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ウソと裏切りだらけの政治家たちは一刻も早く退場を
2011.01.05(Wed)JBプレス 松尾信之
女性を中心に「断捨離(だんしゃり)」がブームとなっている。断捨離は、ヨガの行法哲学である「断行」「捨行」「離行」の考え方を実生活に適用させた生き方論で、2010年末の「ユーキャン新語・流行語大賞」にもノミネートされた言葉。今年は本格的にブレークする予感がする。
提唱者のやましたひでこ氏は、断捨離の概念を「自分とモノとの関係を問い直し、暮らし・自分・人生を調えていくプロセス」と規定し、「不要・不適・不快なモノとの関係を、文字通り、断ち・捨て・離れ/引き算の解決方法によって停滞を取り除き/住まいの、暮らしの、身体の、気持ちの、人生の、新陳代謝を促す」生き方(「断捨離.COM」より)と書いている。
断捨離を実践する人を「ダンシャリアン」と呼ぶ。有権者の圧倒的な期待を受けた政権交代を実現しながら、十分な努力もせずにマニフェストを破り捨て、党内抗争・主導権争いにうつつを抜かす菅直人政権を断捨離すること、それが日本にとって今年の最大のテーマだ。今、有権者1人ひとりが賢いダンシャリアンになれるかどうかが問われている。(文中敬称略)
不用品処分を頼まれて現場に足を踏み入れてみると・・・
「よろず便利屋」を自称してトラックに乗っていると、不用品の処分を相談されることがある。昨年も数件あったが、下見のために現場に行くといつも驚く。足の踏み場もないほどモノが散乱しているのだ。
「父が1人暮らしをしていたのですが・・・」と案内された室内には、高価だっただろうマニアックなオーディオセットがドーンと居座っている。隣にはカラオケセットと8トラックのテープが散乱し、周辺の棚という棚、収納可能なスペースにはレコード、テープ、MD、CDがあふれている。
2階寝室の洋服タンスには娘さんが40年以上前に着ていたと思われるような真っ赤なワンピースが吊るされ、押入れの中には少年少女文学全集から昔の少女マンガ、小学校時代の成績表や賞状が山積みされている。タンスの引き出しには20年前の預金通帳や年金手帳、印鑑が入ったままだ。
「家族で片付けようと何度も挑戦したのですが、捨てられなくてネー」と皆さん口をそろえる。「そうだろうなあ。一つひとつが肉親の思い出の品だからな」と同情するのだが、どうも実態は違うようだ。
はっきり言うと家族総出で「金目のモノはないか」とひっくり返したあげく、「たいしたモノはない。面倒くさい。金を払うから捨ててくれー」という心境になって一括処分を相談してくるのだ。
お宝チェックのために押入れやダンボールを開け、取り出した思い出の品を元に戻さないから、人が住んでいたとは思えないほど足の踏み場がなくなる。余計なことをしないでそのままにしていてくれたら、せめて歩くスペースだけは確保できるから仕事がしやすくなるのに、と文句のひとつも言いたくなる情景だ。
処分場に運んだ5トンのごみの山!
2世帯住宅だった別のお宅の不用品は、テレビ4台、冷蔵庫3つ、タンス7さおに大量の布団と洋服、食器と本と雑貨の山だった。6部屋全てに充満していた不用品を分別したところ、可燃ごみ・不燃ごみは480袋(1.8トン)にのぼった。粗大ごみ・資源ごみと合わせると処分場に運んだごみは5トン近くになった。さらに処分場で廃棄できないテレビ、冷蔵庫などのリサイクル家電を加えると7トンほどの不用品が1軒の家に積み込まれていたのである。
見積提示の段階で「今のご時勢、ごみを捨てるにはこんなに金がかかるんですよ」と説明する。すると依頼主は「分かっています。でも、このカメラは売れると思いますよ。タンスもベッドもまだ新しいでしょ。この電動の工具は箱から出しただけで一度も使っていないし、この掛け軸は親父が大切にしていたもの」と、暗に、お宝が埋もっているはずだから処分料を安くしろと交渉してくる。
お宝の山だったら自分でリサイクルショップに持っていって換金すればいいのだ。いや、ほとんどの場合、何軒かの店に持ち込んだが買い取ってもらえず持ちかえるというミジメな体験もしているようだ。
しかし、いくら「箱入り新品同様」といっても、数年間も放ったらかしだった電動工具や交換レンズはジャンク品扱いで、とても売り物にならない。しかもリサイクルショップは、買い取り額を店頭販売価格の2割以下に抑えないと採算が取れない。ほとんどの場合、一部の貴金属を除いて捨てるしかない「ごみの山」なのだ。
ことほどさように、人間誰しも日頃から自分の生活と必要なモノを見直す断捨離をしていないと、いざという時、周囲にとんでもない迷惑をかけることになる。
日本国憲法の人権条項の起草者として知られるベアテ・シロタ・ゴードンが来日時、「トランクひとつ分の洋服と身の回りの品があれば十分。ロングアイランドの自宅でもそうしている」とつぶやいた。彼女はそれを実践しているが、「何の不自由もない」と断言していたことを思い出す。
民主党に自浄作用を求めるのは無理、無駄、無意味!
閑話休題。さて、どうすれば政界に巣食う政治屋たちを断捨離することができるのだろうか。
国民が主役という政治の原点を忘れ、内ゲバと党内抗争に取り戻せない貴重な時間とエネルギーを費やしている民主党幹部たちは、誰がどう見ても断捨離の対象だろう。
とりわけ菅直人、仙石由人、岡田克也、前原誠司の実権派4人組と、鳩山由紀夫、小沢一郎の前元代表は、国民にとって「不要・不適・不快なモノ」以外のなにものでもない。1日も早く、自らの判断で引退・閉門蟄居してもらいたいものだ。
だがこれらの政治屋は、「次の総選挙には出ない」と公言した舌の根も乾かぬうちに選挙準備を始めた鳩山由紀夫に象徴されるように、信じられないほど無節操な人種である。彼らに自浄作用を期待することは無理、無駄かつ無意味なこと。八百屋で魚を求めるような愚挙である。
また、政治家のポピュリズム手法によって操作・醸成された世の中の雰囲気を無批判に扇動、後押しする社論なき大新聞、テレビにも政治浄化の旗振り役は期待できない。
「内閣リコール制度」のような国民罷免の直接民主制の仕組みがない中で、どのような手法が可能か不明だが、早期に菅内閣を断捨離するための国民主導の「断捨離解散」が必要なことは確かだろう。
2009年8月30日投票の第45回総選挙で、有権者は自民党政権を断捨離した。1955年から連綿として続いた自民党主導の政治を「不要・不適・不快なモノ」と判断、「引き算の解決方法によって」政治の新陳代謝を促す政権交代を求めたのである。
しかし民主党は国民の期待に応えられなかった。沖縄基地県外移設のウソ、高速道路無料化のウソ、暫定税率廃止のウソ、埋蔵金発掘のウソ、企業団体献金廃止のウソ、脱官僚政治のウソ・・・裏切りの連続。民主党には有権者が期待したほどの地力も信念もなかったのである。
今こそ投票行動に断捨離の目を!
断捨離の考え方は単なる「整理術」ではない。いくら思い込みが強い大切なモノでも、いつかは何か役に立つと思うモノでも、今必要でなければ不用品として捨て去ること。それが「断」「捨」であり、そうした行動に踏み切ることよって、私利私欲や利害に左右される自分の心の混乱を整理し、「本当に必要なモノ」と「実は不要なモノ」を見分ける力を養うことができる。
そして、不要なモノを抱え込み、不適なモノを支え続ける愚挙から解放されるとモノへの執着を捨て去る「離」の境地に到達し、自由な人生を勝ち取ることができるという考えである。
もしも日本の有権者の多くが断捨離の境地に達したら、「地盤・看板・カバン」の力が横行し、利権と利害、義理と人情がまかり通る日本の選挙も少しはマシなものになるかもしれない。
しかし、世の中にはどうしても断捨離できない人がいる。「ごみ屋敷の主人公」などがその典型例だが、普通の市民生活をしている人にも「整理できない人」「捨てられない人」がごまんといる。
断捨離ができない人は、(1)現実逃避型、(2)過去執着型、(3)未来不安型の3つのタイプに分けることができるそうだ。
それを投票行為に当てはめると、現実逃避型は「面倒くさい」「どうでもいいや」と現実から目をそらす棄権型だろう。やるべきことをやらないこのタイプは、結果が気に食わないと人のせいにする悪癖の持ち主だ。権利の行使と義務の遂行といった社会人として身につけておくべき最低限の規範が欠落している。
過去執着型はさしずめ「野党・民主党時代のマニフェスト」の感動が忘れられない人たちか。「財界・大企業の利益優先、官僚と関連業界の権益優先の自民党政治よ、サヨウナラ。市民のための政治、国民の生活が第一の民主党よ、コンニチハ」と、あの日の感動的なマニフェストを捨てられないのだろう。
一方、「自民党政治の早期復活」を狙う人たちも、本質的には同じ過去執着型だ。1年半前までのおいしい生活・甘い汁が忘れられない彼らは、政官財のトライアングルによる利権サイクルの再現を求めて、自民党をゾンビのごとく生き返らそうとするだろう。
だが、過去を美化して断捨離ができないということは、過去の栄光に引っ張られていることにすぎない。それはつまり、現在の自分に対する不満の裏返しに過ぎないのである。
未来に対する過剰な不安から買いだめするタイプの未来不安型は、付和雷同型の有権者だ。大新聞、テレビがあおる「世論」という名の世の中の雰囲気に左右されて、勝ち組に乗りたがるタイプ。自分で判断することが不得手でポピュリストや意図的な報道に左右されやすい。
断捨離は「モノとの関係を徹底的に問い直しながら、判断軸を他人ではなく自分に、時間軸を過去・未来ではなく現在にリセットしていく作業」とも言われる。
多くの有権者が、自分にとって、今、必要なものか否かを問い直す「断捨離の目」で投票行動を問い直すことができたら、日本の政治も不要・不適・不快なガラクタを捨て去って、少しはましな、生活しやすい環境になるかもしれない。
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