平成22年 第12回「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」(松江市)有機栽培・JAS認定部門で特別優秀賞を受賞。(食味90・味度83・計173点)
平成25年、第15回魚沼と第16回北京開催運動中!
無農薬魚沼産コシヒカリ生産農家・理想の稲作技術『CO2削減農法』
http://www.uonumakoshihikari.com/
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
中国人民解放軍
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E6%B0%91%E8%A7%A3%E6%94%BE%E8%BB%8D
近代化著しく、EUの禁輸解除も時間の問題!
2010.10.04(Mon)JBプレス 茅原郁生
中国はこれまで経済発展に伴い、軍事力を強化してきた。中国の軍事力は非同盟の戦略に基づく自己完結型の戦力であり、核戦力と通常戦力の両方を保有し、既に世界有数の軍事力に強化されている。
現に昨秋の建国60周年記念の軍事パレード(以下、60周年観閲式)では近代化の進展ぶりを見せていた。
中国の軍事力は引き続き増強を続けているが、その実力はどれくらいか、軍事革命が進展する中で、その実態が問題として浮上してくる。
本稿は、先の中国国家戦略や現状の紹介に続くもので、まず中国の国防近代化の動向と課題を検討したうえで、核ミサイル戦力と通常戦力の両面から軍事力の実態に迫ってみたい。
中国が進める国防近代化の推進と課題!
(1)国防近代化の必要性と目標
中国の軍事力は「富国強軍戦略」によって強化が続いている。その背景には中国の特異な安全保障観があり、アヘン戦争以来、列強から国土が蚕食されたという屈辱の近代史の体験から「力がなければやられる」という見方が根底にある。
また中国では、今日のような経済発展は国内外の安定した戦略環境が不可欠と見ており、それを保証するのが軍事力であるとの認識もある。そのために軍事力の役割が重視され、今世紀になっても国防近代化が優先して進められている。
中国の国防近代化の推進状況は、上で見たような国内事情だけでなく、中国を取り巻く国際情勢もまた軍事力の強化と近代化を促進させている。
中国が抱く脅威感を含めた情勢認識について、隔年で発行される『中国の国防2008年版』(国防白書、2009年1月発行の最新版)から見ておこう。
国防白書は中国が直面する脅威について「覇権主義・強権政治が存続しており、戦略資源の争奪や戦略要地を巡る局地衝突や非軍事的な争いは多発している」と米国の脅威を指摘し、「軍備競争は熾烈化し、軍事変革の進展がそれを促す」と警戒感を示している。
さらに中国は伝統的、非伝統的な脅威が交錯する多元的な脅威を受けており、「外部の安全環境は不確定になっている」と危機感を強めている。
このような情勢認識を受けて中国で進められる国防近代化は、これまで対米核抑止力の強化と台湾武力解放を保証するハイテク局地戦の勝利が目標とされてきた。
そして今日の国防近代化の方針は「量規模型から質量効能型へ」「人力密集型から科学技術密集型へ」の路線で進められ、これまでは火力や機動力の強化を中心とする「機械化」が中心であった。
しかし、2003年の米英有志軍によるイラク攻撃が見せたような物理的破壊力より敵の指揮中枢の機能を麻痺させる情報や心理戦などのソフトパワーを重視するいわゆる情報戦が飛躍的な進展を見せていた。
これら新しい戦争様相を踏まえて、中国は新たに情報戦に備えた「情報化」にも着手してきた。
そこで両者のバランスとして「国情や軍情を踏まえて機械化を基礎とし、情報化を主として逐次に進展させる」「情報化と機械化の複合的、飛び越え式で進める」などとが国防白書などに示されてきたが、その具体化や優先度はなお不透明で分かり難い。
総じて中国の安全保障環境の根底には対米脅威感があり、複雑で多元的な脅威や挑戦を受けていると楽観はしていない。
実際、中国は北大西洋条約機構(NATO)のアフガニスタンへの進出など中国の後背部に迫る現実をNATOの東方への拡大と見るとともに日米安保体制の強化などを重ねて中国は封じ込められているという被包囲感を抱いている。
(2)国防近代化の推進と軍事技術開発の課題!
中国は、改革開放30年を経て経済の高度成長を遂げてきたが、同時に市場経済の導入による貧富の格差拡大などの矛盾も露呈している。
その分だけ中国政権は解放軍など強権力の支持を必要としており、軍事力を重視して経済発展の成果に応じて国防近代化を推進してきた。
国防近代化の推進に当たっては、これまで21年にわたって国防費が対前年比で2桁も増額を続けてきたように国家資源の投下では高い優先度が維持されてきたし、今後も継続されよう。
しかし、近代化に不可欠な技術開発や国防産業基盤の面で、中国は脆弱性を抱えている。
特に世界で軍事革命が進む趨勢にあって、中国の軍事技術開発力や軍需工業基盤の強化は必須条件となっているが、中国自体の基礎研究や技術開発の部門は弱体であって自力更正には限界がある。
このため外国から新兵器や軍事技術の取得が必要になってくるが、1989年の天安門事件以来、西側からの対中禁輸制裁は続いている。
中国としてはロシアからの兵器供与に依存を強めており、その実態はストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の統計によると、2000~2004年にロシアが輸出した269億ドルの兵器の40%が中国向けであった。
2008年には大型輸送機の契約キャンセルなどで対中輸出比率は18%低下したものの、中国にはロシアが最大の新兵器供給国である。
しかし近年、ロシアが兵器輸出の規制を強め、また商業的になって従来の兵器需給関係は厳しくなっており、中ロ関係は打算的な協力関係の側面を見せてきた。
その原因は、中国の兵器の近代化は取得した兵器の模造や改造が多く、例えば新鋭戦闘機「殲J―11B」は「スホイ(Su)27」戦闘機を、「元」級潜水艦はキロ級潜水艦を、99式戦車はT72戦車を、と21種に上るほどに兵器の模造が多く、ロシアは中国の知的所有権の考え方に不信感を抱いてきた。
そこで中国としては西側先進国の軍事技術取得の意欲を強めているが、米国には去る5月の米中経済・戦略対話(北京)でハイテク技術の対中輸出緩和を求め、「米中ハイテク貿易の重点領域協力の行動計画」の実施に踏み切らせている。
米国が核心的な技術まで輸出することはないとしても、軍事転用技術の対中輸出などに妥協してくる可能性はあり得よう。また近年、欧州連合(EU)が対中兵器輸出の禁輸解除を探る動きに日米は反対してきたが、今や解禁は時間の問題となってきた。
これらから中国の国防近代化は軍事技術の分野で一進一退の状況にあり、その進展には一定の制約が伴おう。
特に中国が革新技術にキャッチアップ後、軍事革命時代にふさわしい独自の軍事技術の開発や実用化の面では問題を残している。
中国の新しい時代の国防近代化の進展は、知的所有権に対する姿勢や国際協調路線への踏み込み、軍事的透明性の向上などの要求に中国がどのように対応できるかにかかっている。
軍事力の実態!
60周年観閲式で見せた軍事力は、1999年の建国50周年記念閲兵式の当時に比べて、格段に近代化の進展ぶりを見せつけていた。
そこでは52種類の国産開発の新兵器が登場し、いわゆる火力・機動力の強化などの強化を目指す「機械化」の大幅の進展を見せるとともに、情報をリアルタイムで共有し、統合戦を遂行するなどのいわゆる「情報化」に着手したことも見せていた。
それはこれまで国防投資が優先されてきた成果でもある。
中国の軍事力の現況をどのように評価するかについて、英・国際戦略研究所の年報『ミリタリー・バランス2008―09』や60周年観閲式などから、その実態に迫って要約しておこう。
(1)核戦力の強化と実態
中国は1964年に核爆発実験を成功させ、45回の核実験を経て核弾頭の小型化などを進めてきた。ミサイル開発の進展もあって、1980年代に大陸間弾道弾(ICBM)や原子力潜水艦に搭載される弾道ミサイル(SLBM)などの実戦化が実現し、「最小限核抑止戦略」を追求している。
中国の核戦力の現況は9個軍、12万人の戦略核ミサイル部隊(第2砲兵)がある。核弾頭は200発を超え、運搬手段としてはICBM46基、中距離弾道弾(IRBM)35基にSLBM24基を展開して、対米(ロ)抑止力として機能している。
併せて短距離ミサイル(SRBM)725基を保有して、台湾だけでなくアジア近隣諸国に対しても有効性を発揮している(図表1)。
60周年観閲式では、第2砲兵軍は5個梯隊で中・長距離の各種形式の108基のミサイルを参加させた。
その充実ぶりは、米東海岸を射程内に収める東風31A号ICBM(射程1万キロ、以下DF31A)が超大型トレーラーに搭載されて登場し、また隣接国を射程に収める東風21C号IRBM(射程3000キロ)、さらに各種SRBMのほかに長剣―10巡航ミサイルの初出現など、99年当時に比べて顕著な強化ぶりであった。
また新型の核搭載原子力潜水艦(SSBN)として晋級の就航や巨浪2型SLBMの開発など、隠密性のある核反撃力の配備も伝えられている。
これらに関して防衛省発行の『日本の防衛(2009年度版)』(以下「2009防衛白書」)は「ミサイルの射程延伸、命中精度向上、多弾頭化などの進歩と長剣―10巡航ミサイルなど空母攻撃能力の強化」に憂慮している。
(2)通常戦力の現況
解放軍は建国とともに革命軍から国防軍に変身し、今日に至っている。また建国前後に海軍、空軍が相次いで創設され、3軍体制で近代化を進め、その各軍種戦力の現状は図表2の通りである。
●解放軍(地上軍)は兵力160万人が7個軍区に展開して、それぞれ戦区戦略により国土防衛の任を担うとともに、共産党政権を支える「党の柱石」の役割を果たしている。
その近代化は、旅団化などの編成の効率化、即応能力の向上、兵器の性能向上などを進めながら限定的な統合運用を追求している。
現有実戦力は18個集団軍、火砲1万7700門、戦車7580両と多量であるが、全般にまだ旧式兵器が多い。
60周年観閲式では16個梯隊にわたって99式戦車、96式戦車、水陸両用歩兵戦闘車、空挺降下用戦車、自走高射砲、野戦用防空ミサイル、直―9武装ヘリ等がパレードし、いわゆる「機械化」の大幅な進展を見せつけた。(「2009防衛白書」)
これらの隊容から解放軍が地域防御型から全国土機動型への改編が進んだと認めている。
●解放軍海軍は今や遠洋海軍を指向している。その現況は、航空兵や陸戦隊などを含む27万人の勢力が3個艦隊に配備されている。
艦艇の総量は114万トンと米ロに次ぐ世界第3位の艦艇量を擁し、大型水上戦闘艦艇75隻、潜水艦60隻以上、中・大揚陸艦55隻、ミサイル搭載哨戒艇75隻などに加えて航空戦力を約800機保有している。
さらに外洋補給艦や病院船などを新造するなど外洋進出の意図をうかがわせ、またパワープロジェクションとして海軍陸戦隊の2個旅団1万人を擁している。このように中国海軍は近海防衛戦略により沿海海軍から外洋海軍に脱皮しつつある。
60周年観閲式では、米空母を狙う新型対艦巡航ミサイルや対艦ミサイル「海紅旗」や直―8ヘリなどが参加して注目を集めた。
さらに昨春の青島沖の第1回国際観艦式では、原子力潜水艦(原潜)を含む潜水艦3隻、ミサイル駆逐艦5隻、ミサイルフリゲート艦7隻など25隻の艦艇と偵察機、戦闘機など各種作戦機31機が9個梯隊で参加して、威容を誇示していた。
●解放軍空軍は、昨秋の建軍60周年の記念行事でロシア製スホイ27戦闘機をライセンス生産した最新J―11戦闘機を公開するなど近代空軍ぶりを披露した。
中国空軍は久しく陸海軍の直協支援空軍の色彩が強い軍種であったが、近年は防空軍への脱皮が進み、今や攻防兼備の積極防空戦略を追求している。
その兵力は45万人が7つの空軍区に展開し、米国に次ぐ2570機の作戦機を擁している。作戦機の更新を進めて戦闘機SU―27、 SU―30を含む第4世代戦闘機330機などを有し、高射砲1万6000門、空挺軍3師団などを有している。
60周年観閲式では、空軍は防空ミサイル「鷹撃」、さらに機動レーダーや2種類の無人機(車載)などを車載で登場させた。
続く空中飛行パレードでは150機が12個編隊で飛行し、まず最新の空警―2000早期警戒管制機(2007年に墜落事故)がJ―7戦闘機の援護下で飛来した。
続いてJ―11戦闘機の護衛下で空警―200警戒管制機、6機の空中給油機編隊、H―6改爆撃機編隊、偵察機・電子機編隊、さらに「新飛豹」戦闘爆撃機編隊、国産J―10、J―11の2種の戦闘機などが15機編隊で威容を示した。
●ソフトパワー:サイバー攻撃能力と「三戦」の重視
近年、中国ではサイバー攻撃能力が強化され、世界各国のコンピューターネットワークへの不正侵入などが伝えられ、非対称戦の脅威がクローズアップしている。
さらに中国のハードパワー強化に当たっては、ハイテク兵器で限界を抱える中でサイバー攻撃力だけでなく、ソフト戦力の強化として「与論戦、心理戦、法律戦の三戦」の強化に努めている。
解放軍は国共内戦時代から心理戦や宣伝戦を重視してきたし、孫子以来の「不戦屈敵」の思想が下地としてある。
2003年12月には「解放軍政治工作条例」が戦時政治工作として「三戦」を積極的に展開することが制定された。
それは、敵の意志屈服の「与論戦」とともに新しい時代に相応しい「心理戦」の展開、敵を不正義とし、自己の正当化のための「法律戦」の3分野の戦力化と強化である。
加えて国防近代化が国防軍化や統合軍化の方向に進展する中で存在感が薄れてきた政治将校に新たに任務を開拓したことも考えられる。
解放軍の「三戦」は台湾統合に向けた展開だけでなく離島管理法の制定などわが国の尖閣諸島に揺さぶりをかける攻勢につながる可能性を秘めている。
●莫大な準軍隊として、武装警察部隊150万人、予備役兵80万人、民兵1200万人を抱え、有事の動員体制が整備されている。
総じて解放軍は、経済発展に伴って国防近代化が進められ、60周年観閲式で見せたように、その実力はアジア地位では他を圧倒する軍事力であり、国際政治にも大きな影響を及ぼす水準にある。
近年、中国脅威論が彷彿として起こっており、それは不透明なままで過大に評価された部分もあろうが、現に海洋や宇宙への進出と活動の活発化で緊張をもたらしている。
中国の富強戦略に基づく軍事力の増強ぶりは具体的に60周年観閲式で披露されていた。それは核反撃力の残存性の向上と通常戦力での「機械化」の大幅な進展、さらに「情報化」への着手などに見られてものである。
また後方関連でも野戦医療車、給油車、防災用の舟艇などが初出場し、四川地震の教訓を踏まえた防災対処能力や民生支援能力もアピールされた。
これらに中国軍の強化動向に関して米国防総省の議会宛の報告書『中国の軍事力:2009年版』(「2009年米国防報告」)は中国軍事力を「東アジアの軍事バランスを変える主要因」と強い警戒感を示している。
今後とも中国の軍事力はいくつかの課題も抱えながらも増強されていこうが、次ぎに強化された解放軍はどのような軍事戦略で運用されるのか、海洋への進出や宇宙の戦力化が新たな緊張をもたらしているが、浮上する注目点については次の機会に改めて紹介したい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E6%B0%91%E8%A7%A3%E6%94%BE%E8%BB%8D
近代化著しく、EUの禁輸解除も時間の問題!
2010.10.04(Mon)JBプレス 茅原郁生
中国はこれまで経済発展に伴い、軍事力を強化してきた。中国の軍事力は非同盟の戦略に基づく自己完結型の戦力であり、核戦力と通常戦力の両方を保有し、既に世界有数の軍事力に強化されている。
現に昨秋の建国60周年記念の軍事パレード(以下、60周年観閲式)では近代化の進展ぶりを見せていた。
中国の軍事力は引き続き増強を続けているが、その実力はどれくらいか、軍事革命が進展する中で、その実態が問題として浮上してくる。
本稿は、先の中国国家戦略や現状の紹介に続くもので、まず中国の国防近代化の動向と課題を検討したうえで、核ミサイル戦力と通常戦力の両面から軍事力の実態に迫ってみたい。
中国が進める国防近代化の推進と課題!
(1)国防近代化の必要性と目標
中国の軍事力は「富国強軍戦略」によって強化が続いている。その背景には中国の特異な安全保障観があり、アヘン戦争以来、列強から国土が蚕食されたという屈辱の近代史の体験から「力がなければやられる」という見方が根底にある。
また中国では、今日のような経済発展は国内外の安定した戦略環境が不可欠と見ており、それを保証するのが軍事力であるとの認識もある。そのために軍事力の役割が重視され、今世紀になっても国防近代化が優先して進められている。
中国の国防近代化の推進状況は、上で見たような国内事情だけでなく、中国を取り巻く国際情勢もまた軍事力の強化と近代化を促進させている。
中国が抱く脅威感を含めた情勢認識について、隔年で発行される『中国の国防2008年版』(国防白書、2009年1月発行の最新版)から見ておこう。
国防白書は中国が直面する脅威について「覇権主義・強権政治が存続しており、戦略資源の争奪や戦略要地を巡る局地衝突や非軍事的な争いは多発している」と米国の脅威を指摘し、「軍備競争は熾烈化し、軍事変革の進展がそれを促す」と警戒感を示している。
さらに中国は伝統的、非伝統的な脅威が交錯する多元的な脅威を受けており、「外部の安全環境は不確定になっている」と危機感を強めている。
このような情勢認識を受けて中国で進められる国防近代化は、これまで対米核抑止力の強化と台湾武力解放を保証するハイテク局地戦の勝利が目標とされてきた。
そして今日の国防近代化の方針は「量規模型から質量効能型へ」「人力密集型から科学技術密集型へ」の路線で進められ、これまでは火力や機動力の強化を中心とする「機械化」が中心であった。
しかし、2003年の米英有志軍によるイラク攻撃が見せたような物理的破壊力より敵の指揮中枢の機能を麻痺させる情報や心理戦などのソフトパワーを重視するいわゆる情報戦が飛躍的な進展を見せていた。
これら新しい戦争様相を踏まえて、中国は新たに情報戦に備えた「情報化」にも着手してきた。
そこで両者のバランスとして「国情や軍情を踏まえて機械化を基礎とし、情報化を主として逐次に進展させる」「情報化と機械化の複合的、飛び越え式で進める」などとが国防白書などに示されてきたが、その具体化や優先度はなお不透明で分かり難い。
総じて中国の安全保障環境の根底には対米脅威感があり、複雑で多元的な脅威や挑戦を受けていると楽観はしていない。
実際、中国は北大西洋条約機構(NATO)のアフガニスタンへの進出など中国の後背部に迫る現実をNATOの東方への拡大と見るとともに日米安保体制の強化などを重ねて中国は封じ込められているという被包囲感を抱いている。
(2)国防近代化の推進と軍事技術開発の課題!
中国は、改革開放30年を経て経済の高度成長を遂げてきたが、同時に市場経済の導入による貧富の格差拡大などの矛盾も露呈している。
その分だけ中国政権は解放軍など強権力の支持を必要としており、軍事力を重視して経済発展の成果に応じて国防近代化を推進してきた。
国防近代化の推進に当たっては、これまで21年にわたって国防費が対前年比で2桁も増額を続けてきたように国家資源の投下では高い優先度が維持されてきたし、今後も継続されよう。
しかし、近代化に不可欠な技術開発や国防産業基盤の面で、中国は脆弱性を抱えている。
特に世界で軍事革命が進む趨勢にあって、中国の軍事技術開発力や軍需工業基盤の強化は必須条件となっているが、中国自体の基礎研究や技術開発の部門は弱体であって自力更正には限界がある。
このため外国から新兵器や軍事技術の取得が必要になってくるが、1989年の天安門事件以来、西側からの対中禁輸制裁は続いている。
中国としてはロシアからの兵器供与に依存を強めており、その実態はストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の統計によると、2000~2004年にロシアが輸出した269億ドルの兵器の40%が中国向けであった。
2008年には大型輸送機の契約キャンセルなどで対中輸出比率は18%低下したものの、中国にはロシアが最大の新兵器供給国である。
しかし近年、ロシアが兵器輸出の規制を強め、また商業的になって従来の兵器需給関係は厳しくなっており、中ロ関係は打算的な協力関係の側面を見せてきた。
その原因は、中国の兵器の近代化は取得した兵器の模造や改造が多く、例えば新鋭戦闘機「殲J―11B」は「スホイ(Su)27」戦闘機を、「元」級潜水艦はキロ級潜水艦を、99式戦車はT72戦車を、と21種に上るほどに兵器の模造が多く、ロシアは中国の知的所有権の考え方に不信感を抱いてきた。
そこで中国としては西側先進国の軍事技術取得の意欲を強めているが、米国には去る5月の米中経済・戦略対話(北京)でハイテク技術の対中輸出緩和を求め、「米中ハイテク貿易の重点領域協力の行動計画」の実施に踏み切らせている。
米国が核心的な技術まで輸出することはないとしても、軍事転用技術の対中輸出などに妥協してくる可能性はあり得よう。また近年、欧州連合(EU)が対中兵器輸出の禁輸解除を探る動きに日米は反対してきたが、今や解禁は時間の問題となってきた。
これらから中国の国防近代化は軍事技術の分野で一進一退の状況にあり、その進展には一定の制約が伴おう。
特に中国が革新技術にキャッチアップ後、軍事革命時代にふさわしい独自の軍事技術の開発や実用化の面では問題を残している。
中国の新しい時代の国防近代化の進展は、知的所有権に対する姿勢や国際協調路線への踏み込み、軍事的透明性の向上などの要求に中国がどのように対応できるかにかかっている。
軍事力の実態!
60周年観閲式で見せた軍事力は、1999年の建国50周年記念閲兵式の当時に比べて、格段に近代化の進展ぶりを見せつけていた。
そこでは52種類の国産開発の新兵器が登場し、いわゆる火力・機動力の強化などの強化を目指す「機械化」の大幅の進展を見せるとともに、情報をリアルタイムで共有し、統合戦を遂行するなどのいわゆる「情報化」に着手したことも見せていた。
それはこれまで国防投資が優先されてきた成果でもある。
中国の軍事力の現況をどのように評価するかについて、英・国際戦略研究所の年報『ミリタリー・バランス2008―09』や60周年観閲式などから、その実態に迫って要約しておこう。
(1)核戦力の強化と実態
中国は1964年に核爆発実験を成功させ、45回の核実験を経て核弾頭の小型化などを進めてきた。ミサイル開発の進展もあって、1980年代に大陸間弾道弾(ICBM)や原子力潜水艦に搭載される弾道ミサイル(SLBM)などの実戦化が実現し、「最小限核抑止戦略」を追求している。
中国の核戦力の現況は9個軍、12万人の戦略核ミサイル部隊(第2砲兵)がある。核弾頭は200発を超え、運搬手段としてはICBM46基、中距離弾道弾(IRBM)35基にSLBM24基を展開して、対米(ロ)抑止力として機能している。
併せて短距離ミサイル(SRBM)725基を保有して、台湾だけでなくアジア近隣諸国に対しても有効性を発揮している(図表1)。
60周年観閲式では、第2砲兵軍は5個梯隊で中・長距離の各種形式の108基のミサイルを参加させた。
その充実ぶりは、米東海岸を射程内に収める東風31A号ICBM(射程1万キロ、以下DF31A)が超大型トレーラーに搭載されて登場し、また隣接国を射程に収める東風21C号IRBM(射程3000キロ)、さらに各種SRBMのほかに長剣―10巡航ミサイルの初出現など、99年当時に比べて顕著な強化ぶりであった。
また新型の核搭載原子力潜水艦(SSBN)として晋級の就航や巨浪2型SLBMの開発など、隠密性のある核反撃力の配備も伝えられている。
これらに関して防衛省発行の『日本の防衛(2009年度版)』(以下「2009防衛白書」)は「ミサイルの射程延伸、命中精度向上、多弾頭化などの進歩と長剣―10巡航ミサイルなど空母攻撃能力の強化」に憂慮している。
(2)通常戦力の現況
解放軍は建国とともに革命軍から国防軍に変身し、今日に至っている。また建国前後に海軍、空軍が相次いで創設され、3軍体制で近代化を進め、その各軍種戦力の現状は図表2の通りである。
●解放軍(地上軍)は兵力160万人が7個軍区に展開して、それぞれ戦区戦略により国土防衛の任を担うとともに、共産党政権を支える「党の柱石」の役割を果たしている。
その近代化は、旅団化などの編成の効率化、即応能力の向上、兵器の性能向上などを進めながら限定的な統合運用を追求している。
現有実戦力は18個集団軍、火砲1万7700門、戦車7580両と多量であるが、全般にまだ旧式兵器が多い。
60周年観閲式では16個梯隊にわたって99式戦車、96式戦車、水陸両用歩兵戦闘車、空挺降下用戦車、自走高射砲、野戦用防空ミサイル、直―9武装ヘリ等がパレードし、いわゆる「機械化」の大幅な進展を見せつけた。(「2009防衛白書」)
これらの隊容から解放軍が地域防御型から全国土機動型への改編が進んだと認めている。
●解放軍海軍は今や遠洋海軍を指向している。その現況は、航空兵や陸戦隊などを含む27万人の勢力が3個艦隊に配備されている。
艦艇の総量は114万トンと米ロに次ぐ世界第3位の艦艇量を擁し、大型水上戦闘艦艇75隻、潜水艦60隻以上、中・大揚陸艦55隻、ミサイル搭載哨戒艇75隻などに加えて航空戦力を約800機保有している。
さらに外洋補給艦や病院船などを新造するなど外洋進出の意図をうかがわせ、またパワープロジェクションとして海軍陸戦隊の2個旅団1万人を擁している。このように中国海軍は近海防衛戦略により沿海海軍から外洋海軍に脱皮しつつある。
60周年観閲式では、米空母を狙う新型対艦巡航ミサイルや対艦ミサイル「海紅旗」や直―8ヘリなどが参加して注目を集めた。
さらに昨春の青島沖の第1回国際観艦式では、原子力潜水艦(原潜)を含む潜水艦3隻、ミサイル駆逐艦5隻、ミサイルフリゲート艦7隻など25隻の艦艇と偵察機、戦闘機など各種作戦機31機が9個梯隊で参加して、威容を誇示していた。
●解放軍空軍は、昨秋の建軍60周年の記念行事でロシア製スホイ27戦闘機をライセンス生産した最新J―11戦闘機を公開するなど近代空軍ぶりを披露した。
中国空軍は久しく陸海軍の直協支援空軍の色彩が強い軍種であったが、近年は防空軍への脱皮が進み、今や攻防兼備の積極防空戦略を追求している。
その兵力は45万人が7つの空軍区に展開し、米国に次ぐ2570機の作戦機を擁している。作戦機の更新を進めて戦闘機SU―27、 SU―30を含む第4世代戦闘機330機などを有し、高射砲1万6000門、空挺軍3師団などを有している。
60周年観閲式では、空軍は防空ミサイル「鷹撃」、さらに機動レーダーや2種類の無人機(車載)などを車載で登場させた。
続く空中飛行パレードでは150機が12個編隊で飛行し、まず最新の空警―2000早期警戒管制機(2007年に墜落事故)がJ―7戦闘機の援護下で飛来した。
続いてJ―11戦闘機の護衛下で空警―200警戒管制機、6機の空中給油機編隊、H―6改爆撃機編隊、偵察機・電子機編隊、さらに「新飛豹」戦闘爆撃機編隊、国産J―10、J―11の2種の戦闘機などが15機編隊で威容を示した。
●ソフトパワー:サイバー攻撃能力と「三戦」の重視
近年、中国ではサイバー攻撃能力が強化され、世界各国のコンピューターネットワークへの不正侵入などが伝えられ、非対称戦の脅威がクローズアップしている。
さらに中国のハードパワー強化に当たっては、ハイテク兵器で限界を抱える中でサイバー攻撃力だけでなく、ソフト戦力の強化として「与論戦、心理戦、法律戦の三戦」の強化に努めている。
解放軍は国共内戦時代から心理戦や宣伝戦を重視してきたし、孫子以来の「不戦屈敵」の思想が下地としてある。
2003年12月には「解放軍政治工作条例」が戦時政治工作として「三戦」を積極的に展開することが制定された。
それは、敵の意志屈服の「与論戦」とともに新しい時代に相応しい「心理戦」の展開、敵を不正義とし、自己の正当化のための「法律戦」の3分野の戦力化と強化である。
加えて国防近代化が国防軍化や統合軍化の方向に進展する中で存在感が薄れてきた政治将校に新たに任務を開拓したことも考えられる。
解放軍の「三戦」は台湾統合に向けた展開だけでなく離島管理法の制定などわが国の尖閣諸島に揺さぶりをかける攻勢につながる可能性を秘めている。
●莫大な準軍隊として、武装警察部隊150万人、予備役兵80万人、民兵1200万人を抱え、有事の動員体制が整備されている。
総じて解放軍は、経済発展に伴って国防近代化が進められ、60周年観閲式で見せたように、その実力はアジア地位では他を圧倒する軍事力であり、国際政治にも大きな影響を及ぼす水準にある。
近年、中国脅威論が彷彿として起こっており、それは不透明なままで過大に評価された部分もあろうが、現に海洋や宇宙への進出と活動の活発化で緊張をもたらしている。
中国の富強戦略に基づく軍事力の増強ぶりは具体的に60周年観閲式で披露されていた。それは核反撃力の残存性の向上と通常戦力での「機械化」の大幅な進展、さらに「情報化」への着手などに見られてものである。
また後方関連でも野戦医療車、給油車、防災用の舟艇などが初出場し、四川地震の教訓を踏まえた防災対処能力や民生支援能力もアピールされた。
これらに中国軍の強化動向に関して米国防総省の議会宛の報告書『中国の軍事力:2009年版』(「2009年米国防報告」)は中国軍事力を「東アジアの軍事バランスを変える主要因」と強い警戒感を示している。
今後とも中国の軍事力はいくつかの課題も抱えながらも増強されていこうが、次ぎに強化された解放軍はどのような軍事戦略で運用されるのか、海洋への進出や宇宙の戦力化が新たな緊張をもたらしているが、浮上する注目点については次の機会に改めて紹介したい。
PR
この記事にコメントする
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
最新記事
(03/07)
(03/07)
(03/07)
(03/07)
(03/07)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
魚沼コシヒカリ.com
年齢:
70
HP:
性別:
男性
誕生日:
1954/01/01
職業:
農業
趣味:
スキー・読書・インターネット
自己紹介:
私は、魚沼産コシヒカリを水口の水が飲める最高の稲作最適環境条件で栽培をしています。経営方針は「魚沼産の生産農家直販(通販)サイト」No1を目指す、CO2を削減した高品質適正価格でのご提供です。
http://www.uonumakoshihikari.com/
魚沼コシヒカリ理想の稲作技術『CO2削減農法研究会』(勉強会)の設立計画!
http://www.uonumakoshihikari.com/
魚沼コシヒカリ理想の稲作技術『CO2削減農法研究会』(勉強会)の設立計画!
ブログ内検索
アーカイブ
最古記事
(03/16)
(03/17)
(03/18)
(03/18)
(03/18)
P R