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日本法制学会
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%B3%95%E5%88%B6%E5%AD%A6%E4%BC%9A

*会の役員

■ 名誉職

名誉顧問 長岡 實 資本市場研究会顧問
名誉顧問 河野  俊二 東京海上日動火災保険名誉顧問
会   長 石原 信雄 地方自治研究機構会長

■ 理事会

理事長 澤野 次郎 常勤
専務理事 (理事長兼務)
理  事 石  弘光 放送大学学長
理  事 垣添 忠生 日本対がん協会会長
理  事 田波 耕治 三菱東京UFJ銀行顧問
理  事 波多 健治郎 明治安田生命保険特別顧問
理  事 原田  明夫 弁護士
理  事 吉田 正輝 プルデンシャル生命保険特別顧問
監  事 水野 勝 日本たばこ産業顧問

■ 評議員会

議 長 古川 貞二郎 恩賜財団母子愛育会理事長
評議員 梅崎 壽 東京地下鉄社長

評議員 公文 宏 女子学院理事長

評議員 篠沢 恭助 資本市場研究会理事長

評議員 嶋津 昭 地域総合整備財団理事長
評議員 辰川 弘敬 元中央大学常任理事
評議員 成田 頼明 日本エネルギー法研究所理事長

評議員 野村 鋠市 東京市政調査会顧問

評議員 早﨑 博 住友信託銀行特別顧問
評議員 藤井 威 みずほコーポレート銀行顧問

2010年6月現在


Net月刊現代
http://moura.jp/index.html

 財務省の関連団体に面白い組織があるのを知ってますか。『学会』と名がついているので、あたかも学術研究団体のような体裁をとっていますが、中身はちょっと違う。財務省の権益を守るための『秘密クラブ』のようなものです」

 興味深い話を打ち明けてくれたのは、霞が関の実態に詳しい中堅官僚である。にわかには信じがたい気がしたが、インターネットで所在地を検索すると、思わず目が止まった。東京・赤坂の奥座敷。都心には珍しく、Uの字形になった道路の奥まった一角にあり、関係者でなければ立ち入らないような場所だった。

 単なる偶然だろうが、すぐ隣には、数年前に某経済紙の社長が通い詰めて、スキャンダルになった高級クラブもあった。たしかに、秘密めいた臭いが漂ってはいる。

 その団体は「日本法制学会」という。「財政・金融・金融法制研究」の分野で一件100万円までの助成金を支給したり、行財政や都市再生の研究会を開いたりしている。文部科学省所管の財団法人だが、実際には財務省の強い影響下にある。役員の顔ぶれをみれば、それは一目瞭然だ。

 名誉顧問に長岡實資本市場研究会理事長(元大蔵事務次官)、会長に石原信雄元内閣官房副長官(元自治事務次官)が就き、理事長ほか役員にも財務省や総務省の有力OBたちがずらりと名を連ねている。

 なかでも長岡は、いまも財務省に強い影響力をもつ「ボス中のボス」として知られている。学会の下部組織である行財政研究会の名誉会長を兼ね、2代目の研究会会長には保田博資本市場振興財団理事長(元大蔵事務次官)が収まっている。

 実は、4月にようやく決着した日銀総裁騒動の「陰の主役」が、この長岡・保田ラインと目されているのだ。

「保田さんは故・福田赳夫首相の総理秘書官を務めた。そのとき同じ秘書官同士だったのが、いまの福田康夫首相なのです。その縁で、保田さんは福田首相に極めて近い。田波耕治国際協力銀行総裁を日銀総裁候補に推薦したのも保田さん、と言われています」(官邸関係者)

 保田は初代の国際協力銀行総裁を務めた。田波は、まさに直系の後輩に当たる。


「終わりの始まり」  民間の感覚では理解しがたいが、財務省の次官級OB人事を仕切るのは現役官僚ではない。長岡や保田ら一部のボスたちである。現役を退いてからも、力のあるボスが人事を仕切る鉄の秩序こそが「大蔵一家」と呼ばれるゆえんでもある。

 現役時代だけでなく天下り後も含めた経歴こそが、財務官僚の真のキャリアになっている。いったん入省すれば、少なくとも70歳までは面倒をみる。だからこそ、ボスが人事を仕切るのだ。

 今回の日銀総裁騒動が示したのは、ほかでもない、この「鉄の秩序」が支えてきた支配体制が崩壊しつつあるという現実だった。長岡や保田ら、かつての「大蔵王朝」の栄華を知るボスたちにとって、総裁候補の大本命だった武藤敏郎前日銀副総裁(元財務事務次官)、田波、そして副総裁候補になった渡辺博史一橋大学大学院教授(前財務官)までもが、次々と民主党によって不同意とされたのは、信じがたい「悪夢のような光景」であったに違いない。

 新聞の社説が一部の例外を除き、こぞって武藤総裁案を不同意とした民主党を批判したが、新聞自身が閉鎖的な記者クラブ制度を通じて、財務省をはじめとする霞が関と利害を共にしてきた側面は見過ごせない。新聞やテレビの記者は官庁の記者クラブを基地にして、政府の一次情報を独占入手する既得権益を享受してきた。いわば、マスコミも大蔵王朝の一員だったのだ。

 日本法制学会の役員名簿をみると、理事の一人に石弘光放送大学学長(元一橋大学学長)の名前もある。石はかつて政府税制調査会の会長を務め、任期満了後も財務省は続投を画策したが、2006年秋の安倍晋三政権発足とともに、財務省寄りの姿勢を嫌われ、再任を果たせなかった。振り返ってみれば、この辺りから、ボスたちの影響力は陰りを見せていたのである。

「あの『秘密クラブ』は、そこらの並の財務官僚では、とても近づけないような独特の雰囲気があった。門をくぐれるのは、現役、OBを問わず、ほんのひと握りのエリートに限られていました。存在さえ知らない官僚も多いでしょう。これまでは日銀総裁も、そこの住人たちが決めていたようなものなのです。でも、そういう時代は確実に終わりつつありますね。もはや復活はありえない」(先の中堅官僚)
 財務省支配体制の「終わりの始まり」。日銀騒動の本質をそう正しく認識した人間が、どれほど福田康夫政権にいただろうか。少なくとも、国会の党首討論で小沢一郎民主党代表に対して「かわいそうなくらい苦労している」と絶叫した福田が理解していたとは思えない。まさしく、かわいそうなのは福田なのだ。
 大蔵省のエース官僚から転身し、首相の座に上り詰めた赳夫を父にもつ福田康夫が首相となって、いままた財務省の力に頼ろうとするのは自然だ。だが、福田が落日の財務省にのめり込めばのめり込むほど、一緒に足をすくわれる展開になった。
 財務省との距離感は、福田政権の運命に直結している。それは大失敗に終わった日銀総裁問題にとどまらない。道路特定財源問題や公務員制度改革でも、財務省と二人三脚で動くのかどうか。政権の評価と行方は、そこで決まるとみていい。
 小沢は日銀騒動の最中に「道路特定財源を08年度から一般財源化」「暫定税率の即時廃止で庶民減税」「官僚天下りの完全廃止」という3原則を掲げた。この「小沢3原則」の標的もまた、まさしく財務省だった。言い換えれば、小沢は福田に対して、財務省の代弁者になるのか否か、を迫っていたともいえる。

 当の福田は「困っている」という台詞せりふを連発し、揺れていた。


 背後には霞が関の計算 田波総裁案が民主党の不同意で認められず、日銀総裁問題が膠着状態に陥る中、福田は突然、動く。ガソリン税の暫定税率期限切れを目前にした3月27日、道路特定財源を09年度から一般財源化し、10年間で59兆円を投じる道路整備中期計画を5年間に短縮することを柱にした新提案を発表した。伊吹文明幹事長や谷垣禎一政調会長ら党役員にも知らせぬまま、抜き打ちの決断だった。

 この提案は一般財源化に踏み込んだ点で大きな譲歩に見えるが、実は財務省の利害と見事に一致している。暫定税率を盛り込んだ歳入法案は政府案通り可決することが前提だから、08年度の予算執行に不都合はない。そもそも、自分たちが自由に使えるようになる一般財源化は、財務省の悲願でもあった。

 民主党は激しく反発した。歳入法案を衆院で3分の2の賛成多数を得て再可決すれば、民主党は参院で首相問責決議案を出す構えだが、実は霞が関にとっては、そのほうが都合がいい事情もある。民主党が問責決議案を決議し、国会審議が止まれば、自分たちの首を絞めかねない重要法案である国家公務員制度改革基本法案の成立を阻止できるからだ。

 キャリア制度の廃止や内閣人事庁の新設を盛り込んだこの法案は、採用から天下りまで省庁縦割りの体制を崩して、真に国家に尽くす官僚をつくる狙いがある。省庁の既得権益を守るために縦割り体制を死守したい霞が関は、人事の内閣一元化に激しく抵抗していた。
 ガソリン税のどさくさの中で法案が参院に送付された後、国会審議がストップし、法案の扱いが先送りされてしまえば、霞が関には願ってもない展開である。福田に歳入法案の再可決を迫る勢力の背後では、そんな霞が関の計算がしっかりと働いているのである。

 逆に言えば、福田にとって再可決するかどうかは、ガソリン税の暫定税率維持と引き換えに、公務員制度改革を続けるのか中断するのか、という選択でもあった。
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