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平成22年 第12回「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」(松江市)有機栽培・JAS認定部門で特別優秀賞を受賞。(食味90・味度83・計173点) 平成25年、第15回魚沼と第16回北京開催運動中! 無農薬魚沼産コシヒカリ生産農家・理想の稲作技術『CO2削減農法』 http://www.uonumakoshihikari.com/
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「新しい公共」宣言
http://www5.cao.go.jp/entaku/shiryou/22n8kai/pdf/100604_01.pdf

「新しい公共」円卓会議 内閣府 政策統括官(経済社会システム担当)
http://www5.cao.go.jp/entaku/index.html
 


DIAMOND online 【第25回】 2010年8月10日
竹井善昭 [ソーシャル・ビジネス・プランナー/株式会社ソーシャルプランニング代表]

就活シーズン直前、「社会貢献でメシが食いたい」大学生激増中!
――「就活」にも社会貢献の波

最近の若者は、借金してでも社会貢献をやりたがる。そんなことをレポートしたのはほぼ1年前。この連載の第3回目の記事だった。

◎第3回記事(2009年8月18日公開)
途上国への学校建設から地雷除去まで。借金してでも「社会貢献」にハマる若者たち

 借金してでも途上国のNGOの活動を体験したり、チャリティ・イベントを行う若者たちの姿をお伝えしたが、このレポートは大反響を呼び、すでに25回を超える当連載でも、いまだにアクセス数トップの記事である。

 クルマや洋服ならともかく、なんで借金してまで「社会貢献」を買うのか。多くの大人は理解できないという反応を示したが、逆に若者たちからすれば、なんで借金してまでクルマや洋服を買わなければならないのか理解できないだろう。今の若者と大人の間には、それほど大きな意識のズレがあるのだ。

 若者たちの社会貢献熱は、その後もヒートアップ。大学生が主催する社会貢献イベントもどんどん増えている。規模も拡大するいっぽうだ。

学生1200人が集結!
チャリティ大運動会
「SWITCH」という学生団体は、9月6日に等々力アリーナを貸し切って、学生1200名参加の大運動会を開催する。参加費2000円から会場・運営費を差し引いた残りの全額が、バングラデシュでストリート・チルドレンを支援するNGO「エクマットラ」に寄付される。今年で2回目。昨年は35万円を寄付したが、今年は50万円の寄付をめざすという。

「SWITCH」は、明治大学3年生の吉田勇佑君が昨年3月に立ち上げた団体だ。「楽しいこと」を入り口に「ボランティア」に関心を持ってもらうことを方針として活動している。運動会という誰でも参加できるスタイルにこだわり、スポーツイベントに力をいれている。またセミナー、交流会も行っている。

9月7日には、福岡産業振興協議会および他の学生団体との共同開催で「次世代リーダー緊急会議」というシンポジウムも行う。日比谷公会堂に2000名を集める、こちらも大きなイベントだ。第1部のトーク・ライブでは、参議院議員の松田公太氏とマザーハウス代表で社会起業家として有名な山口絵理子氏を迎える豪華版。参加者のリクエストにより決定される特別ゲストも参加予定だ。

 等々力アリーナの運動会といい、日比谷公会堂のシンポジウムといい、SWITCHが開催する社会貢献イベントは千人単位の大きなものになっている。学生は他の学生の成功事例をすぐに真似するので、今後の学生主催の社会貢献イベントはますます大規模なものになってくるだろう。

 かつてのバブル時代。学生パーティー・サークルが全盛だった頃は、六本木のディスコをすべて貸し切った「学生2万人ディスコ・パーティー」といった巨大イベントも開催されたことがある。学生社会貢献イベントも、来年あたりは5000人規模を突破し、いずれ1万人、2万人規模のイベントを実施するようになるだろう。

◎学生団体SWITCHについての情報、お問い合わせはこちら
ブログ http://ameblo.jp/switch012/
Eメール switch.012@gmail.com

「就活」にも社会貢献の波。
学生と企業の間にギャップも
 さて、学生がこれだけ社会貢献に熱心なら、「就活」も社会貢献を意識したものになるはずだ。

就職ウォーカー」を発行する就職情報会社ジェイ・ブロードが運営する、就活サイト「Project-DECADE」の調査によれば、就活学生の約90%が「企業選びにCSRの視点を重視する」と回答している。この調査結果について同サイトでは、

「厳しい就職環境の中で、CSRという新しい企業選択のモノサシに強い関心を持っている表れであり各企業のCSR活動の成果や社内への浸透度、取り組み姿勢を積極的に見て取ろうとしていることも明らかだ」

 と分析している。

 毎日コミュニケーションズの調査では、就職先に「働きがい」や「やりがい」を求める就活生は95.4%にものぼり、その中身として「成長したと感じられる」(36.9%)に次いで「社会に貢献していると感じられる」(33.8%)が2位にランクされている。

 このような就活生の社会貢献志向を反映してか、社会貢献活動にインターンとして参加すれば就職に有利になるというプログラムも登場している。

 このように、「社会貢献で就活」というのはリクルーティングの大きなトレンドになりつつあるが、しかし、社会貢献を仕事にしたい学生と企業の間には、まだまだ大きなギャップがあることは事実だ。

 企業側の視点に立てば、採用したいのは社会貢献に熱心な学生ではなく、稼いでくれそうな学生だ。僕個人は、社会貢献した方が企業は儲かるし成長するというCSR3.0を提唱しているのだが、このような考え方はまだまだ普及していないので、企業の側にも社会貢献志向の若者を本業にどう活かせばよいのか、ノウハウがない。

 勘違いしている学生も多い。企業はボランティア団体ではないので、社会貢献を本業に組み込むといっても、それはソーシャル・ビジネスを行うという意味で、利益を度外視しても良いということではない。そこを理解しないで、就職面接で「御社に入って社会貢献をやりたい」と言っても、面接担当者も困惑するしかない。

 また、儲け主義の企業に入って資本主義の手先になりたくないという理由で、NPOに就職を希望したり、社会起業家になろうとする学生も多い。NPOや社会起業家なら、売上ノルマもなく、激しい競争にさらされることもないだろうと誤解している。社会貢献を現実逃避の道具に使っているわけだ。

社会貢献を「仕事」にするには?
 どうも、社会貢献を仕事にすることの現実と、大学生の間には大きなギャップがあるように思える。いまやNPOや社会起業家などの社会セクターは、一流のプロがしのぎを削るビジネス・ウォーズの世界へと変化している。ボランティアだって、善意のアマチュアよりもプロのスキルを持つプロボノが重視される時代だ。

 ソーシャル・ビジネスはプロの世界だし、そこで仕事を得るにはプロフェッショナルなスキルが要求される。社会貢献を仕事にしたいと考える学生は、こういうことを理解しておく必要がある。

 そこで、社会貢献を仕事にするとはどういうことなのかを伝えるために本を書いた。『社会貢献でメシを食う』というタイトルだ。9月9日にダイヤモンド社から発売予定である(詳細はこの記事の最後に掲載)。

 いまでは社会貢献を仕事にする方法はたくさんあるが、本書ではそれらを4つに分類した。「社会起業家になる」「NPOやNGOに就職する」「企業に就職して社会貢献をやる」「プロボノとして活動する」の4つの方法だ。

基本的には学生の就活向けの本だが、単なる仕事ガイドではない。CSR3.0の基本的な考え方と具体的な事例、業種別のソーシャル・ビジネスの可能性、画期的なビジネスモデルを生み出した社会起業家の紹介や彼らのスキル、NPOとプロボノのこれからの関係性など、社会貢献を仕事にすることの本質的な意味についても書いている。これまで、日本の社会セクターの成長を阻害してきた、間違った常識も正してある。

 現役のNPOスタッフや、社会貢献に関心のあるビジネス・パーソンにも読んでもらえる内容にしたつもりなので、ぜひご一読いただければありがたい。

 さらにこの本は、社会貢献を志す若者を応援するためのプロジェクト「世界を変える100人になろう」のオフィシャルブックとしてリリースされる。9月15日には、「社会貢献×キャリアデザイン」をテーマにしたオフィシャルイベントも開催予定だ。ぜひこちらにも参加し、議論に加わってほしい(詳細はこの記事の最後に掲載)。

若者の社会貢献モチベーションを
企業はどう取り込むべきか?
 アメリカの日本企業1000社の人事コンサルティングを行なってきた国際人事コンサルタントの奥山由実子氏(株式会社イマジナ代表取締役)によると、

「働く人の2人に1人は、自分の仕事にやりがいを感じない、好きではない」

 と感じているという。

 これは働く人いとっても人生の大きな損失だし、企業にとっても危機である。社員にモチベーションがなくて、企業が成長できるわけがないからだ。そこで出てきたのが「モチベーション3.0」。成果主義などの金銭的報酬では社員のモチベーションはもう上がらないため、社会貢献などの「やりがい」「自分の仕事が世の中の役に立っているという実感」が長期的にモチベーションを上げ企業を成長させるという考え方だ。単行本も発売され、アメリカでは大きな話題になっている。

 学生は本能的にこういうことを察知して、「社会貢献を仕事にしたい」と考えているのかもしれない。「御社に入社して社会貢献したい」という学生を、企業は「甘いこと、言ってんじゃねえよ」と考えているかもしれないが、甘い考えを変えた方がいいのはもしかすると企業のほうかもしれない。

 いまや、学生の社会貢献志向を満たすことができなければ、優秀な学生が採用できなくなる時代。実際、アメリカではすでにそうなっている。学生の社会貢献志向を尊重しなければ、たとえゴールドマン・サックスといえども、優秀な学生を取ることができなくなっているのだ。

 奥山由実子氏は、これからの人事事情についてこう語る。

「この2年間は、企業側も必死の生き残りをかけているので社会貢献どころか現従業員の給与の確保さえ厳しく、研修などの教育費も絞っています。しかし、このトンネルをぬければ、また新たな戦略が必要になり、その中で『社会貢献』は、今後注目のキーワードとなるでしょう。

 会社のコーポレートミッションと社員一人一人の仕事をいかに自然に社会貢献に結びつけるかで、成功するかどうかの差がつくでしょう。自分が働くことで、自分のため、人のためになる、そんな時間をすごしたいと思っている人は確実に増えていますから」

消費者のニーズを無視して生き残れる企業はない。それと同様、働く人間のニーズを無視しても、企業は生き残ることはできない。一流企業に就職した若者が、なぜ3年で会社を辞めていくのか。その理由を知りたければ、一度、社会貢献思考で考えてみるといいかもしれない。そのためには僕の本も役立つだろう。社会貢献でメシを食いたいという若者の気持ちも、少しは理解できるかもしれない。

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【編集部よりお知らせ】

 記事の中でもご紹介した通り、社会貢献を志す若者を応援するプロジェクトの一環として、当連載の執筆者・竹井善昭氏による単行本を発売いたします。「社会貢献を仕事にするとはどういうことか」を、大きく4つの選択肢をもとにわかりやすく解説しています。また、単行本と併せて、イベントも開催いたします。
(詳細は追ってまた、この記事の中でお知らせいたします)

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DIAMOND online 【第29回】 2010年8月10日

江口征男 [智摩莱商務諮詞(上海)有限公司(GML上海)副総経理]


未整備な流通チャネルにこそ、商機あり!
――上海美優文化伝播有限公司の北野貴宗CEOに聞く

美容に対する意識が高い中国の女性たちをターゲットにしたビジネスは、底知れない可能性を秘めている。広告代理店業として現地に進出し、中国人スタイリスト向けのトレンド雑誌『絲路』や中国最大級のポータルサイト『美優網 BeauBeau』を運営する上海美優文化伝播有限公司は、中国の美容・コスメ市場にいち早く楔を打ち込むことに成功したケースだ。同社の北野貴宗CEOに、成功の条件を聞いた。

――中国でビジネスを軌道に乗せた経緯を教えてください。

 進出当時は、個人レベルで広告ビジネスを始められる環境ではありませんでした。外国資本が広告事業を行なうためには、中国企業と合弁企業を作る必要があり、なおかつ世界レベルの超大手外資広告代理店でないと、そのような合弁企業は作れないのが現状でした。

 その後巡り合えた中国の事業パートナーが、超有名女性誌を発行していた会社の社長だったこともあり、渡航後は広告代理事業を拡大しながら、2004年に高級ヘアサロンに勤める中国人スタイリスト向けのトレンド・最新技術専門雑誌「絲路」を発行しました。

 80元という当時にしてはかなり高めの価格設定だったのですが、同じ黒髪を扱う日本のトレンドや最新技術情報を欲していたスタイリストのニーズにマッチし、発行部数も3万部(隔月刊)となりました。

――主要事業は「美容(特に化粧品)のネットメディアビジネス」ですが、参入した経緯は?

 いくつかある理由の1つが、美容やコスメの専門媒体が存在していなかったことです。

 2つ目の理由が、中国人ヘアスタイリスト向け専門誌の発行を通じて、「日本が美容大国であること」がわかったこと。中国では、「日本のカット技術が最高」とされていました。収入の高い中国人ヘアスタイリストの中には、日本の美容学校に留学する人もいたくらいです。

 中国人スタイリストの間では、日本はトレンド発信源と見られていて、「アジアのヘアトレンドは日本がリードしている」というイメージが浸透していました。

 また、中国のヘアサロンにシャンプーなどを卸す代理商から、「日本の良い美容商品を紹介してほしい」と、よく言われていました。実際、世界トップの製造技術で造られた日本ブランドの化粧品は、フランスに負けないくらいのトレンドポジションがあるのです。

中国語ではモノは「東西」と書くくらいですから、自分で作るものではなく、東から西に流すものという感覚があるのでしょう。特に流通させやすい「有名ブランドの化粧品」は、代理商の格好のターゲットになるのです。

 とはいえ、商品やブランドイメージを大切にし、自前主義にこだわる日本の化粧品メーカーは、いくら現金を積まれても安易に中国の代理商とは取引しないこともわかっていました。だとすれば、「ここに我々のビジネスチャンスがある」と思ったのが3つ目の理由です。

 このような理由から、化粧品を中心とした「美容」に関する情報を、一般中国人女性向けに提供するメディアを運営するビジネスは、面白いと思ったのです。

 そして、中国で美容メディアを運営するとしたら「ネットしかない」と思っていました。中国全土を対象にリーチできるネットは、消費者の重要な情報取得手段となります。

 希少価値のある全国レベルの美容メディアを運営すれば、中国市場をターゲットにして、今後進出してくる日系化粧品メーカーに提供できる付加価値が生まれます。そうなれば、中国市場における化粧品販売ビジネスに繋がっていきます。最初に情報の流れを作り、その後でモノの商流に入っていく。そういう戦略を、当初から描いていました。

――運営するビューティーポータルサイト「美優網 BeauBeau」には、どんな特長がありますか?

 弊社では、「美容・化粧品」というカテゴリーにおいて、中国最大級のポータルサイト「美優網 BeauBeau」(www.beaubeau.com.cn)を運営しています。2007年1月のサイト開設以来、順調に知名度も上がり、現在会員数は25万人、口コミ50万件まで成長しています。

会員の9割以上が20代、30代の女性で、会員の7割強が月収4000元以上です。また、サイト上で欧米や日本ブランドを中心に、1.5万点の化粧品などの情報を掲載しています。

「美優網BeauBeau」は、コミュニティサイトというよりは、美容、特に化粧品に関する「専門家サイト」というポジションを狙っています。中国人女性が化粧品に関して調べたいことがあれば、「まず美優網BeauBeauにアクセスする」という存在を目指しています。

――ネットだけでなく、フリーマガジンも発行していますが。

 上海、北京、広東で、美容情報のフリーマガジン「美優」を毎月合計17万部発行しています。有名企業のオフィスなど、「美優網BeauBeau」のターゲットとなる女性が多くいる場所に毎月配布しています。ピンポイントの読者に継続的に雑誌を見てもらうことにより、「美優網BeauBeau」のファンになってもらうことを狙っています。

「美優」は、自社で全てのコンテンツを制作しています。海外の有名雑誌の中国版を発行する企業が多い中国では、非常に珍しいケースだと思います。弊社の編集力、制作力、クリエイティブ力は、雑誌の読者、広告主の化粧品メーカー様からも、かなり高い評価を頂いています。

 このような評価も手伝って、最近では化粧品メーカーから、中国で販売する化粧品のパッケージ、POP、販売什器などのデザイン、プロデュースの依頼も増えてきました。また、化粧品の中国販売及び販促に関するパートナーとして、一括して任せていただく事例も増えています。

――「美優網 BeauBeau」は、政府系サイトとの提携が多いと聞きました。

 そうですね。美容という比較的柔らかいカテゴリーのサイトですが、お堅いイメージのある政府系のサイトとの連携が意外と多いのです。

「違法コンテンツがないこと」、また「全て『made in China』のコンテンツを配信していること」が、政府系サイトからお声がかかる理由だと思います。具体的には、東方網(上海市政府系)、中国網(国務院系)、国際在線(中国国際ラジオ系)、中華網(新華社系)といったサイトの美容コンテンツとして、「美優網BeauBeau」がリンクされています。

――メディア事業だけでなく、化粧品の販売事業も始めた理由は?

 創業当初より、「情報流を作った後にモノの商流に関わる」という戦略だったので、いよいよ販売事業を展開するフェーズに入ったという感じです。

 昨年末から北京・天津のセブン-イレブン全店(約100店舗)で、今年4月末からは上海久光百貨店の地下1階で「BeauBeau」の専用什器を設置して、化粧品を販売しています。8月には、上海 徐家匯のメトロシティ(美羅城)で化粧品専門店(BeauBeau Plaza)をオープンする予定です。

全く小売店運営実績のない我々が、セブンイレブン、久光百貨店、メトロシティのような最高立地店舗で販売できるのも、「美優網 BeauBeau」というメディアがあり、メディアの会員を店舗に誘導できるからでしょう。

「マーケティングの4P」のうち、「Product」と「Price」は必然的に化粧品メーカーが握っています。我々は、化粧品の中国販売に関して、残り2つの「Place」「Promotion」で貢献できればと考えています。

――中国の化粧品の小売ビジネスには、まだ新規プレイヤーが参入するチャンスがありますか?

 中国の化粧品流通チャネルは、まだ非効率です。大手化粧品メーカーで自前の流通チャネルを構築しているところはありますが、卸売や小売でチェーン展開しているのはワトソンズやLVMHグループの「SEPHORA」(セフォラ)くらいです。

 そのワトソンズでも、中国全土の店舗数はまだ700店舗程度、SEPHORA(セフォラ)は70数店舗です。それ以外は無数の小規模プレイヤーが占めていて、チャネル全体としては非常に非効率な状況が続いています。

 今後は中国でも、いくつかの大きなチェーンへの統合が進み、流通チャネルの効率化が進むはずです。我々も影響力のある立地での店舗数を増やし、この一角を占めるプレイヤーに名乗りをあげようと思っています。

――店舗では、どのような化粧品を販売していますか?

 店舗で販売するのは、百貨店の1Fにあるカウンセリング販売の高級化粧品ではなく、消費者が自ら棚から取って思わず買いたくなるような、比較的廉価な「セルフコスメ」が中心です。日本では、プラザスタイル(旧ソニープラザ)やマツキヨなどで販売されています。

 最近中国では、こういった日本のセルフコスメの人気が高まり、セルフコスメブランドの中国市場進出が増えています。しかしながら、消費者のブランド志向が強く、流通チャネルも混沌としている中国では、中小メーカーが単独で中国市場を開拓するのはなかなか難しいのが現状です。

 そこで、美容メディアを持ち、女性消費者から「化粧品の専門家」と信頼されている我々が、「BeauBeau」ブランドの店舗を展開することで、日本のセルフコスメをスムーズに中国デビューさせ、共に新しい市場を創っていければと思っています。


――同じく、廉価な化粧品を販売するワトソンズなどの競合とは、どのように差別化をしていますか?

 現時点で店舗数で劣る我々は、「違い」を出していかなければ勝てません。我々は、日本の「プラザスタイル(旧ソニープラザ)」のような化粧品小売になることを目指しています。売る場所、見せ方、売り方にオリジナリティ、そして何よりもファッショナブルであることを前面に出して、差別化していこうと考えています。

 ファッショナブルであることは、流行を作り出す能力に繋がっていきます。「BeauBeau Plazaで売れている商品なら私も欲しい」というトレンドをいかに創っていくか、そして何よりも中国の女性がワクワクしながら楽しくコスメを選べる最高の店作りを目指していきます。

――中国人の「美容」に対する考え方やおカネの使い方は、日本人と比べてどう違いますか?

 美容に限った話ではないと思いますが、中国人は、効果に「即効性」を求めるのが特徴でしょうか。「つけたらすぐ肌が白くなる」とか、「クマがすぐ取れる」とか、「髪がすぐにしなやかになる」というような効果が連想できる商品に人気があるようです。

――経営面で一番こだわっているのは、どんなことでしょうか?

「BeauBeauオリジナル」へのこだわりでしょうか。

 中国では、後発で事業を立ち上げる場合、トッププレイヤーのやり方をそっくり真似る戦略を取るのが普通です。たとえば化粧品小売をやりたいなら、トッププレイヤーのワトソンズのマネをして、「第2のワトソンズを作る」という具合です。

 しかし、2位や3位を目指す戦略ならそれでいいと思いますが、それではトップはおろかオンリーワンにもなれません。我々はマネをせず、「オリジナル」で勝負をするアプローチを取っています。

 中国には、「瑞麗」や「Only lady」という女性向けのナンバーワン・ポータルサイトがあります。潤沢な資金があれば別ですが、後発の我々が女性ポータルサイトとして、10年以上の歴史のある彼らに勝つことはできないでしょう。そこで、「美容」というカテゴリーを新たに作り、このカテゴリーでナンバーワンになることを目指しています。

また、最近始めた化粧品専門店も初めての試みです。現在、自分たちで試行錯誤しながら、「BeauBeauならでは」のオリジナル店舗スタイルを作っているところです。「先行するプレイヤーのやり方を、部分的にマネをするのはいいと思いますが、何も考えずに全てコピー&ペーストすることは止めなさい」と社員に言っています。

 また、採用方針として、競合に勤めていた人は中途採用しないことにしています。ネットメディアを始めるときも、ネットメディアの経験者ではなく、コンサル・広告出身者、新卒などを採用して始めました。

 今回のように化粧品小売事業を始めるときも、たとえばワトソンズからそれなりの人を引き抜けば、短期的には早く事業が立ち上がるのかもしれません。しかし、それでは結局ワトソンズを超えることができないので、我々はそういう方法を取りません。「BeauBeauらしさ」は、自前で一から作り上げることで生まれると思っています。

 当然、オリジナルにこだわり、自分達で一から仕組みを作り込むアプローチを取ると、スピードも遅くなり、経営者としてじれったいのは事実です。しかし、あえてこのオリジナルアプローチを継続していくことにより、企業として強固な基盤を創り上げるつもりです。

 会社を立ち上げたときから一緒にやってきている、BeauBeauを本当に愛してくれている社員たちが、現在マネジャーとして弊社の中核を担っています。そういう中核のメンバーが自ら頭で考えて作り上げてきたビジネスだからこそ、愛着を持って働いてくれるのだと思います。そしてこういうことの繰り返しで、カルチャーができ上がっていくのだと思います。

――今後の事業の展望は?

 現在の化粧品市場規模は、日本が2.5兆円、中国は1.5兆円ですが、今後5年で中国が日本を抜くと言われています。この差額1兆円の争奪戦に、まさに我々も参戦しているのです。

 昨年から今年にかけて、創業時に描いていたビジネスプランが、ようやく目に見える形にまとまってきたと感じています。3年をかけて土台を築いてきた美容ポータルサイトの「美優網 BeauBeau」は、順調に会員数も増えています。

また、昨年から今年にかけて、日系の化粧品メーカーから中国販売に関する問い合わせもかなり増えています。そして昨年末に満を持して参入した化粧品のリアル店舗販売も、遅くとも今年の終わりくらいまでには「BeauBeau」オリジナルのノウハウが貯まり、多店舗展開へ舵を切れると思います。

 加えて、中国のネット上で最も成功している美容専門ポータルサイトである経験を生かし、女性向け消費材のPR及びコミュニケーション業務を行なっております。スタッフは全員女性。女性ならではの視点で、ブランドの中国デビューから成長への宣伝をサポートします。

――最後に、これから中国マーケットに進出しようと思っている日本企業の経営者に、一言アドバイスをお願いします。

 中国で9年間ビジネスをしていて思うのは、日系企業が中国で成功するためには、「創業者自らが第二創業するくらいのエネルギーをつぎ込まないとダメだ」ということです。

 創業者が経営するオーナー企業が多い日本の中小メーカーは、ある意味一度成功した企業です。ただし過去に成功した理由は、商品の魅力や経営者の能力だけではなく、そのときの時流や流行もあります。

 つまり、中国大陸において同じやり方で再び成功できるかどうかは、未知なのです。日本で人気がある商品は、中国でも人気が出る可能性が高いことは否定しませんが、単に市場に投入するだけでは、中国で人気商品にはなりません。

 そこには、人気商品にするための「論理的な戦略」が必要となります。しかも、日本の成功体験を引きずった戦略ではなく、中国の市場にあった戦略が必要です。中国は、創業オーナー自らが、「人任せではなく第二創業」という意気込みで、創業時と同じエネルギーを投入しなければ、うまくいかない市場なのです。

 中国は今、ビジネス・オリンピックの会場です。世界各国の企業や個人がこの巨大市場を手に入れるために、しのぎを削っています。ビジネスが成功した後の分け前を増やすことを考えるよりも、まずは競合に勝ち、ビジネスを成功させることが重要です。

 ビジネスの成功確率を高めるためには、全て自前でやろうなどと考えずに、最初から必要かつ適切な事業パートナーと組み、必要な規模の投資も行ないながら、競合に先んじて行くことが大切でしょう。


■「美優網/BeauBeau」について


 「美優網/BeauBeau」は、三井物産や日本最大のコスメコミュニティ「@cosme」を運営するアイスタイル社との資本提携を経て2007年1月にグランドオープン。中国国内で販売されている国内外の400ブランド、13,000点の商品データベースと、化粧品(美容)のみならず美髪、美体に関するコンテンツを備えた、中国最大規模の化粧品クチコミ&美容情報ポータルサイトです。さらにフリーマガジン「美優」とのクロスメディア展開により良質な読者を囲い込み、読者と共に作り上げていく中国初の本格的コスメ・ポータル&コミュニティ・メディアとなっています。
 

阻集器
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BB%E9%9B%86%E5%99%A8

8月9日16時3分配信 毎日新聞

福島大(福島市)は、飲食店などの廃水に含まれる油脂を分解し、浄化する微生物を発見、培養に成功したと発表した。これまで国内外で見つかった同様の微生物で最高の能力を持つといい、近く特許を出願し、実用化を目指す。

 共生システム理工学類の杉森大助准教授(生物工学)の研究室が発見した。2年間にわたり、土壌や植物の葉など数百のサンプルを収集・分析し、県内の公園の土から油脂を栄養源にして生きる珍しい微生物を見つけた。0・3グラムの油脂を含む水100ミリリットルに対し、微生物の培養液1ミリリットルを入れると、24時間で60%を分解する。植物性と動物性の両方の分解が可能という。

 飲食店や食品加工場などの廃水は通常、タンクなどに集めて浮いた油脂を取り除き、河川に流される。集めた油脂は産廃として焼却される。この方法では完全に油脂を除去することが難しいうえ、二酸化炭素も排出される。発見した微生物をタンクにすまわせれば、人手を使わないでほぼ完全に取り除け、油のにおいも消えるという。

 杉森准教授は「非常に能力が高い微生物で、水環境の改善に向け幅広い利用が期待できる。まだ誰もやっていない研究」と話している。【関雄輔】

Google Earth
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B9

8月9日13時7分配信 RBB TODAY

ピクセラは、デジタルカメラ等で撮影した写真に、撮影場所の位置情報や撮影日時をマッチングできるGPSロガー「PIX-PG012-PUW」を発表。8月19日からソースネクストのオンラインストアで発売する。価格は4,980円。

同製品は、本体に差し込んだmicroSDメモリーカード(同梱)に位置情報を記録するGPSロガー。デジタルカメラ等で撮影した写真の撮影日時情報とマッチングすることで、各写真の撮影場所を確認できる。

 基本的な仕組みとして、電源ONからOFFまでの位置情報を測位して日時とともに記録し、あとで、どの日時にどこにいたかを確認可能。連続駆動時間が最大16時間となっており、長時間の移動にも対応する。

 測位中に撮影した写真であれば、デジタルカメラの撮影日時からGPSの位置情報を照合し、撮影場所と日時をマッチングできる。ただし、デジタルカメラとGPSユニットの日時を事前に合わせておき、ともに携帯して利用することが必要。データの照合とマッチングは、PCにUSBで接続し、PC上で行なう。

 PC上での作業には専用ソフト「PhotoPlaceGPS」を使用。記録データをGPX形式やKML形式に変換することで、Mac OS XのiPhoto’09や他のGPS対応ソフトウェアでも利用可能。また、Google Earthを使い、写真を撮影した場所や移動した経路をGoogle Earth上で確認することもできる。登山やサイクリング、旅行や散策などで使い勝手が広がる。

 本体サイズは幅約42×高さ72×奥行き26.1mm、重さは約34g(microSD含む)という手のひらサイズの小型・軽量ボディで、携帯しやすいストラップを付属。インターフェースはUSB2.0。バッテリは単4形乾電池×2。付属品はUSBケーブル/ストラップ/microSDメモリーカードなど。専用ソフト「Photo Place GPS」の対応OSはWindows 7/Vista/XP、対応画像形式はJPEG。なお、日本ウォーキング協会が提供する「GPSウォーク」サービスの利用は不可。


*Google、GPS機能強化の「Google Earth 5.2」をリリース

6月15日19時46分配信 ITmedia エンタープライズ

米Googleは6月14日(現地時間)、「Google Earth 5.2」をリリースしたと発表した。無料版のほか、有料の「Google Earth Pro」もアップデートした。

 新版では、GPS機能を強化した。バージョン5.0ではGPS端末からインポートした追跡データに基づいてGoogle Earth上にルートを表示できたが、これに加えて高度や速度などの情報をグラフとして表示できるようになった。心拍数や歩調に対応するGPSであれば、そうした情報もGoogle Earth上に表示できる。

 また、取り込んだルートの再生方法も強化した。タイムアニメーションボタンをクリックするだけで、ルートが滑らかに再生できるようになった。

 さらに、Google Earth内でWebブラウジングできる埋め込みWebブラウザが追加された。Google Earthで検索したリンク先を、Google Earthを離れることなく表示できる。リンクをクリックするとWebブラウザが表示され、「Back To Google Earth」をクリックすると元の画面に戻れる。

 有料版のGoogle Earthの新機能としては、米国の統計や交通量データレイヤーやMGRS(Military Grid Reference System)グリッドのサポートなどを追加し、GIS(地理情報システム)のインポート機能を向上させたとしている。【佐藤由紀子】


*アイ・オー、親指サイズで手軽に持ち運べるUSB接続GPSレシーバー

2009年9月11日(金) 14時28分 RBB TODAY

アイ・オー・データ機器は、USB接続GPSレシーバー「UMGPS/MF」を発表。10月上旬から発売を開始する。価格はオープンで、直販価格は9,800円。

 同製品は、PCのUSBポートに接続する、親指サイズの軽量、コンパクトなGPSレシーバー。ノートPCやネットブックへ挿し込めば、手軽に現在地の表示やルート検索ができるモバイルGPSナビとして使用可能となる。

 ソフトは、PC用カーナビソフト「MapFan Navii(30日間体験版)」、インターネット地図ソフト「Mapfan.net」が付属し、購入後すぐに利用できる。また、吸盤付きのUSB延長ケーブルが付属。ドライブ中にGPS受信感度を上げたい時は、フロントウィンドウなどに取り付けることで対応可能にした。

財政
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A1%E6%94%BF

2010年8月6日 DIAMONDonline

集権化、ルール、透明性が予算制度改革のキーワード
元一橋大学准教授・田中秀明氏インタビュー

いよいよ民主党政権が初めて一から手掛ける予算編成が始まった。民主党政権はこの6月に、中期財政フレームを含む「財政運営戦略」を閣議決定し、そのベースとなる「経済財政の中長期試算」も公表した。そこでは平成23(2011)、24、25の3年度は、国債費除く一般会計に、71兆円という上限をはめたほか、23年度については一律1割カットと1兆円以上の特別枠を設けるという方針を打ち出した。日本は過去何度も財政再建にトライしたが、いずれも失敗。一方で、予算の大胆な組み替えもままならず、硬直化が指摘されて久しい。どうすれば、このような問題を解決できるのか。予算制度に詳しい元一橋大学准教授の田中秀明氏に、予算編成プロセス改革の方向について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 原 英次郎)

――日本の予算編成プロセスにおける基本的な問題は何でしょうか。

 日本の問題に入る前に、なぜ財政赤字は増えるのかという問題を考える必要があります。そもそも政府部門には赤字を拡大させる潜在的な要因が備わっていることが問題です。政府の予算というのは、税金という人のおカネを使うものです。例えば、だれかが今日の宴会は「オレのおごりだ」と言ったら、みんなはそれならばと、高いものを注文してしまうでしょう。自分のおカネだったら、自分の財布と相談して決めます。

政府部門は、マーケットで取引できない財やサービスを提供するのが仕事です。サービスの便益を受ける人と負担をする人は異なるので、できるだけお金をたくさん使いたいという誘因が働きます。政府部門で働く公務員は、予算をたくさんとってくることが、よいパフォーマンスだと評価されます。どこの国でも、政府部門にはこうした性質が備わっているので、日本だけが赤字が増えているのではありません。

 では、どうしたらよいか。財政赤字について多くの研究が行われていますが、一つの結論は、予算編成プロセスや予算制度を改革しないと、問題は解決できないということです。そのポイントは、受益と負担の乖離を小さくすること。改革には大きく分けて二つのアプローチがあって、一つは意思決定システムを集権化すること、二つ目はルールを決めることです。また、透明性を高めることも重要です。

スウェーデンでは
3年分の歳出総額を決める
――具体的には、どのようなことが考えられますか?

 意志決定を集権化するとは、飲み会でいえば幹事さんを決めて、参加者に好き勝手に注文させないことです。あるいは、今日は5000円の飲み放題コースにしようという、ルールを決めることですね。例えば、イギリスやオーストラリアでは、首相、財務大臣など有力閣僚5人くらいで、予算の大枠や重要な資源配分を決めます。一方、オランダは、選挙後の連立政権合意の中に、向こう4年間の予算の大枠を盛り込むし、スウェーデンは、個別の予算を議論する前に向こう3年間の歳出総額に上限を設定します。

 スウェーデンの例が興味深いので少し説明します。予算編成でまず何を決めるかというと、いま2010年度なので、税収見通しをベースにして、3年先の2013年度の歳出総額の上限を決めます。11年度と12年度の歳出総額の上限はすでに2年前と1年前に決まっているので、これで3年分の上限値がセットされることになります。さらに、それを国会で議決する。もちろん、国会で再議決すれば、上限値は変えられますが、政治的な責任が問われるので、そう簡単には変えられません。

しかも、スウェーデンの場合は、この上限値、すなわちシーリングは、当初予算だけではなく、決算ベースでも守らなくてはなりません。スウェーデンは、90年代初め、今のギリシャのような危機的状態となり、赤字を削減するために、こうした厳しい予算制度を導入しました。その結果、98年以降ほぼ黒字を維持していますし、今や借金もマイナス(貯金)になりました。

 どのように予算制度を変えたらよいかについては、ただ一つの答えがあるわけではありませんが、意志決定が集権化されているかどうか、厳しいルールがあるかどうか、透明度が高いかどうかが重要で、これらの要因によって財政赤字の大きさを説明できます。日本の財政赤字が大きいということは、これらの点において、問題があるということです。

――財政再建に成功した国では、どのような予算制度改革が行われたのですか。

 きわめて単純化して言えば、歳出全体の大枠と各省ごとの大枠をトップダウンで決めます。基本的には、その枠の中での予算の配分については各省に任せます。ある予算を増やしたいのであれば、自分で財源を探してくる――いわゆるペイ・アズ・ユー・ゴーというやり方です。もちろん、政府全体の方針や優先順位に基づいて、資源配分する必要があります。

 個々の予算の切った貼ったをやろうとすると、各省と財政当局の戦いになります。この戦いは、基本的には財政当局の分が悪いのです。なぜなら、予算を切るためには、無駄であることを示す情報が必要です。しかし、それは各省にあり、財政当局にはありません。各省は、都合の悪い情報は出さないのです。民主党政権において事業仕分けが大きな注目を集めましたが、なぜあのように無駄な予算がついていたのでしょうか。財政当局がほんとうに強い機関であれば、無駄な予算などないはずです。

なぜ無駄な予算を切れないかというと、これまでは族議員による政治的な介入によって、予算を増やせという圧力もありましたが、実は財政当局には、個別の事業のどこにムダがあるか、その情報が十分にないのです。多くの情報は各省が持っています。だから、財政当局は各省に頼らざるをえない。こうした状況では、予算編成はゲームになります。ここは切る代わりに、こちらに予算をつけるというギブ・アンド・テイクの関係になります。そうすると、予算の中身を大きく変えることは難しくなります。

 (複数年にわたって大枠を決める)中期財政フレームを作って成功した国は、例えば3、4年間の総額を決めます。予算を切るだけでは、政治的な合意を得ることは難しいので、新しい政策や追加の予算も必要です。しかし、新しい政策をやりたい場合には、各省が自分で財源を見つなければなりません。決められた枠の中で、各省大臣に責任を与えて、スクラップ・アンド・ビルドを促す仕組みになっています。

 鳩山前総理や菅総理が言ったように、各省大臣はまさに「査定大臣」になります。要求対査定の対立を緩和し、予算獲得ゲームをやらないようにすることが重要です。日本でも、シーリングにより予算の大枠をはめる仕組みになっていますが、予算編成はボトムアップ的な仕組みになっています。中期財政フレームにより、複数年にわたり、歳出総額や省庁別の内訳を拘束するものにはなっていません。

――民主党政権は6月に閣議決定した「財政運営戦略」や、そのベースとなる「経済財政の中長期試算」に対する評価は?

 私自身が中期財政フレーム研究会に関わってきましたが、私も含めて有識者が最も強調したのは、慎重な経済成長率を前提に、ベースラインをつくることです。ベースラインというのは、経済成長率や物価上昇率などについて一定の仮定を置き、今の制度が今後も続くとして、歳出や歳入が将来どのようになるかという推計です。

6月の試算では、慎重な前提を置くという点はそれなりにできていると思います。しかし、ベースラインについては、本当のベースラインかどうかは、よく分かりません。中期財政フレームでは、国債費除く一般会計について、71兆円という上限をはめましたが、現在の制度を前提として歳出や歳入がどうなるかについては、よく分からないところがあります。

 10年後にプライマリーバランス(国と地方について国債費を除いた歳出と歳入の収支)を黒字化するという目標はよいのですが、今の制度を前提とした場合と比べて、どのくらい財政再建努力をしなければならないかについてはよく分かりません。例えば、このままでは3年後に一般会計歳出が80兆円に膨らむので、これを71兆円にするのか、あるいは歳出が73兆円になるので71兆円にするのか。つまり、どのくらい努力を要するものかが分からない。もし、80兆円を71兆円にするという話であれば、相当な財政再建になるので、景気に対する影響も大きい。最後は政策判断ですが、景気の状況を踏まえて、どのくらい財政再建をすべきなのかについては、十分な検討が必要です。

 6月に中期財政フレームを閣議決定したときには、各省大臣としては、それほど問題意識は強くなかったのではないでしょうか。だから、一律1割カットという方針が出て、「1割カットなんてできないよ」という不満の声が出ました。

 民間企業でも経営が傾いた会社は、経営幹部が現在の財務状況の厳しさ――債務超過であれば、どのくらいの債務超過なのか――その厳しさを共有して初めて、改革の議論がスタートします。幹部が厳しい財務状況に対する認識を共有しないと、「私のところは大事なので、あちらを削れ」ということになりかねません。予算編成は、まさに、政治主導で行うべきものです。まずは、各閣僚が財政の厳しい状況を認識して、財政再建をするのかしないのか、どの程度の財政再建をするのかについて、徹底的に議論して、決めるべきです。

財政運営の透明性を保証する
ニュージーランドの財政責任法
――まさに、政治が主導権を発揮して、予算のあり方を決めるということですね。諸外国ではそのような例はありますか。

 スウェーデンでは3年分の歳出総額の上限値、を先に決めると申し上げました。次に、財務省が3年分の歳出の内訳(医療費や防衛費といった27分野)の案を作って閣議に提出します。ストックホルム郊外にある総理大臣の別荘に、閣僚が2日間泊まり込んで予算閣議が行われます。閣議では、財務省の提案を変更することができます。ただし、歳出総額が決まっているので、例えば、教育予算を増やすのであれば、必ず他の何かを削らなければなりません。それを閣僚たちが2日間缶詰になって議論し決めるわけです。

 閣僚同士が対立して決まらないということもあります。その場合は、最後は総理大臣が責任を持って決めるということになっています。日本の場合は、自民党時代、予算の難しい案件は、時には調整を党に任せていました。これに対して、スウェーデンでは、総理は責任をもって決めなければなりません。

 日本と違って、政府予算案は国会が修正できます。かつては増額修正ばかりで、財政規律がなくなってしまった時期もありましたが、新しい制度では、国会で歳出総額を先に決めるので、国会がある分野の予算を増やす場合には、必ず他の予算を削らなければなりません。このように、スウェーデンでは、財政規律が働き、それは政治主導が発揮される仕組みになっているからです。

 

――改めて、予算編成プロセス改革の方向をまとめて下さい。

 第1に、複数年にわたり歳出を拘束する中期財政フレームを作り、毎年の予算はこのフレームに基づき決定します。第2に、優先順位や重要な資源配分は、予算閣僚委員会において、集権的に意志決定します。去年の民主党のマニフェストでも閣僚委員会の活用が掲げられていましたので、これを動かすことが必要です。各国も改革は試行錯誤しているので、日本も、経験を積みながら、改革を進めていけばよいと思います。

は、スウェーデン、カナダ、ニュージーランドなど大胆な予算制度改革を実施した国は、大幅な財政赤字となり、国債が売れなくなるなど、危機的状況に陥ったので、改革が実行できたという面があります。幸か不幸か、アメリカや日本などの大国は、なかなか危機的状況に陥らないので、改革が進まないというのも一面の事実です。

――「日本版財政責任法」の導入も提案されていますが、これはどういうものですか?

 これはニュージーランドで導入されたものです。選挙が終わって新しい政権ができると、政府は財政責任法に基づいて、財政運営の目標を策定します。例えて言えば、5キロ減量するとか、10キロ減量するとか、数字を挙げて具体的な目標を設定しなければなりません。そして、政府は、減量(財政運営)が目標通りにいっているかどうかを、定期的に国会で説明しなくてはいけません。しかも、民間と同じ発生主義の会計原則に基づいて、財務諸表の作成が義務付けられています。

 もちろん風邪をひくときもあるので、国債を発行して景気対策を行うこともできます。ただし、財務大臣は、財政赤字がどのくらい悪化するのか、またあらかじめ決めた財政目標から外れるときには、どのくらいの時間軸でどのようにして目標に戻すのかを、事前に説明しなければ、景気対策を行うことができません。例えば、3年後に消費税率を1%上げるといったようにです。

 何を言いたいかというと、民主主義の下では、国民から負託を受けた政府には裁量があります。赤字の削減といっても、強制はできません。その代わりに、財政責任法は、政府に目標を定めることを義務づけ、また、厳しい会計ルールに基づき、財政状況を政府自ら検証することを求めています。

目標を達成できない場合、特に罰則はありませんが、その責任は最後は選挙で問われることになります。予算の透明性を高くして、ルール違反が国民に分かるようにし、ルール違反の政治的なコストを高くしているのです。財政責任法により、ニュージーランドの財政の透明性はOECD諸国の中でも一番高いと言われていますが、ニュージーランドは、94年以来、ごく最近を除けば、財政はほぼ黒字を続けています。(本インタビューは7月30日に行った)

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