を始めていくべきだと思います。そうならなければ、サービスのレベルと負担の水準をどこにするかという議論が深まりません。

自治体に覚悟と地域経営能力があるか

 お金は払いたくないが、サービスは高い方がいい。高齢者数が急増する中では、それはほとんど夢物語です。
 これまでは、住民に突き上げられても、地方自治体は国のせいにすることで逃げることができました。国のせいにできないようになってこそ、住民も地方の政治家も真剣な議論が始まると思います。
 地方分権とは、必要なお金が賄えなければ、サービスを落とすのか、増税するのかを、地域で判断しなくてはなりません。
 地方分権は決してばバラ色の未来ではありません。自治体の覚悟と地域経営能力によって、大きな地域格差がつく時代なのです。
 その覚悟を決めていることが、地方分権の大前提だと思います。
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次世代無人爆撃機「X-47B」が初試験、米海軍

米カリフォルニア州エドワーズ空軍基地で、
初の試験飛行を行う「X-47B」〔AFPBB News
 
2011.03.02(Wed) JBプレス 阿部純一
 
 中国がどうやら対艦弾道ミサイル「東風21D」の実戦配備を開始したようだ。人民日報系の「環球時報」がこれを伝えた。
 「東風21D」は、いわゆる「空母キラー」として米軍が注視してきた中国の最新兵器だ。これによって中国の「接近阻止(Anti-Access)」戦略が本格的に動き始めたことを意味する。
 だが、米国も手をこまぬいているわけではない。ステルス型の無人偵察・爆撃機「X-47B」の試験飛行を成功させ、これを空母に配備して対抗手段とする構図が現れた。いよいよ米中軍拡競争が始まった。

台湾海峡有事の際に米海軍を寄せ付けないのが配備の狙い

 「東風21D」は射程距離が約2000キロメートルあり、中国本土の沿岸部から西太平洋に向けて発射した場合、グアム島付近まで届く。
 この海域は中国海軍戦略における絶対的制海権確保を目指す「第1列島線」(日本、南西諸島、台湾、フィリピンを結ぶライン)と、太平洋に向けて影響力の拡大を目指す「第2列島線」(伊豆諸島、小笠原諸島、硫黄島、グアム島、サイパン島、パプアニューギニアを結ぶライン)の間に位置する。
左の赤いラインが第1列島線、右のラインが第2列島線(ウィキペディアより)
 第2列島線上のグアム島と第1列島線上の東京、台北を直線で結んだ海域を、それぞれの頭文字をとって「TGTトライアングル」と呼び、日米の防衛協力の重点地域と見なされている。
 それは、この海域に日本、韓国のシーレーンが通っているからであり、この海域の安全が確保できなければ大変な事態になるからだ。「東風21D」は、この海域に新たな脅威をもたらすことになる。
 中国の「東風21D」の配備の狙いは、明らかに台湾海峡有事の際、米海軍の介入を阻止することにある。
 だとすれば、中台関係が平穏であれば、米軍は「東風21D」の存在をさほど気にしなくてもいいはずだ。台湾で馬英九政権が成立して以降、中台の緊張緩和が進展している現状では、台湾海峡有事の可能性は低下する一方である。その意味で言えば、米軍が「東風21D」の出現にことさら神経を使う必要はないようにも見える。
 
さらに言うと、仮に有事が生じた場合、中国が弾道ミサイルで米海軍の空母を撃沈するような事態は、中国は本気で米国との戦争を覚悟しなければ起こり得ないだろう。中国を圧倒する米国の軍事力を考えれば、中国がおいそれと弾道ミサイル攻撃を発動するとは考えられない。
 しかし、だからといって米海軍が「東風21D」の存在を無視するわけにもいかない。「東風21D」は確実に威嚇の効果を持つ。
 中台の緊張が緩和しているからといって、米国が台湾の安全保障を等閑視し、警戒を緩めればそれだけ中国の軍事的影響力が拡大する。米国が対抗措置を取らなければ、確実に米国は東アジアの海域において後退を余儀なくされることになる。

中国の海洋権益防衛ラインとなった「第1列島線

 ちなみに、「第1列島線」や「第2列島線」のアイデアは中国のオリジナルではない。米国が米ソ冷戦を前提に太平洋における防衛ラインとして構想したことがルーツのようである。
 1950年1月、当時のディーン・アチソン米国務長官がワシントンのナショナル・プレスクラブで行った有名な演説がある。そこで彼は、米国の太平洋における防衛線(Defense Perimeter)がアリューシャン列島、日本、沖縄、フィリピンを結ぶラインであることを明らかにした。韓国、台湾がこのラインから排除されたことが、金日成に「米国に介入の意思なし」と見なされ、朝鮮戦争の誘発要因となった可能性が指摘されたことでも有名な演説である。
 朝鮮戦争の勃発により、戦線の拡大を恐れた米国は、台湾海峡の「中立化」の名の下に台湾擁護に政策を変更した。そのことにより、この防衛線に台湾が組み込まれ、極東における対共産主義(とりわけ中国)「封じ込め」ラインとなる。それが現在の第1列島線となったのである。
 現在、第1列島線は、米国の太平洋における防衛ラインから、中国の海洋権益を防衛するラインに姿を変えている。
 さらに言えば、中国は第1列島線の内側、つまり中国側の海域の制海権を確保し、米国海軍の介入を許さない姿勢を強めている。それは、2010年に再三にわたって米空母ジョージ・ワシントンの東シナ海における軍事演習への参加を拒否した姿勢からみても明らかだ。
 第1列島線は中国によって南に延長され、南シナ海ではほぼ全域が中国の領有を主張するラインに重なっている。これは、この海域における中国の制海権確保の主張につながっている。南シナ海を斜めに横切る形で、日本、韓国のシーレーンが存在していることを考えれば、この海域の重要性は「TGTトライアングル」に匹敵する。
 
そこを中国が軍事的に完全にコントロールする事態になれば、東南アジア諸国は事実上、中国に従属せざるを得なくなり、日本や韓国は常に中国の顔色を窺わなければならない立場になってしまう。米海軍の行動も制約されるだろう。
 その意味で、2010年夏、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラムに出席したヒラリー・クリントン米国務長官が、南シナ海における航行の自由は米国にとり「国益」だと発言し、中国にクギを刺した意味は大きい。米国が引き続き南シナ海に関与する意思を明らかにしたからであり、「南シナ海核心的利益だ」と主張する中国にとっては、非常に重い米国の態度表明となった。
 要するに、東シナ海、西太平洋、南シナ海において、米中の角逐がすでに始まっているのだ。「東風21D」の配備は、米中角逐のレベルが新たな次元に突入したことを意味すると言っていいだろう。

米国はもはや先制攻撃をためらわない

 高まる中国の「接近阻止」能力に対して、米国は「エア・シー・バトル(Air-Sea Battle)」で対抗するとしてきたが、それが具体的にどのようなものかは判然としなかった。
 エア・シー・バトルは、「エア・ランド・バトル(Air-Land Battle)」の応用だという説明はされてきた。エア・ランド・バトルとは、1970年代後半、ヨーロッパにおいて、米国が強大なワルシャワ条約機構軍の通常戦力に対抗するために構想した、空軍力と地上戦力の統合的運用ドクトリンである。
 それに倣えば、エア・シー・バトルは空軍力と海軍力の統合的運用で中国の「接近阻止」戦略に立ち向かうということになる。しかし、海軍力を代表する空母が中国の弾道ミサイルのターゲットとされ、戦闘機など空軍力では弾道ミサイルに対処できない。米軍にどのような「活路」があるのかが問われていた。
 そうしたところ、最近になってようやく米軍の意図するエア・シー・バトルの具体的内容が姿を現してきた。すなわち、冒頭で触れたステルス型の無人偵察・爆撃機「X-47B」の登場である。
 
「X-47B」のポイントは2つある。1つは中国の「接近阻止」ラインの外から中国本土を攻撃する能力(作戦行動半径約2700キロメートル)であり、もう1つはレーザー光線と高出力マイクロ波を攻撃手段とし、中国の弾道ミサイルを発射段階(Boost Phase)で攻撃し、破壊する能力を持たせようとしていることである。
 このポイントから導かれるのは、米国が「先制攻撃」をためらわない戦略を立てていることだ。それによって中国の「接近阻止」能力の排除を積極的に目指していることが分かる。機体がステルス型であることも先制攻撃の際に重要な要素となる。
 また、米国はかねて弾道ミサイル防衛の一環として、ボーイング747(ジャンボジェット)をベースに、レーザー砲でミサイル迎撃を行う技術開発を進めてきた。このことから見て、「X-47B」にレーザー攻撃能力を持たせるということは、レーザー光線によるミサイル破壊が可能なレベルに達し、実用化されたことをも意味する。だとすれば、米国の進めてきた弾道ミサイル防衛が、新たな段階に入ることになる。

米中の軍拡競争を前に日本が進むべき道は?

 もちろん、米国の目指すエア・シー・バトルが海・空軍力の統合的運用である以上、「X-47B」ステルス無人攻撃機の導入は、あくまでその一部を構成する要素に過ぎない。
 韓国の烏山や群山、沖縄の嘉手納や本州の三沢等の米空軍基地が弾道ミサイル攻撃を受けた場合の脆弱性もすでに指摘されており、こうした既存の基地インフラの非脆弱化も進めなければならない。
 また、日本の海上・航空自衛隊との連携もさらに深化させる必要がある。エア・シー・バトルの能力向上のためになされなければならない課題は多い。
 米統合参謀本部が2月8日に発表した「国家安全保障戦略」では、北東アジアでの米軍戦力を今後数十年間にわたって維持していくことが謳われた。つまり、中国の「接近阻止」能力の向上にもかかわらず、米軍が西太平洋にとどまり続ける意思を明確に示したのだ。
 そうであれば、この地域での米中の軍拡競争は避けられない。当然、そこに日本も巻き込まれていくことになる。
 軍拡競争が緊張を高める要素になるのは自明である。しかし、それを回避し北東アジアの軍事バランスが中国に一方的に傾く事態になることが、米国や日本にとって望ましい選択だとは思えない。必要ならば、力には力で対抗し、均衡させることによって平和を維持することも真剣に考えなければならない。今がその時なのだろう。

21世紀の軍事革命と社会への影響

2011.03.02(Wed) JBプレス 岡本智博
 
はじめに
現在、RMA(Revolution in military affairs)―いわゆる軍事革命―が欧米社会を中心に吹き荒れている。
 1991年、米国が主導し多国籍軍で戦われた湾岸戦争は、RMAの萌芽を世界各国に知らしめたが、爾来20年、21世紀に突入した現在、RMAの嵐はいよいよその高潮期に入っていると言っても過言ではない。
 そしてまた、RMAの主体がコンピューターやインターネットであるがゆえに、サイバー戦という新たな形態の戦闘も考慮しなければならなくなっている。
 この間、我が国の防衛および安全保障に関わる分野においては、国際貢献のあり方やその法制の整備・実行と教訓に基づく法制・体制・態勢の見直し、国民保護法を含む有事関連法の制定、あるいは海賊対処法の制定などに力を割いてきた。
 さらには防衛庁の省への昇格、統合幕僚監部の発足など、新たな枠組みの構築に努力を傾注することとなった。
 特に軍事技術分野では、日本の得意とするITの応用とこれを利用する新しい戦術の開発については世界に遥かな後れを取ってしまった。
 その結果、我が国はRMAに十分対応できる状況ではなかった。
 こうした状況をさらに悪化させたのは、我が国の政界における大変革であり、その余韻は2010年を過ぎた現在にあってもいまだに続いている。
 本来、自由と民主主義を標榜しつつ社会の成熟段階に入っている我が国においては、国家防衛や安全保障にかかる政策について与野党間に基本的な相違が存在することはあってはならないはずなのである。
 しかし、我が国は、第2次世界大戦における敗戦の影響・後遺症が65年以上も経過しているのに払拭されないでいる。
 本稿はこうした前提を踏まえ、現在進行中の「軍事革命」の実態について述べるとともに、それが及ぼす社会への影響について論を進めることとする。
 
1.ことの始まり―ウォーデン中佐(当時)のひらめき
 21世紀初頭の軍事革命の始まりは、湾岸戦争の作戦計画を担当した米空軍ジョン・ウォーデン中佐(当時)の閃(ひらめ)きにあった。
 彼はGPS(Global Positioning System)が正確に目的地を評定できることに着目した。
 GPS受信機を爆弾に取り付けて、誘導フィンに目標と爆弾の位置情報の変化分を与えて誤差情報がゼロになるように爆弾を誘導すれば、これまでのように爆弾を搭載するプラットフォーム(兵員・戦車・艦船・戦闘機など)が爆弾を目標近辺にまで運ぶ必要がなくなる。
 そうすればパイロットが地上からの砲火を怖がって爆弾が目標に誘導される前に回避行動に入り、結果的に命中率を悪くしている現状を打開することができるのではないかと考えた。
 彼の閃きは直ちに技術的検討課題として取り上げられ、爆弾を精密に誘導する技術が確立され、これが革命的変化のスタートとなった。
 GPSを取り付けた爆弾は、今ではJDAM(Joint Direct Attack Munitions)と呼ばれている。JDAMを搭載したプラットフォームは、目標には接近せずに高度を1万メートル程度までに上げてから爆弾を投下する必要がある。
 こうしてJDAMに位置エネルギーを与え、落下中にGPSからの誘導信号を与えて目標に誘導する。この場合、プラットフォームが敵の攻撃を考慮することなく、安心して所定の位置に移動できるように味方の航空優勢が保たれている必要がある。
 この条件を確保することができれば、JDAMはGPSによって固定目標に対して3~13メートルの命中誤差で誘導される。さらに命中率を向上させるためには、GPS網の肌理の細かさを高める必要がある。
 米国はそのため2005年頃から5年計画でGPS衛星を増加・更新し、現在はこれを完了してさらに性能の向上したGPS衛星を打ち上げている。
 この間、命中率は40倍も向上し、もちろん爆弾そのものもJDAMからレーザー誘導を組み合わせた爆弾への開発を果たしての命中率の向上という側面を含んでいるのであるが、現在誤差は数センチ~1メートル程度になっている。
 アフガニスタン戦争当時はそのような命中率は実現されていなかったので、米海兵隊の特殊作戦部隊の兵員が、レーザーデジグネーターを使用して指定された目標に対しレーザー光を照射し、その反射波に最終段階にあるJDAMが反応してレーザーの収束点、すなわち目標に到達させた。
 この場合の命中誤差は数センチ~1メートルであった。
 さらにJDAMの改良も進捗している。湾岸戦争時のJDAMでは当時の通常爆弾と同様に、目標を破壊する弾薬量を1トンにしていた。
 しかし使用されて初めてJDAMは1トン爆弾では過剰破壊となることが判明し、目標に応じて250キロ爆弾でもよい場合が出てきた。
 その結果、Small Diameter Bomb と呼称される250キログラム爆弾が採用された。その結果、プラットフォームの同じ弾倉に4発積載できることとなった。すなわち1回の飛行で4倍の任務を遂行することができるようになったのである。
 しかも軽量な爆弾に翼をつけることによって滑空距離を延伸し、現在では、目標から80キロ離隔していても攻撃が可能となっているのである。
 こうして新たな精密誘導技術は、目標破壊効率を革命的に向上させることとなった。
 結果としてGPSが初めて使用された湾岸戦争時にJDAM・1トン爆弾で破壊できた目標は、ベトナム戦争時代のテレビ誘導などによる爆弾で破壊する場合には190トンを必要とし、第2次世界大戦で使用された照準具で誘導された爆弾では9000トンを必要とするとの比較が世間を風靡した。
 ちなみに、こうした衛星誘導爆撃は、湾岸戦争時には全弾薬の3%しか利用されなかったが、2003年のイラク戦争では、実に、全弾薬の68%が衛星誘導爆撃によって実施された。そしてこのいわゆる「空からする砲撃」は、まず米空軍に革命的影響を与えたのである。
 
2.空からする地上戦の始まり
 さて、このように航空戦力による目標破壊能力が革命的に伸長すると、航空戦力のみで地上軍を撃破することはできないのかという発想が生まれる。
 事実、2003年のイラク戦争では、戦車群と塹壕構築によりバグダッド付近に侵攻阻止線を形成していた大統領親衛隊を、米英軍は航空戦力のみで制圧し、イラク兵は蜘蛛の子を散らすように前線から逃亡した。
 ウォーデン大佐(当時)はかかる戦果を前に航空戦力の能力を過大視し、航空戦力のみでフセイン大統領を追い詰めることを試みて結果的には失敗した。
 しかし戦闘と戦争は全く相違する。戦争に勝利するためには、占領後の事態収拾や統治にどうしても陸上兵力が不可欠であることを、米国はイラク戦争で学んだ。
 他方米空軍は、それまでの主役であった戦術戦闘機による陸海直接支援任務よりも、数倍、いや、十数倍の爆弾搭載量を誇るB-1、B-2、B-52といった爆撃機による「空からする砲撃」の方が、戦闘効率といった観点からは明らかに優れていることを認識した。
 そして戦術戦闘機は脇役となり、爆撃機は脇役から主役への座に復帰するとともに、戦闘機は「Counter Air(対航空)」を主たる任務とする本来の姿に戻った。
 さらに「空からする砲撃」は、航空戦力の目標に対する命中精度の革命的向上を米陸・海軍・海兵隊に認識させることとなり、航空阻止(Air Interdiction)並びに陸海作戦直接支援(Close Air Support)任務といった任務区分は無意味となった。
 「友軍相撃」の心配が極小化され、空軍独自で行う航空阻止作戦と陸・海軍からの要請により行う直接支援という区分は最早無意味となり、「対地上攻撃」で十分にその任務を表現できるようになったということである。
 その結果、現在の米空軍ドクトリンでは「Strategic Attack(戦略攻撃)」「Counter Air(対航空)」と並んで、「Counter Space」「Counter Air」「Counter Sea」「Counter Land」というように任務が整理された。
3. ネットを基盤とする戦闘(Network Centric Warfare)の始まり
 
(1) ネット化がもたらす革命-戦場認識の共有
 
 米国は湾岸戦争において、初めていわゆるインターネットを作戦に利用した。
 すなわち、作戦に参加する100人以上のパイロットに対し何日何時何分、どこの基地から発進してどの地点で空中給油を受け、どの地点で空中哨戒して時間調整を行い、何分にどの位置に遷移・集合したのち、どの目標に対してどの手段で攻撃を実施し、どこを経由してどの基地に帰投するかという命令を含んだ航空任務指令(Air Tasking Order)を、インターネットを介して瞬時に同時多数に与えることに成功した。
 イラクに応戦の暇を与えず、至短時間に強大な打撃力をイラク防空組織に対して与えるとともに、こうした大規模な航空攻撃を数十回繰り返して所期の目的を達成した。
 しかしながら当時のインターネットはまだ不完全で、米海軍にはフロッピーの形で手渡されたという。
 しかしこれがまさしく Network Centric Warfare の走りであったことは間違いのないところであり、また、米空軍と米海軍が統一された指揮・命令機構で統合的に運用されたという事実も、その後の「統合運用の必要性」という方向性を明確に示唆する出来事であった。
 インターネットの有効性に着目した米軍は、アフガニスタンにおける国際テロ掃討戦において、統合参謀本部議長から前線の指揮官等に至るまでの司令官たちが参加するネットを構築し、必要の都度、ネットによる作戦会議を実施した。
 前線の指揮官たちは、衛星から得た偵察結果もしくは爆撃成果(Bomb Damage Assessment)を示す画像や映像、敵情に関する諸々の動向と情報、目標などに関する必要なデータを携帯パソコンで送受信し、これらを基に双方向形式で各級指揮官がリアルタイムで議論を繰り返し、作戦構想を共有しつつ航空攻撃を実施していった。
 もちろんこのネット型作戦会議では各級指揮官が一堂に会する必要はなく、移動の時間を節約することができたことは言うまでもない。
 そしてまた前線部隊の指揮官たちは、パソコンによって現下に行われている部下隊員の行動を掌握するとともに、戦闘全般状況を逐一掌握し、上級司令部の意図を確認しつつ、自らの部隊が今なにをしなければならないかを構想しながら作戦を展開することができた。
 そして、これら一連の変革の中で、後述するような「Battle Management System(戦闘管理システム)」が工夫され、その前に座る米空軍の少佐クラスが、実質の戦闘管理を実施することとなった。
 さらにネットを基盤とする戦闘(Network Centric Warfare)では、各級指揮官が作戦会議のために同一場所に集合する時間を省くことができた。
 しかも戦場認識(Situational Awareness)を完全に一致させて戦闘を実行していくので、作戦遂行の6段階、すなわち状況判断・決心・計画・命令・実行・戦果と教訓などの確認、そして再び状況判断というルーティンを、従来の方式に比較して革命的に迅速化することができたし、指揮結節を局限することができた。
 また、ITによる情報伝達の迅速性も加味されたこともあり、結果として作戦速度(Operational Tempo)を革命的に迅速化することができたのであった。
 
(2)ネット化がもたらす革命-戦闘の4段階(Kill Chain)の統合運用
 
 戦闘は目標の発見、目標の識別・指定、邀撃(ようげき)、撃破の4段階で構成されることはいつの時代においても変わらないが、これまでは発見手段としてのセンサーの分離は見られたものの、目標指定と要撃、撃破の段階は、各プラットフォームがすべてその役割を担っていた。
 これは技術的限界に起因するものであったが、人類5000年の歴史の中でいち早くこの戦闘サイクルから分離していったのは偵察や監視機能であり、いまやその機能は宇宙空間にまで広がりを見せている。
 しかしその他の機能は分離不可能なものとして、また分離しても統合できないという技術的限界を抱えたまま、人類は21世紀を迎えた。
 従って陸・海・空軍は目標の発見機能を除き、識別・指定、邀撃、撃破の段階を自己完結的に担い、他の軍種にその一部を委ねることはなかったのである。
 ところがネット化がもたらした今般の革命により、発見、識別・指定、邀撃、撃破そして爆撃成果の確認といった、米軍の言う Kill Chain(F2T2EA = Find、Fix、Track、Targeting、Engage、Assess)の6段階、我が国では「戦闘の4段階」をネットで結合することにより、軍種にかかわらず、統合的に1つの戦闘を実行することができるようになった。
 この変化はまさしく革命的であった。17世紀にスウェーデンのグスタフ・アドルフ王が発案したとされる、いわゆる「三兵戦術」――歩兵・騎兵・砲兵による組織戦闘は、実に20世紀まで「諸兵科連合作戦」としてその本質が踏襲されてきた。
 21世紀のRMAは、これを「諸軍種連合作戦」すなわち「統合運用」といった作戦形態に昇華することとなったのである。ここに言う「統合」とは、決してJointではなく、Integrationなのである。
 
(3)ネットがもたらす革命―戦闘管理のコンピューター化
 
 当面の任務遂行に最も有利な位置と状況にあるパイロットや部隊を、軍種に関係なく選択して Kill Chain を構成し、命令することができるのであれば、作戦は極めて迅速に遂行することができ、複数の戦闘を同時に作為することができる。
 ここに統合運用が極めて有利であるという別の要因が存在する。こうした役割を担当するのはもはや高級指揮官ではなく、戦闘管理(バトルマネジメント)システムコンピューター(TBMCSと呼称)の前に座る中佐・少佐であり、高級指揮官はこれをモニターして全般掌握に専念することとなった。
 こうした戦闘の結果、作戦テンポはさらに革命的に迅速化され、重畳的な戦闘の実施(パラレルウォー)が可能となった。
 このような戦闘の一例をアフガニスタン戦争に見れば、レーザーデジグネーターを所持する米海兵隊特殊作戦部隊隊員は、何日何時、どの位置に占位し、携行しているレーザーデジグネーターをどの目標に向かって何秒間照射せよというATO(航空任務命令)を受ける。
 AC-130のパイロットには同じく、何日何時、どの位置に飛翔し、コード化されたレーザーの反射光がミサイルを起動したら直ちにそのミサイルを発射せよというATOが与えられる。
 この2人には何の申し合わせもないが、中央軍司令部の戦闘管理システムの前に位置する少佐が企画した Kill Chain に従って、ネットがその連携を支援し統合化して Kill Chain を完成し、ミサイルは命令通りに目標を撃破して大戦果を挙げた。
 さらに個人携帯パソコンでこの成果を知らされた海兵隊陸戦部隊は、受領した命令の通り洞穴に向かって突撃を敢行し、残余のアルカイダの戦闘員を撃破したということなのである。
 このようにネット化されたコンピューターがもたらしたIT革命の成果により、21世紀の戦闘は、陸・海・空軍の区別なく、最も効率よく目的を達成できるセンサー、デジグネーター、シューターといった手段が選定され、戦闘管理システムにより組み立てられ、Kill Chain が完成され、有効な戦闘を実施するという時代に入ったわけである。
 ここに「なぜに統合なのか」という疑問に対する回答が含まれており、“統合運用による戦闘効率の革命的な向上”という新たな戦闘のあり方が示されているのである。
4.米陸軍に波及したRMA
 
(1)ストライカー戦車の登場
 
 さてこうして米空軍に始まった米国のRMAであるが、米国ではこれを「トランスフォーメーション」と呼称した。
 トランスフォーメーションは概念的にはRMAよりも広く、RMAによって生じたそのほかの改革、例えば多国籍軍等を含む他国との連携、米国内の他省庁の改編ならびに国防総省との連携、国防予算執行上の改革、志願兵制度の改革などなど、その対象は多岐にわたっている。
 これらを包括してブッシュ大統領が“トランスフォーメーション”という言葉を最初に使用したことから、その後、米国では「トランスフォーメーション」をRMAの場合でも使用している。
 さて、そのトランスフォーメーションの中で、最も注目すべきは、米空軍の変化が米陸軍に及ぼした影響であろう。
 その第1は、米空軍の「空からする砲撃」の有効性を認めた米陸軍が、米陸軍の保有する20トンを超える自走榴弾砲や加農(カノン)砲を帯同せずに「機動展開」することを考え始めたことである。
 すなわち米陸軍は、それまで敵の砲兵やそのほかの火器を征圧するための榴弾砲や加農砲といった重火器を持参することなく、また、敵の重火器が戦闘の早期段階で「空からする砲撃」で沈黙させることができるのであれば、重戦車を持参することもなく、装甲歩兵戦闘車であっても強度の高い装甲を必要としなくなり、軽量で機動力のある歩兵戦闘車を帯同する方が「前方展開(Forward Deployment)」にも有利であると考えた。
 そのようなことから事前に「前方駐留(Forward Presence)」することなく、緊急時に空輸で戦場に運べる、軽量で機動性のあるストライカー戦車を取得することとなったのである。
 上のチャートに示すように、これが従来の重戦車である。重量が60トンを超え、とても空輸は不可能で、紛争地には輸送船かもしくはあらかじめ事前配備しておかなければ緊急の対応ができなかった。
 そしてこれに代わって登場したのが下のチャートに示した新しい戦車・ストライカーICV(Infantry Combat Vehicle)なのである。
 その重量は16~18トンであり、重戦車に比較して3分の1と軽量、しかも極めて高度な機動性を有している。
 この重量であれば、空輸も可能であり、空輸が可能なのであれば、わざわざ前方配備しておく必要がなくなった。
 これがいわゆる「師団の軽量化」なのであるが、米陸軍や海兵隊の師団はこうして次のように改編された。
 すなわち、大規模で強力な火力を有する固定化された部隊編制であった過去の陸軍から、より小規模部隊を中心に編成された自己完結性の高い部隊編制となり、結果として師団規模の人員を擁することなく、旅団規模の人員で新たな部隊を編成した。
 そして、このような旅団を米陸軍は、「モジュール化された戦闘旅団」と呼称しているのである。
 
(2)米陸軍の21世紀型「戦闘旅団」の胎動
 
 さて米陸軍の変革の第2目となるのが、それはいまだに完成していない、いわゆる Future Combat Systems を装備した、いわば新世代の革新的な「戦闘旅団」創設に向けた研究開発である。
 米陸軍が2014年までにはその開発を終了し部隊配備を開始するとされている Future Combat Systems は、18の有人・無人兵器とを連接し、また末端の兵士までを結ぶネットワークであり、相互の情報の共有が可能となるシステムを構成するものである。
 このシステムが導入されれば、約1.2万人で構成され、その行動範囲も45キロ×150キロであった旧来の師団は、人員は約4000人でありながら、その行動範囲は300キロ×400キロとなるFCS化された旅団として登場することとなるとしている。
 これを端的に言えば、これまでの師団はコンパクトな旅団に改編され、しかも米国を離れて「前方駐留」することなく、緊急時に空輸により紛争地に赴き、機動力を主体とした戦闘を実施することとなろうということなのである。
 このような米陸軍の革命的改編は、結果としてその戦域における「散開戦」の傾向を促すこととなる。
 これがRMA後の戦闘の実態であろうことは、すでに筆者が先に示した「激変する現代戦争の実態」で明らかである。グーグルの検索で、「岡本智博」と名前を入れてみると、幸運な方はその論文に遭遇できるはずだ。
 以上縷々述べてきたことは、夢のような米陸軍や米海兵隊の革命なのであるが、ごく最近の情報では、Future Combat Systems の完成は相当遅れるであろうとのことである。
 ユビキタス社会が世界中で実現し、ITが熟成すればそのような時が来るのであろうが、ここはしばらく成り行きを見守るしかないということであろう。
 
5.21世紀の戦闘方法が生み出した悪魔たち―“テロ”という名の「散兵戦」
 さて、こうした21世紀の戦闘方式を実現しているのは、米国をはじめとする英、仏、独、露、瑞(スウェーデン)などの欧州諸国である。
 アジアにおいては、台湾、韓国、それに中国が、近年、大規模な軍事費を投入して努力を重ねているものの、革命の段階は、欧米諸国に比較してまだまだ低いと見られている。
 従って、我が国に対する戦争の脅威は、従来の戦闘方式が踏襲される公算が大きいと考えてよかろう。
 すなわち、大規模空襲と大規模船団からする着上陸侵攻ということになろうが、国家間の真面目な戦争は、CNN効果などにより、よほどの正義が成り立たなければ実施できない時代を迎えていることも事実である。
 むしろ Network Centric Warfare の時代は、もはや包囲・塹壕戦ではなく、散開戦ないし散兵戦の様相が卓越すると考えられる。
 もはや国家同士の戦争は考えられないという新たな環境下、ごく一般の人が大量破壊兵器やIED(Improvised Explosive Device)を保持して自爆行為を行うという、テロやゲリラ、サイバーテロといった散兵戦の流れに属する脅威、いわばRMAが生み出した21世紀の悪魔たちが、我が国に対する脅威となる蓋然性が高くなっているのである。
 特に「新たな戦争」としてのサイバーテロは、Network Centric Warfare の中核がコンピューターであるならば、そのコンピューターの作動やネットを妨害して、戦闘を有利に導こうとする戦術として極めて有効である。
 サイバーテロは、国家の政・経・軍の中枢機関、水道・エネルギー・交通の中枢といった社会インフラを支えるコンピューターシステムやネットへの攻撃に拡大され、さらにその矛先はネットを形成する宇宙空間の衛星群に対しても向けられようとしている。
 このような攻撃は Computer Net Attack(CNA)と呼ばれているが、CNAの対象はコンピューター、通信網、そしてこれをつなぐプロトコルなどである。
 コンピューターにはハードへの攻撃とソフトへの攻撃、通信網には衛星回線、グラスファイバーケーブル、伝統的な電線などへの物理的攻撃やその周波数への妨害・欺瞞といった攻撃も考えられる。
 サイバーテロは敵が見えないということ、すなわちそれはまず意図的なのか事故なのか、実行者は対象となったシステムの従事者なのかテログループなのか、個人なのか国家とかその他の集団なのかというように、テロ実行者の特定ができない。
 敵対者が明確でないということは「抑止の概念」が成立しない。
 従ってその対策としては、システムとしての抗堪性・障害回復能力の向上、他システムとの連携排除、テロ組織の資金の流れや人物の特定といった情報活動、集会・結社に関する動向の分析、教育やマスコミを通じてのコンピューター犯罪防止へのキャンペーン、あるいは後進国のコンピューター社会への移行促進など、間接的な活動によるものとならざるを得ない。
 21世紀の新たな戦闘形態の1つであるサイバーテロの出現は、正しく Network Centric Warfare がもたらしたものであり、防御手段が限定されているという点で先進諸国にとっては深刻な問題なのである。
 
おわりに
 夙(つと)に述べたように、20世紀を風靡した第2次世界大戦型の大規模空襲と大規模船団からする着上陸侵攻といった戦争は、世界の相互依存関係の強化とマスメディアの発展による国民の情報共有力の増大により、大きく抑制される時代を迎えている。
 他方、テロリズムと包括される「散兵戦」が世界各地で頻発している。
 ごく最近の例はモスクワ近郊、ドモジェドボ国際空港で本年1月24日に発生した自爆テロ事件であろう。厳しい保安体制が敷かれているロシアの「空の玄関口」が初めて狙われた事件として、世界に与えた衝撃はきわめて大きいものがあった。
 しかしこのようなテロ事件もまた、インターネットを駆使したテロ実行犯の情報活動がその根底にあることを認識すべきであり、「情報戦」こそ、現代社会の実相なのではなかろうか。
 また、前述したサイバーテロや密かに侵入した実行犯による水源地汚染や原子力発電所などへの攻撃、特にグライダーのような軽飛行機を使用した航空自爆テロによるガス貯蔵施設など重要施設への攻撃、鉄道運行を管理するコンピューターへの攻撃、あるいは日本では既に現実となったサリンなどWMD(大量破壊兵器)を使用した大規模集客施設への攻撃などなど、考え始めると枚挙に暇がないほど、実に迫る危険は、我々の生活空間に広がっているのである。
 こうした「散兵戦」的な脅威に対し、我々はどのように対応すればいいのであろうか。
 その具体的な方策は、今般、自衛隊に付与された「国民保護等派遣」の対象となる、上記に示したような緊急対処事態への迅速な対応が最も緊要なのであるが、「テロにはマスの力で対応」することが原則ではなかろうか。
 すなわち、国民一人ひとりの旺盛なる警戒心と、「何かおかしい」と感じた時にその情報を当局にいち早く通報できるような「コールセンター」などの組織化・活性化、あるいはこれらを包括する「緊急対処事態国民行動要領」といったような新たな法制の整備が果たされれば、緊急の通報を受けた行動機関が迅速に対応し、マスの力でテロの被害を局限することができる。
 こうした観点から、是非とも早期に、与野党が連携して、「緊急対処事態国民行動要領」といった法律を成立させ、国民一般の関心に対応することを、真摯に願う次第である
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