忍者ブログ
平成22年 第12回「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」(松江市)有機栽培・JAS認定部門で特別優秀賞を受賞。(食味90・味度83・計173点) 平成25年、第15回魚沼と第16回北京開催運動中! 無農薬魚沼産コシヒカリ生産農家・理想の稲作技術『CO2削減農法』 http://www.uonumakoshihikari.com/
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

株式会社白石バイオマス
http://www.sbdi.jp/news20100630.htm

8月24日12時19分配信 産経新聞

米ぬかを原材料にしたユニークなごみ袋を京都府京丹後市のプラスチックメーカーなどが開発し、「環境にやさしい」と注目を集めている。費用は通常のポリ袋より割高だが、抗菌性が高いとされ、自治体が指定ごみ袋として導入するほか、最近では買い物袋への利用も広がっている。

 「米ぬか入り」袋は、従来の原材料であるプラスチックのほかに、米ぬかが20%含まれ、せんべいのような芳ばしい香りとざらりとした手触りが特徴。

 開発したのは、京丹後市のバイオプラスチックメーカー「白石バイオマス」。すでに米を使ったごみ袋を開発していたが、昨年5月に京都市内の酒造メーカーと協力し、通常は家畜の飼料となっている酒米を精米して出た米ぬかに着目した。

 白石バイオマスによると、米ぬか入り袋は通常のごみ袋とほぼ同じ強度を保っている上、米ぬかに含まれているフェルラ酸の効用で抗菌性に優れている。製品に大腸菌を植え付ける品質試験では、通常のポリ袋は24時間後に大腸菌が約100倍に増殖したが、米ぬか入り袋はほぼゼロだったという。

 同社の山岡経助社長(57)は「米ぬかを使うことで石油資源が節約できるなど、少しでも環境問題に寄与できるのでは」と意気込む。

 地元・京丹後市では、米ぬか入り袋を昨年10月から「不燃ごみ収集袋」として導入。通常のポリ袋より3倍近くコストがかかるものの、不燃ごみは燃やさず袋ごと埋めるため、市は「原材料に米ぬかを混ぜている分だけ、少しでも土に返りやすいのではないか」と指摘。同社によると、現在までに約40万枚のごみ袋が市に納入されたという。

 このほか、京都府宇治市などでもイベント用のごみ袋として、実験的に使用されているという。

 ごみ袋だけでなく、京都府宮津市の「丹後の鮮魚屋 天橋立やまいち」では、今年7月中旬から買い物袋として使用を開始。同店によると、干し魚を通常のポリ袋に入れて保存したときよりも、米ぬか入り袋に入れたときのほうが日持ちするという。川村照美店長(57)は「魚屋なら環境のことを考えるのは当然。お客さんからの評判もいい」と話している。
PR

2010/08/24 00:26 産経新聞

【同盟弱体化】第4部 揺らぐ足元(下) 

米国の安全保障戦略と日米同盟・統合エアシーバトル構想
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shin-ampobouei2010/dai4/siryou2.pdf

 7月下旬、ワシントンの米連邦議会議事堂を異例の“陳情”に訪れた民主党議員と労組委員長がいた。在日米軍基地を多く抱える神奈川県を地盤とする衆院議員、斎藤勁(つよし)と、米軍基地で働く日本人労働者が加入する全駐留軍労働組合(全駐労)委員長、山川一夫だ。

面会相手は上院歳出委員長、ダニエル・イノウエ。米政府の国防予算を左右する立場にある。

 在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)に関する日米特別協定は来年3月末に3年間の期限が切れる。改定をめぐる交渉で労務費を維持させるため、米側の理解を求めるのが斎藤らの訪問の目的だった。

 「基地がなくならず、雇用だけが失われるようなことになれば『第二の普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)』のような火種になりかねない」

 山川は訴えた。

 「日本はインフラ、住宅、労働者を提供し、米国は日本の防衛を担う。国防予算の占める割合は日本はGDP(国内総生産)の1%未満だが米国は4%だ」

 米上院では最も日本に理解のあるイノウエは2人を歓迎しつつ、日本の負担の少なさを暗に批判した。米国の肩には、イラクやアフガニスタンでの戦費負担が重くのしかかっている。国防長官、ロバート・ゲーツは今月9日、今後5年間で1千億ドル(約8兆5千億円)の国防費削減を目指す取り組みを発表した。戦費負担のしわ寄せは在日米軍に及んでいる。

 同じく2人と面会した国防総省当局者はもっと直截(ちょくせつ)的だった。

 「米軍駐留経費を含めた日本の防衛予算のGDP比は少ない。外務、防衛両省に直接訴えてみてはどうですか?」

 日米両国が財政上の困難から防衛予算の効率化を迫られるなか、中国は着々と軍事力強化を進めている。

 今月16日、国防総省は中国の軍事動向に関する年次報告書を発表。2009年の実際の国防関連費は、中国政府が発表した予算案のほぼ2倍の1500億ドル(約12兆7500億円)と推計した。

 日本の防衛予算は平成22年度予算で約4兆8千億円。その2.6倍もの予算を、中国は国産空母や戦略ミサイル原子力潜水艦(SSBN)の建造に注ぎ込み、太平洋など外洋での作戦能力の向上を目指しているのだ。

 「そのうち東シナ海も南シナ海のように、中国の(領土保全などにかかわる)『核心的利益』になる。米国にとって、中国はもはや『軍拡の懸念』の域を超えた」

 対中外交に携わる外務省幹部は報告書を読んだ後、こうつぶやいた。さらに東シナ海での中国のガス田開発の真の狙いについてこう断言した。

 「海上に構造物を構築し、いずれ既成事実化した上で、太平洋への拠点にしたいと考えている。資源獲得だけが目的ではない」

 中国の動きを日本は指をくわえてみているしかないのか。

 自衛隊幹部は「海・空戦力をより一体的に運用する米軍の『統合エアシーバトル構想』に日本が主体的に協力できる余地は多い」と語る。

 その一つが中国海軍の動向の監視だ。哨戒機などによる警戒・監視を強化して、情報収集能力を高める。陸上自衛隊や在沖縄米海兵隊を緊急展開させる高速輸送艦の導入も検討課題だ。陸自と海兵隊の共同対処能力の強化や、集団的自衛権の憲法解釈見直しで抑止力を高めることが必要なことは言うまでもない。

 思いやり予算も抑止力維持の必要経費だが、政府は事業仕分けの対象としたばかりか、平成23年度予算案の編成に当たっては公開の場で予算の優先順位を付ける「政策コンテスト」の対象とする方針だ。日米同盟よりも「財政の論理」の方が重要なのか。

 日米両政府が思いやり予算をめぐる交渉を始めた直後の7月27日、下院軍事委員会の公聴会に出席したアジア・太平洋安全保障問題担当の米国防次官補、ウォレス・グレグソンは事前に提出した書面のなかで、日本に主体的な「関与」を求めた。

 「これ以上の受け入れ国負担(思いやり予算)の削減は潜在的な敵国に、日本が防衛へのかかわりを真剣にとらえていないというサインを送ることになる。日本は防衛予算と受け入れ国負担を増やすべきだ」

 この問いかけに日本はどう答えるのか。(敬称略)

 この連載は加納宏幸、半沢尚久、酒井充、尾崎良樹、有元隆志、久保田るり子、ロンドン 木村正人が担当しました。

2010/08/23 00:43 産経新聞

自衛権・集団的自衛権
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%86%E5%9B%A3%E7%9A%84%E8%87%AA%E8%A1%9B%E6%A8%A9

【同盟弱体化】第4部「揺れる足元」(中)

 7月下旬に行われた米韓合同軍事演習。日本海に浮かんだ米海軍の原子力空母「ジョージ・ワシントン」(GW)の艦上に海上自衛官4人の姿があった。

 4日間の演習には3月の韓国哨戒艦撃沈事件を受け、北朝鮮の挑発行為を牽制(けんせい)するため米韓両軍の約8千人が参加した。過去最大規模の演習に海上自衛隊は初めて1等海佐の黒田全彦=まさひこ=(42)らをオブザーバーとして派遣したのだ。

薄暗い室内にレーダー画面が並ぶ戦闘指揮所と海域を見渡せる艦橋。黒田らはすべての情報が集約されるGWの中枢部を自由に動き回ることができた。

 対潜水艦戦、特殊部隊の侵入阻止、北朝鮮を攻撃する爆撃訓練-。24時間休むことなく演習のシナリオは展開するため、寝る間を惜しんで動きを追った。傍らには米海軍幹部が付き添い、演習内容を説明した。

 朝鮮半島有事に備え、米韓の抑止力と作戦遂行能力を誇示しようという意図が肌感覚で伝わってきた。

 「百聞は一見にしかず。米韓が対等な立場でどう対処するのか存分に把握できた。参加しなければ詳細までは教えてもらえない」

 黒田はこう振り返るとともに、米側から繰り返しかけられた「参加してくれたことを感謝する」との言葉に「深い意味がある」と感じた。日本も共同対処能力を高めるべきだという米側の強い意向を。

 「日本がどういう対応をされるかは分かりませんが合同演習にご招待したい」

 韓国政府高官が民主党有力議員にオブザーバー参加を持ちかけたのは3日後に演習を控えた7月22日朝という慌ただしさだった。

 5月20日に韓国が撃沈事件を北朝鮮によるものと断じた後、米韓に日本も加えた3カ国の結束を示したいとの韓国側の意図がうかがえた。当初、政府内には艦艇を演習に派遣すべきとの主張もあったが、集団的自衛権を「保有するが行使できない」という奇妙な憲法解釈がネックとなった。

 演習中、仮に北朝鮮が米韓両国の艦船に攻撃し、それが海自艦船への攻撃と認められない場合、集団的自衛権を行使しなければならない可能性があった。昨年8月、政府の有識者会議「安全保障と防衛力に関する懇談会」はそうした事態も想定し憲法解釈の見直しを提言したが直後の政権交代でたなざらしになった。

 実際に半島有事が起きた場合、日本が傍観するわけにはいかない。韓国で暮らす2万8千人以上の日本人をどう守るかという課題が政府に重くのしかかる。さらに日本が他国の在留外国人の救出で積極的な役割を果たすことも期待される。だが、外国人はおろか邦人すら救出できず「結局は米軍を頼るしかない」(陸自関係者)のが実情。とりわけ深刻なのは空における「駆けつけ警護」問題だ。

 《韓国から避難する米国民を乗せ日本海の「公海上」を飛行する米軍輸送機に北朝鮮のミグ29戦闘機が攻撃を始めた。その時、哨戒中の航空自衛隊機は…》

 空自パイロットが米輸送機機を助けようにも、集団的自衛権の行使の制約が「壁」となる。

 「法的に整備されているのは、半島有事で出撃する米軍を支援する周辺事態法の枠組みだけだ。日本が主体的な任務を果たすことは何も想定されていない」

 現役の自衛隊幹部は口をそろえる。半島有事で日米同盟が機能不全に陥り、同盟の破綻(はたん)につながる最悪のシナリオを回避するにはどうすればいいのか。

 これらの問題は法制度や、集団的自衛権の解釈などの「ソフトウエア」に起因する。厳しい財政事情で防衛力整備に限界はあるが、ソフトウエアに手を加えるだけで日本の主体性を高めることは可能だ。

 防衛省が次期主力戦闘機(FX)に米英などが開発中のF35戦闘機を調達することに二の足を踏むのも、武器輸出三原則により日本が国際共同開発に参加できなかったからだ。兵器開発の世界では国際共同開発が趨勢(すうせい)で三原則の見直しが必要だ。ところが…。

 「改めて法律を調べてみたら『総理大臣は自衛隊の最高の指揮監督権を有する』と規定されている。そういう自覚を持って役目を担っていきたい」

 首相、菅直人は19日、自衛隊の統合・陸海空4幕僚長との初の懇談の場でこれまで自覚がなかったような発言をした。足元のおぼつかなさを見透かすように中国政府当局者は合同演習直前、日本政府関係者に「上から目線」で忠告した。

 「日本は演習に参加する気があるのですか? よく考えた方がいいですよ」

 (敬称略)
神風英男
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E9%A2%A8%E8%8B%B1%E7%94%B7

F-X (航空自衛隊)
http://ja.wikipedia.org/wiki/F-X_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A)


東京・永田町の衆院第2議員会館にある民主党防衛部門会議座長、神(じん)風(ぷう)英男の部屋を米軍制服組トップの統合参謀本部議長を務めたリチャード・マイヤーズが訪ねたのは17日のことだ。話題は航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の機種選定についてだった。

 神風「ゲーツ国防長官が辞任するそうだが、そうなるとF22を調達できるか」

 マイヤーズ「F22は調達中止になっており難しい」

 神風「F35はいつ導入できるのか。F35の話に乗っていいのか疑問がある」

 昭和46年に導入が始まり老朽化した空自F4戦闘機の後継機となるFXをどの機種にするのか。中国は高性能の第5世代機の開発を進め、7年後の実戦配備を目指す。対抗するためにも早急な決断が迫られるが、見通しは立っていない。

 当初、日本政府が考えた本命は米空軍の最新鋭戦闘機F22Aラプターだった。だが、米議会は軍事機密を多く搭載しているF22の輸出を認めていない。また、昨年春、バラク・オバマ政権は対テロ戦を重視する国防長官ロバート・ゲーツの主導で、実戦経験のないF22の調達の中止を決めた。当然、日本の調達も困難になった。

 このため、現在、FXの有力候補は米英などが共同開発中のF35ライトニング2、米海軍のFA18E/F、欧州共同開発で英独伊などが採用しているユーロファイターの3機種だ。このうち、最有力はF35だが、開発は遅れている。そこで神風はマイヤーズに、「ユーロファイターという選択肢もあるのではないか」と語った。しかし、空軍出身のマイヤーズはコメントしなかった。

 空自は米国以外から戦闘機を調達したことはない。他国機が話題になること自体が、日米間のすきま風を意味するのだ。




 英国南部ハンプシャー州。7月に開かれたファンボロー国際航空ショーでユーロファイターとFA18が展示飛行した。ユーロファイターは爆弾を想定した積載物をほぼ満載した状態で速やかな旋回を披露した。

 機種選定に割って入ろうと、ユーロファイターの販売を担当する英航空防衛機器大手「BAEシステムズ」は売り込みに躍起だ。16日にはアンディー・レイサム副社長が来日し、防衛省や防衛産業の関係者らと接触を重ねた。

 同社の宣伝文句は「ノー・ブラックボックス」。特許使用料を払えば、日本国内でライセンス生産できる。ブラックボックスだらけのF35と差別化を図っているのだ。

 「日米同盟に波風を立てるつもりはないが、日本も米国だけに依存することを望んでいないだろう」

 BAEの広報責任者ピーター・エドワーズは期待をにじませるが、対米交渉に当たる防衛省・自衛隊の当事者たちは消極的だ。内局幹部は打ち明ける。

 「F35導入をめぐる条件闘争として、ユーロファイターへの興味をちらつかせることも憚(はばか)られる」

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり、日米同盟にすきま風が吹くなかで、米政府内に強まる不満を肌身で感じる日本政府の当事者らは神風のようにユーロファイターという単語を口に出すことにも慎重だ。些細(ささい)な挑発でも米側から三下り半を突きつけられかねないからだ。

中核の航空防衛戦略、欠落
 7月末、東京・市谷にある防衛省の会議室。平成23年度予算案の概算要求に向けた背広組(内局)と制服組(自衛隊)の幹部を集めた検討会で、次期主力戦闘機(FX)をめぐり激しい議論が交わされた。

 F35戦闘機の新規導入か、F2戦闘機の追加調達か。会議で提示された選択肢は(1)F35の調達費を計上(2)F35導入を見据えつつ調達費計上は見送り、現有するF2戦闘機の追加調達も見送り(3)F2の追加調達費を計上-の3案だった。

 「F2を20機ほど購入し、F35は余裕を持って米政府と交渉すべきだ」

 内局幹部の主張に対し、空自幹部はすぐ反論した。

 「一刻も早くF35導入に動かないと手遅れになる」

 21年度に最初の調達費を計上するはずだった予定から大幅に遅れているFX計画。省内は真っ二つに割れたままだ。

 F35は第5世代機で、ユーロファイターなどは第4世代機。世代間には、レーダーに捕捉されにくいステルス性と状況認識能力で格段の差がある。

 第5世代機は自分の姿をくらまし、敵の戦闘機の位置を把握して情報優位に立つ。最新のコンピューター画面は戦闘局面における最善の策をパイロットに表示する。空自は航空戦力を増強する中国に対抗するため「どんなに第4世代機に手を加えても追いつけない。第5世代機が必要」(幹部)とF35導入を目指す。

 空自は当初「のどから手が出ている」(田母神俊雄前航空幕僚長)とF22にこだわった。その結果、「FX=第5世代機」との錦の御(み)旗(はた)を降ろせなくなり、柔軟な発想も失われた。「第4世代機のFA18に敵の電波を妨害する強力な電子戦機器を搭載すれば、ステルス機と同様に探知されない」(空自OB)といった声は消えていった。

 FXをめぐる検討は近視眼的になりがちでもある。戦闘機は防空システムを構成する一要素にすぎず、F35を導入しても中国のステルス機を探知できない。ステルス機の探知には地上レーダーなどの能力向上が不可欠だが、そうした議論は前面に出てきていない。戦闘機を単体で議論しても意味がないのだ。

 内局OBは断じる。

 「中核となる航空防衛戦略が欠落しているから、視野狭窄(きょうさく)に陥る」




 F35は海・空軍と海兵隊で約2400機を導入する米国を筆頭に、共同開発に参加した欧州各国も50~140機の調達を予定。世界の空を3000機以上が飛ぶ次代のグローバル・スタンダード戦闘機だ。

 空自幹部は「米国の同盟国だからといって優先されるわけではない。早い者勝ちだ」として、F35の発注競争に出遅れると、販売が後回しにされると焦燥感を募らせる。

 ただ、この交渉姿勢を疑問視する向きは多い。内局幹部は警告する。

 「F35の導入に焦れば米国に足元をみられ、高値づかみをさせられる」

 戦闘機は量産態勢に入る前の初期段階が最も価格が高いうえ、性能が安定していないため故障も多い。故障すると米側が修理し、修理代金を支払わされ、データも収集される。

 「米側はデータを性能向上に利用し、米軍用には価格が安くなり、性能も安定した機体を買う」(内局幹部)

 同盟国とはいえ、これがシビアな現実なのだ。

 一方、内局側もFX候補としてF35が最有力であるという見解に異論はない。ただ、既存機のF2の追加調達を唱えるのは、国内の戦闘機生産・技術基盤を維持するためだ。契約済みのF2の最終号機が23年9月に納入されれば、生産ラインは止まる。下請け企業は撤退し、熟練工も消えていく。昭和30年にF86戦闘機のライセンス生産を開始して以降、間断なく続いてきた戦闘機生産が途絶え、「国内で戦闘機を造る基盤を失う」(内局幹部)と危機感は強い。

 「迷走から抜け出すカギは、FXとF2の追加調達を切り離すことにある」

 内局OBは、FXについてはF35の導入に向けて調査を進めつつ、防衛力整備と生産・技術基盤の維持を両立する観点からF2の追加調達も提言する。

 FXの選定は日米同盟、防衛産業の存亡も含めた航空防衛戦略として「鳥の目」で俯瞰(ふかん)することが求められている。本来、日本がどう主体性を発揮していくかという安全保障戦略を描いてこそ、航空防衛戦略とその一角をなすFXの機種選定をめぐる答えも導き出される。




 東シナ海で米中両国の勢力圏争いが激しさを増すなかで、日米の共同対処能力が試され、役割分担の見直しは喫緊の課題だ。防衛計画大綱の年内策定も控えているが、主体性のない迷走が続く。日本の防衛の現状を検証する。(敬称略)

2010年8月22日付 産経新聞東京朝刊

家計簿的発想で「国家のバランスシート」を見るなかれ!

日経ビジネス 2010年8月17日(火)三橋 貴明 

日本の財務省やマスコミ、評論家、それに政治家などは、好んで「国の借金」という用語を使用する。その割に、彼らはバランスシート(貸借対照表)について全く理解していないわけだから、実際、困ったものである。

 借金とは「人から借り入れた財産」を意味し、バランスシートの負債項目に計上されるべきものだ。「国の借金! 国の借金!」などと騒ぎ立てるのであれば、常識としてバランスシートについて理解していなければならないはずだが、現実はどうも違うようだ。

誰かの負債は、誰かの資産
 今回は、まずは2つの「原則」をご紹介したい。

 1つ目は「この世の誰も覆せない絶対原則」。資産と負債の関係についてである。

◆原則1:誰かの負債は、誰かの資産。誰かの資産は、誰かの負債

 誰かがお金を借りているのであれば、誰かが貸している。誰かが貸してくれない限り、誰もお金を借りることはできない。当たり前である。

 ところが、マスコミなどで「国の借金」について語っている方々の多くが、どうもこの「絶対原則」を理解していないように見受けられるのだ。

 続けて、2つ目の原則である。資本主義国である限り、この原則を覆すのも、これまた相当に難しい。(と言うよりも、現実的には不可能である)

◆原則2:「国=政府」ではない

 かつてのソ連や中国などの共産党独裁国家は知らないが、少なくとも資本主義国においては「国=政府」ではない。すなわち「政府の借金=国の借金」ではないのである。

 日本銀行は統計をとる際に、「国」の経済主体を主に5つに分類している。すなわち「政府」「金融機関」「非金融法人企業」「家計」「NPO(民間非営利団体)」の5つである。本稿でも日銀に倣い、「国の経済主体」を上記5種類に分けて考えたい。

バランスシートである以上、当然ながら借方(左側)に資産が、貸方(右側)には負債や純資産が計上されている。ちなみに、日本の場合は「総資産額 > 総負債額」となっている。そのため、貸方の一番下に純資産が計上されるわけだが、この関係が逆になっている国(アメリカなど)の場合、借方に「純負債」額が計上されることになる。

 日本の「国家のバランスシート」を眺めるだけで、これまで報道されることがなかった様々な事実、あるいはこれまで気がつかなかったポイントを、いくつも読み取ることができるのではないだろうか。

日本政府は、確かにバランスシートの貸方に莫大な負債(いわゆる「国の借金」)を計上している。だが、同時に日本政府は「一組織として世界最大の金融資産」を保有しているわけだが、読者はご存知だろうか。国家のバランスシートの借方に計上された日本政府の資産(土地などの固定資産は含まれていない)は480兆円を上回り、文句なしで世界最大規模だ。ちなみに、2位はもちろんアメリカ政府だが、連邦政府と地方政府分を足し合わせても、350兆円程度に過ぎない。(これでも十分に巨額な資産だが)

 あるいは、日本国家の経済主体について、すべての負債を合計した額が5000兆円を超えている事実をご存知だろうか。「国全体の借金、5000兆円超!」というわけである。思わずのけ反りそうな額の「借金」だが、負債総額が大きい分、当然ながら資産額も巨額であるため(「誰かの負債は、誰かの資産」である)、別にセンセーショナルに煽るような話ではない。

 財務省などが「国の借金!」と大騒ぎを繰り広げているのは、バランスシートの貸方(右側)の最上部に計上されている「政府の負債 1001兆8000億円」のことである。確かに巨額ではあるが、政府以外の経済主体を見てみると、金融機関は2744兆円、非金融法人企業(以下、一般企業)は1184兆円もの負債を抱えている。財務省やマスコミは、これらの「借金」についても「破綻だ! 破綻だ!」と大騒ぎしないのだろうか。

財務省やマスコミが「政府の負債」をどう表現しているか
 連載第1回、第2回で見てきたように、日本国債の債権者の多くは国内金融機関だ。すなわち、政府が過去に発行した国債の多くは、国家のバランスシートの借方において「金融機関の資産」として計上されている。とはいえ、金融機関は別に自己資本で国債を買っているわけではない。我々、一般の日本国民や企業の預金の運用先として国債を購入しているわけだ。我々の預金は、銀行にとっては負債であるので、当然ながらバランスシートの貸方に「金融機関の負債」として計上されている。

 そして同じ金額分の預金が、借方で「家計の資産」「一般企業の資産」として計上されているわけである。日本国債の最終的な債権者、すなわち政府にお金を貸しているのは、我々日本国民自身なのだ。

 我々が「債権者」である「政府の負債」について、財務省やマスコミがどのように表現しているか、思い返してほしい。

「『国の借金』900兆円突破!」
「国民1人当たり、700万円の『借金』!」

 新聞などで、上記のような見出しを目にしたことはないだろうか。我々が「貸している」お金である「政府の負債」を人口で割り、「国民1人当たり○○○円の借金!」というフレーズで煽る。率直に言って、悪質な「ミスリード」としか表現しようがない。正しくは「国民1人当たり○○○円の債権!」であろう。

対外純資産263兆円は、文句なしで世界最大
 ちなみに、本来的な意味における「国の借金」と言える「対外負債」、すなわち日本国が外国から借りているお金の総額は、2010年6月速報値で301.03兆円となっている。

「日本の国の借金は、300兆円を超えている!」

 と、大声で叫ぶ人がいた場合、それは全くもって正しい。日本国の「外国への借金」は、確かに300兆円を超えている。

 ただし、経常収支黒字国である日本は、巨額な「対外資産」も保有している。6月末速報値で、日本の対外資産は564.7兆円に達しており、対外資産から対外負債を差し引いた「対外純資産」は、263兆円を上回っている。この対外純資産の総額は、文句なしで世界最大である。

 普通に考えて、純資産が多いとは「お金持ち」ということだろう。日本は「国」としてみた場合、間違いなく世界最大のお金持ちなのである。(ちなみに、世界で最も「対外純負債」が多い国、すなわち貧乏な国は、文句なしでアメリカだ)。

なぜ、日本政府の負債は増えたのか?
 まとめると、

 日本国家全体で見ると、資産額も負債額も共に5000兆円を超えている。ただし、対外純資産国である日本の場合、資産額が負債額を260兆円以上も上回っており、この純資産(=対外純資産)の額は世界最大である。

 また、政府の負債は1000兆円を超えているが、同時に資産も480兆円超と巨額で、日本政府は一組織として世界最大の金融資産を保有している。政府の負債の最終的な『債権者』は日本国民や日本企業であるが、なぜか財務省やマスコミは『国民1人当たり借金』というフレーズを用い、センセーショナルに煽っている。

 となる。

 さて、鳥瞰的に日本国の各経済主体について、バランスシートの状況を理解していただいた上で、「なぜ、日本政府の負債は増えたのか?」について考えていただきたい。日本人は「借金」と聞くと毛嫌いする人が多いが、そもそも資本主義経済とは「誰か」が借り入れを増やし、支出に回さなければ、成長することは困難なのである。

 実は、バブル崩壊前の日本政府は、資産と同規模の負債しか保有していなかった。すなわち、純負債(=負債-資産)がゼロに近かったのである。その日本政府の負債総額が、バブル崩壊後に一気に拡大した。純負債額も、今や600兆円に迫ろうとしている。なぜだろうか。


企業が借入金返済に専念したら支出が減少するのは当然
 企業の設備投資も負債も、共に1980年代の後半に増加ペースを一時的に早め、その後、減少を始めている。無論、バブル崩壊により「非金融法人企業が負債返済に専念し始め、結果的に設備投資を減らした」ためである。特に、97年の橋本政権による緊縮財政開始以降は、デフレが深刻化したこともあり、一般企業は露骨なまでに負債減少に邁進するようになってしまった。企業が負債を増やさず、借入金の返済に専念した場合、当たり前だがGDP上で支出(民間企業設備)も減少せざるを得ない。

 さらに、80年頃は100兆円程度でしかなかった一般政府の負債残高が、バブル崩壊後に拡大を始めた。GDP上で民間企業の設備投資が減る「不況下」では、政府は財政出動による景気対策を求められる。不況下で税収が増えることはあり得ないため、当然ながら政府は国債を発行せざるを得ず、負債残高は増えていく。

すなわち、バブル崩壊後に国家経済のフロー(GDP)上で、民間企業設備項目が減少を始め、それを補うために政府が負債と支出を拡大したからこそ、財務省の言う「国の借金」がここまで増えたのである。もちろん、政府の借り入れの原資は「お金を使わなくなった、日本の民間(家計及び一般企業)」が貯め込んだ過剰貯蓄である(第1回参照)。すなわち、我々日本国民のお金だ。

 そして、この時期に政府が負債、支出を拡大しなかった場合、日本のGDPは毎年10兆円を超えるペースで減少していった可能性が高いのだ。すなわち、2ケタのマイナス成長が続いた可能性があるのである。

 GDPが2ケタのマイナス成長になるということは、我々の「所得」が毎年激減していくことを意味する。政府の負債増を「単純論(例:『借金はとにかく良くない!』など)」で批判する人々は、世界大恐慌期のアメリカのように、「我々の所得」が半分近くまで落ち込んだ方がマシだったとでも主張したいのだろうか。

 少なくとも、筆者は真っ平ごめんである。

頭が痛い「家計簿的発想」の説明
 本連載第1回から今回までの3回で見てきたように、財務省やマスコミの言う「国の借金」問題は、「借金が多いのはダメだ!」などの単純論でとらえてはいけない性質のものだ。

 特に、国家経済について、「家計簿」に喩えて説明する政治家や評論家が後を絶たないわけであるから、心底から頭が痛くなってくる。企業経営を家計簿に喩えて説明する人はいないと思うが、なぜか国家経済や財政については「家計簿的発想」が続出する。そもそも国家経済とは、ストック(バランスシート)もフロー(GDPのこと)も、共に企業や家計のそれとは全く異なる概念であるにも関わらず、である。

 さらに、政府の経済政策は「インフレ期」と「デフレ期」では異なるわけだが、なぜか日本では「デフレ期にインフレ対策」を唱える人が後を絶たない。次回はこの「デフレ期にインフレ対策を唱える愚」について取り上げたい。

120  121  122  123  124  125  126  127  128  129  130 
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール
HN:
魚沼コシヒカリ.com
年齢:
70
性別:
男性
誕生日:
1954/01/01
職業:
農業
趣味:
スキー・読書・インターネット
自己紹介:
私は、魚沼産コシヒカリを水口の水が飲める最高の稲作最適環境条件で栽培をしています。経営方針は「魚沼産の生産農家直販(通販)サイト」No1を目指す、CO2を削減した高品質適正価格でのご提供です。
http://www.uonumakoshihikari.com/
魚沼コシヒカリ理想の稲作技術『CO2削減農法研究会』(勉強会)の設立計画!
バーコード
ブログ内検索
P R
忍者ブログ [PR]

designed by 26c. / graphics by ふわふわ。り