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アメリカの意向を気にせず、国益だけを考えて議論せよ!
2011年2月15日 DIAMOND online 田村耕太郎
誰も知らないTPP!
ネットで日本のメディアをみると毎日のように“TPP”という言葉が出てくる。いつのまにか首相の公約になっていて、混迷極める政権の命運がかかった政策の一つになっているようだ。私が知る限りにおいてだが、アメリカでは経済番組でも一般ニュースでも“TPP”という言葉に出会ったことがない。私が在籍するエール大学はじめニューヨークやボストンのアメリカ東海岸の知識人層の間でもTPPの意味がわかる人に出会ったことがない。
結論から言うと、TPPの参加の議論について、アメリカの意向を過剰に気にする必要はないと思う。TPPをどうしようが、アメリカにとって日本の相対的な重要度は損なわれることはない。日本の重要性は増す一方だろう。“日本の国益にとってどうなのか”に集中した議論をするべきだ。その上で参加の可否を問えばいい。
先日、私の所属するエール大学マクミランセンターでロバート・ゼーリック世界銀行総裁の講演があった。エール大学のグローバライゼーション研究所所長のエルネスト・ゼディージョ教授との対談形式だ。旧知の二人の対談を、シニアフェローとして最前列で聞かせていただいた。
余談だが、ゼディージョ教授は2000年までメキシコ大統領を務めていた人物だ。TPPの先行事例でもあるNAFTAの実情を知る人物である。ゼディージョ氏は元大統領だからエールの教授をしているのではない。彼は博士号をエール大学で取得しており、その実績も考慮されてエール大学で教鞭をとっている。各分野のノーベル賞受賞者にも学校行事でよくお会いするが、元大統領とかCIA元長官の教授がゴロゴロいるところがアメリカの名門大学のすごさだ。
世銀総裁とメキシコ元大統領の激論!
一方のゼーリック氏の経歴は、米大統領補佐官、USTR(米通商代表部)、国務副長官を経て第11代の世銀総裁に就任。WTOドーハラウンドの生みの親といわれる人物だ。その間にハーバード大学ケネディスクールで研究員をつとめ、ゴールドマン・サックスのアドバイザーも歴任。政府・ビジネス・学界を行き来する“回転ドア”の成功例の典型だ。
もう一つ余談になるが、講演の冒頭、ゼーリック世銀総裁はアメリカの回転ドアシステムの有用性を説いた。「政策の現場、ビジネスの実務、学問的追求の場、これらを経験していないと今の国際問題に貢献できない」と熱く語っていた。その通りだと思う。ビジネスをやったこともない政治家や官僚たちが考える成長戦略が全く機能しない日本がいい例だ。回転ドアシステムについては、弊害も議論されるが、私はメリットの方が大きいと思う。これについていつかこのコラムでページを割いて持論を述べたい。
“机上の空論”とは程遠い、実務家同士の対談形式の講演だったので、全く退屈しなかった。話題は金融規制、欧州財政危機、WTO、FTA、NAFTA、そしてG20誕生秘話まで面白すぎた。ゼーリック総裁はG7でもG20においても、中央銀行・蔵相会議のメンバーだから「世界経済金融問題について本格的な議論の場が、G7からG20に移る過程の舞台裏」の生情報も披露してくれた。ゼディージョ教授も最近までWTOのアドバイザーだったので、WTO、FTA、NAFTA、APECの場での各国の駆け引きの様子を教えてくれた。
前述のTPPはやはり話題にならない。世界貿易体制の実務家である二人の激しい応酬の中でさえTPPのTの字も出ない。一番前の二人の目に入る席に、日本人である私が座っていることに二人は気づいていたはずであるが、TPPは所詮その程度の、存在感がない政策なのだ。
無理もない。アメリカは忙しい。アメリカしかみていない日本とは違う。エジプトをはじめ、中東、北アフリカ情勢、欧州財政危機、アフガニスタン、対中国戦略、世界的インフレ傾向、そして自国経済対応等で忙殺されている。
日米関係は心配なし!
日本におけるアメリカ謀略論者は、「これをしなければアメリカに嫌われる」とか「アメリカは黙っていない」などと論じているようだが、かなり怪しい。彼らが言うアメリカって誰のことだろう?そういう人たちに限って、“アメリカは日本を常に注視していて意識している”ようにいうが、アメリカだけ気にしていればいい日本と違ってアメリカは世界中の騒動に関与して忙しい。
ワシントンの日本への信頼性は他国に比べたらかなり高い。日本を信頼しているからこそ、対日本のために割く資源(時間的、人的)そして関心は、他国に比して限られている。日本が政策判断をするとき、アメリカを過剰に意識することは政策判断を誤ることにつながると思う。
国民も日本政府もメディアも、かつてないほどのグローバルな時代に入り、外から日本をみる視点をさらに養う必要がある。
TPPに関しても、対米外交を過剰に意識しない方がいいと思う。東京やワシントンの対日チームの意見がオバマ政権の意見と完全に一致しているかも疑問だ。前述のごとく日本を信頼しているからこそ、日本専門チームの影はホワイトハウスで薄くなっている。
何とか目立ちたい対日チームが論功行賞を焦って大統領の名を借りて日本にプレッシャーをかけている面もあるかもしれない。日本専門チームは、中東や中国問題で忙しい大統領への報告時間もなかなか取れないだろうから、大統領周りの注目を集めるために、センセーショナルな報告を上げているかもしれない。何事も、駐日アメリカ大使館経由のパイプではなく、ホワイトハウスと直接のパイプも構築し、政権の本意もうまく確認しながら交渉すべきだろう。
政府も国会も日米関係を危惧しているようだが、日米関係は全然悪くない。それは二国間関係というのはすべて相対的であるからだ。日米がよいか悪いかは、他の二国間関係と比べて判断すべきことだ。米中、米欧、米中東、米南米、米ロ、米印等と比較して、“日米”は断然ましである。
「開国」につながるか?
アメリカが、これだけ覇権国家としての力が凋落し、中国やインドそしてブラジル等の新興国に追い上げられている中で、日本というこんな美味しい同盟国を手放すわけはない。欧州は財政破たん寸前で外交どころではない。力をつけつつある南米諸国は、存在感を示すためイランやロシアと交流したりして、アメリカのいうことを聞かない。新興国はアメリカに対抗する主張を強める。
アメリカ政府関係者と話すと、TPPという戦略がアメリカで浮上してきた背景には、オバマ大統領の意向があるようだ。FTAで一国づつ各個撃破するより、枠組みを作って一網打尽戦略に打って出ることを、オバマ大統領が好んでいるようだ。ワシントンでも対日関係者の間では鼻息が荒いが、全体的にはTPPはそうプレゼンスが高くはない政策だ。
アメリカに限らず、国際貿易の枠組みでの提案は、常に提案者の土俵に有利になっているのは当たり前だ。「アメリカの罠にはまる」という議論も拙速だ。TPPに参加を決めるかどうかは、自国の国益を特定の産業に絞って考えるのではなく、できるだけ広く捉えて、TPPというものを日本経済にどう活かすかを検討してからだ。日米外交まで過剰に持ち出す必要はない。
TPPは欧州ではさらに誰も知らないので、TPPが首相の言う「開国」のイメージを世界に与えるかは定かではない。ただ、ダボスで首相が発信した「開国」のメッセージは世界に衝撃を与えている。意外なほど世界の期待を集めているようだ。本当は、仲間を作って自国に有利で「開国」のイメージにつながる大胆な貿易政策を、自ら説得力をもって国際舞台で提案できるのがベストなのだが、そこまで今の日本政府に要求するのは酷だろう。
対米外交のためではなく、日本の幅広い国益のために、国民全体でしっかり議論して決断することを期待したい。
全国民必読 シリーズ「人口減少社会」!
2011年02月15日(火) 週刊現代
住宅市場はすでに供給過剰。これから人口がどんどん減れば、空き屋が増えてくる。もちろん値段も下がる。住宅ローンを支払い終わった頃に、家の価値がゼロになっている。そんな悲劇が訪れる。
国交省作成「衝撃レポート」!
北海道札幌市から高速道路を利用して約1時間の秩父別町ではいま、画期的な宅地分譲が行われている。人口2700人、水田風景の広がるこの町では人口減少が深刻な問題となっていた。そこで移住者を少しでも増やそうと、宅地を「1m2あたり1円」で販売することにしたのだ。
3年以内に住宅を建て、住民登録をして5年以上住むことが購入の条件。1区画は460m2で、本来なら230万円ほどのところをわずか460円で購入できるとあり、「これまでに相当数の問い合わせを受けた」(秩父別町企画課)という。ところが、販売は思惑通りに進んでいないようだ。
「13区画を販売していますが、契約を結んだのは11区画です。町内からの応募が2区画、町外から来ていただいたのは9区画で、現役を引退されたシニアの方からの応募でした。残りの2区画は北海道移住を希望している若い方でしたが、販売間際までいってキャンセル。できればファミリー層に来ていただきたかったのですが、人口が減り続け、経済も落ち込んでいるこの町での就労が難しいということがネックになったようです」(同企画課)
これは自治体の話だが、民間不動産業者にしても似たような話はいくらでも聞こえてくる。日本を襲う未曾有の人口減少がいま、不動産業界に暗い影を落としているのだ。
「不動産の価格を決定する際に用いるのは『収益還元法』というもので、土地や物件がどれほどの収益を生み出すかによって価格が決められる。特に重視されるのが、『その土地をどれくらいの人が利用するか』ということ。人口減少はもちろん、土地や家の価格下落に直結する。とはいえそれを止める手立てはないので、不動産業界としては行方を戦々恐々として見守っているだけというのが現状です」(都内の不動産業者)
2005年を境に死亡率が出生率を上回ったところから、日本は人口減少社会に突入。このままいけば、歴史上例を見ない急速なスピードで人が減っていき、50年以内には1億人を割り込むと言われている。毎年、60万都市が一つずつ消えていく計算だ。
そうした中で、人口減少の実態を赤裸々に描写したあるレポートがいま、一部の不動産業者の間で話題となっている。
「国土の長期展望に向けた検討の方向性について」と題されたそのレポートは、昨年末、国交相の諮問機関である国土審議会政策部会に提出されたものである。出生率・死亡率・人口移動率などといった大量の統計的データを収集、それに精密かつ複雑な解析を加えて作成されたもので、人口減少がこのまま進んだ場合、2050年に日本の国土がどのように変貌していくかを克明に示している。
価格破壊が始まる!
その内容は、衝撃的なものばかりだ。
「所有者不明な土地が増加」
「居住地域の2割が無居住化」
「里地里山から人間がいなくなる」
同レポートの特徴は、こうした「人口増減度」「無人化度」や「過疎度」「高齢化度」などが超微細なエリアごとに色分けされ、表示されていることにある。そのため、市町村の中でもどの区域というレベルまで詳しく、将来像が把握できてしまうのだ。
「人口減少の激しい地域の住民が、このレポートを見て、その土地から逃げ出す可能性もある。となれば不動産は大暴落しかねない」(前出の不動産業者)
同レポートで、特に人口減少が激しく進むと指摘されているのは北海道。'05年比で43.4%減ということだから、人口が約半数となるということになる。それに次いで減少幅が大きいのが東北圏(39.8%)、四国圏(38.9%)、中国圏(37.4%)で、こちらも10人中4人がいなくなるとされている。想像以上に急速に進む人口減少の実態が垣間見える。
ただこれ以上に恐ろしいのは、まったく住む人がいなくなる「無居住化」エリアまで出てくると指摘されていることだ。
まず先に「無居住化」が進むのは、北海道、中国、四国の3地方。中国、四国地方では現在人が住んでいるエリアの3割弱ほど、北海道では5割ほどの地域から人がいなくなってしまうという。
ただこれはほかの地方も他人事ではない。人口減少によって過疎状態になると、高齢化が同時進行で引き起こされ、猛烈なスピードで人がいなくなる。同レポートには、最終的には日本全国の居住エリアの2割から人がいなくなると書かれているのだ。
そうなれば不動産への影響が計り知れないことになる。実際すでに、冒頭でみたような「価格破壊」がいたるところで起きている。
たとえば北海道では、住宅地の平均地価が'98年から13年連続で下落している。1m2あたりの地価は1万9600円になっているが、これは約30年前の水準だ。
中国5県でも基準地価の下落幅が2年連続で拡大。中でも岡山、山口、鳥取では住宅地の価格が10年以上も下落している。みずほ証券の試算によれば、東京圏、名古屋圏、大阪圏を除く、ほとんどの地方圏で、商業地、住宅地ともに10年近くも価格下落が続いているという。
「人口増減率と地価の変動率との相関関係は、地方で顕著に出てくる。人口減少が今後も続けば、二度と地価が上がらないという地域も多く出てくるでしょう」(みずほ証券チーフ不動産アナリストの石澤卓志氏)
そしてすでに人口減少が著しいエリアでは、不動産の売買契約が成り立たなくなっている。売買があったとしても、身内や近隣の人に引き取ってもらうという特殊な取引がほとんど。しかも所有権移転に伴う手続きにかかる出費を嫌がって、過疎地域では引き取ってもらうことすらできなくなっているという。
そして最終的には、こんな末路が待ち受けている。
「家や土地が取り引きできなくなるので、値段がつかなくなる。いま住宅ローンを組んで家を買っても、ちょうど支払いの終わる数十年後には、資産価値がなくなっているということです」(経済ジャーナリストの荻原博子氏)
想像してみて欲しい。
広大な土地にポツンと建つ住宅が10軒ほど。周囲にはかつて人が住んでいた空き屋が「廃墟」のように並んでいる。住民はみな80代の高齢者ばかり。都会に出て行った息子も孫も、こんな閑散とした地元にはもう戻ってこない。
スーパーマーケットやコンビニ、商店で栄えていた中心街はもぬけの殻。食料は1ヵ月に一度、遠く離れた中心街に買い溜めにいく。電車も廃線になったので、腰の痛みをガマンして、車を1時間ほど走らせなければいけない。
土地を売って、都会に出ようと思ったこともあったが、時すでに遅し。いくら売値を下げても、買い手はみつからなかった。気づけば、土地に縛られたまま、ただ死ぬのを待つだけだ—。
庭付き戸建ては値が下がる!
では、都市圏はどうなるのか。
地方から人が流入することで、人口減少は過疎地のようには進まないから安心とはいえない。郊外ではこんな「不動産危機」の予兆が始まっている。
「埼玉、千葉など都市圏の郊外ではすでに人口が減り始めています。このまま人口減少が進めば、地方と同じように鉄道需要が減少、それにともない不採算路線が短縮、撤退される可能性が出てくる。そうなれば交通機関がなくなり、通勤や日常生活に支障をきたすことも考えられる。もちろんスーパーや日用品店も撤退していく。土地や住宅の需要も大幅に下落すると考えられます」(人口減少問題に詳しい政策研究大学院大学教授の松谷明彦氏)
最近では東京都内でも郊外エリアとなると、スーパーまで行くのに徒歩20分以上かかるという買い物難民が発生している。例えば多摩ニュータウンでは10年ほど前から近隣のスーパーなどの生活必需品店が消え始めている。
「全国に作られたニュータウンの多くは、入居開始から数十年経って、住民が高齢化もしている。世代の入れ替わりが起きれば活気も出てくるが、若者は集まらず、空き屋が目立つところもある。近隣経済が衰退すればなおさら悪循環となり、『陸の孤島化』が加速する危険がある。最後に待っているのは、ゴーストタウン化でしかない」(自治体関係者)
地方や郊外は「見捨てられた土地」となり、不動産の価値はゼロに近づいていく危険性が高い。
では一方の都心部は「人口増→不動産価格上昇」となるかというと、そう簡単にはいかない。
都心部では「二極化現象」が起きるというのだが、どういうことか。
「都心部でまず起こるのが高齢化です。過疎地域や郊外での生活が成り立たなくなると、都市部への人口集約が進むからです。同時に単身世帯化も進む。これは高齢者に限った話ではなく、若い世代でもシングル世帯が増えていく」(石澤氏)
都心部での高齢化の勢いは、すさまじい。東京圏の65歳以上の人口は、'05年の599万人に対し、2050年には1122万人と約2倍にまで増加。名古屋圏、大阪圏ではそれぞれ1.5倍の331万人、538万人にまで増えるといわれている。さらに、高齢者単独世帯は、東京圏で312万世帯、名古屋圏で80万世帯とそれぞれ3倍に、大阪圏で156万世帯と約2.5倍にまで膨れ上がる。
その結果、不動産市場に起きるのが「二極化」なのだ。
「単身の高齢者には庭付き戸建ては広すぎて、使い勝手が悪い。代わってバリアフリーが完備され、買い物の利便性の高い大都市の中心部のマンションが人気となる。若者の単身世帯にしても、管理を任せられるなど利便性がよいマンションを求める。結果、いままで『憧れの棲家』とされてきた都心近郊の一戸建ては需要が減少、代わって小ぶりなマンションの価格が上昇していく可能性が高い」(石澤氏)
実際すでに、東京都では30m2~70m2の住居に需要が集まり、面積が大きくなればなるほど、販売が難しくなっているという調査結果も出ている。
「そのため、巨大な邸宅ばかりが並ぶ高級住宅地から人が去り、空き屋だらけになるかもしれない。早めに売り抜けることに失敗した人は、巨大な『廃墟』にかこまれて、だだっ広い邸宅で一人暮らすという寂しい老後を送る可能性もある。代わりに別の場所には、利便性の高い中層マンションが立ち並ぶ新たな人気住宅街ができ、高齢者、若者が共存して住む活気のある街になる」(国交省関係者)
どう転んでも暴落する!
ただ長期的な視点で見ると、「二極化」の後に新たな悲劇が始まるという。
「高齢化の影響で大都市の財政は今後何十年も悪化を続けるでしょう。このままなにも対策を講じなければ、行政サービスが悪化、都心部の富裕層が再び周辺に流出することも考えられる。大都市は中心部に多くの貧困層を抱え、人口流出による税収悪化の悪循環に陥る。こうなると都心部全体に貧困層が溢れ、不動産価格が大幅に下落する可能性がある」(松谷氏)
実際、1970年代にニューヨーク市が財政破綻を経験した際には、人口の13%、約100万人が郊外に流出。その多くは生活環境の悪化を嫌った富裕層だった。人口減少社会では、様々な要因が地価下落の「トリガー」となりかねないのだ。
さらにこうした不動産市場の激変が、日本経済全体に与える影響も忘れてはいけない。
「まず始めに不動産仲介業者は壊滅的なダメージを受ける。土地もマンションも売れないから、手数料が稼げない。住宅はすでに供給過剰なので、ゼネコン、デベロッパー、住宅メーカーなどは新規開発もできず、売り上げがたたなくなる。追い討ちをかけるように、金融機関が貸し出しを渋るようになり、財務状況が逼迫。巨大倒産が続出するというシナリオは十分にありえる」(都内の不動産鑑定士)
家が売れないのだから、住宅ローンを売る金融機関も大ダメージを受ける。
「いま銀行が窓口でせっせと売っているのが住宅ローンと投資信託。その一つが壊滅的になるのだから、キツイ。大規模不動産開発案件に融資するようなビッグビジネスのチャンスも減る。人口減少で経済全体が縮小する中で、中小企業も大企業もバタバタ倒れるので、貸し倒れも増える。資金需要も、投資先もないとなれば、銀行自体がいらないということにまでなりかねない」(金融業界を担当するアナリスト)
こうして倒産が起きれば、大量の失業者が街には溢れることになる。行き着く先には、こんな悪夢のような街の様子が浮かび上がる。
「生涯賃金が下がる人、失業した人が増加し、彼らは持ち家すら持てなくなる。そうなると賃貸住宅の需要が上がり、家賃が高騰する。しかし、国も自治体も財政が圧迫される中で、年金支給額がさらに下げられ、高い家賃を払えない高齢者は行き場を失う。街にお年寄りのホームレスが急増することになるのです。見かねた行政は、いたるところに『公営低賃貸住宅』の整備を強いられる。市街地に公共住宅が増えれば、高価格の民間の住宅需要は下がる。そして住宅も土地もまた、価格下落の道を辿ることになるのです」(松谷氏)
これが人口減少社会の現実だ。あなたはそれでも、家を買おうと思いますか。
民主党政権「あっけない幕切れ」永田町は一斉に動き出した!
2011年02月14日(月) 週刊現代
ドン詰まりの菅首相に残されたプライドの捌け口は、もはやたった一つしかない。総理の絶対権限、「解散・総選挙」である。開き直った首相の目には、もう何も映らない。民主が消滅? それがどうした!
名古屋で火がついて降参!
天正10年6月2日。自領の丹波・亀山を前日に発っていた明智光秀は、その日の未明、京都・桂川を渡ったところで、こう宣言した。
「敵は本能寺にあり」
織田信長にとっては、身内の光秀に見せた、一瞬の油断が命取りになった。自分が完全に包囲されたと知るや、信長は「是非に及ばず」(もはやどうしようもない)と呟くと、自ら弓を手にとって奮戦した後、本能寺を包む紅蓮の炎の中に消えていった・・・。
そのおよそ430年後。それまで政界で「魔王」のように怖れられていた小沢一郎元幹事長を破り、天下を取った・・・はずだった菅直人首相が、まるで光秀のように、あっけない最期を迎えようとしている。
小沢氏は1月31日、検察審査会による起訴議決を受け、かねての予定通りに強制起訴された。
「小沢をやらなきゃ、俺がやられるんだ。小沢は田中角栄と同じように、消さなきゃならないんだ!」
そう言い続け、民主党の中での"信長"的存在だった小沢氏に対し「変」を起こした菅首相の目的は、とりあえず成就したということになる。
「(菅首相や仙谷由人民主党代表代行は)いままで神様みたいだった小沢を苛めることができて、嬉しくてたまらないみたいだな」
民主党の長老・渡部恒三元衆院副議長は、小沢氏を葬り去って一時の昂揚に包まれている菅首相らについて、そう感想を洩らした。
だが、「光秀の三日天下」(正確には11日)という言葉が示すように、準備もなしに、行き当たりバッタリで政権を奪取した者の最期はあっけない。単に「首相になりたい」「その椅子を守りたい」一心で、口から出まかせを連発し、国民の期待を裏切ってきた菅首相の先行きは暗い。
「2月6日の名古屋市長選・愛知県知事選の結果によって、党内では"菅降ろし"の声が出てくる。これで菅さんが責任を取らないなら、間違いなく4月の統一地方選に大打撃を与えることになります。民主党の不人気は地方議員のせいではなく、やることなすことすべて整合性がない、菅政権によるものだというのに・・・」(吉田公一代議士)
怒鳴る、怒鳴りまくる!
このまま菅首相が総理大臣の座に居座ったら、民主党は終わりだ---。いまやそれは、大半の民主党議員にとって、暗黙の了解事項になりつつある。マグマのように鬱積した不満は、ふとしたきっかけで噴出し、簡単に大噴火を起こすだろう。そして今度起きる爆発は、菅政権のみならず、民主党そのものを消滅・四散させる結果になる。
「今年度予算を自然成立させるためには、3月2日までに衆院を通過させなければなりません。ところが、ただでさえ通常国会の開会が当初の予定より遅れた上、菅政権の求心力低下、野党の抵抗で、これがほぼ絶望的になってきました。仙谷氏ですら周辺に、『このまま菅政権が続くと、予算が通らん』と洩らしています」(民主党中堅代議士)
菅政権の場合、本予算の成立が覚束ない上に、その予算執行の根拠となる関連法案の成立も絶望的。予算を仕上げることができなければ、「最小不幸社会の実現」などという首相の公約など、単なる空文と化す。
民主党国対幹部も、表向きは「野党との協議の道を探る。小沢起訴を交渉カードに使えないか」などと話しつつ、ホンネとなると、
「どう考えても、菅には退陣しか残されていない」
と完全に勝負を投げている状態だ。
「民主党は公明党との連携を図っていますが、相手のほうは、もはや民主と組むつもりはまったくありません。菅首相は、4月の統一地方選が気になる公明党が、話せば手を貸してくれると考えていたようですが、いまでは公明党が、民主党と組むメリットがありません。民主党が地盤沈下すれば、それだけ公明党やみんなの党の票が伸びる、という状況なのですから」(政治評論家・屋山太郎氏)
この惨めな状況に、菅首相本人も、小沢起訴による興奮が冷めつつある中、さすがに現実に気付き始めたのだろうか。ここに来て、首相は頻繁に官邸内で怒鳴り散らすようになっているという。
首相官邸スタッフの一人がこう語る。
「このところますます、"イラ菅"の爆発が増えています。『オレの考えが、ちゃんと国民に伝わっていない。政府広報を工夫しろ!』と、秘書官や補佐官を呼びつけ怒鳴りつけている。『新聞はダメだ。あいつらは自分たちに都合のいいところだけ切り取って報道するから。テレビがいい。もっとテレビ出演を増やせないか検討しろ』『官邸からテレビ会見をするのがいい』とも言っていますね」
うだつの上がらない首相の様子を心配し、民主党の女性議員の有志は、「菅さんに、赤やオレンジとか、もっと明るい色のネクタイをするよう働きかけよう」という運動まで起こしている。ところがなぜか、「首相本人が、まったく耳を貸してくれないのです」(民主党女性代議士)というから、もはやファッションのことなど気にしていられないほど、精神的に切羽詰まっている様子が窺える。
焦る菅首相のイライラは、どうにも止まらない。
「S&P(スタンダード&プアーズ)社によって日本国債が格下げされた際、『そうしたことに疎い』と発言して大問題になった時も、後で財務省出身の羽深成樹秘書官を呼んで『なんで事前に知らせなかったんだ!』と当たり散らしていました。周囲は『単に、首相の日本語能力の問題だろう』と、呆れ果てていましたけど」(官邸関係者)
「私兵集め」を始めた仙谷!
ちなみに、先月に改造内閣を発足させた直後だけ、首相は元気だったという。何しろ、自分を差し置いて官邸の主に納まっていた仙谷氏を更迭し、煙たい存在がいなくなったからだ。
「官邸内には、一時的に"春"が来ました。何しろ、それまでは首相も含めてみんなが、仙谷さんの意向を気にしていつもピリピリしている感じでしたから。その重しが取れた気分で、首相も『やっとオレ自身の政府だ。ここからが勝負だ』と奮起していたんです」(別の官邸スタッフ)
しかし、やっぱり菅首相には無理だった。通常国会が始まるや否や、首相は年金制度一元化の断念、子ども手当の満額支給断念など、民主党マニフェストの根幹を覆す発言を連発し、国民を失望させた。
小沢氏が失脚し、菅首相が自滅していく中、名実ともに民主党政権の最高権力者となりつつあるのは、仙谷代表代行である。
菅首相をけしかけ、小沢殺しに走らせた仙谷氏は、強制起訴が行われた直後、記者団から感想を求められてもニヤニヤしながら、
「知・り・ましぇ~ん!」
と惚けた。かと思うと、その後は起訴状を見て、
「ずいぶん、あっさりした書き方だなあ。なんか、形式犯みたいな書き方だ」
と、あたかも「罪が軽すぎる」と言いたげに、不満を洩らしたりした。
ただし表向き仙谷氏は、小沢問題についても「自分はもう関係ない」と素知らぬ顔をしている。邪魔な王を排除する汚れ仕事は、菅首相や岡田克也幹事長に丸投げし、その隙に自分は、せっせと党内権力の基盤作りに励んでいる。
「やっているのは、まず"岡田潰し"。岡田氏が小沢問題に汲々としている隙に、どんどん幹事長の権限を侵食している。仙谷氏の意向で、党本部の幹部職員も配置換えになり、小沢氏に近く、幹事長室の取りまとめ役だった職員は異動させられ、代わりに仙谷氏子飼いの職員が送り込まれました」(民主党幹部職員の一人)
仙谷氏は、「公共政策プラットフォーム」(通称プラトン)という、かつて自身が代表理事をしていた民主党のシンクタンク的組織も復活させようとしている。この「プラトン」は、仙谷氏が中核になり6年前に発足しながら、小沢氏が党代表になった際、予算を取り上げられて機能停止に陥っていた経緯がある。仙谷氏は小沢氏が失脚したのをいいことに、ちゃっかり自分直属の政策研究機関として復活させるつもりなのだ。
「政府にはすでに、同じような機能を持つ国家戦略室があります。加えて菅首相は、党綱領を策定するための『党改革検討本部』の設置を指示し、岡田さんが本部長になって人選も終えている。仙谷さんの『プラトン』復活は、完全にこれらとバッティングしますが、一切、お構いなしですね」(別の民主党中堅代議士)
さらに仙谷氏は、最近「代表代行補佐」なる職を新設し、古川元久前官房副長官、長島昭久前防衛政務官、吉良州司前外務政務官ら、自分の子飼い議員5人の起用を画策。要するに「私兵」の強化だが、あまりに露骨すぎて小沢グループに攻撃の口実を与えるとして撤回。古川氏のみを起用することになった。
いずれにせよ、仙谷氏は菅政権の崩壊を見越し、すっかり「政権乗っ取り」の方向へ動き出している。
「選挙敗戦の責任は全部、菅首相と岡田幹事長に取らせる。二人を引き摺り下ろしたら、"前原誠司代表"の元、自分が幹事長になって党を壟断する。何のことはない。まるで小沢氏がかつてやって来たような手口ですが、それが仙谷氏のメイン・シナリオでしょう」(全国紙民主党担当記者)
本能寺の変において、覇王・信長(小沢氏)を裏切った光秀(菅首相)を斃し、ライバルの柴田勝家(岡田氏)をも打ち破って最高権力者にのし上がったのは、羽柴秀吉である。ちなみに秀吉が勝家を自刃に追い込んだ際、手元に引き取ったのが、NHKの大河ドラマでも描かれている「茶々」「初」「江」の三姉妹だ。
仙谷氏の立場は、当時の秀吉と似ている。謎が多いとされる本能寺の変で、実は秀吉こそが・黒幕・だったという説もある。秀吉は、光秀の暴発を事前に知りえて準備したからこそ、変に際して即座に行動を起こすことができたという---。
いかにもでき過ぎた話だが、現代の・仙谷秀吉・が、現実にそれに近いことをやっている以上、あながち、それもフィクションとも言えないかもしれない。
プライドだけは高いから!
ただ、ここに問題が横たわる。仙谷氏の理想は、解散・総選挙をすることなく、菅首相を辞任に追い込むことだが、首相のほうは、「引き摺り下ろされるような惨めな辞め方はしない」と宣言しているからだ。
「菅首相は、『総辞職してクビを差し出すくらいなら、いっそ解散・総選挙をする。そのために議席を減らしても構わない』という考えに傾いている。『菅はヤケを起こすと何をするか分からない』というのは、小沢氏も洩らしている懸念です」(民主党ベテラン議員)
衆院で300議席以上を維持する現在の権力基盤を、そっくりそのまま菅政権から簒奪したい仙谷氏にとって、首相の暴発は、もっとも忌むべきシナリオだ。
「菅首相は、『内閣総辞職に終わった竹下(登元首相)ではなく、解散した宮沢(喜一・同)の道を選ぶ』と考えている。総理としてのプライドを満たすため、という理由だけで、"伝家の宝刀"を抜きかねません。その場合は、財政再建や社会保障の建て直しを看板にして、反対する人間は与野党を問わず"抵抗勢力"だとする、かつての小泉的手法を用いるつもりです」(同)
解散・総選挙になれば、民主党は大敗を免れない。それでも、自己中心的な菅首相なら、解散を強行する・・・そんな懸念が、永田町に次第に広がっている。
そして、民主党の混乱にいっそうの拍車をかけているのは、こうした菅首相の暴走と小沢氏の強制起訴により、党内の分裂がいよいよ深刻化しつつあることだ。
昨年9月の代表選以来、菅首相との関係がすっかり悪化し、ところ構わず菅政権の批判を繰り返す鳩山由紀夫前首相は、最近も苦々しげにこう洩らした。
「(自分と同じ)『新党さきがけ』にいた議員は、民主党が政権を取ってからみんな大臣になったけど、菅さんだけは『さきがけ』の同志とは認めたくない。真の同志は、あの頃、勇気を振り絞って自民党を飛び出した連中のこと。菅さんは、単に自民党を批判したくて、後から入ってきた人だ。もともと中身は何もない」
そもそも、本能寺で炎の中に消えた信長と違い、小沢氏はいまだ"健在"だ。菅首相は小沢氏の息の根を止めたいのがホンネだが、やり過ぎると党内の亀裂が表面化し、国会運営がますます至難の業になる。結局、小沢氏に対しては証人喚問をチラつかせつつも、「党員資格停止」などの処分でお茶を濁す他ない。
民主党は消滅する運命!
実際、小沢グループのベテラン議員の一人は、こう吐き捨て、菅・仙谷両氏への敵意をむき出しにした。
「われわれ(小沢&鳩山グループ)が反乱軍のような扱いを受けているが、もともとは奴ら(菅&前原・枝野グループ)のほうが反乱軍であって、正規軍はこっちなんだよ。菅首相は、衆院の数を頼りに法案を通していき、予算を成立・執行させるつもりだろうが、こちらには、当日・腹痛・を起こしそうな議員がいくらでもいるんだ」
小沢氏は強制起訴された1月31日、小沢&鳩山系議員ら約20人と、東京・六本木で会食。「裁判では、堂々と身の潔白を主張する」と、あらためて戦闘意欲を表明しつつ、
「(強制起訴による裁判で)検事役を務める弁護士らは、『検察審査会で議決されたから起訴した』とか、『有罪との確信があって起訴するわけではない』とか、無責任なことばかり言っている。あまりにひどい」
と、不満を洩らしたという。そんな小沢氏には、「是非に及ばず」と失脚を受け入れるような達観した様子は、さらさらない。裁判で無罪を勝ち取り、復権を果たして菅・仙谷に逆襲する---小沢氏には、そんな妄執が見え隠れする。
結局、日を追うごとに泥沼化していく民主党の内ゲバが、行きつく先はどこなのか。はっきりしているのは、ここまで互いの憎悪が高まった状態で、もはや一つの政党でいるのはムリ、ということである。
「もともと民主党は、自民党を倒して政権交代をするという目的以外に、何も共通点がない烏合の衆でした。政権維持がこれ以上は無理となれば、もはや一緒にいる理由がない。民主党が分裂して消滅し、自民・公明・みんな等、全政界を巻き込む再編の季節が、目前に来ている。それだけは確かだと思います」(民主党閣僚経験者)
ただし、もしも現代に、茶々や江のような女性がいたら、はっきり、こう主張するだろう。
「あんたらのせいで、私の人生もうメチャクチャ。どう責任取ってくれんの!」
見るにたえない権力争いがこれ以上続くくらいなら、いっそ、一から作り直したほうがスッキリする。
存在感を増す中国資本、日本企業は買われるうちが花?
2011年2月15日(火)日経ビジネス 小屋知幸
チャイナマネー到来!
中国資本による日本企業の買収が増加している。2009年には中国における家電販売の大手企業である蘇寧電器が、家電量販店のラオックスを買収した。また2010年には大手アパレルのレナウンやゴルフクラブ製造販売の本間ゴルフが、中国企業の傘下に入った。そのほか中国人観光客の増加を見込み、中国企業が日本の旅館を買収するケースも目立つ。
さらに2011年1月末には、NECが中国のパソコン大手レノボとの資本提携を発表した。レノボとNECは今年6月をめどに合弁会社(出資比率:レノボ51%、NEC 49%)を設立し、NECのパソコン事業部門をその傘下に入れる。これは“提携-合弁”という体裁を取っているものの、合弁会社の経営権はレノボが握るため、実質的にはレノボによるNECのパソコン部門の買収と捉えてよい。
日本以外でも、チャイナマネーの存在感は急速に拡大している。2010年には中国の民間自動車メーカー、吉利自動車によるボルボの買収が大きな話題になった。また中国企業が海外で資源などの権益を高値で買収することで、日本企業が“買い負け”するケースも目立っている。
かつて日中企業間のM&Aは、日本企業が中国企業を買収するケースが圧倒的に多く、中国企業による日本企業の買収は皆無と言ってよかった。それだけに「中国企業に買収される」となると、ニュースとしてはセンセーショナルな取り上げ方になりがちだ。「中国資本が日本を買い占める!」と、危機感をあおるメディアも少なくない。
日本はまだ中国の眼中にない!
確かに中国から外国への直接投資は急増している。2004年時点で55億ドルだった中国の対外直接投資は、2010年には590億ドルと、6年間で10倍以上に増えた。この点だけを見れば「中国が海外資産を買いあさっている」との見方も、あながち的外れとは言えない。
ただし中国の対外直接投資の規模は、その経済規模に比べて、決して大きいとは言えない。中国による対外直接投資残高のGDPに対する比率は5%程度にとどまっており、米国(約22%)、日本(14%)などと比べてまだ低い。逆に言えば対外直接投資に関する中国のポテンシャルは、もっと大きいと考えることができる。
中国は世界有数の投資受け入れ国だ。今までは中国から外国への直接投資額より、外国から中国への直接投資額が圧倒的に大きかった。中国の対外直接投資が急増した後の2010年でも、その規模は外国から中国への直接投資額のおよそ半分の水準にとどまっている。
それと同様に、中国企業による日本企業の買収が目立つようになったとはいえ、日中間の直接投資額は依然として日本の大幅な出超だ。2009年における日本から中国への直接投資額が41億ドルに達しているのに対して、中国から日本への直接投資額は1億ドルにも満たない。
中国の対外直接投資における相手国の構成を見ると、対外直接投資の過半を占める香港は別格とし、その他の上位には南アフリカ、オーストラリア、カザフスタンなどの資源国が目立つ。中国では現在、急拡大する国内の資源需要をまかなうため、国有企業が血眼になって資源国の権益を買い上げている。
そのいっぽう日本への直接投資額の構成比は、中国全体の対外直接投資額の0.1%程度にすぎない。日本は中国に隣接する経済大国でありながら、中国から日本への直接投資はまだ例外的存在なのである。
つまりまだ日本は、実質的に中国企業の投資対象とはなっていない。ただし巨大な中国が少しでも日本企業に関心を持つならば、中国から日本への直接投資は爆発的に増加する可能性を秘めている。
投資されない国日本!
中国の経済成長の起爆剤になったのが、外国からの直接投資だ。多くの外国企業が中国に進出し、中国で多額の投資を行ったことが、中国経済の発展に大きく貢献した。
外国から投資される国の代表が中国だとすれば、外国から投資されない国の代表は日本だ。日銀のデータによれば、海外から日本への直接投資残高は約2000億ドルであり、これは日本の名目GDPの約4%にすぎない。これに対して海外主要国の対内直接投資残高のGDPに対する比率は、米国18.3%、英国46.6%、ドイツ27.4%などとなっており、日本を大幅に上回っている。
さらに最近は、海外企業が対日投資を回収する動きが目立ってきた。財務省の国際収支速報によれば、2010年における海外から日本への直接投資は約1400億円の流出超過となっている。つまり外国企業は日本に投資するどころか、日本から投資を引き揚げているのである。
2010年には仏ミシュランが日本の生産拠点を閉鎖した。このほか、米シティグループも日興コーディアル証券を売却し、投資の一部を日本から引き揚げた。外国企業の多くは日本での投資を回収するか、日本を素通りして、中国など新興国への投資を拡大しているのである。
日本は市場成長が期待できないだけでなく、法人税も高く投資には不利だ。このため現在では外国企業だけではなく日本企業までもが、日本への投資を絞り、新興国への投資を積極化している。
日本経済の低迷に関して、少子高齢化や将来不安などにより個人消費が縮小していることが、その大きな原因であることは間違いない。だが企業の投資が低迷していることも、決して見すごすことはできない。投資の停滞は足元の景気を冷やすだけでなく、技術革新や生産性の停滞にもつながる。
現在の日本は、投資する魅力のない国になってしまった。そんな日本にとっての希望の光の一つが、中国からの投資なのである。中国は世界第2位の経済大国であるだけでなく、日本の隣国でもある。それゆえ日中両国経済の相互依存関係は、今後着実に高まっていくであろう。そうなれば、現時点で“誤差”の範囲でしかない日本への直接投資が、飛躍的に増大する可能性も少なくないと考えられる。
チャイナマネーが導く企業再生!
中国から日本への直接投資は、まだ緒に就いたばかりだ。それでもチャイナマネーは産業界の一部において、企業改革の触媒としての役割を担い始めている。
中国の春節休暇に当たる2月初旬、2010年11月に開店したばかりのラオックス銀座松坂屋店は、大勢の中国人観光客でにぎわった。中国資本の傘下に入ったラオックスは、中国人マーケットを開拓することで、企業再生を図ろうとしている。
日本の家電量販店業界の競争は厳しい。ヤマダ電機やヨドバシカメラなど大手企業が熾烈な出店競争を繰り広げる中で、中堅以下の企業の多くが存続の危機に直面している。秋葉原を地盤とする老舗量販店であるラオックスも、ここ数年は大幅な赤字に陥っていた。そのラオックスが選んだ起死回生策が、中国の家電販売大手、蘇寧電器の傘下に入ることだ。
蘇寧電器の支援を得たラオックスは、矢継ぎ早に手を打った。同社は中国に対するコネクションを活用し、中国人観光客を店舗へ導く手段を講じた。ラオックスの秋葉原本店や銀座松坂屋店などは、観光ツアーのコースに組み込まれ、中国人観光客が大挙して押し寄せるようになった。またラオックスは新宿、大阪、お台場、千歳空港など、中国人観光客が足を運ぶ観光拠点に次々と店舗を開店している。
さらにラオックスは、蘇寧電器と協力し中国本土での事業展開も計画している。同社は2011年には北京や上海などで、楽器専門店や生活雑貨店の出店を開始する予定だ。
ラオックスの企業再生が成就するかどうかは、今後の企業努力にかかる。だが中国資本の傘下に入ることにより、同社が貴重なチャレンジの機会を得たことは間違いない。ラオックスの例にとどまらず、今後、日中両国の資本が相互に往き来し、両国ビジネスの融合が進むことにより、日本企業が新たな企業価値を創造できる可能性は広がっていくのではないだろうか。
日本の枠を超えて企業の可能性を開く!
2月2日、ワイン専門店を運営するエノテカは、MBO(マネジメント・バイ・アウト)により株式を非公開化する計画を発表した。同社を買収するバッカスは、投資ファンドのユニゾン・キャピタル・グループと、香港の投資会社H.C.B.C.が設立した企業である。H.C.B.C.の経営者であるジョージ・ジョセフ・ホー氏は、2007年にエノテカの取締役に就任し、すでに同社の経営に関与している。MBO後のエノテカはホー氏の指導のもと、中国、香港での事業展開を進めるものと考えられる。
エノテカは日本におけるワインビジネスのトップ企業である。同社はヨーロッパをはじめとする世界各国のワイン産地とのコネクションを持ち、膨大なヴィンテージワインの在庫を保有している。しかしながら日本の資本市場では、エノテカのポテンシャルが正当に評価されているとは言い難かった。
今回のMBOにおけるエノテカ株式の買付価格は、直近株価の8万2000円を46%上回る1株12万円となっている。しかし昨年までのエノテカの株価は6万円前後に低迷し、株式の時価総額は30億円程度と、同社の純資産額(約50億円)を大幅に下回っていた。またエノテカは約30億円の商品在庫を持っている。高級ワインは古いほど価値が高まるという商品特性をふまえれば、その含み資産価値も過小評価すべきではないだろう。にもかかわらず日本の投資家は、エノテカの企業価値を高くは評価していなかった。
日本の消費市場は豊かさが失われつつあり、高級ワインを購入する消費者層も縮小すると見込まれる。つまり日本でビジネスを行う限り、エノテカの企業力が生きる余地は少なかったのである。
これに対して現在の香港や中国では、高級ワインの市場が急速に拡大している。中国の経済規模や成長力を考慮すれば、将来的に中国が世界最大のワイン市場になる可能性も少なくない。また中国の富裕層がワインの消費を急拡大することで、ワインの価格が高騰し、高級ワインが日本の消費者の手に届かないものになることも既に予想されている。
このような経営環境であれば、当然エノテカはビジネスの重心を中国に移すべきであろう。また日本の投資家がエノテカのポテンシャルを高く評価できないとしても、中国圏の投資家なら、もっと大きな価値を見出すことができる。中国資本の支援を得たエノテカは、今後大きく成長していくのではないだろうか。
買われるうちが花!
これまで述べたことから考えると、「中国が日本を買い占める!」という中国脅威論は、まったくの的外れと言ってよいであろう。チャイナマネーの大勢は資源国に向かっており、日本への投資は、現時点では非常に少ない。
日本経済に対する中国の影響力は、圧倒的に大きくなりつつある。そして中国の成長力を自社ビジネスに取り込めない企業の将来性は、もはや乏しいと言わざるを得ない。日本企業は、中国のプレゼンス向上に合わせ、自社の在り方を変えていかねばならない。「変われない企業」や「買われない(投資されない)企業」は、ビジネスの最前線から退くほかないのである。
心配なのはむしろアメリカ?!
2011年2月15日(火)日経ビジネス 田村耕太郎
騒ぎ過ぎの英米メディア!
ムバラクが辞任した。アフリカ大陸のリーダーにありがちな、自らを偶像化してやまないリーダーの代表格なのでもう少し粘るかと思った。たぶん、32年前の同じ日(2月11日)に起こった「イラン革命の再現」を恐れたアメリカの支援を得られなくなったのだと思う。私はこの辞任によって、エジプト革命が急速に他国に広がり、原油・食糧市場を混乱させる可能性は少なくなったとみる。
エジプト革命が他国に広がるかどうかを測るには、その国の以下の点を考慮すべきだろう。1)国の開放度(お金、人、思想などの出入りの自由度)と国家安定性の相関(いわゆるJカーブ)、2)若年失業率、3)人口サイズ、4)ソーシャルメディアに対する監視体制、5)現政権の危機対応能力。まあ物理学のようにはいかないので当たらないかもしれないが…
私の結論は、前述のごとく「エジプト革命が他国に広がって原油市場や食糧市場を混乱させる可能性は低い」というものだ。上記の5点で分析すると、エジプト固有の要因が多いからだ。
視聴率を稼ぎたい英米メディアは、他国に伝搬する大騒ぎを期待して「革命が広がる」とお祭り騒ぎだ。CNBCでは、商品市場でひと儲けしたいファンドの連中が、地理や国際関係をよく勉強せずに「スエズ運河が危ない」「次はサウジ」とかいって、仕掛けまくっていた。残念ながらそうはならない! サウジ、イラン、イラクといった大産油国はびくともしないだろう。スエズ運河は閉鎖されないし、そんなところ通っている原油はごくわずかだ。
国益が“自分益”である中東産油国のリーダーたちはそれほど愚かではない。エジプトの失敗からしっかり学んでいると思う。国家の開放に最も理解を示すUAEから、最もイヤイヤのクウェート、サウジまで色んな対策を打ってくると思われる。同じ轍は踏まない。ネット監視強化と民主化、若年失業と格差への対策など、硬軟取り混ぜて同時にうまくやると思う。
5つのメジャーで検討!
それでは、上記の5つのメジャーをエジプトに当てはめてみてみよう。まずJカーブから。チュニジアの“ジャスミン革命”は典型的なJカーブ左端事件だ。
Jカーブとは、前述のごとく国家の安定性と開放度(お金、人、思想などの出入り自由度)の相関を示すもの。縦軸に国家の安定性を取り、横軸に国家の開放度を取る。国家を開放すればするほどまずは安定性が損なわれるが、あるポイントを超えれば、その後は開放すればするほど安定性が増すということを表す曲線だ。北朝鮮、イラン、キューバなどが左端、つまり国家を閉鎖することにより安定している、に位置する。欧州や日本やアメリカは右端、つまり国家を開放することにより安定性を増している。
チュニジアは、国家を閉鎖して安定性を増していた国である。グローバル情報やITにリテラシーが高い若年人口が多い国でもあった。「前政権が富を独占していた」というウィキリークス情報やそれを拡散したソーシャルメディアの影響で、国家の安定性が大きく揺らいでしまった。ウィキリークスとソーシャルメディアのコラボに弱い十八番のような事例だ。
エジプトはチュニジアよりJカーブのずっと右にあり、思想も人の出入りも資金の往来もずっと開放されていた。そして追加の開放も安定性につながるはずであった。
人口と若年失業率!
次に人口と若年失業率。エジプトは人口が多いことも不運だった。湾岸諸国の人口は最大のサウジアラビアで約2500万人。クウェートやUAEでは200万人台にすぎない。中東アラブ国家で人口最大のエジプトは約8200万人。サウジアラビアの3以上の規模だ。
石油収入は年々減って近年は242億ドルほど。これは2820億ドルのサウジアラビアの10分の1以下だ。人口が多いと、いわゆる「失業の輸出」ができない。人口の少ない湾岸諸国は、外国人労働者を雇用の調整弁に使える。好況時に多くの外国人労働者を輸入し、不況時には首を切って国外退去させる。自国の人口が多いとこれができない。結果として、若年失業率は30%を超えていた。
エジプトのソーシャルメディア監視体制はお粗末だった。チュニジアの方が優れていたほどだ。国内のインターネットプロバイダーは6社だったので、それを遮断するのは容易だった。だが、デモの指導者などを早期に追跡して、運動の芽を摘む作業は全くできなかった。サウジアラビアやUAEの監視体制は、はるかに洗練されている。多くの資金と人材をネット監視に充てている。
アメリカの目論見はずれる?
最後に、政権の危機への対応。これはさらにお粗末。言うまでもなかろう。ソーシャルメディアの申し子とも言えるオバマ政権は、ソーシャルメディアとの親和性が高い。
うがった見方をすれば、オバマ民主党政権は、イランそして北アフリカ・中東の湾岸諸国の独裁政権の民主化を狙ってまずチュニジアに仕掛けたと思う。その余波は、親米で、かつ比較的開放度の高いエジプトを通り過ぎて、イランおよび北アフリカ・中東湾岸諸国に行くと予想していただろう。ところが、ムバラクがネットも携帯電話も遮断し強烈な弾圧という最悪の手段に打って出たため、想定外のエジプトで暴発が起こった。
その後の対応もさらにまずく、親米政権が転覆してしまった。米国にとっては、これは想定外に都合の悪いことだった。チュニジアから、エジプトを通り越して、直接湾岸への飛び火が本来の予定だったのではないか。
かといって、これを契機に、エジプトに反米親イラン政権が生まれる可能性は少ないとみる。軍部の統制下における穏健な多党制に移行すると思われる。90年代のトルコのような形ではなかろうか? 国内にアルカイダのような過激分子がおらず、ムスリム同胞団もジハード主義者とは一線を画する穏健派である。イスラム原理主義者が実権を握ることは考えにくい。エジプト人一般が、イスラエルが好きかどうかは別の問題であるが
軍事政権が、民主的な大統領選挙を、どれくらいの信任を国民から得つつ、どれほどのスピードで行って行けるか、が焦点だ。90年代のトルコで起きた軍事政権から民主政権への移行が参考となるモデルであろう。司法や教育、外交まで当面は軍部の指導下に入るのではないか? 「この時間が長ければ長いほど経済的には失われる時間が多くなる」というのが、我々がトルコから学んだことだ。
エジプト軍事支出額は国家機密である。秘密にしないとまずいほどの予算を軍は使っている。その多くは、兵士たちの手厚い待遇に回っているらしい。よって、エジプト軍部の士気は高く忠誠心も強い。しかし、前述した通り、国内にアルカイダやジハード主義者は居ない。エジプトは、軍事政権が長く君臨するには平和すぎる。
危ないのはアルジェリア?
エジプト革命の余波が及ぶのは、イエメン、アルジェリアくらいではないか?各国政府の対応次第であることは当然だが。
湾岸諸国の中で最もエジプト革命の余波が懸念されるのがヨルダンだ。しかし、同時に最も賢明な対応をしているのもヨルダンだと思う。ヨルダンではこの事態を見越して2月1日にさっそく内閣が総辞職した。エジプト革命の影響を最小限にとどめることができるかもしれない。
イエメンはアリ・アブドラ・サレエ現大統領が2013年の大統領選への不出馬声明を出した。これが、どれくらいの効果を発揮するかは定かでない。ただ、アルジェリアよりましだろう。
アルジェリアでは、アブデルアジス・ブーテフリカ大統領への批判が高まる。この国の人口は約3500万人。国民の7割近くが25歳以下という若い国。若年失業率は30%近いと推定される。ブーテフリカ大統領は2009年に2期目の任期満了が迫ったが、2008年に強引に憲法を改正して大統領3選を可能にした。2009年の選挙では徹底的に野党を弾圧し、3選した。アルジェリアに19年間続いた非常事態宣言を解除するなどの対応はしているが、これは全く効果がないだろう。
アメリカ政府は、イランをけん制する。ギブス米大統領報道官は「イランはエジプト革命を恐れている。“怖くない”と強がっているが、すべての通信を遮断し、何かあったら射殺も辞さないと国民を脅している。これはイラン政府が、国民そしてエジプト革命を実は恐れている証拠だ」と自身の最後の会見でかなりイランに言及した。
サウジやイランはネット監視体制にすぐれ、秘密警察や治安部隊がまだまだ強いからエジプト革命の余波をうまくブロックするのではないか?
アメリカでは、中国への影響まで語る識者がいる。中国は世界で最も優れたネット監視体制を誇る国だ。Gmailのサーバーにさえ侵入し、メールを読んで、反政府勢力を追跡し、運動蜂起の芽を早期に摘んでいる。
しかし、今後の技術革新がネット監視を相当困難にしていくだろう。非常に監視しにくい、モバイルアプリがどんどん開発されつつある。例えば、携帯機器を無線通信でリンクする自己構成型ネットワークの一種である、モバイルアドホックネットワーク(英: mobile ad hoc network、MANET)のように、インターネットを遮断しても、クラウドソースを利用できるアプリも出始めている。こういうアプリの普及を中国やサウジは最も恐れているだろう。
ただ、中国も、エジプト革命の影響が国内に侵入しないよう対策を取っているフシがある。中国政府は2月12日付けで国家鉄道相の劉志軍氏を党組織書記から更迭した。同氏は2003年から異例の長さで鉄道省党組織書記を務めていた。汚職疑惑だというが、これだけの高官を大々的に報道しながら更迭することは稀である。莫大な資金をつぎ込んでいる国家計画に長期わたって関与してきた人物なので汚職の可能性も高いし、今後の潜在的汚職に対する見せしめの意義もあろう。来年の政権交代に絡む政治闘争もありうる。ただ、タイミングを見ると、花形ポストの高官を更迭することで、国民のガス抜きや民主的イメージの創出を狙っているのではないか?
イスラエルが最も恐れる事態!
今回のアメリカの対応やオバマ大統領の会見を見ていて、私が一番気になったのは「アメリカの中東情勢への今後のコミットメントが低下するのではないか」ということ。確かに、ムバラク辞任を受けた、オバマ大統領の6分余りの演説は素晴らしかった。
マーチン・ルーサー・キング牧師の言葉「自由を求める心中の叫び」を使い、デモの中心地、タハリール広場のタハリールという意味は「解放」であると引用し、格調高くパワフルで理念にあふれていた。オバマ大統領は、デモの原動力である、失業率の高さに苦しむ若者たちに「エジプトの若者の素晴らしいクリエイティビティと行動力に機会と希望を与えるべきだ!」とメッセージを送った。
しかし、その後の報道官会見――こちらも歴史的なものになるはずだった――は全く違う雰囲気のものであった。米国の重要なパートナーの役割を中東で30年間も果たしてくれたムバラク氏の辞任を受けた報道官の会見の様子は、懸念を全く垣間見せないものに感じた。ムバラク辞任が決定した2月11日は、奇しくも引退するギブス報道官の最後の会見の日。緊張感が走るはずの報道官会見に、なぜか冒頭からオバマ大統領が登場。ギブス報道官への賛辞とジョークで始まり、非常になごやかな雰囲気で進行した。
最後は、大統領が着けていたネクタイが入った額を、大統領が報道官にプレゼント。会場は笑いの渦へ。「イスラエルが一番恐れているのはイランでもパレスチナでもなく、アメリカの中東へのコミットメントが低下すること」であろう。アメリカは中東に対して、原油確保以外のインセンティブは薄れていくのではないか? アメリカ自体が強いコミットメントを維持するだけのインセンティブと資源をもはや持っていない気がする。
エジプト革命より、アメリカのコミットメント低下こそが中東情勢の波乱の源泉である。そんなことをふと感じた。
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