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武器使用に関する制限の緩和と、不必要な武力行使を回避するためのROEが必要!

 第6として、武器使用と武力行使の基準について述べる。自衛隊が行動するときの武器使用および武力行使についての制限や制約を緩和もしくは撤廃するべきだ。危機の未然防止・抑止の観点から、現場の状況に即した武器使用基準をつくる必要がある。

 自衛隊法は防衛出動するときの武力行使について第88条2項において「(前略)武力行使に際しては、国際の法規及び慣例によるべき場合にあつてはこれを遵守し、かつ、事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならないものとする」と定めている。しかし、現実には「国際法および慣例の遵守」からかけ離れて大きな制約を受けている。武器を携帯することすらないまま、危険な海外派遣を強いられているのが現状である。このことは、現場の部隊指揮官および隊員の判断と任務遂行をより難しくし、場合によってはかえって毅然とした対処をためらわせて事態解決を困難に陥らせる可能性がある。武器の使用については、少なくとも国際常識のレベルに従うとするべきであろう。ともすると、これまでの武器使用に関する議論は教条主義的であり、政治的取引に使用されてきた。

 このたび、パキスタンの災害救援に派遣された陸自ヘリ部隊は、武器を携行していない。パキスタンの国内情勢が極めて厳しい危険な状態にあることを考えると、あまりに「武器使用」に拘泥した措置である。政府は、ただ「ヘリを持っているから」という理由で自衛隊を派遣したのではないだろう。危険な地域での任務だから、自衛隊を選んだのである。ならば、事態によっては武器を使用することを念頭に置くべきであろう。

 同時に、部隊運用基準ROE (Rule of Engagement)を確立するよう、防衛大綱に盛り込む必要がある。ROEは、軍事作戦を実行する現場部隊に対して、政府が発する簡潔な特定の指導である。国家・政府は、軍事活動において、不必要な破壊や殺傷を回避するために、国際法(特に、武力紛争法)を厳格に遵守しなければならない。国家が国際法を遵守するということは、部隊・部隊構成員が国際法を遵守しなければならないことを意味する。これを担保するための基準がROEだ。

 冷戦崩壊後は「戦争以外の軍事作戦」(MOOTW:Military Operations Other Than War)が多様化し増加している。自衛隊も、国連による平和維持活動(PKO)や平和執行活動に参加する機会が増加する傾向にある。これらの活動を派遣目的の範囲内に限定し、かつ武器の使用を含めた任務遂行を円滑に行うためにもROEを確立する必要がある。


集団的自衛権の行使を認め日米安保体制の実効性を確保せよ!

 第7は、日米同盟の実効性の確保、すなわち集団的自衛権の行使について述べる。

 わが国の防衛において日米同盟は、見通しうる将来において最も重要な要件である。独立国として「対等な同盟」を希求するならば、集団的自衛権の行使は必然的に重要な条件となる。同盟は、相互の利益を確認するとともにリスクも共有する双務性を持って成立する。そして、自国の独力による防衛努力を超えた抑止力を構成するトータルパワーとなる。

 同盟の真の信頼性は、集団的自衛権の行使を認めることによって、お互いを助け合う意思と行動を一体化できるかどうかにかかっている。基地の提供や思いやり予算という物的なものと米国青年の生命とを等価とするわが国政府の発想は、実際に日本が緊急事態に陥ったときに、同盟破綻を呼び起こすだろう。

 安倍元首相が設置した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が2008年6月に発表した報告書は、以下の4類型について、集団的自衛権の行使を認めるなど政府解釈を変更すれば、現憲法のまま実施できると結論づけた。1)公海における米艦防護、2)米国を狙った弾道ミサイルの迎撃、3)国際的な平和活動における武器使用、4)PKO活動における他国への後方支援。

さらに同報告書は、基本的安全保障政策について、2つの基本方針を策定した。第1は、同盟国たる米国に協力する場合は、それが日米同盟の信頼性を維持・増進する上で必要不可欠であり、わが国の安全保障に資するものに限ること。第2は「集団的自衛権は保有すれども、行使できない」とする現在の政府解釈の変更だ。北朝鮮の長距離弾道ミサイルへの対処や海賊対策の本格化は、集団的自衛権を行使できるようにする憲法解釈変更が必要なことを示している。

 集団的自衛権を「持っているが行使できない」とする奇妙な解釈に固執すれば、中国の軍事的台頭と米国の国力の相対的低下、在日米軍基地問題の混乱と不安定化などが積み重なり、いつの日か必ず日米同盟は危機に瀕するだろう。


自衛隊だけで日本は守れない、国民の参加が欠かせない!

 ここからは、防衛大綱に示すべき項目の3番め、すなわち自衛隊の役割と運用指針について提案をしたい(前編を参照)。

 わが国の憲法は国の防衛について一言も触れておらず、自衛隊に関する条文は全く存在しない。

 自衛隊法第3条は、自衛隊の任務を「自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする」と定めている。蓋然性の大小は情勢によって異なるが、自衛隊の存在意義は、わが国の主権、国土の保全、国民の安全と財産の保護であり、加えて、海洋国家日本の国益であるシーレーンの保護にある。自衛隊は、この国益を防護するため、第一線に立つ役割を負うプロの実力集団として位置づけられる。

 ただし、国を防衛することは、日本国民全体の基本的責任である。ひとり、自衛隊のみの責任ではない。もし侵略を受けたならば、わずか25万人の自衛隊で国防を全うできるものではない。よって、国の防衛に直接・間接にかかわるべき義務を国民に課すための法規的根拠が必要であろう。このため、国家安全保障基本法(仮称)の制定を進めるべきであろう。


国防に命をささげる自衛隊員に名誉を!

 自衛官の責任と権限を明確にするために、名誉制度と軍事裁判制度が必要である。自衛官は入隊するときに、「安全第一」ではなく「任務第一」と宣誓する。時には生死にかかわる決断を強いられる職務である。自分個人の安全よりも国家国民の安全を優先して任務を遂行することを求められているだけに、名誉と慰霊の制度について検討する必要がある。

 国家の守りに命を捧げた兵士の魂を祭る靖国神社に国家の最高指導者が感謝の念も表わさない現実を国民は見ている。任務に殉じる覚悟をしている多くの隊員の名誉についても良く考えるべきである。

 いっぽう、軍事裁判制度について、今後の議論が必要であると考えられる。有事において厳正な規律が保てる自衛隊の体制確保に努める必要がある。わが国の憲法は特別裁判所の設置は認めていない。憲法上無理ならば、「有事における特別な刑法」を制定してもよいだろう。


緊急事態に対処するため、自衛隊に優先権限を認めよ!

 自衛隊の役割は有事だけではない。有事に至らないテロ、パンデミック(全世界的流行病)、大規模騒擾、大規模災害、原子力発電所の事故など広域非常事態に対応するのも任務のうちである。しかし、これらに対する法制は未整備だ。いわゆる「緊急事態基本法」の早期の制定が必要である。

 緊急事態基本法においては、各種出動および行動発令、または同待機命令を受けたときに自衛隊が優先的に行使できる権限について明確に示すことが重要である。即応態勢が論議されることが多いが、必要な電波の使用周波数の拡大など優先権限が伴わないと即応が不可能な場合がある。特に大規模災害などの緊急事態を予測している段階で待機命令が出た場合における自衛隊の優先権限については、整理して明確にしておく必要がある。

 加えて、海上保安庁の統制についての矛盾を解決する必要がある。自衛隊法80条は「(前略)出動命令があつた場合において、特別の必要があると認めるときは、海上保安庁の全部又は一部を防衛大臣の統制下に入れることができる」と定めている。いっぽう海上保安庁法25条は「(前略)海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない」と規定する。2つの条文の間には実行上の矛盾がある。


4つの理由で必要となる統合運用態勢!

 首相をトップとする国家安全保障会議など、軍事に対する政治の指導指揮系統を明確にする必要があることを先に述べた。同時に、「軍令」に相当する自衛隊の指揮運用の系統を明確にするとともに、「一元化」する必要もある。

 一元化は、以下の4つの理由から重要となる。第1は、陸海空の3自衛隊が総合力を発揮できるようにするため。いかなる危機事態にも即応できる任務遂行能力を高め、国家国民の安寧を確保・維持することが、自衛隊の存在意義であり目的である。そのためには、一つの目的に3つの自衛隊の戦力を集中する必要がある。

 第2の理由は、「専守防衛」から脱皮して、冒頭に述べた「先守防衛」態勢を確立するためである。常設の統合部隊指揮官・統合作戦司令部(PJHQ:Permanent Joint Headquarter)において平時から危機管理・有事に対処するための計画を研究策定し、演錬し、即応できる準備を整えておくことが必要である。最近の危機事態は、突発的であり、事態の推移も速く、多岐にわたる。複合化・多様化しているために、「初期消火」――事態に即応して初期段階で鎮静化し、危害が拡散することを防止すること――が重要な意義を持つようになった。

 第3の理由は、民主主義国家である日本において、政治と軍事との適切な関係を維持し、シビリアンコントロールを機能させるためである。国家の安全保障・国防の方針や戦略は、政権によってその都度変化するようであってはならない。「統合幕僚長」が政治の要求をキチンととらえて防衛任務の実務につなげるとともに、自衛隊が持つ「軍事力」の能力と限界を率直・正確に助言することで、的確な政軍関係を確立する役割を果たすべきだ。加えて「統合部隊指揮官」が、最高指揮官である首相の意思決定を速やかに受令して、指揮下にある部隊の作戦指揮につなげる役割を遂行する。

 第4の理由は、日米共同作戦を効率的に遂行するためである。米軍は陸海空および海兵隊において、統合運用の実績を既に積み上げている。これに機能的にマッチする態勢を整備する必要がある。

 「行政系統」と「軍令系統」が混在している現状から脱し、首相→防衛大臣→統合部隊指揮官→作戦部隊という具合に、一元的に指揮系統を整理した軍事の専門的な指揮・指導組織が必要である。


自衛隊の人材確保、国民の自衛隊理解!

 ここからは、防衛大綱に盛り込むべき5点の5番め、防衛力整備の方向性について提言する(前編を参照)。この項では、人材の育成、サイバー戦対応、対潜水艦・機雷戦、策源地攻撃、宇宙、離島、研究開発、シンクタンクに触れる。

 自衛隊の任務は、国の防衛を基本としながらも多種多様な方面に拡大・増加している。しかし、任務が増えるいっぽうで、予算と隊員が削減されている。「当面見通しうる将来において、大規模な侵略の蓋然性は低い」(16大綱)という前提で、隊員は与えられた任務を黙々と遂行している。しかし、そろそろヤリクリのゆがみが出てきていないだろうか。隊員は、1人2役、3役をこなしながらギリギリの状態で任務に当たっている。この現実を政治はどう見ているのだろうか?

 自衛隊の職務の特殊性故に、人材の養成には、特殊なOJTと術科教育を繰り返す必要がある。したがって教育には相当の時間が必要となる。人的に余裕が無くなると、部隊の実員にシワ寄せするか、一部の隊員に過重な負担を強いるか、教育訓練を削減するか、せざるを得なくなるだろう。人的余裕を確保する施策と相応の予算の確保が必要である。また、人材を育てるためには、訓練演習に使用する燃料・弾薬・機材と訓練海域・空域、演習場の確保がさらに必要である。

 国民の自衛隊に対する理解は、これまでの実績の積み上げによって、かなり向上している。高い評価を受け、存在の必要性を認知されてきた。広報の成果も大きい。しかしながら小学校から大学に至る教育の現場では、自衛隊が国民の貴重な財産であり、重要な役割を果たしていることが相変わらず浸透していない。この現実は直視するべきであろう

 集めた人材を育てるためには、訓練演習に使用する燃料・弾薬・機材と訓練海域・空域、演習場の確保がさらに必要である。

新たな戦闘領域としてサイバー戦が重要になる!

 以下に挙げる様々な戦闘を想定し、準備することが肝要だ。第1は、サイバー戦である。これに備えて、攻撃と防御についてITの知識を持った専門部隊の編成と活動、人材の確保・育成が必要だ。サイバー戦に平時も有事も無い。軍事のみならず政治・経済・社会全体が、日進月歩のサイバー技術を駆使している。

 第2は対潜水艦戦、対機雷戦能力である。日本海・東シナ海・黄海などの浅海面、日本列島東の深海域の作戦が重要になる。これに対処するための装備と戦術の開発、人材の育成、ドクトリンの整備が重要だ。中国、ロシア、北朝鮮は、潜水艦と機雷の装備を強化しつつある。日本周辺海域は、地形と海流が複雑にからみあっている。このため潜水艦および機雷などの水中武器や装備を使って攻める側にとっては極めて有利な条件が整っている。反対に対潜水艦戦、対機雷戦をする側(守る側)は複雑な対応が必要である。このため

 第3は策源地攻撃だ。敵地攻撃能力として以下を充実させる必要がある――航空機の能力向上、精密誘導兵器の装備、潜水艦発射型の巡航ミサイル(トマホークなど)、地対地ミサイル、情報偵察衛星と情報指揮システム。

 第4は宇宙である。北朝鮮の核兵器開発と弾道ミサイル実験は、わが国に深刻な脅威となりつつある。中国についても、台湾海峡問題や東シナ海の海洋進出問題などおいて、日本および米国との関係が厳しくなっている。中国が持つ核弾道ミサイルの影響は将来、深刻となろう。中国は同時に、衛星破壊技術も実用化の域に達したとみられている。

 北朝鮮および中国の脅威に対処するための「早期警戒衛星」の整備を充実する必要がある。時間的な余裕はない。かつ莫大な経費を必要とする。各種衛星の整備とともに、C4ISR(指揮、管制、通信、コンピュター、捜索、救難)の再構築に着手することが必要である。

 第5は国境離島における戦闘だ。当面の国境離島の防衛警備の重要性にかんがみ、無人島も含めた重要な離島に自衛隊が臨時に駐留もしくは待機するための小規模な施設および所用の機材を設置する。ヘリの臨時離発着場や小船艇の係留施設などが考えられる。


知恵を結集せよ~研究開発とシンクタンクに期待!

 日進月歩の武器システムや装備の研究開発のため、人材と予算を配分することが必要である。特に、潜水艦の原子力推進機関の研究開発は、ぼう大な予算と時間と人材を要することから、早期に着手することが望ましい。また、巡航ミサイル、無人偵察機UAV(Unmanned Aerial Vehicle)、無人自走潜航艇UUV(Unmanned Undersea Vehicles)、戦術ロボット、各種宇宙衛星などの研究開発には、産官学の知恵と技術を融合することが必要である。

 各種の分野の総合的知見、特に社会科学分野の知恵を結集するために、シンクタンクを育成する必要がある。国際情勢が複雑化し、将来への不確実性・不透明性が増している。こうした環境における安全保障と国防は、防衛省・自衛隊のみで全うできるものではない。世界の多くの国が、産官学に加えて民間のシンクタンクの知恵を借りながら、自国の安全保障態勢の整備を進めている。安全保障・防衛も、最後は人の問題となる。優秀なシンクタンクを育成する施策を検討するとともに、その知見を吸収する仕組みを整備する必要がある。


先を見据えた大綱を望む!

 安全保障分野の展開は速い。2004年12月に閣議決定された「16大綱」(注:「16」は平成16年の意)ができて以降の情勢の変化は急激だった。さらに、新大綱の策定が政権交代によって1年間伸ばされた間にも、従来にないテンポで状況は激変した。冷戦崩壊後の国際情勢は冷戦期に比べて、むしろ不安定・不確実なものとなった。冷戦崩壊時には「平和の配当」を期待して明るいニュースに喜んだが、現在、見事に裏切られている。

 オバマ米大統領がプラハで行った核廃絶の演説に、世界は再び期待を持った。特にわが国の世論は、明日にも核兵器が世界から一掃されるような幻想を持った。しかし、たぶん、未来の人々は、いっそう複雑で困難な問題を抱えることになるだろう。防衛大綱は、おおむね10年先の防衛事態を想定する。「10年先」は人知の及ぶ範囲であろう。しかし、長期的な洞察力と国家目標を掲げて、遠い将来を見据えた新しい大綱を練り上げてほしいものである。



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