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古森 義久の“外交弱小国”日本の安全保障を考える
2009年6月9日 日経BPネット
元幹部の脱北者が語る、北朝鮮経済の内幕!
北朝鮮の無謀で無法な行動が世界を揺るがせている。核兵器の開発、そのための核兵器の爆発実験、弾道ミサイルの発射、さらには核兵器など大量破壊兵器技術のシリアやイランへの拡散と、危険な動きが相次いでいる。こうした行動を取る北朝鮮という国家の体制や体質はどうなっているのか。その国家を独裁統治する金正日政権とはどんなメカニズムなのか。
この金正日政権の経済面の特殊構造を熟知する北朝鮮政府機関の元幹部にワシントンで話しを聞いた。その報告から浮かびあがるのは金正日政権を支える経済と、一般国民のための経済と、二つが完全に分離されているという異形の構造だった。そして「革命資金」という特殊な財源の存在だった。
ワシントンで北朝鮮の経済状況について詳しい話しを聞いた相手は金光進氏だった。金氏は1967年、平壌生まれ、北朝鮮のエリート校の金日成総合大学を卒業し、朝鮮労働党への入党を認められ、同党でも最高の権力をふるう中央委員会組織指導部に採用され、経済や金融の専門家としての道を歩んだ。もっぱら外貨獲得に集中する北朝鮮の東北銀行や朝鮮国家保険機構で働き、欧米の大手保険会社から不正手段も含めて保険金を取得する作業の専門家となった。
ただし2003年、シンガポールに駐在中、亡命し、韓国での定住が認められた。韓国では国家安保戦略研究所の専任研究員となり、北朝鮮の経済や金融についての研究報告を発表してきた。とくに金光進氏が韓国の北韓大学院大学校に提出した修士論文「北朝鮮の外貨管理の変化」は韓国内でも幅広い注視をあびた。
その金光進氏は2009年春にワシントンの民間人権擁護団体の「北朝鮮人権委員会」の研究員に迎えられ、米国での長期滞在が認められた。同氏のような脱北者が米国にきて活動することは盧武鉉前政権時代は韓国側の反対でほとんど認められなかったが、いまの李明博政権になって、かなり自由となった。
金氏は長身の引き締まった表情の人物で、英語を流暢に話した。同氏が所属していた国家保険機構は労働党でも超重要な機能を有するとされ、金正日総書記自身やその義弟の実力者、張成澤氏によって運営されている。国家保険機構の上部機関は中央委員会組織指導部であり、その部長が張成澤氏なのだ。
『人民経済』と『宮廷経済』は完全に分離されている!
ワシントンでは金氏に二度、インタビューして、見解を詳しく聞いた。その発言の要旨は以下のとおりだった。
「北朝鮮の経済は内閣が統括する『人民経済』と、外貨を得る企業や産業のほぼすべてと兵器産業を統括する『宮廷経済』とが相互に切り離された形で存在する。『宮廷経済』は外貨に全面的に依存し、朝鮮労働党中央委員会を経て金正日総書記に直接に支配され、その政治・軍事独裁体制を支えている」
「『宮廷経済』には金の鉱山や精錬所、銀やスズの鉱山と精錬所、平壌の外国人向け百貨店から始まり、ウニ、ナマコ、タコ、貝類、魚類などの海産物、マツタケなどの輸出食品にいたる外貨獲得が可能なあらゆる経済単位が組み込まれている。こうした関連の経済単位は外貨の収入をすべて労働党中央委員会を経て、金正日総書記に報告し、上納する」
「『宮廷経済』で集まる外貨の大半は『革命資金』と呼ばれる枠内に移され、その支出配分は金正日総書記がすべて決める。その用途は金書記の家族、親族の豊かな生活の保持や、労働党や人民軍の幹部たちの生活の保持と贈答品の供与を継続していくことのほか、軍事態勢の保持となる。核兵器や弾道ミサイルの開発の経費もこの『革命資金』からの外貨が当てられる」
「『人民経済』はこの『宮廷経済』とはまったく別個にウォン貨で機能しており、外国からの援助は『宮廷経済』に流入するだけで、一般国民への利益とはならない」
対外的な保険の不正操作で外貨を獲得!
金光進氏は自分自身がかかわっていた対外的な保険の操作も外貨獲得の有力な手段となってきたことも明らかにした。
「北朝鮮の国内の保険は個人も組織もすべて私が勤務した朝鮮国家保険機構が管理しているが、同機構はその保険にまた保険をかける再保険の契約をイギリスのロイズ社などヨーロッパの大手保険会社と結んでいる。その再保険料はきちんと払ってはいるが、ときおり大きな事故や災害があったとして巨額の再保険料を請求する。その請求が実は捏造だったり、誇張だったりすることが多い。そのための偽造や不正な書類を私自身も数え切れないほど作成し、サインしていた」
金氏の証言によれば、国家保険機構はこの種の詐取をも含めての保険料請求で毎年、数千万ドルもの外貨を獲得していた。その外貨は当然、金正日書記に献上される。その結果、国家保険機構には北朝鮮内部のどの地方のどの機関にも自由に立ち入って、検査を実行し、指示を下す絶対の権限が与えられているという。対外的な保険金の詐取によって独裁政権の中枢の機能継続が可能になるというのだから、奇妙な話である。
金光進氏はこの特殊な保険業務には日本がかかわってくることをも明らかにした。朝鮮総連系の保険会社の「金剛保険」が朝鮮国家保険機構と密接な関係を保ち、不正手段をも含めての保険を利用しての金正日体制の外貨獲得に協力してきたというのだ。国家保険機構が1998年に創設40周年を祝った際には、金剛保険から日本製の高級自転車数百台が贈られ、同機構の幹部職員らに金正日総書記からのプレゼントとして配られたという。
北朝鮮に対する経済制裁は現時点でも有効!
金光進氏はまた日本に関連して次のようにも述べた。
「2002年に金正日総書記が北朝鮮政府工作員による日本人拉致を認めるまでは、朝鮮総連による日本からの送金や献金が『宮廷経済』全体の20%から30%を占めていたといえる」
やはり日本から北朝鮮への金の流れは、金正日体制を保持するうえで非常に重要な役割を果たしてきたのである。
金氏は今後の北朝鮮への対応については米国のブッシュ政権がかつて実行したマカオのバンコ・デルタ・アジア(BDA)銀行の金正日総書記に直結した口座の凍結処置が顕著な効果を発揮し、金政権に打撃を与えたことを強調したうえで、次のように述べた。
「日本が金正日政権から拉致問題その他で譲歩を獲得するには、同政権の中核を支える『宮廷経済』の外貨取得活動に圧力をかけて、その収入を減らすことが当面、最大の効果があるだろう。そのためには日本独自だけでなく、韓国や米国と連携して、金融制裁などの措置を強めていくことがさらに効果を高めると思う。金正日政権はいま明らかに弱体となっており、政権自体が終わりの始まりを迎えたという兆しがある」
北朝鮮の政権内部で長年、活動してきた金光進氏の政策提言も、金正日独裁政権に対しては、少なくともいまは対話ではなく、圧力を、という趣旨なのだといえる。
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