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テリー伊藤
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%BC%E4%BC%8A%E8%97%A4

石原都知事肝いりの東京MXテレビ番組で、都税がプロデューサーの生活費に化けていた!


2010年12月27日(月)現代ビジネス

東京都のローカルテレビ局「東京メトロポリタンテレビジョン(以下MX)」で、毎週日曜日の午後9時~9時半に放送されている『TokYo.Boy』という番組がある。今年で11年目を迎えた長寿番組で、松村邦洋東京マラソンを走ったり、レッド吉田が羽田空港を案内したりするユルめな内容ながら、産みの親はあの石原慎太郎都知事(78)。

 彼が初めて都知事に当選した時、親交のあったテリー伊藤(60)に「テリーさん、番組作ってくれないかな」と打診し、知事肝いりで始まった番組である。同番組のHPには、石原都知事とテリーの顔写真がデカデカと掲載されている。東京都生活文化局広報広聴部広報課が言う。

「(『TokYo.Boy』は)都政に関する情報を都民に分かりやすく伝えるため、都政PRの一環として制作しています。番組の制作は東京MXテレビに委託しており、制作費は都税で賄っています」

 都はMXに番組制作を発注しているが、実際の制作は孫請けの番組制作会社「ロコモーション」(以下ロ社)が担当。そのロ社の社長がテリーという仕組みだ。産みの親である彼と石原氏が二人で番組に出演することもある。

本誌が都に情報公開請求して得た資料によれば、MXが都に請求した同番組5本分の「テレビ放送料」(『電波料』を含む)は3445万円。

 1本あたり約690万円になる計算だ。ちなみに1時間の特別番組の場合、請求金額は1592万円だった。キー局プロデューサーはこの数字に首を傾げる。

「民放キー局のゴールデン枠の予算でも2000万円を切りかねない御時世に、ローカル局の単なるPR番組が1500万円もかけているとは、何とも豪勢な話です。失礼ながらオンエアを観る限り、そんなにカネがかかっているとは思えませんが・・・」

さらにこの『TokYo.Boy』の制作に絡んで、使途の不透明な経費があるという疑惑が浮上している。それはロ社のプロデューサーにまつわるものだ。告発するのはMXの関係者、A氏。

「番組制作費は都議会の承認を経て支払われる税金です。私企業であるMXを通っているとはいえ、元々都民の税金だったものが不透明な使われ方をするのは、許されないと思います」

 本誌はA氏から入手した、このプロデューサーが経費として使ったというロ社名義の領収書を元に、買い物をした店に確認取材を行った。

 例えば、米国に本社を置く会員制大型スーパー「コストコ」の領収書。この時、購入されたのはトイレットペーパー2338円、釜揚げしらす670円、食器用洗剤698円、ふきん1578円、柔軟剤1448円、生理用品1298円・・・などで、しめて2万7520円。

領収書の裏にはプロデューサーの筆跡で、「サンプル衣装代、Tシャツ、ワンピース」と書かれていたが、内訳は衣装ではなく、食品、日用品がほとんど。

 裏に「ロケ菓子折 2ヶ」と書かれた5782円の領収書は「明治屋」の都内某店のもの。実際の購入品はパン菓子315円、甘のり399円、ルッコラ380円、銀ダラ西京漬け630円×2などで、これも申告された裏書きと一致しない。

 他にも『三越』でブランド婦人服を3点(計3万9900円)買い、裏に「ロケ衣装 ジャージ サッカーシューズ」と書かれた領収書が。某アウトレット内にある『リーガルシューバー』では、婦人用サンダルを2つとメンズのスニーカーを買って領収書をもらい、「サンプル用 衣装代 帽子、くつ他」と裏書きしていた。フットマッサージャー(4万9800円)の領収書もあった。

 A氏の指摘どおりテレビ番組制作のための経費としては不自然な点が多いため、事実関係を確かめるべくロ社に取材を申し込んだが、「社内調査中」「担当者不在」と繰り返すのみ。それならとMXに尋ねると「事実だとすれば遺憾だが、現時点ではロコモーションの担当者と事実関係を確認中であるため、この件についてはコメントできない」という答えが返ってきた。

 発注元の東京都生活文化局広報広聴部広報課は、「東京メトロポリタンテレビジョンとは番組の制作、放送業務について契約を結んでおりますが、ロコモーションの件については関知していない」と答えた。三者とも責任をたらい回し。都民の大切な税金の使われ方を誰もキチンとチェックしていないのだ。そんななか、ロ社社長のテリー伊藤は次のように回答した。

「食品はスタッフの夜食を作るために買うことがあるし、洋服は潜入取材に使ったりする。女優さんのために生理用品を買うこともあります。ただ、都民の皆さんの誤解を招くようなことがあってはならないので、そこはきちんと指導したいと思います」

 スタッフの夜食が"しらす"や"ルッコラ"とはにわかには信じ難いし、都政PR番組での潜入取材も考えづらいが、そういうこともテレビ業界ではあるのかもしれない。とはいえ、本当に私物を購入していたとすれば、立派な犯罪行為である。日本大学名誉教授の板倉宏氏が言う。

「金額にもよりますが、刑法上の『業務上横領』にあたり、10年以下の懲役刑に問われる可能性があります。制作費が都民の税金から出ているので、倫理的にも悪質だと思われます」

 民間より高い制作費を税金でポンと払う東京都。それを受け取りながら使い道を精査しないMX。その放漫体質が今回のような疑惑の温床になっているのではないだろうか。

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日本丸はゆっくりだが確実に沈みつつあるぞ!

2010年12月27日(月)日経ビジネス 竹中正治 

「私達の抱える経済的諸問題は解決可能である。ほとんどの経済的諸問題には複数の解決法がある。しかしながら、これらすべての解決法は誰かが経済的なコストを負担することなしには実現しない。誰もコストの引き受け手になりたくはない。しかも私達の政治的なプロセスは社会階層の誰かにこのコストを強制することができない。誰もが他の誰かが問題解決に必要な経済的なコストを負って欲しいと望む。その結果、解決法はいずれも採用不可能になってしまう」

この文章を読んで、多くの方が「ああ、まさに今の日本のことだ」と感じないだろうか。しかし、この文章は1980年に発刊されて世界的なベストセラーになった「ゼロサム社会(The Zero-Sum Society)」の一節である。著者のレスター・C・サロー教授が言う「私達の経済諸問題」とは1970年代のアメリカを対象にしたものだ。

 もちろん、ここで指摘されている問題状況は、当時のアメリカのみならず欧州や日本など民主主義的な政治システムを有するすべての諸国について時代を超えて共通するものだ。だから世界的なベストセラーにもなった。

民主政治は特定階層に負担を押し付けられない
 サロー教授が30年前に指摘したこのような現代社会の問題状況に対して、2つの両極端のアプローチがあり得る。

 1つは、所得とコストの分配問題を市場メカニズムに最大限委ねることだ。政府は自由で公正な競争ルールの制定と監督者としての役割は果たすが、分配に直接関与することを回避するアプローチだ。

 アメリカでは「リバタリアン」と呼ばれる政治思想がそれを代表しており、彼らの原理的な主張は医療保険などの完全な民営化などにとどまらない。麻薬や妊娠中絶の問題についても政府の介入や規制を否定して、個人の自由(自己責任)に委ねることを主張する。1980年代のレーガン政権は、アメリカの保守系キリスト教徒の価値観を色濃く代表していたので、リバタリアンほど原理主義的にはなれなかった。「伝統的な価値観の保持と小さな政府思想の折衷」だったと言えるだろう。

 「新自由主義」「市場原理主義」などと小泉純一郎内閣時代の施策をラベルの貼り付けで攻撃する方々がいるが、小泉政権はアメリカのリバタリアンの主張に比べれば極めて中道的だったと私には思える。

 リバタリアン的アプローチと対極をなすもう1つの原理は、「無産階級による有産階級の収奪」「労働者階級による独裁(あるいは執政)」を唱えたマルクス主義的アプローチだろう。もちろん先進諸国ではそうしたアプローチはとうとう実現せず、ソ連邦は最後には崩壊し、中国社会主義経済も大きく変質した。

 両極端の原理主義的なアプローチが現実的でないならば、両極端のどの辺に軸足を置くべきかが、政策原理をめぐる争点となる。そのように考えれば、菅首相のように英国のトニー・ブレア首相の真似をして「第3の道」などと言わずとも、「資本主義vs社会主義」の対立が終焉した時代に生きる私達の選択肢には程度の違いはあれ、元々「第3の道」しかないと言えるだろう。

サロー教授が指摘したように、我々の政治システムは社会の特定階層に負担を押し付けることはできないので、コストは国民が所得や消費に応じて広く負担するしかない。政治家の使命とは問題解決のビジョンを掲げ、そのコスト負担について国民の多数を説得することにある。

 政権交代から1年余りが経ったが、残念なことに民主党政権の財政・経済政策の事実上の破綻は鮮明になるばかりだ。農家への戸別所得補償制度や子供手当などの財政的なバラマキ政策のみが先行してきた。その一方で2009年のマニフェストにも盛り込まれていた「年金制度を一元化し、消費税を財源とした最低保障年金を導入する」など抜本的な改革は、議論すら進んでいない。

 歳出の組み換えと無駄の洗い出しや財政埋蔵金の掘り出しで十数兆円の予算を捻出するという民主党の構想は、財政学者らが事前に指摘していた通り「非現実的」だった。行政刷新会議は埋蔵金よりも大きな「埋蔵損」と呼ぶべき政府のバランスシートに埋もれた含み損に直面した。

 財源手当てが不可能であることが判明したのだから、歳出プランも見直すべきである。ところがバラマキだけは先行させている。その結果、政府債務残高はとうとうGDP国内総生産)の200%に達しようとしている。ここに至っては、農家戸別補償も子供手当も、もはや「選挙民の票を金で買う策」に堕落したと言わざるを得ない。

経済成長だけでは日本の財政は再建できない!


 いまだに「財政再建は経済成長率を引き上げることで増税なしでできる」と唱える政治家や政党がいるのが私には不思議だ。

 簡単な検証をしてみよう。図は水平軸を名目GDP成長率、垂直軸を財政赤字のGDP比率とし、各年度の名目成長率と財政赤字比率を分布させたものだ(対象期間1981~2010年)。確かに成長率が上昇すると財政赤字が縮小する右肩上がりの傾向(近似線の方程式Xの係数0.5161が示す傾き)が見られる。しかしながら、近似線の一次方程式が示す通り、政府の歳入歳出の構造的な改革がない限り、名目GDP1%の上昇で、財政赤字比率は0.52%しか減少しない。

この現実を前提にする限り、年間の財政収支を名目成長率の上昇で均衡させるためには、名目成長率はなんと12%台となる必要がある。対象期間を1990~2010年に変更して計算しても、財政収支を均衡させる名目成長率は9%台が必要という結果になる。

 労働人口(15~65歳の人口)が毎年約0.5%程度減少している日本の実質成長率は、好況期でも2%程度が巡航速度だ。これは1人当たり実質成長率としては先進諸国が収斂する平均的な成長率である。従ってデフレから脱却してインフレ率が仮に2%となっても、名目成長率は4%前後が想定できる上限だろう(名目成長率=実質成長率+インフレ率)。

 9~12%などという名目成長率は先進国ではインフレが暴走しない限り起こり得ない。それとももしかして、経済成長で財政再建を主張する方々は、インフレ高進で過去の政府債務を実質棒引きすること(「インフレタックス」と呼ばれる)を考えているのだろうか。

 

解決策は消費税増税しかない!

 現代の日本の財政赤字膨張の原因は、もはや非効率な公共事業の膨張(1990年代には言えたことだが)でも、公務員給与の増加でもない。過去平均で毎年約1兆円ずつ増え、国債費(国債の元利払い)を除いた一般会計歳出の38%に達した社会保障関係費の増加が、歳出面での最大の増加要因だ(財務省「日本の財政関係資料」平成22年8月、10ページ)。団塊の世代が65歳となって給付の受け取りに回る2012年頃から、この増加は毎年平均約2兆円規模になると見込まれている。

 一般会計における社会保障関係費とは、社会保険費、社会福祉費、生活保護費、保健衛生対策費、失業対策費などで、そのほとんどは国民への様々な給付である。単純化して言えば、引退する世代が政府負債を増加させながら給付を受取り、将来の納税者(自分らの子や孫の世代)から事実上の搾取をしている構造が問題なのだ。給付の削減を否定するなら増税しかない。

 所得税の引き上げは、相対的に所得は大きいが消費は小さい現役世代(将来に備えて貯蓄するため)の負担を相対的に大きくするので、世代間不公平の解消に十分ではない。消費に課税する消費税は引退世代から現役世代まで消費に応じて課税できるので、世代間不公平解消にも寄与する。

 消費税増税がもたらす税負担の非累進的な影響については、所得税率の累進度を多少高めることで調整できる。非課税所得水準以下の貧困あるいは低所得家計には還付する仕組みも良いだろう。一気に消費税を引き上げるとその後に反動の消費減が起こり、景気が失速することを懸念するならば、毎年1%ずつ引き上げて5年で5%、10年で10%引き上げることで対応できる。

 すべてに対応可能な方策がある。欠けているのは政治的な意思だけだ。

 「政府が歳出の無駄や非効率を徹底的に洗い出すまで増税には反対だ」と唱えている方は(それはそれでやる必要はあるものの)、船底に穴が開いて沈みつつある大きな船の中で、水道管の水漏れを先に直せと言っているようなものだ。

目を覚ますには日本国債の「ミニ暴落」が必要?

 このまま日本の財政赤字と政府債務の累積が進むとどうなるのだろうか。先進国の自国通貨建ての国債は、原理的にデフォルトは起きないと考えられてきた。なぜなら自国通貨で償還すれば良いのだから、いよいよとなれば中央銀行・政府の通貨増発で返済できるからだ。単純化して言えば、紙幣を刷る機械さえあれば返済できる。その結果、インフレが高進し、通貨相場が下落しても、償還不能は起こり得ない。返済不能になる可能性があるのは外貨建ての借り入れである。

 こうした投資家の常識に衝撃を与えたのは2001年のアルゼンチンの通貨・金融危機とそれによって生じた国債のデフォルトである。結局、ドルや円など外貨建ての国債と同時に自国通貨ペソ建ての国債も元本棒引きになった。それでもアルゼンチンは先進国とは認識されていないから、「ひどい話だが、ああいう国では、なんでもありだね」と思うことができた。

しかし今問題になっているのは、ユーロ圏という経済的に先進国地域の一角をなすPIIGS諸国のデフォルト懸念だ。ギリシャとアイルランドだけなら経済規模も小さいからデフォルトになっても問題ないと高を括れるだろうか。「ギリシャとアイルランドで起こることはスペインなど他の国でも起こり得る」と投資家は考える。

 金融・投資現象の厄介さはその連鎖性にある。2007年にサブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)危機の最初の兆候が起こった時、「サブプライム市場はアメリカの住宅市場全体の10分の1に過ぎないから、アメリカ経済は乗り切れる」と高を括っていた投資家や政府高官は少なくないのだ。

 今欧州で起こっているPIIGS諸国の国債のジャンクボンド化は最終的に「先進国の自国通貨建て国債は絶対大丈夫」の前提を崩壊させるリスクを秘めている。しかも世界の投資家の行動パターンは時に急激に変化する。それまで「大丈夫」だった対象が突然信用を失い、投げ売りの対象に転換することを私達は今次の金融危機で目撃したばかりだ。

 政府や政治家にはいまだに「日本国債は95%が国内で保有されているので大丈夫」と強弁する方々がいるが、国内投資家が日本国債を見限って投資の海外シフトを大規模に始めたら(日本からの資本逃避)、「大丈夫」の前提は崩壊してしまう。日本の対外対内投資は自由化されているので、国内投資を国内にとどめておく規制はない。

 明日や明後日にそうなることはないだろうが、10年のタイムスパンで考えたら、日本からの資本逃避という事態も当然想定して長期的な財政再建に今から取り組むべきなのだ。そのリスクを政治家、国民に知らしめ、重い腰を上げさせるためには、国債の「ミニ暴落」程度のことが起こる必要があるのかもしれない。

 もっとも今のところ投資家、投資機関も腑抜けで、リスク回避指向をつのらせて、後生大事に国債投資を積み上げている。この点にこの国の閉塞の根本があるのかもしれない。

船はゆっくりと沈みつつある、間違いなく!

 今の日本の財政問題に必要なのは「このままでは船は沈みつつある」という厳然たる事実を直視する勇気だろう。その勇気がない政治家も投資家も沈みつつある船にしがみつき、そして最後にパニックになって我先に海に飛び込むのだろうか。

 日本の財政的沈没を食い止める路線転換を民主党が政権を維持したままできるかどうか、残された時間は急速に短くなっている。内閣と民主党に対する支持率が急速に低下しているからだ。党内の路線対立で政策を一本化できないならば、潔く分裂したら良いだろう。

 志のある方々は自民党と連立を組み、消費税増税を含む長期的な財政再建路線とTPP(環太平洋経済連携協定、これについてはまたの機会に)参加を掲げた改革を断行して頂きたい。自民党でもその2つに賛成できない方々は潔く脱党して、民主党の残り半分と組むなりすれば良いだろう。その時、ようやく日本の政党も政策原理に基づいて動き出すことができるのだ。

日本の“防衛政策”は米国の要求に応えること!


2010年12月28日(火)日経ビジネス 荒谷卓

菅直人内閣が12月17日、新防衛大綱を閣議決定した。日本の安全保障政策の中期(5~10年)の指針である。

 このコラムでは、外交官や自衛隊のOB、国際政治学者などの専門家に新大綱を評価していただく。日本を取り巻く安全保障環境にかんがみて、新大綱は適切な指針なのか? どこが優れているのか? 何が課題なのか?

 第4回の著者は、明治神宮武道場「至誠館」館長の荒谷卓氏。

1年先送りされた防衛計画の大綱が閣議決定された。新大綱は冒頭で、大綱策定の趣旨を『我が国の安全保障および防衛力の在り方についての指針』としている。このため、まずは「安全保障における基本理念」に注目してみる。

 今回の大綱で、安全保障の目標を3つに分類したことは、日米安全保障の枠組み上は正しい区分である。つまり、日米安保条約の元々の目的であった「我が国防衛」。1997年の新ガイドライン策定時に、米側の要求に応じて取り入れた「周辺事態への対応」。そして、2005年の日米共同宣言「未来のための変革と再編」で取り入れた「国際的な安全保障環境の改善の分野における貢献」だ。これもまた、米側の要求に応じて付加した。

 第2と第3の目標は米側の要求に応じたものだけに、「我が国の安全保障における基本理念」に記載された「我が国自身の努力」という言葉の意味が、我が国の主体的な努力ではなく、米国の要求に対して我が国がなしえる努力としか見えない。


自衛隊の前身組織は、マッカーサーの指示で創設した!

 そもそも、第1の目標である「我が国防衛」自体、我が国が本当に主体的な意志で取り組んでいるものなのか。「我が国自身の努力」について考えるに当たって、戦後の日本の防衛政策を振り返る必要がある。例えば、この大綱でようやく取り下げた『基盤的防衛力構想』について、これはいかなる経緯で造られたものかを知る必要がある。

 陸上自衛隊の前身である警察予備隊は、マッカーサーの指示、すなわちポツダム勅令を受け、政府が1950年に創設した。その後、沿岸警備隊、海上警備隊、航空自衛隊がこれに続いた。沿岸警備隊は、アメリカ国家安全保障会議の承認に基づき、連合国軍最高司令官の隷下に置いた。翌1956年、政府は海上保安庁の一機関として海上警備隊を創設した。同隊は、海上自衛隊の前身である。さらに政府は、米統合参謀本部の「日本の防衛に関する計画構想」などに基づく米国からの強力な要請に応えて、航空自衛隊を創設した。


米国からの経済支援を受けるため、防衛力の「形式的」な整備を始めた!

 主権回復後も、日本は米国からの要請に応え続けた。米国の経済支援を得るためには、日米相互防衛協定(MSA協定)を結び、自主防衛努力義務を果たすべき必要が生じたからだ。これ以降、日本は2つの性格を持つ“我が国自身の努力”を進めていく。一つは、日本に対する米側の防衛努力要求を大幅に値切ること。もう一つは、取りあえず米側との約束を果たすために、目に見える陸海空の防衛力を形式的に整備することだ。

 MSA日米協議において出された「池田・ロバートソン会談覚書」の内容は、戦後一貫して継続している我が国の防衛政策の特徴を現している。その内容とは以下のようなものである。

(A) 日本側代表団は十分な防衛努力を完全に実現する上で次の四つの制約があることを強調した。

(イ) 法律的制約:憲法第九条の規定のほか憲法改正手続きは非常に困難なものであり、たとえ国の指導者が憲法改正の措置を採ることがよいと信じたとしても、予見し得る将来の改正は可能とはいえない。
(ロ) 政治的、社会的制約:これは憲法起草にあたって占領軍当局がとった政策に源を発する。占領八年にわたって、日本人はいかなることが起っても武器をとるべきではないとの教育を最も強く受けたのは、防衛の任に先ずつかなければならない青少年であった。
(ハ) 経済的制約:国民所得に対する防衛費の比率あるいは国民一人当りの防衛費負担額などによって他の国と比較することは、日本での生活水準がそれらの国のそれと似ている場合のみ意味がある。旧軍人や遺家族などの保護は防衛努力に先立って行われなければならぬ問題であり、これはまだ糸口についたばかりであるのにもかかわらず、大きい費用を必要としている。また日本は自然の災害に侵されやすく、今会計年度で災害によるその額はすでに千五百億円に上っている。
(ニ) 実際的制約:教育の問題、共産主義の浸透の問題などから多数の青年を短期間に補充することは不可能であるかあるいは極めて危険である(本誌注:自衛隊に相当する機関に、多くの共産主義者が入ることを懸念した)。

B) 会談当事者はこれらの制約を認めた上で

(イ) 米国側は日本側が考えている数およびその前提は低きに失することを指摘し、またこれらのものは重大な困難なしに発展向上させ得ると信じると述べた。
(ロ) 米政府は、米国駐留軍のための日本の支出額は、日本自身の防衛計画のための支出が増大するにつれて減少すべきものであることを認めかつ同意した。
(ハ) 会談当事者は日本国民の防衛に対する責任感を増大させるような日本の空気を助長することが最も重要であることに同意した。日本政府は教育および広報によって日本に愛国心と自衛のための自発的精神が成長するような空気を助長することに第一の責任をもつものである。

 このMSA日米協議以来、「経済政策を進める上で米国との関係を維持する必要がある」との打算から作成した防衛政策が、延々と継続しているのだ。それも、あたかも主体的で意味のある日本の防衛政策のようにして。


『基盤的防衛力構想』は米国に追従した「現状」に名前を付けたものにすぎない。

 主権回復後、日本は独自の防衛構想を持たないまま、米国との約束水準を満たすため防衛力を整備した。これが1958年から1976年までに実施した第1~4次防衛力整備計画である。これに対し、防衛費の増加傾向に歯止めをかけるべく、政府は最初の防衛大綱を作成した。このときに、構想のないまま整備してきた1976年当時の防衛力に付けた名称が『基盤的防衛力構想』だ。つまり、「我が国防衛」までもが、日本の自発的意思ではなく米国の要求に我が国がなしえる程度の努力の中で進められてきたのだ。

 『基盤的防衛力構想』について政府は、日本の安全保障上の脅威を想定して、それに対処するための防衛力、いわゆる脅威対抗型の所要防衛力ではないと説明してきた。つまり、防衛力構想といっても、実際の国際情勢に対応した実効的防衛能力を構築するための構想ではなかった。当然、「本当に抑止効果があるかどうか」という検証はないまま、「これが抑止力だ」と言ってきたわけである。


「動的防衛力構想」を導入しても、3つの目標は遂行できない!

 新大綱は、『基盤的防衛力構想』を廃し『動的防衛力構想』を打ち出した。だが、日本独自の防衛構想を持たないまま、米国の要求に応えるため防衛力を整備する構造は継続している。「安全保障の基本理念」の中に記載された「我が国は、日本国憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い…」というのがそれだ。冒頭で紹介した3つの目標を実効的に遂行していくことと、この基本理念が事実上矛盾しているということは明らかである。

 「周辺事態」も「国際的な安全保障環境」も「専守防衛」の範囲には収まらない。「他国に脅威を与えない」ことを重視するあまり、自衛隊の抑止力は実効性のないものになっている。

 仮に「国際的な安全保障環境」に貢献するとしても、憲法9条の制約で、領域以外での他国との軍事協力はできない。実際のところ、日米韓の協力枠組みすら具体化できない。平和構築活動では他国の警備を受けなければ活動することすらできない。また、多国籍軍の指揮関係に入れないため実効的な協力は困難だ。

 3つの目標を達成することは困難なのである。「憲法9条を理由にして、防衛力を常識的なレベルに引き上げることができない」と“言い訳”する構造は、池田・ロバートソン会談のときと全く変わっていない。

 

日本の防衛力はソフトが欠けている!

 具体的に言えば、ハードウエアとしての防衛力を実際に運用するためのソフトウエアが欠けている。つまり自立した国の意思決定と法的枠組みを含む制度上の問題がある。

これまで、防衛大綱は、もっぱらハードウエアとしての防衛力整備計画に対する拘束力だけを持ってきた。ソフトウエアの整備に関する指針としての役割は果たしてこなかった。果たして、今回も、ソフトウエアの整備に関しては具体性が極めて乏しい。大綱本文の別表や、同時に閣議決定された中期防衛力整備計画は、ハードウエアの整備に関してのみ具体的な計画を示している。

 目に見えるハードウエアは整備するが、実際に防衛力として運用するためのソフトウエアはない――実はこの体質こそが、戦後一貫して日本の安全保障と防衛に内在する核心的問題なのである。


ソフトの欠如がもたらす3つの課題!

 以下にソフトウエアが欠如していることから生じている問題を3つ指摘しよう。

 第1は、新大綱が導入した『動的防衛力構想』に関連するものだ。『基盤的防衛力構想』にかわる『動的防衛力構想』では何が変わったのだろうか。北沢俊美防衛大臣の談話では、脅威対抗――日本の安全保障上の脅威を想定して、それに対処するための防衛力――の考え方には立っていないという。また、政治的効果を創出するに必要な防衛力の質と量を分析したものではないようだ。これは、防衛力の整備内容は、自公政権時代とほぼ同じ内容であることから明らかである。

 ここで、「政治的効果を創出する」と言ったのには意味がある。

 新防衛大綱は目標の一つに「我が国防衛」を掲げている。ここにおける政治的効果は一般的に明瞭である。主権、領土、国民を守るということだ。しかし、第2、第3の目標である地域の安定化や世界の平和において、日本が果たす具体的役割は何か? 自衛隊に政治が期待する作戦効果を示さなくては、必要とする防衛力の量と質を具体化することはできない。

 「基盤的防衛力構想」を廃止し、本当に効果的に対処しようとするのであれば、政治的に予想されるシナリオを政府全体でシミュレートし、政府が期待する政治的効果を生み出すことができる防衛力の水準(ハード)と運用に必要なメカニズム(ソフト)を検証しなくてはならない。


「動的防衛力」も「シームレスな対応」もソフトなしには実現できない!

 第2は、「我が国防衛」において残されている課題だ。

 新大綱に「各種事態にシームレスに対応する」という表現がたびたび出てくる。例えば、中期計画は、特殊部隊による攻撃に対して通常の陸上自衛隊の部隊で対応するかのように記述している。ということは、警察力で対処できない事態が起きたときは、韓国に北朝鮮の工作員が潜入したときの例のように、陸上自衛隊の通常部隊が大規模に出動することになるのだろうか?

 仮にそうなった場合、国民保護に当たる地方自治体と掃討作戦を遂行する自衛隊との連携はどうなるのだろう? これまで、自治体は、国民保護訓練を取り行ってはいる。だが、同時に同じ地域で自衛隊が作戦を行っている状況での訓練はしていないのではないか。 さらに、日米安保条約が発動したとして、米軍の作戦と自治体、関係機関はどう連携するのか。自衛隊がいちいち仲介に入るとしても、自衛隊と米軍との間にも、現在、指揮・調整メカニズムはない。米軍が作戦する地域での誤射誤爆は当然予想される。

 第3に「機動的に運用する」を取り上げる。例えば今の陸上自衛隊の構造は「機動的な運用」に適していない。

 陸上自衛隊は領域警備の法的任務を持っていない。だが、自衛隊法施行令で、各方面隊に警備区域を割り当てている。さらに、その区域を、事態に即応し機動的に運用されるべき師団以下の部隊に警備地区、隊区として割り当てている。このため、各部隊は中隊レベルまで民生支援などの地域行政業務が発生し、機動的運用が困難な状態になっている。

 ちなみに陸上自衛隊は、「北部」や「東部」など全国に5つの方面隊を配置している。各方面隊は複数の師団からなる。各師団は、連隊、大隊、中隊が階層をなして構成している。

 地域行政業務は多様。さっぽろ雪まつりの支援はその一つ。各師団に属す部隊長が地域べったりの駐屯地司令職を兼務しているので、部隊がそれぞれの土地に根付いてしまい、師団としての機動性に影響が出ている。駐屯地司令は、本来訓練などに費やすべき時間を、支援団体や地方の有力者との会合などに使っているのが実態だ。

 このようなこまごました制度をすべて見直さないことには、動的防衛力としての基盤ができてこない。これらはすべて運用上のソフトウエアが未整備なことの一例にすぎない。

 

nikkei TRENDYnet 12月27日(月)

 地デジ完全移行を来年7月に控え、薄型テレビと同様、テレビパソコンの販売が好調だ。調査会社BCNによれば、2010年5月から11月までの地デジパソコンの販売台数は、前年の同じ期間の2倍以上に増加しているという。

要因は、1台でパソコン、テレビ、ブルーレイ、レコーダーと何役もこなせて経済的で場所を取らないこと。特に自室用の小型テレビの代役をパソコンで済ませる人も増えているようだ。最近はデスクトップパソコンの大半が、地デジチューナーを搭載するようになってきている。

 地デジテレビの代替機としての地デジパソコンをアピールしようと、ウィンドウズ デジタル ライフスタイル コンソーシアム(WDLC)では、「パソコンも地デジカ」キャンペーンを今年4月から実施してきた。このキャンペーンは、2011年7月24日の地上波アナログ放送終了とデジタル放送への完全移行に備え、地デジ対応テレビ導入の選択肢の1つとして、地デジチューナー搭載パソコンやパソコン用地デジチューナーを売り込み、パソコンならではの地デジ放送の楽しみ方を提案しようというものだ。

 12月10日には新宿駅前でトークショーなどのイベントを開催して、キャンペーンの進捗状況を説明した。これによると、2010年5月~11月の地デジパソコンの販売台数は、前年同期間比で225.9%となった。同期間でのパソコン全体の販売台数は、前年同期比で105.6%なので、地デジパソコンの販売台数が大幅に伸びていることが分かる。月別の比較を見ても、すべての月で大きな伸びを見せている。一般のテレビにはエコポイントがつくが、テレビパソコンにはつかない。そうした不利な条件にもかかわらず、大きな伸びを示しているのは注目に値するだろう。

ビックカメラ有楽町店本館テレビパソコンは高性能・高機能が人気

 こうした好調な販売状況を家電量販店ではどう見ているのか。

 ビックカメラの有楽町店本館では「地デジパソコンは、1台でテレビ、パソコン、ブルーレイの機能を兼ねるのが人気の要因」と見る。自室に置くテレビとして購入する人もいるが、一人暮らしの人も多い。来春の新生活シーズンではさらに伸びると期待している。

 売れているのは、20~23型クラスのデスクトップ。同じ価格のノートパソコンと比べて、画面が大きくて高性能なCPUや容量の多いHDD、BDドライブなどを搭載することから選ぶ人が多い。地デジパソコンを買い求める人は、地デジ導入のための予備知識があり、アンテナ設置などについて詳しく説明するケースはあまりないという。

ヨドバシカメラマルチメディアAkibaテレビパソコンはダブルチューナーがポイント

 ヨドバシカメラマルチメディアAkibaの売れ筋は「デスクトップタイプで、画面が大きなディスプレイ一体型モデル」だ。ディスプレイ一体型は、電源ケーブルとテレビアンテナケーブルだけをつなげればいいため、配線が楽なのが人気と言う。

 テレビパソコンの中でもデジタル3波(地上/BS/110度CS)対応でダブルチューナー搭載の高機能なモデルの人気が高い。裏番組録画、2番組同時録画が可能な機種を求める人が多く、ダブルチューナーが選択のポイントになるようだ。

 デスクトップを買い求める層は、主にゲームをするために高性能なパソコンが欲しいという人と、テレビパソコンが欲しい人の2タイプ。CPUの処理性能のほかにグラフィックス機能(グラフィックスチップ)に注目して選ぶ人も多いという。

 ヨドバシカメラマルチメディアAkibaでは、Mac版の「Office 2011」も評価が高く人気だという。使いやすさ、Windows版との互換性、VBAのサポートなどが評価されている。これまでアップルの「iWork」を使っていた企業ユーザーがまとめて乗り換えるケースもあるという。従来のマイクロソフトオフィス製品との高い互換性が決め手で、約8割のユーザーが最終的にOffice 2011を選ぶという。

(文/湯浅 英夫)


ボーナスで買う「パソコン秋冬モデル」、 地デジや3D対応に注目!

2010年11月19日

日本メーカーのパソコンは、だいたい新製品登場の時期が決まっている。「春モデル」「夏モデル」「秋冬モデル」といった具合だ。冬のボーナスで最新製品を狙うなら、「秋冬モデル」ということになる。実際にすでに大手メーカーからは製品が出そろい、それぞれの特徴や購入戦略も各メディアで紹介されている。

 日経トレンディネットの記事「オススメはCore i5搭載機! 買う前に知っておきたい秋冬パソコンのトレンド」によると、今シーズンの特徴は「地デジパソコン」「3Dパソコン」「13.3型モバイルノート」の増加だ。アナログ停波が近づき、各社とも寝室や一人暮らし用のテレビとして20型クラスの一体型デスクトップに力を入れている。3Dパソコンは、対応コンテンツがゆっくりだが拡大傾向で、年末商戦の起爆剤として期待されているようだ。タブレット端末やスマートフォンの影響でネットブックは人気が衰えつつあり、増加しているのが高い処理性能を持つ13.3型クラスのノートパソコンだという。

 では具体的に主要メーカーの新製品を見ていこう。

 まずソニーの「VAIO」。同社は日本の大手メーカーにしてはコンセプトが明確な商品を出してくるところに特徴がある。現在のラインアップで一番切り口が鮮明なのは、ハイエンドモバイルの「VAIO Z」、中核モバイルの「VAIO X」、超小型モバイルの「VAIO P」という「モバイル3兄弟」だ。それ以外にも、定番ノート「VAIO E」、テレビ画面を高速起動できるAVノート「VAIO F」、WiMAX搭載ビジネスモバイル「VAIO S」、といったノートパソコンをそろえている。デスクトップ・一体型の分野の注目株は、最近また人気上昇中のテレビ機能付きパソコン「VAIO J」だ(「ソニー、VAIOシリーズの2010年秋冬モデルを発表)。

 次にNEC。デスクトップ型「VALUESTAR」とノート「LaVie」の2ブランドで展開している。注目は3D立体表示対応のデスクトップ機で、「VALUESTAR W」および「VALUESTAR N」シリーズの上位モデルとしてラインアップされている。モバイルノート「LaVie M」の「LM550/CS」では、10時間駆動可能なバッテリーを標準搭載。ネットブックの「LaVie Light」シリーズは仕様を見直しデザインも一新。一部モデルでは約10時間駆動のバッテリーを搭載している(「NECのパソコン秋冬モデルが早くも登場」)。

 富士通の「FMV」では、定番ノート「LIFEBOOK AH」シリーズに3D&テレビ機能搭載モデルが登場した。テレビ機能搭載AVノート「LIFEBOOK NH900/5BD」には、18.4型のメイン液晶に加え、「タッチスクエア」と呼ぶ4型サブ液晶をキーボード上部に装備。サブ液晶でテレビを見つつメイン液晶で作業したり、サブ液晶のタッチスクリーン機能でチャンネルを切り替えたりといった使い方が可能だ。さらに、11時間駆動のモバイルノートや3D表示デスクトップなども用意し、盛りだくさんのラインアップとなっている(「富士通、LIFEBOOK/ESPRIMOの2010年秋冬モデルを発表」)。

もちろん、この3社以外にも国内・海外あわせて、多くのメーカーが新製品を投入している。消費者としては、数多いパソコンから「どういう基準で」「なにを」選ぶのかが重要になってくる。

 例えばスペックの読み方、今期はどのスペックに注目すればいいか、といった全体的な注意点がまずある。加えて、モバイルノートならどの機能に注目すればいいか、ネットブックならではの選択法、話題の3Dパソコンでも各社の3D表示方式の違いなど、注意点は多い。そのためのポイントを探っていくためには、PC Onlineこちらの記事「【秋冬モデル総覧】注目の最新トレンドと選び方」が参考になるだろう。

ないなら即退陣せよ~キューバ危機を回避した君子の豹変!

2010.12.28(Tue)JBプレス 織田邦男

小泉純一郎元首相は12月4日、講演で次のように語った。

 「首相当時、2004年チリでのアジア太平洋経済協力会議APEC)で胡錦濤国家主席との2国間会談を巡り中国側から『来年、靖国神社を参拝しないなら受ける』との打診があった」

 「その際、『必ず参拝する』と突っぱねたところ、おじゃんになるかと思ったら『会談前後に参拝を明言するのはやめて』となった。結局、会談は実現したが、外交とはそういうものだ」

外交は血を流さない戦争である!


11月13日夕刻、横浜で行われたAPECでの菅直人首相と胡錦濤国家主席による日中首脳会談とは対照的だ。この会談は日本側が「やってほしい」と頼み込み、中国側が「仕方がない」と応じたとされる。

 外交は血を流さない戦争であり、戦争は血を流す外交と言われる。

 首脳会談一つとっても国益をかけての熾烈な戦いである。戦いであるがゆえに足元を見透かされた方が負ける。外交交渉は願望が強いことを見せた方が弱い立場に置かれるものだ。

 日本側が「会談をやってほしい」と頼み込んだ時点で勝負はついていたと言える。

 9月の尖閣沖漁船衝突事件以降、菅政権の拙劣な対応により、日本は血を流さない戦争に全面敗北した。日中首脳会談の菅首相は、さながら降伏調印式の全権代表のようだった。

 実現した会談たるや通訳を入れて約20分間。ほとんど内容もなく挨拶程度に終始し、何ら見るべき成果はなかった。会談を持つこと自体が目的化した茶番劇であり、むしろ日本の外交戦略のなさを白日の下にさらす結果となった。

 さらに悪いことには、菅首相は挨拶程度のコメントさえメモを読むのに終始し、対峙する胡錦濤と目を合わせることもなく、蛇に睨まれたカエルよろしく、格の違いを露呈した。

目は虚ろで、およそ一国の宰相とは思えないオドオドとした態度は嘲笑の的になり、全世界に醜態をさらしてしまった。

外交とは華麗なる衣装を纏った戦争である~ナポレオン

これが菅首相個人の悪評に留まるならまだいい。菅首相の人間力を見透かされた結果、日本の外交力、国際政治力が瀬踏みされ、「日本与(くみ)しやすし」のメッセージを全世界に与えたとなれば、今後の日本の安全保障に暗い影を投げかけたことになる。

 外交とはナポレオンが言うように、華麗なる衣装を纏った戦争である。「日本与しやすし」と思われた途端、各国がこれまでの対日懸案事項をこの機に呑ませようと迫ってくるのは当然である。

 日清戦争に敗北した途端、清国が列強の草刈り場となった歴史を見れば分かる。

 一国のリーダーの未熟さが危機を招来した例として、思い出されるのが1962年のキューバ危機である。

 キューバ危機は米ソの緊張が核戦争寸前にまで達した危機事案であるが、ことの発端はソ連のニキータ・フルシチョフ首相がドワイト・アイゼンハワーのあとを継いで大統領に就任したジョン・F・ケネディを未熟な指導者と見くびったことに始まる。

フルシチョフに見下されたケネディ大統領!

 1959年フルシチョフが訪米した際、上院外交委員会を訪ね次期大統領の可能性があるケネディと短時間ではあるが顔を合わせている。その際のケネディの態度がフルシチョフには軟弱で優柔不断な「ベイビーボーイ」に映ったという。

 1961年ケネディ大統領就任直後の4月、ピッグス湾事件が起こる。在米の亡命キューバ人たちで構成される親米ゲリラ「反革命傭兵軍」が米国の支援を受け、革命政権の転覆を試みた事件である。

 就任したばかりのケネディ大統領は、宥和政策を目指しており、当初、作戦には乗り気ではなかった。だが閣僚やアレン・ダレスCIA(中央情報局)長官らに説得され作戦を決意した。

 米軍最高指揮官としてのケネディの決断は実に中途半端で優柔不断極まりないものだった。突然、上陸地点の変更を言い出して作戦を混乱に陥らせたり、作戦計画にある空爆を躊躇したりした結果、最終的に亡命キューバ人部隊は壊滅した。

作戦失敗の最大原因は、ケネディの心変わりにより命令が二転三転したことにある。

好機と見たフルシチョフは難題を次々と突きつける!


これを見たフルシチョフはケネディを未熟で経験不足の指導者との意を強くし、「少々こづきまわしても構わない」相手だと確信したという。

 指導者の未熟さを露呈したピッグス湾事件から間もなくの1961年6月、ウイーンでケネディ、フルシチョフの初の首脳会談が開催される。

 これまでの懸案解決のチャンスとばかりにフルシチョフは強気に難題を突きつけた。

 この会談の結果、ベルリン危機が生起することになるが、フルシチョフのケネディに対する見方は変わらず、これまで控えてきたキューバに対する兵器供与開始を決意する。

 1962年フルシチョフは核ミサイルをキューバに配備する「アナディル作戦」を発動。同年10月、米空軍の「U-2偵察機」が、アメリカ本土を射程内とするソ連製準中距離弾道ミサイル(MRBM)及び中距離弾道ミサイルIRBM)がキューバに配備されているのを発見。

 ケネディキューバ周辺の海上封鎖および臨検を行うことでソ連船を阻止しようとした。一挙に米ソに緊張が高まり、全面戦争の危機に陥った。キューバ危機の始まりである。

核戦争の危機まで招来したケネディの罪!

 キューバ危機は結果的にはフルシチョフの譲歩で事なきを得た。その後ケネディは暗殺されたため、ケネディは今なお英雄のように祭り上げられているが、そもそも米国を一時的にも核戦争の淵に追いやった原因を作ったのはケネディ本人の未熟さにあったのだ。

 軍隊には「愚かな高級指揮官は敵より怖い」という言葉がある。指導者が未熟であるのは犯罪に近い。

 今回の尖閣事案では、対外的に「脅せば日本は必ず折れる」という印象を与え、しかも検事の背後に隠れて責任逃れをする未熟な指導者の実像を中国のみならず全世界に知らしめてしまった。

 「ルーピー鳩山」に続き、未熟な菅首相に率いられた日本はそれこそ「少々こづきまわしても構わない」とロシア中国北朝鮮が思ったとしても不思議ではあるまい。

今後、各国はこの機を逃さず、対日懸案事項に関し、自国に都合の良い解決を図ろうと強気に出てくるに違いない。

韓国が対馬の領有権問題を言い出す可能性も!

ロシア北方領土問題を初期化して4島ロシア固定化で決着を図ろうとするだろう。ドミトリー・メドベージェフ大統領の北方領土訪問は既にそれが始まっていることを示す。

 中国は尖閣諸島領有化に次の一手を打ってくるだろう。また東シナ海聖域化の完整に向け、さらに傍若無人な振る舞いがあるだろう。

 北朝鮮は次なる朝鮮戦争が生起しても、後方支援基地たる日本が機能しないのを見透かし、緊張を激化させる瀬戸際外交を推し進め、後継者の正統化と核武装を急ぐことが予想される。

 韓国領の延坪島砲撃事案はこの動きが既に始まっていることの証左である。

 友好国側にある韓国も例外ではない。菅政権のうちに竹島領有の国際的認知化や日本海の「東海」化、そして対馬の領有権問題の顕在化を画策してくることも考えられる。

 まさに普天間に続く尖閣などの拙劣な対応が原因で、日本が諸外国の草刈り場と化す可能性があるのだ。

愚かな宰相のせいで草刈り場と化すのか、我が日本国!

 唯一の頼みの綱、米国はどうか。今回の尖閣事案では比較的早期に収拾したことには安堵しているが、未熟な指導者、不甲斐ない日本の対応ぶりについて、特に親日家の失望が大きい。

 オバマ政権内には、頼りにできない同盟国として日本の評価が定着しつつある。これで普天間問題が先送りされるようなことがあれば、日米同盟は後戻りできない漂流に陥る可能性がある。

 その時、米国は日本を見放し中国と手を結ぶことだってありうることを覚悟しておかねばならない。「負かせない相手とは手を結べ」(Can’t beat them, join them)は現実主義アングロサクソンの常套手段なのだ。

 今後「草刈り場」の動きが出てきた場合、政府はどう対応すればいいのか。やはりキューバ危機が参考になる。

 

危機発生後のケネディは人が変わったように極めて的確な対応をしている。まさに「君子豹変」を演じたのだ。

君子豹変したケネディ


スタッフの意見具申を排除し自意識過剰になり独りよがりの決断を繰り返したピッグスの失敗を深く反省し、一転してスタッフの専門的意見に耳を傾け、衆知を結集したうえで戦略的な最終決断を自ら下している。

 ミサイル発見の4日後、ケネディはアンドレイ・グロムイコ駐米ソ連特命全権大使をホワイトハウスに呼びつけ、懸念を表明しソ連政府に対応を迫った。

 同時に、テレビ演説でキューバにミサイルが持ち込まれた事実を国民に説明し、ソ連を非難した。これに加え北大西洋条約機構NATO)など西側指導者たちに状況を説明し、全面的な支持を取りつけている。

 尖閣沖での漁船衝突後、中国大使を呼びつけることもなく、諸外国に説明もせず、しかも衝突映像を隠蔽しようとした菅政権と全く対照的な動きである。

 国連では米国国連大使が、キューバの核ミサイル写真を公開し撤去を迫った。

戦争準備を万端に整えれば戦争は起きない!

 米軍に対してはデフコン2(準戦時体制)を発令、全面戦争に備え大陸間弾道ミサイルを発射準備に置いたほか、日本を含む海外駐留米軍も臨戦態勢に置き、一歩も引かないファイティングポーズを構えた。

 その後、ソ連からは中途半端な妥協案が示されたがケネディは断固拒否。結局フルシチョフはケネディの条件を受け入れ、キューバに建設中だったミサイル基地やミサイル解体を約束。ケネディキューバへの武力侵攻はしないことを約束し危機は終わった。

 「戦争準備を万端に整えれば、戦争は決して起こらない」という箴言がある。

 相手の弱みを握ったうえで、我が方の力を盤石に整えつつ、一歩も引かない気迫を示し、しかも相手の面子を守ろうとする度量も示す。

外交はまさにチキンゲームであり、中途半端に譲歩しても、決して相手は譲歩しない。取り引きした方が得だと相手に思わせる戦略的対応が肝心なのであり、弱みを見せた方が負けなのだ。

いま日本政府がやらねばならないこと!

 事件直後、枝野幸男民主党幹事長代理は「中国は困った隣人だ」と述べた。その通りであるが、嘆息にすぎない言葉を口走るのは一般国民だけでいい。政治家は嘆息を漏らす前に、政府としてのやるべきことをやってこそ選良である。

●安全保障会議を開き、情報・軍事・外交の専門家から意見を求め、総合的、戦略的分析をしたうえで政府としての対応を決める。

中国大使を呼んで懸念を表明し対応を迫る。また起訴せざるを得ない法治国家としての立場を申し渡す。

●なぜ領土問題が存在しないかという歴史的事実を、全世界に向け発信する。

●全世界に映像を公開し、中国の理不尽さを訴え、日本の正当性を訴える。

毛沢東の16文字を肝に銘じよ!


これらが政府として最低限やるべきことであったことは、キューバ危機を参考にすれば危機管理の素人政治家でも分かるはずだ。

 鳩山政権、菅政権と続く未熟な指導者による拙劣な対応により、既に諸外国に日本政府の非力さを見透かされたと言っていい。

 今のうちに懸案を解決しておこうという動機付けが諸外国に働き、続々と日本の主権に関わる問題を強引に係争化、争点化しようという動きが起こっても不思議ではない。

 日本が諸外国にとっての草刈り場と化すのは、何としても阻止しなければならない。特に中国は「力の信奉者」である。相手が非力と見れば容赦なく攻めてくる。毛沢東の16文字はその正体を如実に表現している。


「敵進我退、敵駐我攪、敵疲我打、敵退我追」(敵が進めば退却し、敵が止まれば攪乱し、敵が疲れれば攻撃し、敵が退却すれば追撃する)である。国力が国境や領有権のみならず排他的経済水域を決めるというのが、中国の基本的なスタンスなのである。

国を守る気概はあるのか、菅直人!

 日本は今、喫緊に何をすべきなのか。キューバ危機後のケネディのように指導者は先ず豹変しなければならない。

 外交、軍事、情報など専門家の意見に真摯に耳を傾けることは極めて重要である。そのうえで短時間に国家としての緊急対応を戦略的に決める体制を構築することが必要である。

 同時に日米同盟を漂流から立ち直らせる。そして東アジアにおける日米の役割、任務を米国と協議し、応分の負担を担うことである。

 最も大切なものは国を守る気概と自覚、そして全責任を負う宰相の覚悟である。「法律を調べたら、最高指揮官だった」などと惚けたことを言っている場合ではない。

 官僚が意見を持ってきても、イライラして怒鳴りつけることなく、たとえ耳に痛い情報でも専門家の意見に耳を傾ける度量を持ってこそ宰相の器である。

 政治主導の美名の下、専門家たる官僚を排除し、素人外交を展開して海千山千の周辺諸国に日本を手玉に取られては国民がたまったものではない。

 これまでの失態を自覚、反省し、その責任を認め、そして豹変する。豹変してこそ君子であり、豹変できない宰相なら即刻退陣すべきである。

 

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