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平成22年 第12回「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」(松江市)有機栽培・JAS認定部門で特別優秀賞を受賞。(食味90・味度83・計173点) 平成25年、第15回魚沼と第16回北京開催運動中! 無農薬魚沼産コシヒカリ生産農家・理想の稲作技術『CO2削減農法』 http://www.uonumakoshihikari.com/
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国際緊急援助隊
 
国際緊急援助隊(JDR)
 
【NZ地震】国際緊急援助隊が現地に向け出発(11/02/23)
 
政府は23日、ニュージーランド地震を受けた国際緊急援助隊派遣など、日本政府の迅速な対応をアピールしたが、政府内で足並みの乱れもあった。
 
 「これまでのところ、極めて迅速に行動できた」
 菅首相は国会内で開いた関係閣僚会議で、政府の対応を自賛した。党首討論でも「迅速な対応が出来た」と繰り返した。その後、記者団に、「国際緊急援助隊の派遣要請がある前に先遣隊を送った」ことを強調。首相と枝野官房長官はそれぞれ、外務省の担当部局を激励するために同省を訪問し、枝野氏はドリンク剤を差し入れるなど、担当職員への気遣いも見せた。
 
 過去には危機管理対応の不手際で政権が失速した例もあり、政府関係者は「民主党内でも首相退陣論が広がる中、わずかなミスも命取りだ」と気を引き締めた。
 ただ、混乱も見られた。
 
 前原外相が22日夜、緊急援助隊を被災地に輸送するための政府専用機に被災者の家族を同乗させる考えを表明しながら、政府専用機を管理・運用する防衛省との具体的な調整も行われないまま、見送られたことだ。「一刻も早く政府専用機に旅立ってもらい、現地で対応する方が優先度が高い」(枝野官房長官)との考えからだが、防衛省では「外務省から協議の要請もなかった」として、根回しもないままのアナウンスに不満もくすぶっている。
 
(2011年2月23日20時37分   読売新聞)
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第1回:まずツイッターから始まった

Twitter(ツイッター
Facebook(フェイスブック)
 
2011年2月23日(水) 日経ビジネス 片瀬京子
 
 2月7日月曜日、日本ツイッター学会(会長・樋渡啓祐さん、 @hiwa1118 )の主催するフェイスブック講習会が、佐賀県西部に位置する武雄市の市庁舎で開催された。
 講師は、福岡からふじかわようこさん( @neboichiyouko )と杉山隆志さん( @takaflight )、東京から加藤たけしさん( @takeshi_kato )、そしてニューヨークからヒミ*オカジマさん( @himiokajima )。いずれも手弁当での参加だ。聴講者は武雄市内外、佐賀県内外から老若男女約160名が集った。行政色の強いイベントには珍しく、学生の姿も目立ち、会は大いに盛り上がった。
 主催者からは、日本フェイスブック学会の設立が宣言された。会長は樋渡さんが兼務する。この樋渡さんは、佐賀県武雄市の市長でもある。
「僕がフェイスブック学会の設立を発表すると、場内は大爆笑でした。ツイッターに続いて『またか』と思われたのでしょう。しかし、それに続けて武雄市でどうフェイスブックを活用するかを話しているうち、聞いている人の口が開いていくのが見えました。瞳孔も開いていたのではないでしょうか(笑)。おそらく、フェイスブックの可能性に衝撃を受けたのでしょう。それを見て、僕も、衝撃を受けました」
 講習会の後、市役所近くの居酒屋で開かれた懇親会は深夜2時半近くまで続いた。
 武雄市では、今年4月1日から広報を担当するセクションに「フェイスブック係」を新設する。兼務も併せると3人の職員が担当となるという。では、なぜこの市でフェイスブックが盛り上がっているのか。
 その答えは、なぜ武雄市でツイッターが盛り上がっているのかという問いの回答と重なる。
 
武雄市が、職員を挙げてのツイッター運用を始めたのは2010年9月。その頃から、市民による活用も増えている。例えば、武雄市民で佐賀県議の稲富正敏さん( @inadomimasatosh )。それまでは、仕事に必要なネットを使っての調べ物は周囲に依頼していたが、iPadの購入を機にツイッターを始め、タイムラインを眺めているだけでは飽きたらなくなり、自分もツイートしたいという一心で、一覧表を見ながらローマ字入力をしている。御年63歳でキャリア4カ月の稲富さんが「イット・イズ・楽しいです」というツイッター、職員と市民はどう活用し、その先でフェイスブックとどう関連づけ、何をしようとしているのか、今日から4回のシリーズでお届けする。
* * * * *
 日本ツイッター学会と日本フェイスブック学会会長、そして武雄市長を兼任する樋渡さんは、2006年に史上最年少市長として初当選した。ツイッターを始めたのは09年半ば。2010年に控える改選を意識してのことだった。
ツイッターは選挙向き、というような本や記事を読んだからです。その頃は僕の考えをメインにつぶやいていました」
 樋渡さんはそう振り返る。しかし、フォロワーがなかなか増えず、面白みも感じられない。しばらく放置した。
 再開し、のめり込むようになったのは10年6月。愛用していたモバイルノートパソコンが破損してしまった。何を次に買うのがいいか分からず『モバイル機が欲しい』とつぶやいてみたところ、すぐに山のようなアドバイスが帰ってきた。より多くの人が薦めてくれた13インチのMacBook Proを購入し、使い始めて「確かにこれはいい」と実感。同時に「ツイッターは、質問ツールとして活用できる」と気がつき、そして「それまで抱いていた『怖いこともあるかもしれない』というイメージがなくなりました。積極的に使ってみようとマインドが切り替わったのです」。
 
ちょうどその頃、市内に住むある難病患者が1つのツイートをした。難病認定を受けるには、様々な役所に出向かなくてはならなくて負担が大きいので、なんとかならないだろうかというもの。これが樋渡さんの目にとまった。
「窓口を一元化することは法制上できません。しかし、これは初当選時から言っていることですが、できない理由を挙げてそこで思考停止してしまうことだけは避けたい。どうしたらできるか、できる理由を担当部署にも考えてもらい、市の職員が手続きを代行できる制度を整えました」
 
この決定をツイッターで報告すると、大きな反響があった。
「行政にツイッターを活用しようと決めたのはこの時です。当時、企業での導入事例はいくつかありましたが、行政ではなかった。ネット上の有力者がいるわけでもなく、IT企業でもない人口5万人都市の市役所がこぞってツイッターに取り組むなんて面白いし、そうしたらどんな変化が生まれるのかを誰よりも早く見てみたいと思いました」
 樋渡さんは、ツイッターによって市役所と市民との間にある壁を「なくせはしなくても柔らかくできるのでは」と思った。それには職員の協力が欠かせないが、当時、市庁舎の大半を占めていたのは「本気ですか」「私はツイッターなんかやりませんよ」という空気。

 

全職員がツイッターのアカウントを取得

 
 そこで樋渡さんは、対象となる職員全員のアカウント( @takeo_tw_master/takeocitypub )を取得し、それを配布することにした。アカウントは、武雄の略称であるtkoと、職員の名前のイニシャル、姓の組み合わせ。日経太郎なら、tko_t_nikkeiという具合だ。すでにアカウントを持っている人は、実名併記することを条件に、それを使って構わない。アイコンは職員が自分で決める。
「名前を出すことへの抵抗が強いことは分かっていました。僕もかつて公務員だったので分かりますが、公務員には、匿名主義のほかに、横並び文化があります。名前や顔は出したくない一方で、他のみんながやることを自分だけがやらないのも、嫌なんです」
 ツイートの強制はしない。ツイートへのインセンティブも用意しない。それでいて、3年かけて全職員が活用することを目標にした。ツイッターを知らない、使い方が分からないという職員のために、樋渡さんは自身が出演する入門DVDを製作。つぶやく内容に関しても、ごく簡単なガイドライン[pdfファイル]を示した。
「例えば、リアルの世界で言ってはいけないこと、言ってはまずいことはつぶやかない。その程度のものです」
 8月18日には、翌日から武雄市で全国自治体政策交流会議開催されるタイミングで、市庁舎近くの公園を会場に日本ツイッター学会設立シンポジウムを開催。初代会長に樋渡さんが就任した。学会と名付けたのは「名乗るのに何の制約もなかったから」だ。
 そして9月1日、同市のサイトに「平成22年9月1日(水)から、390名の職員がツイッターのアカウントを取得し、本日から、運用を開始しました」という告知が掲示された。
 それによると、メリットは以下の3つ。
 

 

1. 災害情報、気象情報などを、リアルタイムで、しかもきめ細かく発信することが可能となり、市民の皆様の安心安全に寄与することが期待されます。
2. 市民の皆様の声を受け止める相談窓口として390の窓口が設置され、市民の皆様の声がより届きやすくなることから、市民目線の行政に大きく変わっていくことが期待できます。
3. 市民の皆様と市職員、市長と市職員、市民の皆様と市長のやりとりが見えることにより、行政の「見える化」が実現し、行政の透明性が高まることが期待されます。

 

 
390人につぶやく環境が整い、何名かがつぶやき始めたことで、効果は思わぬ所から見えてきた。
「僕自身にも、こんな職員がいたのかとか、この人はこういうことをつぶやく人だったのかという発見がありました。職員も私のつぶやきを見て、そういったものを感じていると思います。ただ、一番驚いたのは、縦よりも横のつながりの活性化です。職員同士のやりとりが、お互いの認識と連携を深めていきました」
【拡散希望】とあれば、別の課の人でもリツイートしたり、誰かが県庁へ行くとつぶやけば、何か書類を託したり。
 
「最初に柔らかくなったのは、役所の中の個人の間にあった壁でした」
市民からの問い合わせや要望は、市長である樋渡さんのところへ寄せられることが多いが、それをみんなに見える形で「○○課長さん、お願い」とリツイートする。それを見た課長が担当者に振って、万事解決すればその結論もツイートする。すると時々、市民から「ありがとう」という反応がある。
「公務員は働いて当たり前と思われている存在で、感謝され慣れていません。ツイッターで市民から直接『ありがとう』と言われて、嬉しくないわけがない。こうなると、ツイッターが楽しくなります。ミスを恐れてツイートをしないのではなく、褒められようとして前向きにツイートするようになる。僕はこの文化を根付かせたいと思っています」
 では、職員の側は実際にどう使い、どう感じているのか。次回レポートする。
江田憲司
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%9F%E7%94%B0%E6%86%B2%E5%8F%B8
 
江田憲司提供:江田けんじNET 今週の直言 2011年02月14日
 
みんなの党は4%名目成長を目指せと言っている。それは、経済を成長させ税収を伸ばして財政再建を果たしていく、かつ、社会保障の財源も調達していくためだ。

 こう言うと、もはや日本が4%も経済成長するなんて考えられないという反論が必ず返ってくる。しかし、こうした根拠のない反論に我々は与さない。世界をみれば、日本のように成熟した先進国でも、平均2%程度の実質成長はしている。そして、平均2%前後の物価上昇率(インフレ率)とあわせ、4%前後の名目成長は達成しているのだ。

 日本も、経済が悪い悪いと言われながらも、実質ベースでは、それほど世界に遜色のない成長率(実質1%~1.5%)は達成している。それでは、なぜ日本の名目成長が低いのか。その理由がまさにデフレなのだ。ここ何年か、日本は▲1%前後の物価下落が続いている。その差が3%(他の先進国 2%vs▲1%日本)。このギャップを埋めれば、日本も名目4%成長がみえてくる。

 それではどうするか。その一つが、みんなの党が提案している「日銀法改正案」だ。政府と日銀がアコード(協定)を結び「名目4%成長」を共通の目標とする。ただし、中央銀行の独立性はあるから、その達成手段は日銀に任せる。しかし、その目標未達の場合は、政府・日銀双方でしっかりレビューし対策を講じる。日銀でいえば、具体的には更なる金融緩和措置を講じるということになろう。

 我々は「デフレとは優れて貨幣的現象である」ととらえている。すなわち、ザックリ言うと、貨幣とモノとの需給のバランスで価格は決まるということだ。価格が下がり続けるということは、市場で貨幣よりモノが多い、つまり、お金の方に希少価値があり、その結果、モノの値段が下がる。これがデフレ現象だ。だから、その対策としては、市場にお金を増やす、すなわち金融緩和が必要となるのだ。

 しかも、これは「円高」「円安」現象にも当てはまる。ドルやユーロに対して今円が高いのは、これら通貨に対して円が相対的に少ないからだ。だから、この観点からも市場に円をさらにしてやる必要がある。

 昨年秋に日銀が更なる金融緩和措置を講じたといっても、たかだか新規追加分は15兆円であり、しかも「一年以内に実施」とスピードも遅い。これに比し、米国FRBは今年6月までに70~80兆円レベルでドルを市場に流す。これでは円高になってもやむを得ない。日本はいつも「Too little too late」なのだ。「兵力の逐次投入」と言ってもいい。

 もちろん、我々も金融政策だけで名目4%成長ができるとも考えていない。政府の側でも、投資や技術革新を促す財政・金融一体政策を講じなければならないのは当然のことだ。
 
じゃあ、なぜ「4%」なのか。ここで「ドーマーの定理」が出てくる。

 「ドーマーの定理」とは、財政赤字の管理可能性を判断(収束か発散か)する尺度で、簡単に言えば「基礎的財政収支が一定の場合、名目成長率が国債長期金利よりも高い場合は財政赤字は収束する」という原理だ。

 この条件が成立すると、債務残高(借金)の対GDP比率が年々減少し、国全体の支払い能力をGDPとすると、その範囲内に借金が収まる、いずれ収束するということを意味する。

 みんなの党のアジェンダでも、財政再建の指標として、この「債務残高の対GDP比率」を採用し、現在55%程度あるこの比率を「経済危機を克服した後、5年間で50%以下にすることを目標」「基礎的財政収支の黒字化を10年後に達成」としている。

 ただし、念のために断っておくと、この「ドーマーの定理」は、あくまで理論的に「名目成長率が国債長期金利よりも高い場合」にそうなるということで、実際の経済で、4%名目成長があれば常に国債長期金利を上回るという保証はない。この点は、小泉政権当時の「与謝野vs竹中論争」でも大問題となった。

 だから、この4%という数字は、この程度まで政策努力で成長を確保すれば、国債長期金利を上回る可能性が大という程度の理解にしていた方が無難だろう。

 各国の現状はどうなっているか。このドーマー条件を満たしている国(99年~07年)には、豪、米、英、スウェーデン等があるが、これらの国の名目成長率はすべて5%以上である。クリアーすれすれの仏、伊は4%である。したがって、実証的にも4%以上の名目成長を目標にしていくことには一定の合理性があると言えよう。

 いずれにせよ、確かなことは、今の日本のようなデフレ下では、名目成長率より国債金利の方が高くなり、将来の財政破たんが明らかなのだ。

 以上述べてきたように、景気が悪い時に増税で財政再建はできない。まずはデフレギャップを解消し、経済を成長路線に乗せる。これが、みんなの党の基本的立場なのだ。

 小泉政権時代、28兆円(02年)あった基礎的財政収支の赤字が07年には6兆円にまで減った。なぜか?当時、1.1%の名目成長(04年~07年)があったからだ。たった1.1%の成長でもこんなに赤字は減る。増税は一切していない。

 また、クリントン政権も、前政権から3000億ドルの赤字を引き継いだが、98年には見事に財政を黒字化した。これも当時平均5.7%の名目成長があったからだ(01年の大統領教書の分析による)。

 これが歴史の事実であり、世界の常識なのだ。しかし、残念なことに、ここ日本だけが財務省に洗脳され、この景気の悪い時に「やれ財政再建だ!」「やれ消費税増税だ!」「増税しないと国が破たんする!」と叫んでいるのである(次週以降、みんなの党の成長戦略を説明する)。
 
産経新聞 2011/02/20
 
【防衛オフレコ放談】
 
 これも政権末期のひとつの断面なのだろう。防衛省内では、最近になり北沢俊美防衛相が在任中にやり残した課題として語ったという「3つの心残り」をめぐりかまびすしい。
 
 ■3つの心残り
 
 複数の防衛省幹部の話を総合すると、北沢氏の心残りは次のようだ。
 
(1)「内閣官房副長官補を防衛省プロパーに差し替えたかった」
 
(2)「武器輸出三原則の見直しを実現したかった」
 
(3)「集団的自衛権の解釈変更に道を開きたかった」-。
 
 まず、
 
(1)は安全保障担当の西川徹矢官房副長官補に代え、生え抜きの防衛官僚を送り込みたかったという趣旨だ。西川氏は防衛省官房長まで務めたが、元は警察庁採用で、防衛省内での評判も芳しくない。
 首相官邸では西川氏に伊藤哲朗内閣危機管理監、植松信一内閣情報官の3ポストを警察庁出身者がおさえている。霞が関の政治力学上、警察庁がそうやすやすと防衛省プロパーにイスを明け渡すとは思えないが、民主党政権が誇る「政治主導」の下では首のすげ替えなどたやすいと考えているのだろう。
 
 (2)の武器輸出三原則の緩和は昨年12月、「防衛計画の大綱」の閣議決定直前に北沢氏自身があっさり旗を降ろしたテーマだ。通常国会での連携を期待して緩和先送りを社民党の福島瑞穂党首に差し出し、「『魔女』と手を握った」(防衛省幹部)と形容された。そうした経緯も他人事とばかりに、心残りのひとつに数えるけれんみのなさだ。
 
 (3)の集団的自衛権の問題も、ぜひとも実現していただきたかった。「権利は有しているが、行使はできない」との集団的自衛権に関する憲法解釈の縛りは、日米同盟を真に深化させるうえでも解いておく必要がある。ただ、防衛大綱のたたき台となった諮問機関報告書で解釈の見直しを提起されながら、大綱策定時に一顧だにしなかったのは、一体どなただったか?
 
 ■名付けて「宿題大綱」
 
 一方で北沢氏はたしかな実績も残した。「新たな時代にふさわしい安全保障政策が打ち出せた」。そう自賛する防衛大綱は、民主党政権として初めて策定した歴史に名を残す文書だ。だが、防衛省内では輝かしい文書もこう揶揄(やゆ)されている。「前代未聞の宿題大綱」。
 「大変なんですよ。なにせ中身が何も詰まっていないんだから」。2月初旬に面会した防衛省幹部に大綱策定をねぎらったところ、そう返された。予期せぬ答えに理由を聞くと、大綱の内容を受け、いくつも省内で検討チームを立ち上げるという。
 
 防衛大綱はおおむね10年先を見据え、わが国の防衛政策と防衛力整備の基本的指針を打ち出すもので、それに基づき態勢を整え、装備もそろえる。「本来であれば将来構想や態勢を詰めておき、それを大綱の文書に反映させる」(自衛隊幹部)はずだが、今回は細部に至る省内の検討作業が大幅に遅れた。このため、とりあえず文書として大綱は取りまとめたが、「詳細な検討は積み残しになっている」(同)というのだ。
 「政権奪還後、防衛大綱を作り直す」。元防衛相で自民党石破茂政調会長の言葉の深遠な意味が、ようやく理解できた気がした。
 
 ■25項目の検討課題
 
 さらに取材を進めようとした矢先、防衛省がそれにまつわる記者説明を開いた。配られた資料には、「防衛力の実効性向上のための構造改革推進委員会」の下に、実に25項目の検討課題が列挙されていた。「決まっていないことだらけですが、何か?」と言わんばかりのペーパーだった。
 25項目の中には、態勢や運用の根幹にかかわる課題も含まれている。
 たとえば「機動展開体制」。防衛大綱が目玉として打ち出した「動的防衛力」の「背骨」にあたるものだ。モデルケースは、中国が東シナ海の離島を侵攻した際、本州などの部隊を南西方面へ迅速に展開させるスイング戦略などを想定しているが、それを可能にするための「足」の部分をどう担保するか結論を出せていないという。
 「指揮統制・機能」という項目もある。これは、陸上自衛隊に全国の方面隊を一元的に指揮する「陸上総隊」を新設することについて結論を先送りしたことを意味している。
 海上自衛隊は「自衛艦隊」、航空自衛隊は「航空総隊」が全国の部隊を運用しているのと足並みをそろえるため、陸自側が求めている改編案だが、内局側には「屋上屋」として批判も多い。しかし、ここで言いたいのは、こんな主要な検討項目すらたなざらしにしたことだ。
 「羊頭狗肉」。北沢氏の輝かしい実績となるはずだった防衛大綱は、そう指弾せざるを得ない。
(半沢尚久)

 

産経新聞2011/02/17
 
 平成16年にわが国の防衛の基本的指針となる前回の「防衛計画の大綱」を策定した際、政府内で極秘に原子力潜水艦の保有の可否が検討されていたことが16日、分かった。当時の複数の防衛庁幹部が明らかにした。中国が潜水艦戦力の近代化を急ピッチで進めていたことに対抗するためだった。だが、法的側面や予算、運用面で乗り越えるべきカベは多いとして、導入を断念した。原潜保有を検討した経緯が具体的に明らかになったのは初めて。
 
海上自衛隊はディーゼル式などの通常動力型潜水艦しか保有していない。
 自民党政権が16年12月に前防衛大綱を策定するのに合わせ、防衛庁(当時)内では13年9月、防衛庁長官の下に「防衛力の在り方検討会議」が設置された。その際、テーマとして「日本独自の原子力潜水艦保有の可能性」を掲げた。
 
日本が自主開発することに加え、米国から導入する案も検討した。念頭にあったのは、弾道ミサイルを搭載し「核抑止」を担う「戦略原潜」ではなく、艦船攻撃用の「攻撃型原潜」だ。
 原潜が通常動力型よりも高速性や長時間潜航で優れている点に着目し、中国海軍の潜水艦に対抗することを主眼に置いた。米議会調査局の報告書によると、中国は1990年代中頃から潜水艦増強を軍全体の近代化の中軸と位置づけ、2010年までに年平均2・6隻のハイペースで増やしていった。
 
 当時の防衛庁幹部によると、原子力の「平和利用」を定めた「原子力基本法」との法的な整合性や、日本独自で潜水艦用の原子炉が開発できるかといった技術論に加え、運用面にも踏み込んで議論した。
 前防衛大綱では潜水艦は16隻態勢を維持した。その上限内で原潜を保有した場合、潜水艦戦力全体の警戒監視任務に与える影響や、乗員の確保策や訓練方法なども総合的に検討した結果、導入は「時期尚早と判断した」(幹部)という。
 
 民主党政権は昨年12月に4度目となる防衛大綱を策定し、通常動力型の潜水艦を16隻態勢から22隻態勢に増やした。
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