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エジプトとは似て非なる独裁制~中国株式会社の研究(98)

2011.02.18(Fri)JBプレス 宮家邦彦

 2月11日夜、エジプトのホスニ・ムバラク大統領があっけなく「退陣」した。軍はエジプト国民に発砲することなく、独裁者ムバラク一派という「がん細胞」を除去した。このニュースを中国共産党指導部はいかに受け止めたのだろうか。これが今回のテーマである。

 「ムバラクは甘い」「天安門事件のように徹底的に弾圧すべきだった」のか、それとも、「民主化は不可避かもしれない」「解放軍が再び国民に銃口を向ければ共産党に未来はない」と考えるのか。今回も中国政府に代わって勝手に答えてみよう。

ムバラク退陣:中国官民の反応!

2月12日、中国外交部報道局長は、「中国は一貫して事態の推移を注視してきた」としつつ、ムバラク退陣後のエジプト情勢について、「国家の安定と正常な秩序の早期回復につながることを希望する」と述べたそうだ。

 また、同日午前、新華社通信も「国際社会は平和的な政権移行を求めている」と配信した。さらにほぼ同時期、劉志軍鉄道部長が「重大な規律違反」、すなわち汚職で更迭されている。

 さすがは中国だ。打つべき手はちゃんと打っている。まるで他人事のように素っ気ないこれらの発表の行間には、中東の大規模デモが国内へ波及することを望まない中国政府の強い危機感が見え隠れする。

 もちろん、「民」の方も敏感に反応した。報道によれば、エジプト情勢に関する様々なコメントと中国政府批判が、ネット上に書き込まれては直ちに削除されているそうだ。例えば、次のようなものである。

●勇敢なエジプトの人たちに敬意を表す
●私たちにも早くこのような日が来ることを待ち望んでいる

●独裁が倒れる! 次は中国の番だ!
エジプト軍は発砲しなかった、彼らは(天安門事件で発砲した中国軍とは違う)「人民の軍隊」だ

 中国の若者の気持ちも分からないではないが、エジプト軍が発砲しなかったのは「人民のため」を思ったからだけではない。まあ、何とナイーブな人たちなのだろう。

エジプト軍と人民解放軍については前々回書かせていただいたので、ここでは別の角度から、今回のムバラク大統領退陣を巡る騒乱が中国に波及する可能性は低いと思う理由について書いてみたい。

エジプト合名会社」!

最大の理由は両国の独裁体制の違いである。改めて、今回のエジプト軍の政治的「立ち回り」を中国と比較してみると、つくづく「中国株式会社」というシステムがそれなりに「進化」した独裁体制であることがよく分かる。

 両体制とも建国はほぼ同時期(1949年と1952年)、いずれの革命でも軍は重要な役割を果たした。この点でも中国エジプトはよく似ている。

 しかし、その後の60年間に両国の軍は全く異なる歴史を歩んできた。

 中国では、文化大革命期を経て、1980年代から党中央は徐々に文民主体の集団指導体制に移行していった。「中国株式会社」の「株主」は数千万人もの共産党員であり、現在の「取締役会」メンバーは9人全員が文民である。

 最近「警備(人民解放軍)」部門が自己主張を強めているものの、過去30年、中国で「ガードマン」が政治的実権を握ることはなかった。中国の文民政府は、軍を統制しつつ、経済発展による国民生活の向上に精力を集中することができた。

 これに対し、エジプトでは革命後も軍が一貫して政治的実権を握り、与党・国民民主党は軍の「政治部門」に過ぎなかった。ムバラクが引き継いだ組織は中国のような「株式会社」ではなく、むしろ出資者・社員がほぼ全員軍関係者である「合名会社」に近い。

 そのエジプト合名会社の代表権をムバラクは「王朝化」し、次男に権力を「世襲」させようとした。このような「権力の私物化」に対し、エジプト国民が怒りの声を爆発させたのも当然であろう。

 合名会社の社員は全員が無限責任を負う。社長が「御乱心」となれば、顧客である国民の信頼は失墜し、その被害は直ちに会社全体に及ぶ。だからこそ、彼らはムバラク「社長」を直ちに更迭し、会社の再建を始めたのだろう。

 似たような一党独裁でも、さすがに中国ではムバラクエジプト北朝鮮のような政治権力の「王朝化」や「世襲」は起きなかった。

近年経済格差や腐敗・汚職に対する騒乱・暴動が多発してはいるものの、こうした文民・集団指導型の独裁体制こそが民衆の不満の爆発を巧妙に防いできたと言えないことはない。

インターネット検閲技術!

第2の理由はネット検閲技術の差である。

 今回のエジプトの騒乱はチュニジアでの政変が波及した結果だと言われる。

 両国とも若者の間でインターネット、特にフェイスブックやツイッターが普及し、それが大規模デモの動員に重要な役割を果たしたことは間違いない。

 例えば、フェイスブックはそのアラビア語版が立ち上がった2009年頃から急速に利用者が増え始め、2010年にはエジプトで500万人、チュニジアで200万人の利用者がいるとの統計もある。

 しかし、インターネットと言うなら、中国の方がはるかに進んでいる。エジプト中国が決定的に異なるのは、近年中国の検閲技術が飛躍的に進歩し、新しいネット媒体に対する党・政府の効果的な統制を可能にしていることだ。

 チュニジアエジプトでは高度なネット検閲という話など聞いたことがない。

 それどころか、今回のエジプトの例では、個別のきめ細かな検閲・規制ができなかったからか、騒乱が激しくなった時点で政府側がインターネットサービスそのものを停止するという事態になった。およそ中国では考えられない低レベルの話である。

 以前書いたように、中国ではいわゆる「グレートファイアウォール」から「グリーンダム」ソフトまで、考えられるすべてのコンピューター技術がネット検閲に活用され、それに膨大な資金と人材が投入されている。


エジプトのような「中途半端な」独裁では、フェイスブックなどを使ったデモの呼びかけには対抗できない。別に奨励するわけではないが、独裁政治をやるなら「中途半端」ではなく、中国のように「真面目に、徹底的に」やるしかないということか。

強靭な「中国株式会社」

というわけで、筆者は今回の中東における反政府運動のうねりが直ちに中国に波及するとは思っていない。

 一部にはイスラム圏である新疆ウイグル自治区への波及を予想する向きもあるが、仮にウルムチなどで小規模の騒乱が起きても、中国治安当局の備えは万全であり、封じ込めは十分可能だろう。

 必要ならいつでも国民に銃口を向ける。現場での徹底弾圧。これが中国のやり方だ。

 北京に波及しない限り、当面「中国株式会社」は安泰である。残念ながら、今回の中東での騒乱が直ちに中国に波及することはないだろう。

 エジプトの騒乱を見て、中国はこんなことを永遠に続けられるのかという「良心の声」は北京から全く聞こえてこない。悲しいかな、これが現在の中国の実態である。

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