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平成22年 第12回「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」(松江市)有機栽培・JAS認定部門で特別優秀賞を受賞。(食味90・味度83・計173点) 平成25年、第15回魚沼と第16回北京開催運動中! 無農薬魚沼産コシヒカリ生産農家・理想の稲作技術『CO2削減農法』 http://www.uonumakoshihikari.com/
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2011.03.01(Tue) JBプレス 小久保重信
 
 米グーグルが検索アルゴリズムの大幅改訂を行ったと発表して話題になっている。同社の目的は「コンテンツファーム(content farm)」と呼ばれる、検索結果の上位表示だけを狙った内容のないウェブサイトを排除するというもの。
 
 ユーザーの検索意図と関連性のないウェブサイトが上位表示されてしまうと、サービスの使い勝手が悪くなり、ユーザーの満足度が低下する。
 結果としてライバルの検索エンジンに顧客を奪われてしまうことからグーグルは定期的にアルゴリズムを改良している。
 グーグルは今回の改訂に先立ち、同社のウェブブラウザー「クローム(Chrome)」用の拡張機能「パーソナルブロックリスト(Personal Blocklist)」を公開していた。
 これをインストールしておくと、検索結果ページのリンク欄に「このドメインを遮断する」という1行が追加される。これをユーザーがクリックすると、その情報がグーグルに送られ、以後そのサイトはユーザーの検索結果から除外される。
 今回の改訂に際し、グーグルはこの拡張機能には頼らずに改良を施したとしている。
 ただ、アルゴリズム変更後に低品質と判断されたサイトと拡張機能のデータを比較した結果、ユーザーが最も多く遮断した数十のサイトのうち84%が新たなアルゴリズムでも順位が下がったと説明している。
 この改訂で、同社サービスで行われる全検索の約12%に大きな影響を及ぼすサービス向上につながったと自信を示しており、今後米国以外の国でも実施するとしている。

グーグルとサイトのイタチごっこ続く

 グーグルが1998年に検索サービスを始めた当時は、ほかのサイトから張られているリンクの数を主な指標としてサイトの順位を決めていた。つまりリンクがたくさん張られているサイトは一定の支持を得ているものと見なし、ユーザーが探している情報に近いと考えたのだ。
 しかし、上位表示を狙う企業がこの仕組みに気づき出すと、様々な手法が考え出された。例えば米百貨店大手のJCペニーはお金を支払って、関連性のないサイトにリンクを張ってもらっていた。
 
グーグルにとってこうした行為は「不正」。そこで、同社はリンク以外の要素にも重み付けをして対処しているが、そうしたサイトとグーグルの間では今もイタチごっこが続いていると米ニューヨーク・タイムズは伝えている。

人気の検索語を記事にするディマンドメディア

 グーグルの言うコンテンツファームとは、ほかのサイトから記事などをコピーして張り付けたり、内容の薄いコンテンツを大量に掲載したりしてユーザーを集めているサイトだ。
 ニューヨーク・タイムズの記事は、しばしば米ディマンドメディアが運営する「eHow」などがコンテンツファームと呼ばれると伝えている。
 
このサイトは、ソフトウエアツールを使って人々がグーグルでどんな検索語を使っているのかを分析している。
 そして非常に安い料金でフリーランスのライターを雇い、人気の検索語が含まれる記事を執筆、掲載している。
 同社の社名は「読者の要望に合わせた記事を掲載するメディア」を意味しているが、これにはユーザーの苦情も相次いでいるという。

コンテンツファームは麻薬の売人と同じ?

 ただ、今回の改訂についてはディマンドメディアをターゲットとしたものではないと専門家は話している。グーグルが今回狙ったのは数百以上ある無名の企業。そうした企業は同じ記事を数百ものウェブサイトに掲載している。
 ある検索マーケティング会社の最高経営責任者(CEO)によると、そうしたサイトはすぐにまた抜け穴を探して、検索ランキングの上位に戻ってくる。
 「彼らは麻薬売人と同じ。警察に捕まったからといって職を替えることはなく、また別の街角で商売をするだけ」という。
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種・苗・球根の「サカタのタネ」は、一般住居の庭やベランダにつくる家庭菜園の楽しみ方を広げるため、高級フルーツの代表格「ネットメロン」を手軽に栽培できる苗を商品化した。ライバル会社のタキイ種苗も、趣味の園芸家が育てやすい品種の開発を強化する方針を打ち出した。種苗メーカー2社を火種に家庭菜園市場が一段と熱を帯びそうだ。

 サカタのタネが発売したのは、ミニネットメロン「ころたん」の苗で、ビニール製の鉢に1株を植えた状態で売る。今年は通信販売と同社直営店で4000鉢を限定販売、価格は直営店で1鉢400円前後。来春から全国の種苗店やホームセンターなどで本格販売する。2014年に売上高2000万円をめざす。

 ころたんの果実は、重さ300~500キログラムの食べきりサイズで、網の目(ネット)状の模様が入った黄金色の皮が特徴だ。

 ベランダにも置ける小型コンテナ(容器)で栽培する場合、まず容器内にころたんの苗を植える。45日程度で開花し、さらに45~50日後には果実が熟し収穫できる。1株の苗で2~4個の果実が採れるという。 

 ネット状の模様がきれいに入ったメロンの栽培は難しく、農家でも高度な技術が求められる。ネット模様は果実の肥大に伴って発生するが、その際に温度や水分の管理を適切に行わないと、美しい模様にならない。

 同社は、簡単な管理で理想の模様が発生する苗の開発を進めた。さらに、果肉が厚くて食べ応えがあるミニメロンを、スペースが小さい場所で育てる課題にも取り組み、約10年越しの研究を経て商品化に成功した。

 家庭菜園向け作物の品種を拡大する背景には、食の安全や健康に対する消費者意識の高まりがある。現在は家庭菜園で「トマト」「きゅうり」「なす」という定番野菜を栽培するケースが多いが、定番以外の作物に挑戦する愛好家も増えつつある。

 これを踏まえ、同社の澤村昌利・国内小売営業本部長は「趣味園芸家向けの独自品種を幅広く開発し、家庭菜園市場の活性化を図りたい」と意気込む。

 タキイ種苗も、栽培ニーズの多様化に対応し、家庭菜園向け商材の拡充に余念がない。

 すでに同社は、表皮が白くてネット模様がないミニメロン「かわいーナ」の種を2003年に市販化し業績を拡大した。10年の売上高も前年比33%増と順調だ。さらに、数品種のスイカや苦味のないピーマンの種など商品群を広げている。

 家庭菜園の新種開発競争がしばらく続きそうだ。(臼井慎太郎)

 
 
2011年02月07日 サカタのタネ
 
これまでのネットメロンの常識を覆す画期的品種
ミニメロン『ころたん』の苗を趣味園芸家向けに限定販売
果重300~500gのネットメロンを簡単にコンテナで栽培できる
 
サカタのタネは、コンテナ栽培できるミニメロン『ころたん』の苗を趣味園芸家向けに限定販売します。『ころたん』は、果重300~500gの食べきりサイズで、きれいなネットが入る黄金皮と、鮮やかな緑色の果肉が特長のメロンです。外皮は薄く、タネの部分が少ないので、ミニサイズでありながら可食部は多く、糖度は約15度でクセのないさわやかな味です。従来のネットメロンは、高度な栽培技術と温室など整った環境が必要なため、家庭菜園では難易度の高い品目でした。『ころたん』は、果重が軽いので株への負担が少なく、コンテナ栽培でも1株で2~4果収穫できる画期的な品種です。初年度『ころたん』の苗(接木・メロン台木、10.5cmポット)は、当社通信販売(オンラインショップを含む)とサカタのタネガーデンセンター横浜で合計4,000ポットを限定販売します。通信販売(オンラインショップを含む)での税込み小売価格は、3株セットで1,500円です。通信販売では2月18日、オンラインショップでは3月1日に受注を開始し、いずれも5月中旬から発送します。ガーデンセンター横浜では、4月下旬から1株400円前後で販売予定です。
 
外皮に網目状の模様が入るネットメロンは、高級フルーツの代表としてとても人気があります。しかし、きれいなネットが入ったメロンを栽培するには、湿度や温度、それに水の管理など、プロの生産者でもきめ細やかで高度な技術が求められます。また、趣味園芸家用のハネデュータイプ※1のミニメロンもありますが、収量がとれず甘みが乗りづらいなどの課題があり、味がよく、家庭でも簡単に栽培できるメロンの登場が望まれていました。

そこで当社では「従来のネットメロンと差別化が図れる」「甘くておいしい」「コンテナでも簡単に栽培できる」という3つの条件を兼ね備えたメロンの育成を目標に研究を進めてきました。そして、約10年間の歳月をかけて開発したのが、ミニメロン『ころたん』です。

『ころたん』は、きれいなネットが入る黄金皮と、鮮やかな緑色の果肉のコントラストが美しく、やや扁平のぽってりとした形の果重300~500gの食べきりサイズのメロンです。糖度は約15度で、クセのないさわやかな味わいがあります。ベランダや庭で栽培し食べごろで収穫できるので、市販のメロンのように数日追熟させる必要がありません。さらに収穫から10日程度置くと風味が増します。加えて、タネの部分が少なく皮が薄いので、ミニサイズでありながら可食部が多いことも特長です。

『ころたん』は、従来のメロン栽培で一般的な露地での地ばい栽培もできますが、おすすめはコンテナを使用したあんどん仕立てなどの立体栽培です。コンパクトに仕立てたつるに、小ぶりのネットメロンがコロコロとなります。収穫の目安は、開花後45~50日程度です。果重1㎏前後の従来のネットメロンは、果実を大きくさせるために根量を多く必要とし、また着果にも負担がかかることから、コンテナでは1株で2果以上実らせることは困難です。それに対し、従来のメロンと比べ果重が半分以下の同品種は、着果負担が少なく収穫まで株を丈夫に保てるため、20~40L程度のコンテナであれば2~4果ほど収穫することができます(露地での地ばい栽培では8~10果収穫できる)。  

『ころたん』の発売に際し社内モニターを行ったところ「着果しやすくあまり手をかけずに栽培できた」「だんだんとネットが出てくる様子を観察するのが楽しかった」「甘くておいしいメロンができて感激した」「ミニサイズなので新鮮なまま食べきれる」などの意見がありました。
昨今、景気の低迷にともなう贈答用需要の縮小など、メロン市場にとって厳しい環境が続いています。当社は「プリンス」「アンデス」など数々の日本を代表するメロンを世に送り出してきたパイオニアとして、ミニメロン『ころたん』の発売を通じ、より消費者の皆さまにメロンを身近に感じていただき、メロンの消費拡大につながることを期待しています。

なお、初年度の2011年は、当社通信販売(オンラインショップを含む)とサカタのタネガーデンセンター横浜で合計4,000ポットを限定販売します。2012年春から、全国の種苗店、園芸店、ホームセンターで本格販売を開始する予定です。
※1 ハネデュータイプ(Honey Dew):
ネットがなく、果皮は緑白色で、果実は球形。果肉は淡緑または淡橙色のメロン。
■ミニメロン『ころたん』の概要
◆特  長
①コンテナでも手軽に栽培できる果重300~500g、やや扁平のミニメロン。きれいなネットが入る黄金皮と鮮やかな緑色の果肉のコントラストが美しい。
②収穫の目安は開花後45~50日程度で、コンテナ栽培では1株あたり2~4果、露地での地ばい栽培では8~10果収穫できる。
③糖度は約15度で、ウリ科特有のクセがなくさわやかな味わい。タネの部分が少なく皮が薄いので、可食部が多い。
④食べごろで収穫できるので、追熟の必要がない。収穫から10日ほど置くと、さらに風味が増す。
◆栽培のポイント
1、準備
<露地栽培の場合> 
植えつけの2週間以上前に、1㎡あたり完熟堆肥を2~3㎏、苦土石灰を100~150g
まいて深く耕しておく。1週間以上前に化成肥料を約100グラム施し、畝をつくって黒
のポリマルチを張る。
<コンテナの場合>
鉢なら10号(口径30cm、16L)以上、プランターなら深さ25cm以上の大型のコンテナを選ぶ。市販の野菜用培養土を、コンテナに8~9割入れる。

2.植えつけ(4月下旬~6月上旬)
株元から病気が入りやすいので、鉢土の表面が出るように浅めに植えつける。露地では株間90~100cm、コンテナでは株間40~60cmとする。

3.栽培管理 
<露地栽培の場合>
親づるは本葉3枚で摘芯する。各子づるの4枚目まで葉から出たわき芽は早めに除去し、それ以降のわき芽に着果させる。追肥は、果実が卵くらいの大きさになったらポリマルチの周りにばらまく。
<コンテナの場合>
親づるを本葉4~5枚で摘芯後、生育のよい子づるを1~3本残す。その後、支柱などで誘引する。追肥は植えつけ2~3週間後と果実が肥大した時に行う。確実な着果のためには人工受粉が必要。雌花が開花した日の午前中に行う。コンテナは根の領域が限られているため、果実をつけすぎると着果に負担がかかり枯れることがある。果実がピンポン玉くらいの大きさになったら、1株あたり2~4果に絞る(仕立てる子づるの本数により調節する)。暖かくなるとアブラムシやウリハムシが発生しやすくなる。株が弱る原因になるので、見つけたら捕殺するか、適用薬剤を散布する。

4.収穫
開花後45~50日で果実が熟してきて、果実に近い葉が枯れ始める。果実が白色から徐々に変化し、濃い黄色なったころ収穫する。

◆販売ルート・価格・販売時期 

 

販売ルート 税込み小売価格 販売時期
当社通信販売
(オンラインショップを含む) 
3株1組
1,500円
通信販売では2011年2月18日、オンラインショップでは3月1日から受注、同年5月中旬から順次発送
 6株1組
2,980円 
サカタのタネ
ガーデンセンター横浜
1株400円前後 同年4月下旬から

 

・販売形態は接木(メロン台木)10.5cmポット
・栽培マニュアルつき
・2011年は4,000ポット限定販売
・2012年から全国の種苗店、園芸店、ホームセンターで本格販売を開始予定
 

郵政民営化に続き、改革に逆行

2011年02月28日(月) 高橋 洋一
 
また政権末期での官僚のやりたい放題だ。新聞はあまり報道しないが、政府は2月25日、日本政策金融公庫から国際金融部門の国際協力銀行(JBIC)を分離・独立させる「株式会社国際協力銀行法案」を閣議決定し、国会に提出した。
  JBICは2008年秋、政府系金融機関の改革で日本政策金融公庫に統合されたが、政府・民主党は再び独立させることにしたのだ。これで、JBICは再び財務省の有力な天下り先になるだろう。
 実は、私は小泉政権で郵政民営化とともに政策金融改革も担当していた。小泉政権時代にも、財務官僚のいいなりになってJBIC等の政策金融改革に反対した「過去官僚」(官僚出身)の自民党議員が多かったが、それでも郵政民営化とコインの裏表になる政策金融改革を行った。
 その政策金融改革のポイントは、組織をできる限りスリム化して、政策金融機能を限定しながら、いざというときには民間金融の力を借りて、天下り先を作らなくても業務拡大できるという制度設計だった。

具体的には、各省ごとの持っていた政策金融機関を一つに統合して組織のスリム化(各機関が各省事務次官クラスの天下り先だったのを一つにする)し、機能も直接融資から保証などの間接融資にするものだ。その改革では、政投銀や商工中金という財務省と経産省の事務次官天下り先を完全民営化することも含まれていた。
 日本はそれまで政策金融機関が多かった。しかし、この改革の結果、政策金融機関はあったとしても日本政策金融公庫一つで十分という世界の標準になった。
 ところが、民主党は政策金融改革をすべて反故にして、10年前以上も昔に戻してしまったのである。民主党も、過去官僚が多く、官僚に理解がある人が多い。自民党では党人派の小さな政府主義がそれなりに影響力があったが、民主党は大きな政府路線で、官僚の言いなりが多い。
 
実は、政策金融ばかりでなく、貿易保険でも民主党は改革を逆行させた。事業仕分け第3弾の初日である2010年10月27日に行われた貿易再保険特会。貿易再保険特会を独立行政法人日本貿易保険(NEXI)に統合となったが、これは酷い。

官僚の高等戦術に騙された民主党

 そもそも再保険と保険の二本建てになっているのは、もともと国営の貿易保険を、再保険は国、保険は民間とするために2001年の省庁再編時に、再保険は特会、保険は独立行政法人のNEXIと決めたからだ。その後、NEXIの民営化(特殊会社化)となり、貿易保険には民間会社が参入した。
 しかし、民主党の目玉の事業仕分けで、民営化がなくなった。再保険と保険が独法でひとつになり、以前の特会が独法に変わっただけなので、2001年以前に逆戻りだ。貿易再保険の廃止という言葉でごまかし、NEXIの民営化を反故にした官僚の高等作戦に、民主党が騙されたのだ。
 
 
 
 
 
 
さらに、今回、JBICが政策金融改革に逆行してまで行おうとしているのは、米国南テキサス州で東京電力や東芝が出資して進めている原発建設プロジェクトに対する融資である。
 日本政策金融公庫では、先進国向けの金融は原則行わないことになっており、JBICを傘下に収める際にも従前に行われていた先進国向けの金融業務は原則廃止された。ところが、政令において「国際競争力向上」という曖昧な抜け穴を作っていた。
 経済学ではノーベル賞受賞者のクルーグマン・プリンストン大教授が口を酸っぱくして何度も警告を発しているが、国際競争力という言葉は実態のないもので、官僚のいいように利用されるだけだ。
 さらに、米国の原子力案件では、24日、米国の環境団体NIRS(Nuclear Information and Resource Service)が日本政府にプロジェクトを中止するように要望している。その要望には、日米の170を超える団体が賛同している。
 その内容は、米国では電力市場の規制緩和による価格低下があるので、原子力プロジェクトは採算がとれないというまっとうな話だ。
 もともと官業の政策金融機関はリスク評価が甘かった。そこで、政策金融改革では、金融機能を保証などの間接金融に限定し、直接融資は民間金融機関を活用するスキームにした。その場合、リスクを官民でシェアすることにより、民間のリスク評価機能を活用するというものだ。
 ところが、政策金融は古い昔の官業が「フルセット」で行うものに逆戻りしてしまった。とてもきちんとしたリスク評価ができるとも思えない。

事業仕分けに悪乗り

 米国では、プロジェクトの売り上げに応じて債券の元利を支払いレベニューボンドなど、多種多様なリスクを評価してそれに応じて最適な資金調達する仕組みが整備されている。そうした資本市場の発達した先進国の米国でも、採算が危ういというのに、わざわざ金融技術が優れているとは言い難い官業JBICが出て行く理由が不透明だ。
 せめて政策金融改革後の姿になっていれば、リスク評価とそれに対する国民負担が明確になったはずだが、逆戻りの官業のどんぶり勘定ではそれも期待できない。
 それでも、原発プロジェクトのリスクを問いただすと、NEXIの保険でカバーするから国民負担はないという。この論法にマスコミは騙される。
 たしかに、NEXIには補助金などが明示的に入っていないかも知れない。しかし、なぜ補助金なしでできるかといえば、貿易再保険を経産省ががっちり押さえていて、NEXIを民間保険会社との競争から守っていて超過利潤が発生するからだ。
 
しかも、民主党の事業仕分けに悪のりして、NEXIと貿易再保険の統合を行った。それによって、これまで民間保険会社が細々と貿易保険業務を行っていたが、これからはNEXIの事実上独占になるだろう。
 なんのことはない。NEXIを競争から隔離したり、独占にしたりで、利用者から超過利潤をとって、それでJBICの穴埋めに回すということだ。
 こんな競争のない金融社会主義みたいなことをしていたら、日本は官僚天国になってしまう。
 それにしても、菅政権の閣僚として与謝野大臣は閣議のサインをしているのにはあきれる。郵政民営化や政策金融改革には、自民党の政調会長として関わっていた。やはり平成の変節王だ。
 

自由貿易が「何を目的にしているか」もう1度振り返る

2011年2月28日(月) 日経ビジネス 三橋貴明
 
今さらであるが、現在の日本は深刻なデフレに悩んでいる。デフレとは、国内の全経済主体の供給能力(いわゆる潜在GDP)が、需要(現実のGDP)を上回ってしまっていることが、主たる原因である。
 デフレで物価下落が継続している結果、日本は、
「実質GDPが成長しているにも関わらず、名目GDPが横ばい、もしくはマイナス成長」
という悩みを抱えている。
 内閣府は、2月21日に日本国家の経済全体のデフレギャップを発表した。デフレギャップとは、日本経済が持つ潜在的な供給能力と、現実の需要(GDP)の乖離を意味している。
 
 
図4-1で言えば、青色の「本来の供給能力(潜在GDP)」と、赤色の現実の需要(GDP)」との「差」こそがデフレギャップである。日本経済は、自らが保有する供給能力に対し、現実の需要が追いつかず、物価が継続的に下落し、雇用環境が悪化するという状況が続いているわけだ。
 内閣府によると、2010年第4四半期のデフレギャップは対GDP比で3.8%とのことである。金額に換算すると、現在の日本経済は約20兆円の「需要不足」という問題を抱えていることになる。
 日本がデフレから脱却するためには、需給の乖離であるデフレギャップを縮小させる必要があるが、方法は2つある。すなわち「供給能力」を削るか、あるいは「需要」を拡大させるかである。

 

民主党は「総需要抑制策」をしている

 
 とはいえ、供給能力の削減とは、企業の工場閉鎖や設備廃棄、それに人員削減などになってしまう。すなわち、リストラクチャリングだ。企業がリストラを推進すると、国内の失業率は上昇する。失業率が上昇すると、当然ながら個人消費は減少してしまう。
 個人消費とは、GDP上の「民間最終消費支出」という需要項目の1つだ。企業がデフレギャップを縮小するために、供給能力(図4-1の青色部)を削り取ると、需要(赤色部)までもが減少してしまうのである。すなわち、デフレギャップは埋まらないわけだ。
 あるいは、民主党政権が発足直後(当時は鳩山政権)に行った「補正予算の凍結」である。鳩山政権の前の麻生政権が作成した補正予算は、景気対策を目的としていた。
 民主党政権が発足し、いきなり補正予算を3兆円分も止めてしまったわけだが、あれは別に「政府が懐に入れるお金」を止めたわけではない。政府が景気対策に使い、「民間企業のビジネス」になるはずだったお金を、3兆円分も止めてしまったのである。
 政府の支出にしても、「政府最終消費支出」や「公的固定資本形成(いわゆる公共投資)」などのGDPの需要項目の一部だ。民主党政権が「無意味」に予算を止めてしまった結果、日本経済はその分だけ「成長しなかった」ということになる。すなわち、図4-1の需要(赤色部)が増えず、デフレギャップが縮小しないというわけだ。
 
さらに言えば、管政権が現在、推進している消費税増税である。消費税を上げると、当たり前の話として、GDPの「民間最終消費支出」などがダメージを受ける。基本的に、消費税などの税金を上げることは、総需要抑制政策なのだ。
 総需要抑制政策とは、政府が国内の需要を「抑制」するために、市場に介入する政策を意味している。すなわち、図4-1の「現実の需要(赤色部)」を縮小させることこそが、総需要抑制政策なのである。具体的な政策としては、消費税などの増税はもちろん、財政支出の削減(民主党政権の補正予算凍結など)、さらには金融の引き締めである。
 現在の日本は、一応、日本銀行がゼロ金利政策や量的緩和を維持し、総需要抑制政策ではなく「総需要拡大政策」を維持している(率直に言って、不十分だが)。ところが、その裏で民主党政権は、「ムダの削減」なる総需要抑制政策を大々的に推進し、さらに増税までをも行おうとしているわけだ(一部の増税は既に行われたが)。
 日本経済の問題は「需要不足」であり、「需要過剰」ではない。ところが、なぜか民主党政権はこのデフレ環境下において、総需要抑制政策ばかりを推進しようとする。
 要するに、ちぐはぐなのだ。

 

リカードの比較優位論、ロジックは正しいが

 
 念のため断っておこう。筆者が民主党政権の「ムダの削減」や「増税」などの総需要抑制政策に反対するのは、現在の日本がデフレに苦しんでいるためだ。これが問題が正反対で、日本が継続的な物価の上昇、すなわちインフレーションに悩んでいるのであれば、筆者はむしろ率先して「政府はムダを削れ」「増税しろ」と主張するつもりである。何しろ、インフレ時には増税や財政支出削減などの「総需要抑制政策」こそが、適切なソリューションになる。
 すなわち、デフレ期とインフレ期では、適切な政策が正反対になるのだ。
「デフレ期には、デフレ対策を。インフレ期には、インフレ対策を」
 この当たり前のことを理解していない評論家や政治家が、日本には多すぎる。結果的に、日本政府は自国がデフレに悩んでいるにも関わらず、インフレ対策ばかりを推進しようとするわけである。
 まさにその1つが、TPPなのだ。
 TPPとは「過激な日米FTAである」と、本連載の第1回で書いた。FTAとはFree Trade Agreementの略だが、日本語訳すると「自由貿易協定」となる。製品やサービスなどの関税、さらには非関税障壁などを互いに撤廃し、自由貿易を実現するための国際協定こそが、まさにFTAというわけだ。
 TPPの場合は、通常のFTAと異なり、製品やサービスなど、関税や非関税障壁撤廃の対象製品・サービスが幅広い。さらに、関税撤廃までの期間も極めて短期であるため、「過激なFTA」と表現したわけだ。
 さて、この「自由貿易」、言葉の響きは大変美しい。何しろ「自由」な貿易である。
「自由な貿易に反対するんですか」
などと言われると、普通の人はひるんでしまうだろう。
 ところで、そもそも自由貿易の目的とは何だろうか。自由貿易の「思想」の基盤になっているのが、19世紀初めにイギリスで活躍した経済学者、デヴィッド・リカードの比較優位論である。リカードの比較優位論について理解すると、自由貿易が「何を目的にしているか」が明確になってくる。
 
リカードの比較優位論は、各国が「比較優位(絶対優位ではない)」にある製品の生産に特化し、互いに輸出しあうことで、全体的に多くの財やサービスを消費できることを説明している。リカードの比較優位論が成立するには、幾つもの条件があるが、このロジック自体は正しい。各国が生産に際し機会費用が少ない製品、すなわち比較優位な製品の生産に注力し、余剰生産物を輸出し合うことで、消費量を増やすことができる。
 逆に、関税などで自由な貿易を制限すると、全体的な消費量が減ってしまうわけだ。各国の「比較優位な製品生産への特化」と、「自由な貿易」が実現できたとき、全体の供給能力が高まり、消費可能な財やサービスが最大化されるという考え方である。
 というわけで、リカードの比較優位論にしても、自由貿易にしても、「参加者全体の供給能力を高める」ことこそを目的としているのである。国内の供給能力が不十分で、国民が充分な消費が行えず、物価が継続的に上昇している国々にとっては、自由貿易は極めて適切なソリューションである。
 物価が継続的に上昇している国とは、すなわちインフレに悩んでいる国というわけだ。自由貿易は参加国全体の生産性を向上させることができるため、インフレ期にはまことに適切なソリューションだ。
 ところで、現在の日本は、果たしてインフレに悩んでいるのだろうか。

 

日本に必要なのは需要であり、供給能力ではない

 
 現在の日本はインフレ(物不足、供給能力の不足)ではなく、デフレ(モノ余り、供給能力の過剰)に悩んでいる。現在の日本に必要なのは需要であり、供給能力ではない。
 TPPという「過激な日米FTA」により、アメリカ産農産物が入ってくると、日本国内の農産品の価格水準は、間違いなく下がってしまう。消費者は、
「安い農産物が買えて、嬉しい!」
と喜ぶかも知れないが、農産業従事者の方はたまらない。何しろ、生産性が極端に違うアメリカ産農産品と、関税という防壁なしで真っ向から競争しなければならないのだ。結果的に、アメリカ製品との競合に耐え切れなくなった農家は、廃業していくことになるだろう。
 農家が廃業し、所得獲得手段を失うと、民間企業のリストラクチャリング同様の効果が生じる。すなわち、失業者の増加による個人消費(GDP上の民間最終消費支出。図4-1参照)の縮小だ。そして、日本国内の個人消費が縮小すると、図4-1の「現実の需要(赤色部)」がさらに縮んでしまい、デフレギャップが拡大してしまう。すなわち、デフレが悪化するというわけだ。
 当初は「安い農産物が買えて嬉しい」と考えていた消費者も、デフレ深刻化の影響で、最終的には自らも損をする。それは、消費者が働く企業の経営悪化による、給与削減という形をとるかもしれないし、あるいは自身の失業かも知れない。何しろ、農家が廃業して労働者の供給が増えていけば、必然的に失業率は上昇し、日本国民全体の実質賃金は低下してしまう。
 前回(第3回)冒頭にも書いたように、国民経済とは「つながっている」のである。特に、デフレが深刻化している国において、「他者に損を押し付ける」行為は、巡り巡って自らの損失までをも拡大させてしまう。
 消費者が「安い農産物を買える」ということは、その分だけ「誰かが損をしている」ということになる。上記のケースでは、損をしているのはもちろん農業関係者だ。
 

「サービス(金融)」と「投資」を加えたアメリカ

 
 断っておくが、筆者が現時点でTPPに反対しているのは、単にそれが日本のデフレを悪化させるためである。TPPにより関係国全体の「消費量=生産量」が増えたところで、日本にとっては供給能力(図4-1の青色部)が「無用に」高まってしまうだけの話だ。しかも、TPPで安い農産物が海外から輸入されたとき、農業従事者の所得低下を通じて、日本の現実の需要(赤色部)をも押し下げてしまう。すなわち、デフレギャップの拡大だ。
 そして、恐らくこれが最大の問題だと思うが、TPPにより海外の企業との競合が激化するのは、別に農産物には限らないのである。何しろ、TPPで設置された作業部会は、現時点で24もあるのだ。農産物は、24ある作業部会の1つに過ぎない。
 ちなみに、TPPの作業部会は、当初は22だったのだが、そこにアメリカが2つほど追加してきた。すなわち「サービス(金融)」と「投資」である。
 TPPで自由化が目指される「農産物」以外の製品やサービスには、果たしてどのようなものがあるのだろうか。本連載でも取り上げていく予定だが、もしかしたら読者が勤めている企業の製品、もしくはサービスも含まれているかも知れない。
 それでも読者は、TPPで外国産農産物が入ってきたとき、
「安い農産物が買えて、嬉しい!」
などと、素直に喜べるだろうか。
 
そもそも、日米を含む現在の各国は「失業」に悩んでいるのである。特に、アメリカの場合は顕著だ。
 各国の雇用環境が悪化している以上、比較優位とは無関係に、各国とも「すべての財・サービスを自国で生産したい」という欲求に駆られて当然だ。何しろ、他国から製品やサービスを輸入するということは、「自国では生産しない」ということになる。輸入する製品を自国で生産すれば、質や価格ともかく「雇用」は確保できる。逆に、自国で生産せずに輸入する場合は、あくまで「他国の雇用」が創出されるだけ、自国の雇用はほとんど増えない。
 というわけで、オバマ大統領が一般教書演説において20回以上も「雇用(Job)」という言葉を使った以上、アメリカが「日本の雇用を奪う」ことを狙っているのは確実だ。
 と言うよりも、オバマ大統領自身が一般教書演説において、
「私が署名する貿易協定は、米国人労働者を守り、米国人の雇用創出につながるものに限るだろう」
と明言しているわけだから、何をか言わんやである。
 アメリカは自らの戦略目標について、別に隠しているわけではない。大統領自ら、堂々と「雇用を拡大するために、他国と貿易協定を結ぶ」と宣言しているわけだ。

 

必ず「別のどこかの国」で雇用環境が悪化する

 
 そして、アメリカが「貿易協定」により雇用を拡大したとき、必ず「別のどこかの国」において、雇用環境が悪化することになる。
 日本人は、今ひとつ「輸出」や「輸入」の意味を理解していないように思えるが、日本が輸出を拡大した場合、輸入した側の国では雇用と「現実の需要」(GDP)が奪い取られることになる。輸入はGDPにおける控除項目であり、加算項目ではない。
 すなわち、アメリカが日本への輸出を拡大し、自国の雇用を改善したとき、我が国の雇用環境は必ず打撃を受ける。
 逆に、日本などが対米輸出を拡大すると、今度はアメリカの雇用が悪化することになる。2007年まで不動産バブルで内需を拡大させていたアメリカは、各国の対米輸出が膨張しても、雇用環境を一定水準で維持することができていた。すなわち、外国からの輸入で自国の雇用が奪われても、内需による雇用創出でカバーすることができていたわけである。
 しかし、もはやその時代は終わった。
 そもそも、国民経済の目的とは何だろうか。国民経済の目的とは「国民」の所得を高め、同時に国富を蓄積し、国民全体を「富ませる」ことである。
 自由貿易にせよ、TPPにせよ、国民経済全体を成長させ、国民を富ませるのに有益であるならば、率先して行われるべきだ。何しろ、自由貿易が参加国全体の生産性を高め、消費量可能な財やサービスが増えるのは、間違いない事実だからだ。
 しかし、自由貿易による生産性向上や消費可能「量」の拡大が、失業率上昇や実質賃金の低下といった、社会的な「痛み」を伴う状況であっても、我々は自由貿易を喜んで受け入れなければならないのだろうか。そんなはずはない。
 現在の日本は、深刻なデフレに悩んでいる。そして「過激な日米FTA」であるTPPは、日本の雇用環境や給与水準を間違いなく悪化させ、デフレをさらに深刻化させる。そうであっても、日本は自由貿易やTPPを喜んで受け入れなければならないのだろうか。
 繰り返しになるが、そんなはずがないのだ。
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