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難民対策に基地提供・・・、準備すべきことは山ほどある!
朝鮮戦争
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E6%88%A6%E4%BA%89
2010.12.07(Tue)JBプレス冨澤暉
の朝鮮問題が熱戦や治安事態に変化するのか、あるいはまた延々とした6カ国協議に戻るのか、について断言できる人は少ない。また仮に6カ国協議に戻るとしても、早晩、熱戦・治安事態の危機が再発生することも明白である。
休戦が破られれば国連軍が必然的に参戦する!
この事態を前に日本が今、早急に、準備をすべきことは何であろうか。
熱戦・治安事態が生起した場合、中国がどういう立場を取るかが最大の鍵であるが、米中両国はともにそれを望んでいないので、米中戦争に発展させることは避けられると期待する。
いずれにせよ朝鮮戦争は休戦中であり、休戦が破られたとなれば、米韓両軍はもとより、休戦時にニューヨークで再結集を約束した朝鮮国連軍参加各国の多くがこの収拾のために参戦することになろう。
日本はこの朝鮮国連軍参加各国との間に「国連軍地位協定」(1954年)を締結しており、在日米軍基地のうち7カ所を国連軍用基地として指定している。
日本政府は1999年に「周辺事態法」を制定した。これは朝鮮半島で熱戦・治安事態が生起した場合、米軍を支援するに当たり「米軍地位協定」のみでは不十分、という認識の下に策定されたものである。
まずは「国連軍支援」の明文化を!
日本がこの事態に国連軍を支援する必要があるのなら、まずは、現「周辺事態法」の中に「国連軍支援」を明文化する必要がある。
さらに、いまだ「国連軍地位協定」に参加していない韓国との間で本協定の調印・締結がなされなければならない。特に治安事態になった場合、韓国内にある米韓両軍基地は脆弱となるので、米韓両軍を含む国連軍にとって日本の基地は極めて重要になる。
この基地提供のみならず、これら国連軍に日本の港湾・空港等を提供し、また様々な援助を与えることが、直接参戦できない日本にとって何よりも重要となる。
その援助の多くは情報・後方兵站を含む軍事援助なので、陸・海・空自衛隊が中心となって支援しなければならない。現在、日・米・韓プラス豪等の連携が叫ばれているが、これらの援助がしっかりできるように準備することでその連携が現実のものとなる。
日本の自衛隊がその国連軍に参加して、韓半島に戦力を及ぼしてはどうか、という意見もあろうが、それはできない。
韓国から、そして北朝鮮から難民が押し寄せる!
北朝鮮の人も韓国の人も、日本の戦力が韓半島に及ぶことには、極めて敏感であり、その結果は熱戦・治安事態の終了後に、より悪い結果を招くからである。
邦人救出も、現状では極めて難しい。前述の問題をも含み、戦争で忙しい韓国の空港・港湾を一部とはいえ日本が優先使用することは困難だからである。
ここは、米・韓・国連軍とあらかじめ緊密に調整し外交的に準備しなければならない。
第1次朝鮮戦争において、日本への難民流出はあまりなかったと言われる。しかし、今回は多数の難民が出現すると思われる。
かつて、遠いベトナムからですら日本に難民がたどり着いたのである。特に韓国からの難民は多いだろうし、そこに北朝鮮系の人々が相当数含まれることも予測される。
ミサイルで日本が攻撃されても反撃できない日本!
難民は入国管理局の担当だろうが、何万何十万ともなる難民を日本はどう受け入れるつもりなのだろうか。まさか、戦時の韓半島に送り返すこともできまい。
この人たちへの対応が悪ければ暴動が起きるかもしれない。収容施設・給食・採暖等生活環境の支援、更には暴動抑止のために警察・自衛隊は何ができるのだろうか、その準備が既にできている、とは寡聞にして聞かない。
日本が米・韓・国連軍に基地を提供し各種支援をすれば、これに対する北朝鮮からの妨害行動が予測される。
北朝鮮のミサイル攻撃に対してはミサイル防衛と敵基地攻撃しかない。ミサイル防衛は、そのすべてを東京に集中すれば東京周辺だけは何とか守れるかもしれない。しかし現段階では、技術的・数量的限界からして日本全土を守ることはできない。
敵基地攻撃は現在の自衛隊では法的にも技術的にも実行できない、これは米韓軍に依存するしかない。
北朝鮮も滅多なことではミサイルを人口密集地に打ち込んでこないと思われるが、後は急遽、シェルター(防空壕)を掘り、地下街に空気清浄機をつけ、国民保護訓練を盛んにするしか対応策はないだろう。
訓練された北朝鮮によるテロとゲリラに対処できるか
こうした事態において、一番の問題は日本国内においてテロ・ゲリラが発生することである。北朝鮮には9万人の特殊部隊がおり、また韓国・日本内部にもこれに通じる人々がいる、と言われている。
日本には電源・水源・通信・交通機関に脆弱な施設などが多く、テロ・ゲリラにそれらを狙われたら日本人の生活は危殆に瀕する。
1996年、韓国東部に26人のゲリラが上陸した時、韓国軍は6万人の兵士を何十日間も投入したという。
日本各地でこういう事態がいくつも同時に発生した時、担当の警察は対応できるのであろうか。また、自衛隊はどうするのであろうか。シナリオに基づく具体的な回答を政府から聞いた人はいない。
防衛大綱で5年から10年後に備えることは無論大事であるが、このような目の前のことを確認し、直ちに実行することが今何よりも大事ではないか。
やまとごころ.jp
http://www.yamatogokoro.jp/
インバウンド業界トップインタビュー
「総合ワールドトラベル株式会社 代表取締役 王一仁」
プロフィール
1948年6月、上海生まれ。すぐに家族で香港に移住し、1968年に初来日。1970年に東京工業大学入学、修士課程卒業後、マサチューセッツ工科大学大学院に交換留学。1992年に株式会社ワールドパワー旅行社設立、1992年に現在の総合ワールドトラベル株式会社設立。
30年前からいち早く日本のインバウンド旅行業に目を付けていた「総合ワールドトラベル株式会社」の社長・王 一仁氏。今回はアセアンインバウンド観光振興会(以下AISO)の理事長でもある王氏に現在の日本のインバウンド旅行業についてお話しを伺いました。
マサチューセッツ工科大学院卒のエリートが旅行業界へ進んだ理由とは?
村山
本日はまずは王さんが起業にいたるまでのプロセスをお聞きしたいと思います。
王
中国上海に生まれたのですが、その後香港に移住し、高校時代までを過ごしました。
1960年代の日本は、アジアでは製造業の先進国として、香港の工業界にも多大な影響力があり、私も関心を持っていました。来日のきっかけは、英語圏の香港学生が日本に留学させるため、母校(高校)が留日奨学金を開設し、私はそれを獲得。1968年に初来日しました。
.そして1970年の大阪万博に通訳ボランティアガイドとして活動し、期間中は6500万人の訪問者と出会いました。その時、日本のインバウンド事業には無限の可能性があるのではと、強く感じたのです。
それがきっかけとなり日本の大学に留学することに決めたのです。
村山
日本の大学では何を専攻されていたのですが?
王
香港で奨学金を取得し、東京工業大学に進学しました。今の菅総理大臣と同じ大学ですね。彼のほうが2、3年先輩ですが。
専攻していたのは繊維工学です。当時の香港は繊維産業が盛んでしたので、日本の最新技術を学びたいと思ったのです。
村山
理系の学生だった王さんが、どうして旅行会社に?
王
学生のときに、国際交流のクラブ活動を熱心に行っていました。海外の留学生を受け入れるお手伝いや、通訳などを担当していたのです。結果としては、そのときの体験が現在の仕事につながっているのでしょう。
そして大学を卒業して、一度香港に帰ったのですが、その頃には香港内の繊維産業がコストの安いアフリカや中国本土へと展開されていて、私が就きたいと思っている仕事が極端に減っていたのです。少し時間を稼ぎながら様子を見ようということで、今度はアメリカのマサチューセッツ工科大学院に進んで、勉強を深めることにしたのです。しかし、マサチューセッツを卒業して帰ってきても、香港内に繊維の仕事がまだ戻ってきてはいませんでした。
そんな中、アメリカでも、日本にいた頃と同様の国際交流のクラブ活動を続けていて、その延長としてこの仕事が始まったというのが、正直なところです。
村山
ところでアメリカや香港ではなく、どうしてこの日本を拠点とされたのですか?
王
香港はもちろん、当時のアメリカにも中国人はたくさんいましたが、日本国内にはまだまだ少なかったのですね。だからこそ中国人である私が活躍できる場も多いのではないかと判断しました。
そして、外国人ならではの視点で見つけた“日本の弱い部分”を補うことが、ビジネスチャンスにつながるのでは、と考えたわけです。
当時の日本はアウトバウンドばかりで、インバウンドの部分が非常に弱かったのです。だから、日本を拠点として海外の観光客を集めるスタイルの旅行業に携わろうと考えたのです。
そして1981年に最初の会社である株式会社ワールドパワー旅行社を立ち上げました。
個人旅行客に対して有効なのは、友人のようなガイドと地元に密着した情報!
1981年からといいますと、すでに30年近くインバウンドに携わってこられた王さんですが、昨今の状況について思うところはありますか。
王
ご存知の通り、日本のインバウンドは諸外国に比べて立ち遅れているといわざるをえません。世界で28番目、アジアでも8番目といわれているくらいですから。
その要因については様々あると考えますが、第一にガイドのレベルの問題があげられます。
日本ではライセンスの有無の問題にばかり目がいきがちですが、必要なのは資格ではなくスキル。スキルというのは客を喜ばせ安心させる能力、あるいはサービス精神であったりホスピタリティであったりしますが、とにかくこの部分が弱い。
村山
なるほど。確かにそれは問題ですね。
王
そこで私たちが提唱しているのが、「ホスピタリティ・ガイド」と呼んでいるボランティアガイド。これから増加傾向の個人旅行客には、ものすごく有効な手段だと思うのです。
多少、言葉が上手に伝わらなくても、団体客ではない個人の客であれば、意思の疎通は何とかなります。逆に滞在型の個人客相手であれば、日本人ならではの案内スポット、例えばおいしいけど小さなラーメン店や寿司店。安い買い物ができるドラッグストアや100円ショップ、ディスカウントストアなどに友人感覚で案内できるので非常に喜ばれますし、とても“健全”だと思うのです。
.村山
“健全”じゃないケースもあるのですか?
王
香港や台湾などの旅行会社が企画する団体向けの激安日本ツアーというのは、提携している土産店やレストランからのショッピングコミッションで成り立っているんです。
大型家電販売店などのようにしっかりとした店であれば良いのですが、日本の国内で台湾人や韓国人が経営している怪しげな店に連れて行って、観光客に高い買い物をさせたりする悪質なケースもあります。
先日、香港でも、こういったガイドとお店の癒着についてマスコミにも大きく取り上げられ問題となっていました。こういったやり方は日本では考えられませんよね。
しかし観光客を呼び込むためのノウハウとしては、日本も学ぶべき点があるのではと思うのです。アウトバウンドの世界ではよく使われている手法ですが、決して不健全な仕組みを推奨しているのではありませんよ。皆さんも海外で経験ありますよね。日本は、そのような恩恵を受けてばかりで、恩恵の与え方を理解していないのだと思うのです。
村山
つまり、ツアーを安くするための仕掛け、みたいなものを用意するということですね。
王
そうです。
訪日観光のノウハウをシェアするための「アセアンインバウンド観光振興会」!
王さんが「アセアンインバウンド観光振興会(AISO)」を立ち上げられた理由というのも、その辺の歯がゆさというか、ノウハウのシェアをすべきであると考えられてのことだったのですね。
王
その通りです。国家レベルの観光推進ですと、どうしてもお金の話が先行してしまいます。海外に行って現地の業界人の話を聞くと、「日本はお金持ちだ。あんなにバラ撒いて」なんてよく笑われます(笑)。
お金を使ってカタチだけをなぞるような政策ではなく、民間レベルでもやるべきことをやっていくべきで、そのためには旅行会社やホテル、旅館なども共通意識を持って、どんどん参入していかなくてはなりません。
そうでないと、これから1千万人の観光客を誘致しようとしているわけですから、現状の体制ではカバーできるはずがないのです。
.村山
なるほど。現在はAISOにはどのくらいの企業が参加しているのですか。
王
設立してからの4年間で、登録企業は82社に上ります。やはり、インバウンドへの注目が高まってきたここ1年の間に、実に多くの企業が賛同して下さいました。
私もこの業界で30年やってきて、それなりのノウハウは持っているつもりです。その知識を皆さんとシェアし、活用していただきたいと考えています。
そして、インバウンド後進国といわれている日本の、その汚名をなんとしてでも拭っていきたいと思います。
村山
そうですね、是非。最後に今後のビジョンについてお聞かせいただけますか。
王
第一の目標は、何度もいうように日本の魅力や強みを、世界へ向けて発信していきたいということ。正しい方法で対処していけば、元々実力のある国なのですから、必ずや実を結ぶはずです。そのためにはさらにネットワークを広げていきたいですよね。
現在、観光立国と地方活性化という2つの政策の影響からか、実に多くの地方公共団体や観光協会の方々が商談にお見えになられます。しかし、皆さんには「少し待って下さい」とお願いしている状況です。まずは東京エリアの体制をキチンと整備して集客してから、地方へと段階を踏んで広めていきたいと考えます。
体制ができていない状況で、手だけを拡げていくことは大変危険であることは、誰でも理解するところだと思います。しっかりとネットワークを作り確実に進めていきたいと思います。
村山
なるほど。王さんのように、外国の方の視点で物事を考えながら、日本のインバウンドを推進される方というのは、大変稀有な存在であると考えます。これからも、インバウンドの発展のために頑張って下さい。今日はお忙しい中、どうもありがとうございました。
TPPは農業の破壊神にあらず、救世主!民主党・戸別所得補償の設計ミスを正す好機だ!
2010年12月6日 DIAMOND online
山下一仁 [キヤノングローバル戦略研究所研究主幹/経済産業研究所上席研究員(非常勤)/東京財団上席研究員(非常勤)]
やや旧聞に属するが、11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)における菅直人首相の発言には内心驚いた。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加に関して「関係国と協議する」と明言しただけでなく、オーストラリアやEU(欧州連合)とのあいだの個別のEPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)についても公の場で意欲を示したからだ。
元来、日本が外交的に大きな決断を下すのは、本当に切羽詰まったときだ。呑むか呑まないか、瀬戸際に追い詰められたときにしか決断できない。
筆者が農水省の担当官として交渉に携わった旧GATTウルグアイ・ラウンド(多角的貿易交渉、1986~1995年)においても、コメ市場の部分開放を含む合意内容の受け入れを日本が決めたのは最後の最後、交渉のデッドラインの1日前だった。今回はまだそこまで追い詰められていないにもかかわらず、首相自らが早くも国際舞台で踏み込んだ発言をした。TPP参加については、菅政権にも“それなりの覚悟”があるということだろう。
ちなみに、TPPとは関税撤廃を柱とするFTAを多国間で同時に結ぶものだ。2006年にチリ、シンガポール、ニュージーランド、ブルネイの4ヶ国で発効したのが始まりで、その後、米国、オーストラリア、ペルー、マレーシア、ベトナムが参加の意思を表明して、交渉を開始している。
日本は、出遅れた。個別のFTAについても、EUに続き先週末には米国とも合意に達した韓国に先を越された。日本が出遅れた背景には、他でもいない、農業団体の強い反発がある。
日本の場合、コメの778%をはじめとして農作物輸入には高い関税がかけられている。TPPに参加すれば10年間で関税を原則撤廃しなければならない。そのようなことになったら「日本の農業は壊滅する」と農協などが中心となって猛反発しているのである。
農協などが語るTPP批判の誤謬については後述するとして、政治の側面から見れば、菅首相はTPPを政権の浮揚材料にしようとしているのではないだろうか。
2005年、自民党の小泉純一郎首相(当時)は、郵政改革を掲げ、反対する党内の勢力を「抵抗勢力」に仕立て上げることで、総選挙にまで打って出て、沈みかけていた自民党を浮揚させた。菅政権も、TPPという踏み絵を提示し、反対する党内勢力を抵抗勢力に仕立て上げることは可能だ。
もともと民主党は、菅氏や仙谷由人氏(官房長官)、岡田克也氏(幹事長)、前原誠司氏(外相)ら「都会型政党」出身者と、小沢一郎グループや旧社会党系議員らからなる「農村型政党」出身者などの寄り合い所帯だ。各種世論調査で、内閣支持率が政権維持の危険水域とされる30%を下回り、そもそも弱い党内の結束がさらに希薄化する中で政権の起死回生を目指すならば、TPPは格好のカードだ。
かつて小泉氏が郵政を取り上げたように、農政を取り上げれば、抵抗勢力をあぶりだすことができる。自民党も先の衆院選で農林族の大物が加藤紘一氏を除きことごとく落選したために、農林族の層が薄くなっており、TPPに賛成しやすくなっている。いざとなれば、民主党が割れて、自民党の一部とくっつくようなこともあり得るかもしれない。
さて話が横道に逸れたが、本題に入ろう。TPPに関して前述のとおり菅首相は参加に意欲を示しているが、農業関係者はコメなどを関税撤廃の例外とできる2国間の自由貿易協定ならまだしも、例外を認めないTPPは日本農業を壊滅させると反発を強めている。
農水省はTPPに参加すると8兆5千億円の農業生産額が4兆1千億まで減少し、食料自給率は14%まで低下。また、洪水防止などの農業の多面的機能は3兆7千億減少するという試算を出している。
では、果たしてこうしたTPP批判は正しいのだろうか。結論から言えば、筆者は、間違っていると思う。
第一に影響額が意図的に大きく試算されている。これは、データの取り方に問題があるためだ。農水省の試算では、生産額の減少のうちの半分(2兆円)がコメについてであり、海外から安いコメが入ってくるとコメ農業は壊滅するとしているが、まずその根拠として使われている日本と中国のコメの内外価格差の前提条件がおかしい。
日本が中国から輸入したコメのうち、過去最低の10年前の価格を海外の価格とし、これを国内の値段と比較して内外価格差は4倍以上あるとしているのだ。しかし中国から現実に輸入したコメの値段は09年で約1万500円(60kgあたり)と10年前の水準である3千円から3.5倍も上昇している。一方で国産米価は、約1万4千円に低下している。日中間の価格差はいまや1.4倍以下にまで縮小しているのだ。
そもそも、一方では農水省は食料の国際価格は上昇するという試算を公表し、食料危機説をあおりながら、将来とも大きな内外価格差が継続すると主張するのは、矛盾の極みだ。
また、日本の農家の平均的なコストと輸入価格とを比較している点も、おかしい。肥料や農薬などコメの生産に実際にかかったコストの平均値は9800円だが、農家を規模別に見ると、0.5ha未満という規模の小さい農家のコストが1万5千円であるのに対して、15ha以上の規模の大きい農家は6500円にまで下がる。
TPPに参加し関税が撤廃され国内米価が下がっていけば、規模が小さくコストの高い兼業農家は確かに立ち行かないだろうが、大規模な農家は存続できる余地が多いにある。
ただし、規模の大きい農家が存続するために、政府がやらねばならないことはある。
そもそも現在の日本の国内米価は、減反して生産を制限する事によって維持されている。減反は生産者が共同して行なう、いわゆるカルテル行為だ。カルテルによって国際価格よりも高い価格が維持できるのは関税があるからだ。その関税がなくなれば、カルテルである減反政策は維持できなくなり、国内米価は大きく下がる。そこで、農業生産を維持するため、価格低下で影響を受ける主業農家に限って米国やEUが行っているのと同様の直接支払いを行うのだ。
この際留意すべきは、全農家にバラ撒いてはいけないということである。
民主党政権はすでに戸別所得補償という直接支払い制度を導入しているが、現行制度には設計上の大きな間違いがある。主業・兼業の別なく全農家を対象にしていることだ。これでは、非効率な生産体制を維持したまま、米価下落に見舞われるため、財政負担だけが雪だるま式に増えていくことになる。
昨今の不況で企業をリストラされたり、地方の商店街はシャッター通り化して、生きるか死ぬかという人たちが増える中で、このような所得補填が許されるのだろうか。
そもそも兼業農家の大半はサラリーマンだ。その多くは週末などに農業を手がけている、家庭菜園を少し大きくしただけのパートタイム農家だ。農林水産省は統計の取り方を変えてしまったが、数年前のデータでは稲作兼業農家年間所得は800万円もある。
しかも、時の政権や農水省とともに、戦後農政を牽引してきた最大の既得権益組織「農協」の最も多数で重要な構成要員だ。本当に困っている人には所得補償はいかないのに、こうした富裕層に何の制限もなく所得補償がされるとすれば、政治的公平性は担保されまい。
鉱工業製品が享受できるメリットを考えても、TPP不参加という選択肢は本来ないはずだ。となれば、TPP参加に合わせて政府がなすべきことは、はっきりしている。直接支払いの対象を、ある一定規模の主業農家に絞り込むことだ。そうすることで、企業的農家などが廃業する兼業農家の農地を借り入れ、規模拡大による効率化、コストダウンが進み、輸出による生産拡大も可能になる。食糧安保や多面的機能の起訴である農地・水田の保全・確保も可能になる。
この50年間で酪農家の戸数は40万戸が2万戸に20分の1に減少したが、牛乳生産は200万トンが850万トンにも拡大した。零細な農家が退出しても食料供給に何らの不安も生じない。
逆にいまのようなバラ撒きを続けていては、所得補償を目当てに、貸していた農地を貸しはがす兼業農家が増えていくだけだ。
効率化もコストダウンも期待できない状況で、TPPに参加すれば、高いコストと低い農産物価格との差を戸別所得補償として支払わざるを得なくなるので、納税者の負担は際限なく増えていくことだろう。
すなわち、TPP参加と戸別所得補償制度の見直しはセットでなければならないのだ。このことを、菅首相が理解したうえで、TPP参加に前向きな姿勢を打ち出したと信じたい。
しかし、農業構造改革に関する会合を開催しようとしたものの、「構造改革」という言葉への反発を考慮して「食と農林漁業の再生推進本部」という看板に書きかえられたという。菅首相が小泉元首相のようにぶれずに突き進むことができれば、国民も評価し、政権浮揚の途も見えてこよう。
2010/12/03(金) 11:43 サーチナ
中国網日本語版(チャイナネット)によると、世界新聞報は「日本自衛隊が軍事拡張の野心をむき出しに」と題する記事を掲載した。以下は同記事より。
軍事大国という地位は日本の長年の夢である。この夢を現実のものにするために、近年、日本は「外敵の脅威への防衛」という大義名分を掲げ、軍事力を拡大することに熱心だ。「積極的に国外に出て、守りも攻めもできる精鋭部隊」を作ろうとしている日本の軍事力拡大には、米国も見て見ぬ振りをつらぬき通している。自衛隊の装備は増強され、攻撃力も上がっている。「平和憲法」という布で隠してきた野心が徐々にむき出しになってきたようだ。
海上での戦力、米軍を超える勢い?
ここ数年、日本の海上自衛隊は遠洋にも出撃可能な大型の艦艇や輸送船を造り、隊員や装備を整えた。そして、対潜護衛戦や遠洋機動戦も行える強力な部隊に成長している。専門家によると、日本の海上自衛隊の力は2015年頃には米国の太平洋艦隊を超える可能性も否定できない。
防衛庁が省に昇格し、日本の対外軍事力は目に見えて増強された。「海外に出て攻撃できる」という戦略指導のもと、海上自衛隊が保有するイージス艦、AIP潜水艦、水陸両用艦艇などはとっくに「自衛」の範囲を超えている。なかには「平和憲法」のラインぎりぎりを越えているものさえある。
戦後復興で経済の活力を取り戻した日本は、「空母をもう一度」と言う夢を実現するチャンスを狙っていた。しかし、日本の「平和」憲法の制限のせいで海上自衛隊はグレーゾーンを行ったり来たりすることしかできなかったが、空母型ヘリコプター艦でラインを越えたのだった。
現在、日本には排水量が9000万トンから1万トンを超す輸送艦が複数存在し、これらの「準空母」は遠洋への輸送能力や攻撃能力を有している。
最先端の戦闘機で中国を威嚇(いかく)!
日本の海上自衛隊は1954年に誕生し、長年かけて、先進的装備と訓練された隊員を保有するまでに至った。今では大規模な空中戦闘能力を発揮できるまでに成長している。日本は所有する戦闘機を改良し、新型の戦闘機の研究開発や新型ミサイルを搭載した戦闘機を準備するなどして、空での戦闘能力を日々向上させてきた。これによって、アジアの隣国への圧力も日増しに巨大化している。
日本の航空自衛隊が保有する戦闘機は360機と決して多くない。しかし、戦闘機の威力は強大だ。200機あまりのF-15戦闘機を保有しており、これは米国を除けば世界最多である。1997年から日本はF-15戦闘機の改良を進めており、総合的な戦闘能力、特に電子戦能力、空中格闘戦能力、夜間戦闘能力は着実に進化している。
日本はレーダー哨戒機にも力を入れており、既に13機のE-2Cホークアイと4機のE-767哨戒機を導入している。ほかにも、長距離作戦能力を向上させるために、米国からKC-767空中給油・輸送機を輸入している。日本の海外派兵能力は格段にレベルアップしたのである。
中国網日本語版(チャイナネット)によると、世界新聞報は「日本自衛隊が軍事拡張の野心をむき出しに」と題する記事を掲載した。以下は同記事より。
以前、日本のメディアで防衛省が米国製のF-35戦闘機を40機購入する予定だと言う報道があった。防衛省によると、今後10年の間に、航空自衛隊は那覇基地において新しい飛行部隊を編成する予定だ。F-35戦闘機は近い将来、那覇に配備されるかもしれない。専門家によると、F-35戦闘機は短距離離陸・垂直着陸能力を持ち、活動範囲は非常に広く、那覇基地に配備されれば中国の東部地域に絶大な脅威を与えるだろう。
陸自が水陸両用部隊を編成!
日本の軍事戦略が「北方領土の防衛」から「西南諸島への警戒」に切り替わり、日本の西南諸島に対する隣国の軍事的脅威の排除が需要な課題となった。日本の陸上自衛隊の役割も適正化させる必要性が出てきており、陸上自衛隊は海上での戦闘能力を備えるために水陸両用部隊へと変化しつつある。
この転換は、陸上自衛隊の人員編成から始まり、旅団を水陸両用部隊に編成し直す作業が進んでいる。それと同時に、武装の改革も行われている。現在の重装備以外にも、攻撃用ヘリや輸送用ヘリの増強を急いでいる。また、日本の陸上自衛隊は米国に出向いては米海軍陸上部隊の水陸両用上陸訓練に参加し、自国の自衛隊の水陸両用作戦能力の強化に励んでいるようだ。(おわり 編集担当:米原裕子)
嘘で固められた南京大虐殺、尖閣事件・・・
2010.12.02(Thu)JBプレス 森清勇
中国の王朝交代は「易姓革命」と呼ばれる。現実には新興する一族が、衰弱する王朝を武力で打倒して帝位に就くもので、権力の簒奪以外の何物でもない。新に帝位に就いた王朝の最初の仕事は、前王朝の歴史を書くことである。
歴史の改竄は中国の国家体質!
この“作られた歴史”が中国の「正史」となり語り継がれていく。当然のことながら、現王朝の正当性(ただし正統性ではない)を主張する歴史になり、都合の悪いところは事実を捻じ曲げて書き換えられたものである。
真実の歴史であっても正史以外は「稗史」として闇に葬られる。何千年にもわたって王朝交代の治乱興亡を繰り返してきた中国は、このように国家を挙げて歴史を改竄してきた。権力者に都合よく内容が仕立てられるのは当たり前のことである。
歴史の改竄は中国が生き延びていくための手段であり、長年にわたって人民の遺伝子に刷り込まれ、国家体質として沁み込んだものである。
今から73年前(1937年に日華事変が勃発)に起きた南京大虐殺と称される事案がある。各種の検証から、中国が言う30万人はおろか、数万人も戦時国際法に違反して殺していないことがハッキリしてきている。
歴史的事実は、中国便衣兵の無法・無謀な行動に困り果てていた南京市民が、規律正しい日本軍の南京入城を心待ちにしていたということである。
事実、ニコニコしながら日本軍を受け入れている写真や、談笑している写真、さらには屋外で悠々と日本人が散髪してやっている写真もある。緊迫した状況下にある南京の風景ではない。
日本軍による南京攻略に際し、十数人の外国人と共同で南京安全区国際委員会を組織し委員長になったジョン・ラーべの『ラーベ日記』(邦題『南京の真実』)を見ても、目撃した虐殺などほとんど書かれていないし、いくつかの事件を聞き書きしているだけである。
当時は市民自体が20万人そこそこで、そもそも30万人を虐殺できるはずがない。
また虐殺の方法・手段が日本人には思いもつかない、中国の歴史書に出てくる野蛮・残忍・獰猛な大陸的方法ばかりである。
しかし、虚偽の宣伝戦に長けた中国は、性懲りもなく日本軍人の悪辣非道な大虐殺であったと言い張ってきた。言い張れば言い張るほど、事実からかけ離れていき、20万人はいつしか30万人になり、時折40万人の数字さえ見受けられるほどである。
中国系米国人のアイリス・チャンが書いた『ザ・レイプ・オブ・南京』には多数の口絵写真が掲載されているが、精査の結果ほとんどが偽物であることが判明している。
こうした事実の判明にも影響されたのかどうかは不明であるが、日中歴史共同研究で30万人虐殺は共産党指導部の宣伝に則ったものであるが、たとえ何万人であろうと日本が虐殺したことには変わりない、とトーンダウンしてきたと一部では報道された。
とにかく「日本悪」を確認し、未来永劫にわたってそのレッテルを貼り続けて、ことあるごとに「黄門様の印籠」に似た役割を日本攻撃の際にさせたい一心であろう。
言論統制する国際社会の異端児!
中国は、尖閣諸島沖で起きた中国漁船の海保船への衝突事案を、海保船の漁船への衝突事案に仕立ててインターネットで国際社会に喧伝してきた。歴史改竄の経験豊かで、権力死守の中国共産党指導層にとって、こうした工作はいとも容易なお家芸である。
中国漁船の衝突事案処理は、中国の体質を図らずも世界に暴露してしまった。
日本政府が、「戦略的互恵関係」という実態の分からない言葉遊びに耽り、また同文同種の漢字を使用する国家との約束だと思い込み、下手に相手を怒らせては今後の日中関係に悪影響を及ぼしかねない、内閣の威信にも関わると国民に漁船衝突のビデオ公表を躊躇している間に、中国は(国家意思として暗黙の了解の下に?)日本の巡視船が中国の漁船に体当たりしてきたという嘘の宣伝を国内ばかりでなく、世界に向けて垂れ流してきた。
中国共産党の指導部は、都合の悪い情報はカットさせ、あるいは内容を変更させてインターネットで流布させるが、政府の統制の及ばない民間人が勝手にやっていることと言い逃れをする。
人民はいつまで経っても事実を知ることはできない。こうして、覆面下での政府仕立ての「反日デモ」が繰り広げられることになる。万一、政府の意に反した事実を知り、真実を人民に知らせでもすれば即座に拘留され隔離される。
まさに漁船衝突事案の捏造で世界の耳目が中国に注がれている時、普段はノーベル賞獲得に意を燃やすように人民を焚きつけていた指導層が、自由を訴え続けた劉暁波氏のノーベル平和賞受賞が発表された途端に、受賞の事実放映やインターネットは一切カットする暴挙を演じた。
受賞候補に挙げられた時点から、同賞選考委員会のあるノルウェーに圧力をかけたと言われるし、受賞発表後は決定していた閣僚の会見や各種訪問などを次々にキャンセルして国際社会を驚嘆させ、衝撃を与え、顰蹙(ひんしゅく)を買い、異端児であることを印象づけた。
はっきり言って、現在の中国は経済発展とそれに伴う軍備の拡張による覇権を求めているだけで、国際社会の成熟した一員としては歯牙にもかけられないほどいびつな国家である。
万博におけるテーマソングは盗作であったことを一度は認めながら、後で恥も外聞もなく翻す。自国版ODA(政府開発援助)を勢力圏拡大のために乱発しながら、日本のODA打ち切りには「感謝」を示すどころかクレームで仕返ししてくる。
最近開業した上海~杭州間の高速鉄道は日本の技術導入であるが、そのことには一切触れない。
そして今次のASEAN(東南アジア諸国連合)会議における首脳会談の拒否である。
漁船衝突事案と尖閣諸島の領有権に関する前原誠司外相の発言にかなりの不快感を抱いていた中国は、外相会談後の「良い雰囲気だったので首脳会談は行われるだろう」という外相発言を否定することで意趣返しを行ったようだ。
何とも大人気ない対応であり、先進国の仲間入りをさせるには幼稚すぎる。
歴史に学ばない愚者の中国!
漁船衝突事案に対して、日本政府は相手を慮って偶発事故としたが、中国の次から次へと繰り出す対応の迅速さから見ると、十分に準備された国家意思が暗々裏に働いて引き起こされたものとしか思えない。
「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」という。
中国が賢者ならば南京事案の「歴史」認識が今日までも日中間の軋轢をもたらしていると知るはずであるが、大虐殺に改竄した「経験」に学び、衝突事案を改竄してまで「覇権主義」の中国を国際社会に見せつけてしまったところから判断すると、やはり愚者なのであろう。
国内に不満を募らせる人民も、政府お声がかりの「反日」を名目に「愛国無罪」のデモを計画し拡大してきたが、根底には指導層に対する反感意識を持っていたようである。
最初に述べたように、中国に「正史」はあるが、これは断じて正しい歴史ではない。後を継いだ王朝が帝位の正当性を主張するために後追いで編纂した歴史であり事後法にも等しい紛い物で、本来の歴史記述にあってはならないことである。
本当の歴史は多分勢力を持った王朝が武力で帝位を簒奪したという表現になるであろうから、現王朝にすればとんでもない濡れ衣であると、「稗史」として隅に追いやるほかはない。
国内において然りであるから、さらに見えにくい他国に関わる事象で状況を自国に都合良く作為することなどは朝飯前である。こうして、作為に作為を重ねて、権力維持を図ってきたのが歴代中国王朝の姿であり、その遺伝子は共産中国になっても受け継がれている。
尖閣諸島沖での漁船衝突問題もそうした流れの中の事案処理であり、特異とするには及ばない。日中中間線付近のガス田開発問題でも、協議して進めるとしている約束をいとも簡単に反故にして恬淡としている。
岡倉天心は『東洋の理想』で、「王朝の覆滅、韃靼騎兵の侵入、激昂した暴民の殺戮蹂躙――これらすべてのものが何回となく全土を襲い、中国には、その文献と廃墟のほかに、唐代帝王たちの栄華や、宋代社会の典雅を偲ぶべき何らの標識も残されてはいない」と記している。
毛沢東が行った「文化大革命」は死者数千万人を出し、知識人は地方に追放され、破壊以外の何物ももたらさなかった。天安門事件も自由を求めて立ち上がった市民を抹殺して、思想の締め付けを続けている。
憲法では言論・出版・集会・デモなどの自由が記述されているが、共産党の指導を受けるとなっており、法治国家は見せかけでしかない。
日本は真実の宝庫!
天心は日本について「征服されたことのない民族の誇らかな自恃、膨張発展を犠牲として先祖伝来の観念と本能とを守った島国的孤立などが、日本を、アジアの思想と文化を託す真の貯蔵庫たらしめた」と言う。
日本と中国の対比をこれほど明確にしているものはない。中国には「破壊」の文献と廃墟しかないが、そうした破壊を逃れた諸々が日本に集積され、保管されているというのである。真実は日本に蔵されているというわけである。
事実、その証拠を我々は正倉院の宝物殿などにおいて確認することができる。
今日の中国は、破壊の文献しかないことを日本に逆適用している。すなわち、南京は自国民によって何回も破壊される歴史を繰り返してきた。
天心流に言うならば、破壊された文献と破壊された廃墟しかない南京なので、大虐殺の宣伝に見るように実行者のすり替えや写真の組み替えなどを行って、自国を正当化して人民にナショナリズムを植えつける以外にない。
そうしたことはお手の物なのである。しかし、1つ落とし穴がある。中国の(易姓革命という美名の下の破壊の)思想も(惨たらしい殺戮の)文化も日本には文献などが保管されていることである。
実行者がすり替えられ、写真が組み替えられても真実を判読できるし、殺戮の実行手段や方法などは日本人には考えも及ばない中国式となれば、結論はあえて口外するまでもない。
菊池寛は、反日運動の絶えない満州の荒野にあって満鉄が営業開始した明治40(1907)年から35年間の歴史を客観的な目で振り返っている。
総じて言えば、約束が繰り返し反故にされるという顛末をとめどなく書き、シナ人との闘いの連続であったことを記している(『満鉄外史』)。
他方で、自ら中国革命を支援した日本人に内田良平や宮崎滔天などがいた。内田は長年にわたる革命支援の体験から得た支那および漢民族に対する認識と、当時の情勢に対処するための対支戦略の書として『支那観』を書いた。
そこでは「政治社会(今日いう共産党指導層)と普通社会(一般大衆)が完全に分離しており、支那の革命を国民の発意による西洋の革命と同一視するのは間違い」など鋭い指摘をしている。
日本の採るべき道を具体的に指し示した国家戦略の書であるが、表層にとらわれないで国家と民族性を分析している点は今日にも通じている。
日本人の分析で偏りがあると疑う向きには、米国国務省のアジア部長で、後には中国公使として勤務し、ジョージ・ケナンがその透徹した歴史観を褒めたジョン・マクマリーの『平和はいかに失われたか』を一読すればよい。
中国を近代化させようと作られたワシントン条約体制、これをがむしゃらに壊そうとした約束破りの常習犯――それが中国であることが鮮明に浮かび上がってくる。
終わりに
先には「東アジア共同体」という誘い水(もともと中国が数年前に言い出したこと)に乗ろうとしたが、一瞬にして色あせた。
また、鳩山由紀夫前首相が提唱した東シナ海を「友愛の海」にすることは領土割譲の亡国につながる暴論であることが明確になってきた。同じ漢字用語を使っていても日本と中国は同床異夢であることもハッキリした。
今また「戦略的互恵関係」が叫ばれている。中国の日中中間線におけるガス田対応を含め、「戦略的互恵関係」が意味するところ、日本に及ぼす影響を分析し、先に述べた「中国」をしっかり認識したうえで日本の安全保障戦略構築の基本認識にしてほしい。
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