忍者ブログ
平成22年 第12回「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」(松江市)有機栽培・JAS認定部門で特別優秀賞を受賞。(食味90・味度83・計173点) 平成25年、第15回魚沼と第16回北京開催運動中! 無農薬魚沼産コシヒカリ生産農家・理想の稲作技術『CO2削減農法』 http://www.uonumakoshihikari.com/
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

角上魚類
http://www.kakujoe-shop.com/ 2010.05.10(Mon)

JBプレス日本の中小企業 鶴岡弘之


こんな魚屋は初めて見た。

4月のとある土曜日の午後。店の前に約100台収容できる専用の駐車場があって、5人の警備員が車の誘導に飛び回っている。

 多摩湖や狭山湖にほど近い新青梅街道沿いに、その魚屋は店を構えていた。建物は一見すると普通のスーパーマーケットのようだ。だが、スーパーの魚屋とはスケールが違う。こちらは1軒の建物が丸ごと魚屋なのだ。

 魚を買いに来た客の車で、駐車場はぎっしりと埋まっている。それでも次から次へと車がやって来て、駐車場に入りきれない車の列ができる。

4月の週末でこの状態なのだから、年末は推して知るべしである。年越し用の料理やおせちの魚を買い求める客が殺到して、道路沿いに数珠つなぎの車の行列ができ、駐車場に入るまで1時間以上も待たされるという。

 その店とは、東京都東久留米市にある「角上魚類(かくじょうぎょるい)小平店」。近郊で圧倒的な知名度と集客力を誇る「行列ができる」魚屋である。

全国の魚が獲れたての姿で並ぶ!

 店内に入ると、売り場の広さと客の熱気にまた目を見張る。売り場の面積は300坪近くはあるだろうか。1店舗の魚屋としては破格の広さである。

 ひときわ賑わっているのが、対面販売コーナーだ。北海道から九州まで日本全国の港で揚がった魚介類が「むき出し」の状態で売られている。海に戻したらそのまま泳ぎ出しそうな魚が、敷き詰められた氷の上にずらりと並んでいる様は壮観だ。

そのコーナーで、赤いユニホームを着た店員の威勢のいい声が響き渡る。「いらっしゃい、いらっしゃい。今日はメバルがいいよ。メバルがっ」

 多くの客は、魚を買う時に「サバを3枚におろしてくれます?」「このタイを煮物にしたいんですけど、切り分けてもらえないかしら」などと店員に注文し、調理・加工をしてもらう。

 コーナーの奥には調理台があって、店員が注文通りに魚をさばいていく。さばいた魚はビニール袋に入れられて、「はい、お待たせしました」と客に手渡される。

若い夫婦が珍しい魚を目の前にして、店員に訊ねる。「この『じょんじょろ』っていう魚はどうやって食べるんですか」。店員が「頭を取って、煮つけにするとおいしいですよ。柳川にしてもいいですね」と答える。「へえ、どんな味なんですか」と会話が続く。

 いつの頃からか、魚屋は、切り分けてパックした魚を売る場所になってしまった。しかし、かつての魚屋は「今日は何がおいしいの?」「この魚はどうやって食べるの?」「鍋にしたいんだけどいい魚ある?」などと、店員と会話しながら買い物をする場所だった。この店は、そういった在りし日の魚屋のスタイルである。

マグロ解体ショーで店内はお祭り騒ぎ!

 午後3時、店内に「チリンチリンチリン」と鐘の音が響き渡り、対面販売コーナーの一角で、本マグロの解体ショーが始まった。マグロを解体するのは、江田勉店長。あっという間に周囲に黒山の人だかりができる。

 「今日は店長の私がさばきますからね。私、この4月に店長になりましたんで、よろしくお願いします。店長になったお祝いですからね、今日は儲けなしで特別サービスしますよ」

エラの部分にざっくりと包丁が入り、最初にカマが切り分けられた。若い店員が2つのカマを高く持ち上げ、大声で叫ぶ。「カマだよ、カマだよ。300円、300円でお分けしますよ。はい、欲しい人!」。いっせいに大勢の客が手を上げる。

 「じゃあ、僕とじゃんけんして下さい。最初はぐー、じゃんけんぽんっ。負けた人は手を下ろしてくださーい」。じゃんけんに負けた客から、「あ~」というどよめきが上がる。

 一眼レフカメラのレンズをマグロに向けて連写している客もいれば、「マグロの解体だって! 早く、早く」と、大声で家族を呼び寄せるお父さんもいる。みんな興奮状態というか、お祭りのような騒ぎなのである。

不況をものともせずに業績が拡大!

 角上魚類は新潟県長岡市に本社を構える鮮魚店チェーンだ。もともとは江戸時代から続く網元、卸問屋だったが、1974年に小売業に進出。現在、新潟、長野、群馬、東京などに19店舗を展開している。

 2009年度の売り上げは約195億円、最終利益は約4億円。5年前の2004年度は、売り上げが約178億円で利益が約2億円だった。消費不況とデフレが長引く中、逆風をものともせずに着実に売り上げと利益を伸ばしている。

 角上魚類にこれだけ客が集まるのは、品質、価格、サービスで、圧倒的な「満足感」を提供しているからに他ならない。新鮮な魚を豊富に揃え、安く提供する店には、客がやって来るのである。 

 しかし、口で言ってしまうのは簡単だが、それを実現するのは実は極めて難しい。ほとんどの魚屋には、そんなことはできないのだ。

 では、なぜ角上魚類にはできるのか。圧倒的な品数と品質、そして値段の安さをどうやって実現しているのか。

 それを解き明かすために、角上魚類の発祥の地へと足を運んだ。

何もない場所に、ぽつんと1軒だけ建った魚屋!

 新潟県長岡市の寺泊(てらどまり)は、佐渡の島影を眼前に望む古くからの港町だ。ここに「魚の市場通り」(通称「魚のアメ横」)と呼ばれる観光スポットがある。

 国道402号線沿いに10軒近くの魚屋、みやげもの屋が横一列に軒を連ねている。国道を挟んで巨大な駐車場があり、休日には観光バスが並ぶ。

実はこの観光スポットは、三十数年前に建てられた1軒の魚屋から始まった。地元の網元・卸問屋のせがれ、柳下浩三さん(現角上魚類社長)が、なんの店もなく人通りもほとんどない土地に、1軒の魚屋をぽつんと建てたのである。それが角上魚類の第1号店だった。

そんな辺ぴな場所に建てられた魚屋が、またたく間に大繁盛店となる。挙句の果てには、観光バスがやって来る一大観光地にまでなってしまった。まるで砂漠にラスベガスをつくってしまったような話なのだ。

 この第1号店には、角上魚類のエッセンスがぎっしりと詰まっている。そのエッセンスは今も変わらない。はっきり言ってしまえば、角上魚類が各地に展開している店舗は、いずれも第1号店の忠実なコピーである。

 柳下社長は、寺泊で一体どんな店をつくろうとしたのか。そして、今を貫く角上魚類の経営哲学とは──。第1号店のすぐ裏にある角上魚類の本社に、柳下社長を訪ねた。

あれよあれよと言う間にお客さんが増えていった!

── 今や寺泊の一大観光スポットになっている「魚の市場通り」ですが、元々は柳下社長が建てた1軒の店から始まったそうですね。

柳下社長(以下、敬称略) 私の家は代々ずっと網元と卸問屋をやってたんだけど、昭和40年代からスーパーマーケットが台頭してきて、小売店の数がどんどん減ってきた。それで、このまま卸しをやってちゃダメだなって思ったんです。小売屋に卸していても、しょうがねえなって。

 ちょうどダイエーが新潟に出てきたんで、見に行ってみた。すると、魚がけっこう高いんですよ。自分で直接売れば、あの半値以下で売れるなと。それで自分で売ろうと思って小売を始めたんです。

 銀行からお金を借りるのが大変だったけど、新潟で商売やってて景気のいい親戚がいたんで保証人になってもらって、5000万円借りられた。そのお金で店を建てました。1974(昭和49)年の11月でした。

最初は、周りに建物は1軒もなかったんです。うちの店が1軒だけだった。私が商売とか経営のことをもっと分かっていれば、田舎のこんな何もないところに5000万円も投資して店をつくらなかったと思う。何も知らなかったからやれたんだね。

 でも、寺泊とか新潟の市場に行って、その日の安い魚に特化して、それだけ大量に買ってきて直販するもんだから、スーパーとか魚屋の3分の1ぐらいの値段で売れてたと思うんだ。「寺泊に行くと、いい魚を安く売っている店がある」ってクチコミでぽつぽつと客がやって来るようになって、半年ぐらいしたら一気に客が増えました。

 最初は1日に売り上げが3万円ぐらいしかなかったけど、半年位で20万円、30万円売れるようになって、1年経ったら50万円ぐらいになってた。寺泊周辺だけじゃなく、燕や長岡とかからも客が来るようになって、そのうち新潟だけじゃなくて長野県のクルマも来るようになりました。

 店を開いてから3~4年位経った頃でしょうか、隣に魚屋ができました。それから3~4年経ったら、また隣に魚屋ができて、どんどん店が増えていって、今のような通りになったんです。

ただ、周りに店が増えても、うちの客が減ることはなかったですね。お客さんは他の店と比較してうちの方にどんどん来ちゃうんですよ。だから店が増えたのは、結果的によかった。お客さんは流行っているところに行きたがるから。圧倒的にみんなうちに来ちゃうんだね。

こんな田舎にわざわざ来てもらうんだから・・・
── 角上魚類の店を訪れると、隅々まで神経が行き届いていて、本気でいい魚を売ろうという姿勢が伝わってきます。店づくりの信念、ポリシーのようなものはありますか。

柳下 店のつくり方や売り方は、最初に店を始めた時から、今でもずっと変わりません。今、角上魚類のすべての店には、「鮮度はよいか、値段はよいか、配列はよいか、態度はよいか」と「4つのよいか」を書いて張ってあります。これは私が寺泊で店を開いた1年目に書いたものです。

 店を始めた時、こんな田舎にわざわざ車で来てもらうんだから、「来てよかったわ」と思ってもらわないとダメだと思っていました。

 私は生まれて初めて小売をやったもんだから、来てくれたお客さんがありがたくてありがたくてしょうがない。お客さんたちが「ものすごく安い」とか「いきがいいわ」とか喜んでると、もう、うれしくってさ。お客さんにどうやって喜んで帰ってもらうか、それしか考えてなかったんです。

 じゃあ、どうしたら喜んでもらえるのか。そして思いついたのが、まず鮮度だと、それから価格、魚種、そして売り場の応対だと。それで「4つのよいか」になったんです。

 それから三十数年経ちましたけど、「4つのよいか」は今でも通じていると思います。その言葉は正しかったんだと思います。



新入社員全員に魚の切り方を教える!

── 角上魚類の店は、なぜあんなに広いんですか。また、どの店でも大量に生魚を並べて対面販売を行っています。対面販売にこだわる理由を教えてください。

柳下 角上の店の陳列ケースは普通のスーパーより3倍くらいは大きい。売り場の面積は最低80~100坪は必要だと考えています。それぐらいないと、お客さんに満足してもらえる品揃えを確保できません。

 対面の売り方も、店を始めた時からのやり方です。昔の魚屋はみんな対面だったでしょう。スーパーができて初めてパックで売るようになったけど、昔はみんな対面でやってたからパックなんてなかった。

 対面だと、魚そのものを見てもらって選んで買ってもらえるし、お客さんの要望を聞きながら刺身にしたり切り身にしたり、さばくことができる。食べ方も説明できますよね。

 それをするためには、店員に技術が必要。今年も新卒の新入社員が35人入りましたが、みんな包丁を持って魚をさばけるように教育しています。すぐには無理だけど、1年も経てばみんなできるようになります。

そういう理由もあって、我々は店をぼんぼん増やさないんです。今までは店をつくるとしても、1年にせいぜい1店舗。1つの店には、刺身を切る人とか寿司を作る人とか、10人ぐらいの人間が必要になります。新しく店をつくる時に既存店から3人も4人も人を抜くと、既存点の質が落ちてしまいます。

どこにも真似できない「仕入れ」!

── 角上魚類のような鮮度と価格で魚を売っている店は他になかなかありません。なぜ他の魚屋にはできないのでしょうか。

柳下 魚屋っていうのは難しいんですよ。魚はどんどん鮮度が落ちていく。次の日には鮮度が悪くなるし、3日目になると我々はもう売り物にしたくないと思う。

 だからといって、魚を10ケース仕入れて、2~3ケース捨ててたら、もう利益なんて出ないんです。仕入れにロスが出れば、利益が食われて赤字になってしまいます。だから、できるだけその日のうちに、せいぜい次の日までに売り切らなければならない。

 そのためには、まずは「仕入れ」なんですよ。売れ残らないようにするために、「今日はどの魚をどれだけ買って、いくらで売るか」という判断が大事なんです。

 うちには私を含めて十数人のバイヤー(仕入れ担当者)がいて、寺泊と新潟、築地の市場で仕入れています。バイヤーは、市場でその日の漁獲量と価格を見て、できるだけロスを出さないように仕入れの量と売り値を決めています。

 安い魚を大量に仕入れたら、それを重点的に売る。高い魚を仕入れても結局は売れ残ってしまいます。

── 毎日、臨機応変に判断して仕入れをやっていることが強みなのですね。

柳下 店の方でもその日のうちに売り切る工夫をしています。

 例えば、朝、ケースの中に並べたマグロの切り身パックがあったとします。午後2~3時になっても残っているようだったら、寿司にして並べたり、売れ残っている切り身があったら刺身にしてしまうなどして、調理・加工することで早いうちに売り切るようにします。

 各店舗の店長には、その日のお客さんを見てどのタイミングで調理するかとか、廃棄とか値引きなどのやり方も細かく指示しています。いかにして売り切るかが大事なんです。捨ててしまったら粗利なんてほとんどなくなりますから。

仕入れ次第で魚は安くなる!

── 安さの秘密は何でしょうか。他の魚屋やスーパーと比べると、総じて2割は安いのではないかと思います。

あまり安さを前面に打ち出そうというつもりはないんですけどね。基本は、やはり安く仕入れること。さっきも言ったように、我々の強みは、十数人のバイヤーが、新潟と築地の両方の市場で仕入れていることです。

 新潟と築地の市場には、毎日、全国から魚が集まってくるんですが、両方とも似たような魚が集まるんです。そこで毎朝、両方の市場にいるバイヤーが電話で連絡を取り合って、「こっちでは何がいくらだ」と情報をやり取りします。そうやって量と値段を突き合わせて、「では、その魚は築地から納めよう、これは新潟から」と調整して、それぞれの市場から全国の店舗にトラックで発送します。

セリでも、我々はできるだけ安く買う。例えば、その日に漁獲量の多い魚は、セリの途中でどんどん値段が下がっていきます。そういう魚は先に買わないで、他のみんなに先に買わせてしまう。そして、あとで値段がぐっと下がった時に、一気に買うわけです。

 逆に、その日の入荷量が少ない魚はあとで値段が跳ね上がっていくから、先に買ってしまったりする。こういうのは、ずっとやってないと分からない。慣れの部分が大きいですね。

 また、たとえ同じ値段で仕入れても、我々の店は他の魚屋やスーパーとは売り値が違います。粗利をそんなに乗せてないし、我々の店舗は基本的に郊外のロードサイド型なので、土地代が高くない。都心のスーパーとかデパートとかに店を出している魚屋は、家賃が高いから、どうしても売り値が高くなるでしょう。

お客さんに喜んでもらえるかどうかがすべて!

── 消費不況と言われる中で、売り上げと利益が拡大していますね。景気の影響は受けていないんですか。

柳下 確かに世の中は景気が悪くて、スーパーも売り上げが落ちている。でも、うちはこの1年でも売り上げが伸びているからね。あまり景気には左右されていません。

 結局は、店の質がいいか悪いかで、お客さんが来るか来ないかが決まるんです。

 店の質を維持するのは簡単なことではありません。今、19店舗やってますが、その中で1店舗でも変な店があれば、「角上」に対するお客さんの信用が変わってきてしまう。

 一時期、我々が魚と看板だけを提供する「フランチャイズ店」を何店か出したことがあるんです。店を見に行ってみると、魚の鮮度や価格に問題がある。お客さんに売っていい魚じゃないんです。でも、オーナーが違うから、あれこれ注文をつけられません。そういう店に角上の看板は出せないと思い、3年でフランチャイズ契約を打ち切りました。その後、それらの店は結局、全部つぶれてしまいました。

 そういうことがあって、今は全部直営にして、1店舗、1店舗チェックして回っています。「お客さんに対して責任の持てる店」にしようと神経を使っているわけです。

 寺泊で店を始めた時に、何も買わないで帰るお客さんがいると、「わざわざ来てくれたのに、気に入ってもらえるものがなくて申し訳ありません」と、いつも心の中で思っていました。

 一番大事なのは、お客さんに「また来よう」と思ってもらえるかどうか。喜んでもらい、支持されるような店づくりをしているか。これに尽きると思います。

.
PR
世界から尊敬されるためには、批判を恐れず核武装すべき!

2010.09.24(Fri)JBpress 韓国人ジャーナリスト 池東旭

 
 尖閣諸島を舞台に日本政府の対中外交が注視されています。今回のゲスト・韓国人ジャーナリストの池東旭さんからは「日本がしっかりしてくれないと、隣国韓国にも影響を及ぼす」と厳しい口調で後押しいただきました。

 中国、韓国、北朝鮮など、めまぐるしい世界情勢について、熱弁は1時間以上に及びました。

日本が中国に対して毅然としないと、韓国が迷惑する!

池 日本の民主党政権は、韓国では自国に宥和的だと思われています。今回の菅代表再選についても歓迎ムードですが、個人的にはこういう弱体政権が続いてもらっては困る。日本が弱腰だと韓国まで迷惑するんです。

 最近、尖閣諸島付近で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件にしてもそう。日本はもっと毅然としないとダメですよ。

 そもそも駐在大使を4回も5回も、それも夜中に呼び出すなんて失礼千万。日本も同じことをやり返せばいいのに、全然やらないでしょ。だからますますなめられるんです。

 今、東アジアで中国がどれだけいばっているか?

 先日は黄海で合同演習をしようとした米海軍と韓国海軍に、ここは我々の領海だからと抗議しました。結局、演習が日本海で行われたのはそのせいです。

 韓国の領海にはしょっちゅう中国漁船が入ってきて漁をしていますが、中国に文句を言われるからと取り締まれずにいます。尖閣諸島問題で日本が譲歩したら、韓国への圧力もさらに強まるしょう。

 日本人は何かというとすぐに謝り、金を出します。日本人同士ならそれで丸く収まっても、国際社会では謝った方が負けです。

戦後、米国に刷り込まれた自虐史観から早く自由にならないといけません。私は歴史に善も悪もないと思います。今の物差しで見れば悪でも、当時としては当然だったということがある。昔のことを、今になってどうこう言うのはおかしいんです。
 
日本が目指すべきは武装中立。核も保有した方がいい!

日本は武装中立を目指すべきです。軍隊なのに軍隊じゃないというヘンな存在=自衛隊を放置しておくのではなく、しっかりした自国の軍備を持つ。核兵器も保有すべきだと思います。それでこそ国際社会で言いたいことを言えるんです。

 普天間問題にしたって、米国に自分の国は自分で守るから出てってくれと一言言えば済む話でしょ。それが言えないのは、米国に軍備を丸投げしてるからです。

 自国の防衛力を持たず、核を持たずに、米国と対等の関係を築くなんておこがましいって言うんです。

 国土が狭いのに核を持てば、外国から一発打ち込まれたらおしまいだという話がありますが、やられたらやり返す姿勢を見せていれば相手だって二の足を踏みます。

 日本の核保有は米国もいやがりますし、韓国も中国も当然反対しますけど、イザ持てば国際社会から尊敬されますよ。政府開発援助(ODA)なんかで金をばらまかなくても、核保有国なのだからとそれなりに遇される。常任理事国にもなれるかもしれません。

 そういうことをせずに、きれいごとばっかり言っているからバカにされるんです。私は金正日は大嫌いですが、彼が核保有にこだわる気持ちはとてもよく分かります。

金にクリーンでなくても仕事のできる政治家を!

 日本にも戦前は、命をかけて国のために尽くす政治家がいました。しかし今は見当たりません。世論に戦々恐々とするばかりです。

景気がいつまでも低迷しているのも、世論を気にして思い切ったことができないからじゃないですか。今回の為替介入も、2兆円程度ちびちび出したって効果は一時的だと思いますよ。

 朝三暮四という言葉があります。猿に餅を、朝3つあげて暮れに4つあげたら怒り、朝4つ、暮れ3つにしたら喜んだという故事です。

 世論なんてそんなものなんですから、あまり気にしなくていい。だれが何を言おうと己を貫くという、信念のある政治家が出てこないものかと思いますね。

 日本では能力がある人ほど足を引っ張られますし、金にクリーンであることが必要以上に求められる。このへんも力のある政治家が育たない理由だと思います。

 一番大事なのは仕事ができる、能力があるということであって、クリーンかどうかは本来二の次のはず。早い話、女性が夫を選ぶ時だって、多少浮気してもよく稼ぐ男の方がもてるでしょ。

 もちろん同じくらい稼ぐなら品行方正の方が良いに決まっていますが、クリーンな人というのは往々にして仕事ができないものです。

先日、ある座談会で、韓国の官僚は賄賂を取るが日本の官僚は取らないという話が出た時、私は反論しました。

 日本の役人は一生安泰だけど、韓国では天下りしても政権が変わった途端に首が飛ぶ。だから現職のうちに賄賂を取るのであって、日本も天下りをなくしたらそうなるんじゃないか、と。

 政治家の世界も官僚の世界も、クリーンなことばかりじゃありません。それがいいとは言いませんが、どうしたってダーティな部分はあるのです。

韓国の弱腰の背景には「戦争だけはしたくない」気持ちがある!

日本ばかりをやり玉に挙げましたが、弱腰なのは韓国も同じです。北朝鮮に幾度となく攻撃されているのに、歴代政権はやられっぱなし。一度として反撃したことがありません。

 背景には韓国の人たちの「戦争だけはしたくない」という気持ちがあります。何しろソウルは、休戦ラインからわずか30キロしか離れていません。ひとたび戦争になれば、せっかく復興して、今や高度成長下にある首都がめちゃくちゃになってしまう。

 盧武鉉政権の太陽政策を支えていたのも、そういう事態を防げるのなら多少金を払ってもいいじゃないかという、言うなれば掛け捨て保険のような気分でしょう。

 ただ、北朝鮮はそれをちゃんと見越してるんです。少々無理なことを言っても結局は金を出してくるだろう、やり返してはこないだろうと。

 だからこそ、こちらとしては口先だけではなく行動で、イザとなれば戦争も辞さないという姿勢を見せないといけません。

 ちなみに南北統一を巡る韓国の世論は、少しばかり微妙です。もちろん武力によるのではなく、平和的統一を望む人が大勢を占めますが、現実問題として今はご免被りたいという空気が強い。

 東西ドイツが統一した時の経済格差は3対1ほどでしたが、韓国と北朝鮮は10対1ですからね。当時の西ドイツ以上の負担を強いられるのは目に見えています。

 先日、大統領が南北統一に備えて統一税を作ろうとしたのに、みんな猛反対したのもそんなムードの表れでしょう。
週刊文春9月30日号

中国衝突漁船は「スパイ船」だった! 衝撃スクープ
日本巡視船に「仕組まれた突撃」。船員たちの「自供」は中国大使館員の面会で一変した !


すごく簡単…日本を中国の言いなりにさせる3つの方法―中国メディア!

2010/09/23(木) 10:12 サーチナ

尖閣諸島(中国名:釣魚島)付近で発生した日本の巡視船と中国の漁船との衝突事件の影響で、日中関係は外交上まれに見る緊張関係になっている。中国国内メディアでは日本に対する嫌悪感を示す内容の記事が多くなっているが、IT商業新聞網には「日本を制圧するのは簡単、3つの方法で1カ月のうちに従うようになる」というタイトルの文章を掲載した。

  文章では、一連の事件により中国の民衆による反日感情は日増しに高まっていると紹介し、「国際外交紛争は、言ってしまえばどちらが相手を制圧するかの問題で、制圧した方が勝者なのだ」と解説。その上で、日本が簡単に中国の言うことを聞くようになる方法を3つ提起した。

  1つ目は、中国各地のスーパーマーケットやデパート、自動車販売店で直ちに全ての日本ブランド商品の販売を停止すること。汽車や電気製品から化粧品まで、生産地を問わず、日本の知的財産権が絡んでいる物は全て棚から卸せば、1カ月もすれば日本企業は東京の首相官邸や外務省の前でデモを行うようになり、日本の株式市場は底なしに下落する、というものだ。

  2つ目は、レアアースを肇として、日本が中国から大量に輸入している資源商品の供給を止めること。やはり1カ月もすれば、日本の大手工業企業の株価は暴落し、彼らは金銭や実力行使などで現政権を打倒することになるだろうと予測した。

  3つ目は、高い買取価格を提示して中東の産油国が日本に輸出している石油関連商品を中国に供給させるようにすること。これに伴う金銭的損失は、今後日本に資源商品を輸出する際の価格に転化すれば回収できるとのことだ。

  結びとして、これらの方法は全て中国側が完全にコントロールできるものであり、アメリカによる支援も必要ない措置だとした。(編集担当:柳川俊之)


米国は中国を封じ込めようとしているか?米中関係の複雑さ(1)2010/09/23(木) 12:03 サーチナ

中国現代世界研究センター研究員の肖楓氏が21日、「米国は中国を封じ込めようとしているか?」とする文章を発表した。中国網(チャイナネット)日本語版が伝えた。

  昨今、米中関係が人びとの注目を集めている。ある者は「米国は南北両端から中国を封じ込めようとしており、米中間の戦略合戦は避けがたい」と言う。またある者は「中・米はもともと“見せかけの友人関係”であって“パートナー関係”ではない」と言う。さらにある者は「“弱国に外交なし、落後すれば叩かれる(弱国無外交、落後要挨打)”。現在の中国は国力が強まり、その根本部分は固まった。国家の権益保護につき、もっと急ピッチで推進していくべきだ」と言う。この種の議論が及ぶ問題はみな一様に複雑であり、単純化して捉え、対応するべきではない。

  ■米中関係の複雑さを十分に認識する必要

  米中関係は従来から一貫して複雑であって、“黒にあらずんばすなわち白(非黒即白)”というような極端な思考によって捉え、対応するべきではない。

  まず第一に、これまで米中関係が再三にわたる困難を克服し現在に至るまで発展し続けている最大の理由は、両国間に“共同の利益”が存在していることである。これは、国交樹立以来三十数年の歴史をみれば、明らかである。冷戦終結前においては、中・米の共同の利益は主に“共同の敵”(ソ連)に対処するという戦略上の利益であった。

  “9・11事件”以後は、おもに“共同の使命”(反テロリズム)という戦略上の必要性があった。2008年の金融危機以降は、グローバルな“共同の挑戦”に対処することで形成されるより広範な“共同の利益”が主となった。米中間の矛盾や摩擦は絶えず、またこれを避けることも不可能である。しかし、総体的にいえば、両国の共同の利益の方が両者の一致しない要素を上回っているがために、両国は常に困難を克服して前進し続けることが可能なのである。

  第二に、米中関係論の性質は“位置づけ”をすることが困難である。中・米の関係は単純に“友人”ということはできない一方、逆に“敵”であるということもできない。そのため、かつては“敵にも友にもあらず”というような言い方をされたこともある。その後、“建設的戦略パートナー関係”とか“共同の挑戦に対処する戦略パートナー関係”などと称されたり“利益関係を有する者”との捉え方も登場した。このような両国関係の呼称や捉え方が多様であることは、正に米中関係の複雑さを客観的に反映するものであるといえよう。

  第三に、中・米両国は、イデオロギーも社会体制も価値観も異なる二つの大国であって、“戦略的相互信頼”を構築することも容易なことではない。中・米の経済・軍事・文化などの領域における二国間関係と、国際或いは地域の問題上直面する“共同の挑戦”とは、両国が協力しWin-Winを実現するのに必要な土台に多くのものをもたらした。しかしこれらはまた同時に、両国間の矛盾や摩擦を生ずる機会の増加にも寄与した。

中国現代世界研究センター研究員の肖楓氏が21日、「米国は中国を封じ込めようとしているか?」とする文章を発表した。中国網(チャイナネット)日本語版が伝えた。

  ■米中関係が全面的に悪化することはあり得ない

  米国の近時の黄海や南シナ海における尋常ならざる挙動は、米中関係を悪化・激化させた。しかし、一部メディアが言うように、米国は一種の“アジア版NATO(北大西洋条約機構)”を打ち立て、南北両端から中国に封じ込めをかけようとしているのだろうか。筆者は、米・中間の戦略関係に実質的な変化は生じておらず、両者の共同の利益はなお一致しない要素よりも大きく、米中関係が全面的に悪化するということはあり得ないと考える。

  一歩譲歩して、仮に米国が全面的に中国を封じ込めようと決心したとしても、これは客観的にみて実現し難い。その根拠としては第一に、東南アジア各国の思惑も複雑である点が挙げられる。彼らは米国が完全に撤退することを望んではおらず、米国を東南アジアに引き入れることによって中国に対し抑制と均衡(チェックアンドバランス)が働くことを期待している。しかし、だからといって彼らとしても米国と一緒になって中国を封じ込めるというスタンスには立ちたくないのである。

  第二に、ASEAN(東南アジア諸国連合)は中国の急速な発展に伴って広く利を得ており、中国の発展は彼らにとって好機でこそあれ脅威ではないということを彼ら自身も切実に感じているということが挙げられる。第三に、米国の軍事力は世界一であるとはいえ、現代の世界はとうに、砲艦が横行し強者が王者となるという時代ではなくなっているということが挙げられる。米国は南シナ海において、他国の意見を聞かずに我意を張り欲しいままに振舞うような空間を有してはいない。

  そして最後に第四に、米・中相互の利益はもはや分け難いほどに織り交ざっているという点を看過することはできまい。もし米国がさらに米中関係を害することがあれば、それは“石を持ち上げて自分の足に落とす”ようなものであって(自業自得であるさまを表す)、結局最終的には米国は自身の利益を害することになるのである。以上に述べた理由から、米中関係においては、摩擦や面倒が生ずることはあっても、全面的に関係が悪化するということはあり得ないといえるのである。


中国現代世界研究センター研究員の肖楓氏が21日、「米国は中国を封じ込めようとしているか?」とする文章を発表した。中国網(チャイナネット)日本語版が伝えた。

  ■中国の“主権保護”の過程に大きな困難

  中国の“権益保護”の問題は、すでに米中関係における重要問題の一つとなっている。中国の国力が高まって以後、国内のネットユーザーの中には「過去においては“弱国に外交なし、落後すれば叩かれる(弱国無外交、落後要挨打)”であった。しかし、現在では中国の国力も強まり、その根本部分は固まった。中国は国家の権益保護につき、もっと急ピッチで推進していくべきだ」と言う者もいる。また、さらには「米国に対して“意見を求める”べき時が来た」と主張する者さえ現れた。

  しかしながら、中国の“権益保護”の問題、“米台関係”のような歴史の遺産たる問題は、きわめて複雑であって、決して“竿を立てれば影ができる(直ちに効果が現れるさまを表す)”ように迅速な解決が得られるものではない。

  中国の国民一人当たり平均のGDPは世界で100位以内にも入っておらず、未だ“発展途上国”のグループに属しているものといえる。政治学的意義や歴史的背景という観点から見れば、これまでのところ中国は世界の大国の中で唯一の、未だ外来の勢力によって分裂しバラバラにされかねない脅威に直面している国家である。

  また、未だに“発展途上国”特有の、他者からの侮辱による傷跡と烙印を明白に残している国でもある。そのため、中国には長期に亘って“発展途上国”であり続ける決心と勇気とが必要である。外交において利益を重視することを忘れてはならないし、多様な(外交)交渉の手段・方式を総合的に運用していくことが求められる。これには、相当の時間と過程を経ることが必要となろう。(おわり 編集担当:米原裕子)
シーレーン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%B3

南沙諸島
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%B2%99%E8%AB%B8%E5%B3%B6

2010.09.22(Wed)JBプレス泉徹

もしも尖閣諸島を失えば日本の貿易は壊滅状態に!

中国人民解放軍(PLA)の強化は毎年2ケタの伸びに示されるように、衰えを知らない。特に海軍力の強化は、目覚ましいものがある。

中国が海軍を増強しているのは尖閣諸島奪取のため!

米国の「全米アジア研究部会」では、中国軍がグローバルな作戦を可能にする近代化を進める一方で、日本に対しては尖閣諸島の領有権主張のために海軍力を強化し続けるという分析もなされている*1。

 我が国は、地政学的に見れば、南北に長く縦深性のない国で、国民の大多数が都市に集中し、自給自足が困難な四面海に囲まれた島国である。

 従って、好むと好まざるにかかわらず、自由貿易を主体とする海洋依存国家にほかならない。 

 現在、海運による自由貿易によって繁栄を極めている我が国であるが、そういった
意味で経済活動を含めた国家の生存が海洋の自由利用にかかっていると言っても過
言ではない。

 それは、原材料を輸入し高付加価値にして輸出する経済活動のスタイルも、大きく
変わり得る要素はここ当分考えられないからだ。

 こういった状況下、日本の貿易の99.7%が船舶による海上輸送であることを思
えば、現在の海運政策が極めて不十分であることを、多くの国民に知ってもらうこ
とは意義があると考え、以下、我が国の海運から紹介したい。

1. 我が国の海運の現状

 外航海運は、我が国の経済および国民生活を支える、まさにライフラインとして極めて重要である。しかし、この海上輸送の基盤を支える日本籍船および日本人船員の状況は惨憺たる状況にある。

 まず、日本籍船については次ページ表1に示す通りである。1980年代、我が国の商船隊*2は約2500隻、総排水量1億1500万トンであり、日本国籍の商船は実に約1200隻であった。

 それが昭和60(1985)年のプラザ合意後の急激な円高によるコスト競争力の喪失から年々数が減り、2008年における日本籍船は98隻しかなくなった。

 これも一部の努力により98隻となっているが、2007年には実は92隻まで減少していた。現在でも約2600隻以上の商船が我が国の外航海運に従事しているものの、その1割にも満たないのである。


つまり、我が国の管轄権が及ぶ商船は98隻しかないことを示している。現在、アフリカ・ソマリア沖において、海上自衛隊が2隻の護衛艦と2機の対潜哨戒機「P-3C」により、海賊対処法に基づき商船の護衛を実施している。

自国の商船でなければ警察権も及ばない!

法律により、他国の商船もその護衛の範囲内とされ、多くの国々から感謝されその成果も著しい。

 しかし、あくまで護衛は各国の商船の要望により護衛を実施しているわけで、我が国に関係する重要な商船(便宜置籍船も含まれる)でさえ我が国のコントロールによるものではない。

 いや、コントロールできないのである。また、護衛中、他国の商船内において日本人に関係する事件が起きても、我が国の警察権は及ばない。

 ご記憶の方もいると思うが、今から8年前の平成14(2002)年、パナマ船籍の商船内で日本人の航海士がフィリピン人船員に殺される事件*3が起きた。この際にも外務省を通じパナマ共和国と交渉し、やっと我が国の捜査が及んだのは、事件が発生してから1年後だった。

 昨(2009)年6月19日、「海賊行為の処罰および海賊行為への対処に関する法律」(海賊対処法)が制定され、海上自衛隊が護衛任務についている。

海賊以外の紛争は適用除外される!

 その保護対象船舶は(1)日本籍船(2)日本人が乗船する外国籍船(3)日本の船舶運航事業者が運航する外国籍船または日本の積み荷を輸送する外国籍船であって我が国国民の安定的な経済活動にとって重要な船舶*4とされている。

 この法律の制定は、海運を維持・保護する上で極めて重要な進歩である。しかしながら、これは、あくまで海賊対処に関する法律であり、それ以外の事変・紛争等では日本籍の商船に対してのみ該当し、それ以外に対する法整備も進んでいない。


それでは、我が国の外航船員についてはどうだろうか。表2は日本人外航船員の推移である。日本籍船の数が減少している状況と同様に、外航船員に占める日本人の割合も大きく減少している。

外航船員はピークの20分の1に激減した!

 1974(昭和49)年には約5万7000人いた外航船員も、今では2600人あまりで往時の20分の1以下である。

かって多くのご同輩は、マドロス姿の小林旭主人公の映画を見て格好良いと思い、外航船に乗って外国に行くことを夢見たものである。

 しかし現在では、船乗りになる希望者がいたとしても外航船員を育てる教育機関は減少し、商船大学なるものは既に存在しない。

 さらに、現在の外航船員の年齢構成は、45歳以上中高年の占める割合が約54%であり、55歳以上の占める割合は10年前から2倍以上の約28%となっている。つまりベテランの外航船員も定年間近なのである。

 近年、科学技術も発達し船員の技能もさほど必要でないと思われる方がいるかもしれないが、いまだ大自然を相手にする大海原では、経験が大きくものを言う。

技術が発展しても人間に頼らなければならない部分は圧倒的に多い!

 夜間の視界内の商船や漁船などの動きやその動静の把握、あるいは霧や大雨の狭視界においてのレーダーによる目標の把握、水平線上に昇る米粒にしか見えない竜巻などの自然現象の動き、洋上に流れている流木の確認など、経験が極めて重要である。

 そして、こういった経験を伝える場は同じ海の上が最も適している。もちろん、書き物により伝え、机上で口伝えにより伝えることもできるが、同じ環境条件の洋上にいて同じ経験をしつつ実際に見て判断につなげていく感覚的な伝承は洋上でしかできない。

 話が横道にそれたが、そういった素晴らしい技能や感覚の持ち主である日本人外航船員の姿が消えていくのである。

 日本人外航船員は現在、約2600人であるが、全日本海員組合加盟のフィリピン人は約2万8000人いる。つまり、我が国の海運を支えているのは多くのフィリピン人の方々である。

日本郵船など多くの船会社はこれら外国籍船員と労使契約を結んでいるが、その中には、「軍事行動区域には赴かず、下船して会社負担で送還される権利」が明記されている。

日本のシーレーンが万が一紛争地域になれば船の運航は不可能に
 当然と言えば当然のことで、他国の商船において他国で負傷するなど、死ぬ目に遭ったのではたまったものではない。

 すなわち、我が国周辺における紛争など危急の際には、多くの外国船員の方々は従事する必要はなく、我が国に関係する海運がストップすることも考えられる。

 1980年代のイラン・イラク紛争の時、イラン機の攻撃により労務提供船アル・マナクが被弾し日本人船員2人の方が犠牲となった。それでも当時、延べ6万人と言われている多くの日本人船員が石油輸送を担い、我が国民の生活と経済活動を支えたのである。

 しかし、その後、三光汽船の倒産を皮切りに日本船主協会が外航船員1万人は過剰であるとし、日本人外航船員の姿が消えていくのである。

2. 諸外国の海運に対する取り組み!

我が国の海運の現状は目を覆うばかりであるが、それでは諸外国はどうであろうか。いわゆる人件費の高騰により、喘いでいるのは日本ばかりではない。韓国においても同様の状況であり、英国、ドイツでも同様である。

 しかし諸外国、特に海運に依存している上述の各国は、政策により必要最小限の海運のツールは維持している。

 ドイツは自国船員の訓練費などに年間約6億円の補助を与え、船員の育成に努力している。そして英国では海外で半年間過ごした自国船員の所得税を全額免除し、船員がすべて外国人でも自国船と認める1国2制度制を取り入れている。

 この1国2制度制は、ノルウェー、フランスも同様に取り入れ、自国船籍を呼び戻すことに効果を上げている。


日本も1996年から、船長と機関長さえ日本人ならば他の船員がすべて外国人であっても日本籍船と認める「国際船舶制度」を導入したが、もはや船長も機関長も外国人で占められている状況において、効果を上げるまでに至っていない。

迅速に法律を整備してきた韓国
 お隣の韓国の外航船員の状況は日本と同様であるが、各種方策を迅速に決定し国の政策に反映している。

 まず、韓国を有数の海運国家に育成するため、韓国トン税制度を2005年1月に取り入れ、営業利益が出ている時には節税効果が出る仕組みとし、海運会社の利益を導き出している*5。


 また、船舶の韓国籍登録を活性化するため、済州島内の開港を船舶登録特区に指定し、船舶の取得税、漁村特別税、地方教育税、財産税、共同施設税が免除されている*6。

 さらに、穀物や原油、石炭などを運ぶ韓国籍船30隻を「国家必須船」に指定し、韓国人の船員を増やすことを条件にして、政府が海運会社に船員コストの差額を補助しているのである。

 指定を受けた船舶は、バルク船(糧穀運搬船、鋼炭船)10隻、油槽船6隻、液化天然ガス(LNG)船11隻、コンテナ船3隻である。

米国は75%以上の自国籍船員を義務づけ!

 もちろん、この30隻のみで現在の韓国国家経済を賄うことはできないだろうが、少なくとも非常時における考え方を平時から国民に示し、不十分ながらも対応策は整えている。

 また、これらにより、必要最小限以下であろうが必要な物資の輸入も自国で賄い、かつ外航船員養成の道も確保している。

 さらに付言すれば、あの米国でさえ、自国船籍の米国人船員の割合を75%以下にしてはならない、自国船籍の修繕においては他国で製造した鉄を10%以上使用してはならないなど、事細かく規定し海運を維持運営している。



3. 我が国周辺海域の不安感!

これまで述べたように、我が国周辺海域において紛争や不穏な状況が生起すれば、外国籍船員は我が国の海上輸送に携わる必要はない。

 現在、我が国の東シナ海の現状は、中国の大陸棚や尖閣諸島へのアクセスなど、今後10年間における我が国とのいざこざの不安感は拭い切れていない。

 1992年の中国の領海法制定以来、東シナ海を中国の内海とし、それまで全く触れていなかった尖閣諸島を自国の領土と明記したのである。

 それは、あたかも南シナ海における南沙諸島を領土化した同じ方法をたどっている。もし、この東シナ海で、将来、領土、領海を巡る紛争が起こった場合、我が国への海運への影響は大きく、経済活動のみならず、自国民の生存も危ぶまれる危険性をはらんでいる。

 今月発生した尖閣諸島での中国トロール船による海上保安庁の巡視船への衝突事件は、まさにそうした危険を示す格好の材料と言えるだろう。

 もし紛争が発生すれば、海上護衛戦を軽視した結果、物資が日本に入ってこなくなった先の太平洋戦争を彷彿させられる。

 しかし、現在の海運崩壊の危険性は海上護衛戦を軽視したことではなく、今度は、海洋に生きるしかない我が国の海運というツールを軽視したことによるのである。

4. 終わりに

 現在、海上自衛隊は灼熱の中、ソマリア沖、アデン湾の海賊対処に立ち向かい、敢然と海上交通の安全確保の任に就いている。これは、海洋の自由利用と自由な交易を維持するための海上交通の安全確保が何よりも我が国には重要であり、我が国の生存がかかっている任務とも言えるのである。

 現在、海上護衛作戦も順調に推移し、海賊件数は増加している中、日本に関係する商船の被害は幸いにして生起していない。こういった努力により、日本船主協会の方々から感謝の言葉を頂き、海上自衛隊員の大きな支えになっている。

 しかし、先の太平洋戦争における6万人以上の戦没船員を出した全日本船員組合の不信感は根強く、我が国に関係する商船護衛への理解も乏しい。

 そして、先の大戦の国家総動員法に基づく「船員徴用令」を含むものが「有事法制」であるとし、有事法制の制定にも反対しており、有事における我が国の海運確保の問題をさらに複雑にしている*7。

 あるブログに、「日本はシーレーンを守るとは言っているが、守る対象がない。守る対象であるシーレーンを作ることから始めなければ、シーレーンを守ると言っても空言である」という書き込みがあった。 

 まさに、当を得ている提言ながら、この提言を日本国民は、自国のことと感じているのか心配になった。

 それは、多くの日本人と政治家や官僚が安全と空気は、この日本にはタダで無尽蔵にあると思い、いつでも手に入れることができると思っているからであろう。

 こう言った風潮は、自国民を救出することさえ自衛隊にやらせない国の中では当然のことかもしれないが、万が一の場合、そこに生きている国民はたまったものではない。
 

離島は守るだけでは能がない、経済も同時活性化を!

2010.09.21(Tue)JBプレス 福山隆

1.中国漁船・尖閣付近領海内接触事件~中国、「海洋権益」で主導権狙い強硬姿勢に!

 沖縄県・尖閣諸島付近で日本の海上保安庁巡視船と中国漁船が衝突した事件で、中国は9月中旬に予定されていた東シナ海ガス田開発の条約締結交渉を延期した。

 さらには、戴秉国・国務委員が丹羽宇一郎・駐中国大使を未明に呼び出し、日本側に漁船・漁民の解放を迫り、さらなる対抗措置を打ち出すことを示唆するなど強硬姿勢に転じている。



2.日本を取り巻く戦略環境~米国の凋落と中国の台頭!

 米国は今後「ジリ貧」になり、もはや世界の警察官の任を負えなくなる時代が来るのではいかという懸念がある。

 この懸念は歴史的な前例に由来するものだ。ベトナム戦争では時価換算で65兆円の金を使い、これにより米主導のブレトンウッズ体制が壊れ、金本位制と固定相場制を放棄した。

 さらにはニクソン・ドクトリンが打ち出され、「自分の国は自分で守れ」と同盟国を突き放すような政策まで打ち出した。

 この前例を下敷きにして米国の将来を考えてみよう。アフガン・イラクでは既に95兆円の戦費を使い、年内には100兆円にも迫るものと見積もられている。

 アフガン・イラク戦費に加え、リーマン・ショックに端を発した金融危機により深刻な経済的ダメージを受けたが、今後米国が「ジリ貧」状態から抜け出せる確証はない。

 8月末に公表された「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会(以下「新安保懇」とする)」報告書においても「米国の軍事的、経済的優越は圧倒的なものと見なされなくなりつつある。

米国が超大国ではあるが、他国を無視できるような圧倒的力を持っているわけではないというのが、米国も含めた一般的認識となっている」と述べている。

日本周辺で変化するパワーバランス!

一方、日本を凌ぐ世界第2位の経済大国に躍進する勢いを見せる中国は、その経済力をもとに大幅な軍事力の増強を推進している。

 今後、日本周辺の米中のパワーバランスのイメージは図1のように推移し、米中の均衡点が東進することは確実である。

 この現象を分かりやすく説明するには気象学を用いるのが便法である。すなわち、「『中国という大陸性高気圧』の勢いが強まり、弱まりつつある『アメリカという海洋性高気圧』を押して、太平洋方向に張り出していく」という説明である。

 いずれにせよ、「昇る中国」と「沈む米国」の狭間にある日本は今後、中国の勢力圏が東進する中でいかに国防を全うするかという難問に向き合うことになるだろう。


3.日本は米中覇権争いにおける「天王山」!

 故小渕恵三総理は、自らを「ビルの谷間のラーメン屋」あるいは「米ソ両大国の谷間に咲くユリの花」と喩えたという。

 同一選挙区に福田赳夫、中曽根康弘、社会党書記長に上り詰めた山口鶴男などの大物議員がおり、小物の自分は「ラーメン屋」ないしは「ユリの花」というわけだ。

 これに倣えば、日本は米中覇権争いの中の「ラーメン屋」とも言えるだろう。両超大国の狭間で生き抜くのは大変だろう。日本国民は今後余程の覚悟が必要だ。

 冷戦時代は、米ソの主戦場(覇権争いの戦域)は2カ所――大西洋・欧州と太平洋・アジア――存在し、「メーン」は大西洋・欧州で、太平洋・アジア戦域は「サブ」だった。

 今日では、米中の主戦場は太平洋・アジアだけである。また、冷戦期、欧州正面においてはソ連に対抗するために北大西洋条約機構(NATO)という軍事同盟が結成され、米国を支える同盟国はイギリスや西ドイツなど10カ国に上った。

一方、今日北東アジアではNATOに相当する軍事機構は存在せず、米国が最も期待できる国は日本をおいてほかにはないと言ってもいいだろう。


日本を自らの影響下に置きたい中国!

 このように、日本は米中の覇権争いの場の中心に位置し、いわば「天下分け目の天王山」に相当する戦略上の要域と言える。ちなみに、天正10(1582)年6月、織田信長を本能寺に討った明智光秀とその仇討ちを果たそうとする羽柴秀吉が京都山崎で戦い、同地における戦略上の要地「天王山」を制した秀吉の勝利となった。

 米国は今後とも日米同盟を強化し、日本を不沈空母として活用し、中国封じ込めの「最大拠点としての『日本』」を維持確保することを目指すだろう。

 一方中国は、政治的には日米同盟の弱体化・離間を図り、日本を自国の影響下に置くことに努力を傾注するものと考えられる。

 また、軍事的には、第1列島線(九州を起点に、沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオ島にいたるライン)続いて第2列島線(伊豆諸島を起点に、小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るライン)進出のためには、九州周辺の離島の一部を侵食しようとする試みを敢行する可能性がある。


4.中国は海洋国家?

 「中国は海洋国家」と言えば笑止千万と思われる向きが多いだろう。だが、海洋国家を「国家の存立を海洋に依拠している国」と定義すれば、中国は立派な海洋国家である。

 北の国境は砂漠と産業希薄なシベリア、西はヒマラヤ山脈などの地形障害により陸上ルートで通商を営むには限界がある。中国が13億人余の民を養い経済発展するためには、海洋に依拠するほかない。

 冷戦時代、ソ連に対抗するために陸軍を重視したが、中ロ関係が改善した今日では海外の市場開拓・資源確保、シーレーンの安全確保、海洋資源の獲得などの目的から、米国に対抗することを念頭に海・空軍力重視の軍拡に血道をあげているのは当然のことであろう。

 また、2009年6月には島嶼保護法を制定し、領海拡張の野望を鮮明にしている。

5.米国にとっての離島・島嶼の価値!

 今後、海洋進出を急ぐ中国の海洋戦略を推理する上で、マハンの海軍戦略を採用し、太平洋に進出した米国の歴史を検証することは大いに参考になろう。

 マハンは「ハワイは米国のために神様が造ってくれたようなものだ」と述べ、海洋を横断し戦力を遠方に推進するうえで島嶼を基地として活用する重要性を指摘した。

 米国はグアム、フィリピン、ウェーク、ハワイにも版図を広げ、今日では日本や韓国にも基地を保持してユーラシア・アジアへの覇権を確保するための手段としている。

 ケネス・ボールディングは「力(戦力)の逓減(Loss of Strength Gradient)」について次のように述べ、遠方に戦力を投射する上で基地の重要性を指摘している。

●世界のいかなる場所にでも投入できる1国の軍事力の量は、その国と軍事力を投入する場所の地理的な距離により左右され、目標地域への地理的な距離が遠くなればなる程、活用できる戦力は逓減する。

●複数の前線基地(forward positions)の活用により、「力(戦力)の逓減」は改善できる。

図2は、ボールディングの理論に基づき、米国が太平洋に基地を維持する効用について説明したものである。

 「A曲線」は米国がアジア・太平洋に基地を持たない場合の戦力の逓減するイメージである。

 「B曲線」は米国がハワイ、グアム、日本及び韓国に基地を維持することにより戦力の逓減を少なくできることを示すイメージである。

 この図を見れば、太平洋を越えて戦力を投射しなければならない米国にとって、本土外(海外)基地を獲得・維持することは軍事戦略上必然のことであることが理解できよう。

 マハンの時代は、海外に投射する戦力は海上戦力(海兵隊を含む)のみであったが、今日は航空・宇宙戦力が加えられており、必然的に基地は海軍基地のみならず、空軍基地が追加されるのは申すまでもない。




6.中国の海洋進出にとっても離島・島嶼の獲得が不可欠~わが国国防の当面の地域的焦点は九州の離島・島嶼!


 中国は「近海積極防衛戦略」に基づき、2020年までに第2列島線(伊豆諸島を起点に、小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るライン)までの行動能力を確保できることを目標に海空軍の建設を急いでいると言われる。

 米国の例に見られるとおり、中国としても第1列島線や第2列島線に及ぶ海空軍の行動能力を獲得するためには、第1・第2列島線周辺の離島・島嶼を確保することは必須の要件と考えられる。

 中国が離島・島嶼を確保するのは、十分に時間的余裕を持って獲得する方法と、大規模作戦開始に先立ち短期間に急速侵攻して奪取する方法が考えられる。

 もとより中国は離島・島嶼を活用した基地の代替システムとして、米国同様に空母を中核とする機動部隊を運用する構想を持っているようだ。

 中国の海洋進出の要領を考えれば、わが国防衛にとって当面の地域的焦点は九州の離島・島嶼であることに議論の余地はないだろう。今回の中国漁船・尖閣付近領海内接触事件を巡る中国の強硬姿勢は、かかる意図を雄弁に物語るものだと思う。


7.民主党の国防政策~「新安保懇」報告書と2010年版防衛白書!

 厳密に言えば「新安保懇」報告書は単なる提言であり、民主党の防衛政策とは言えない。しかし、これが新「防衛計画の大綱」に反映されることを考えれば、民主党の政策に準じるものと見なすことができよう。

 「新安保懇」報告書及び2010年版防衛白書においても「離島・島嶼の安全確保」について取り上げ、これを重視する姿勢を明示している。

 特に「新安保懇」報告書においては「離島・島嶼の安全確保は日本固有の領土及び主権的権利の保全という主権問題であるが、こうした地域への武力攻撃を未然に防止するためには、平素からコストをかけて動的抑止を機能させることが重要である」と述べている。

 また、今次「新安保懇」報告書で注目されるポイントとして「安全保障戦略を支える基盤」を整備するうえで「オールジャパン体制の構築」を掲げている。

 財政事情が厳しく、防衛予算の増額が困難視される中で、「より効果的な危機管理・安全保障行政を推進するには、省庁間、中央・地方間の垣根を超えた連携が必要である」と強調している。

 戦後、国防を忌避する風潮が高まり、国防の任は憲法上その存在さえ論議された自衛隊に丸投げするような傾向があった。この点から見て、今回打ち出された「オールジャパン体制の構築」というポリシーは多いに評価できる。



8.九州離島・島嶼防衛に関する一提言!

 九州の離島・島嶼防衛については、防衛省・自衛隊が鋭意企画・実行することだろう。私は、今次「新安保懇」報告書が取り上げた「オールジャパン体制の構築」という観点から、九州離島・島嶼防衛の具体的要領を以下の通り提言したい。

 下記の小論は筆者が自衛隊現役時代に書いたもので、若干の経年変化がある。しかし、当時の「着想」を鮮明に残すために、敢えて手を加えずに紹介することとした。

 私は2002年3月、佐賀県目達原にある陸上自衛隊九州補給処長に着任した。九州補給処の任務は、九州防衛を担う陸上自衛隊西部方面隊の後方(兵站)支援である。

 ところで九州には2522の島が存在する。このうち有人島が191、無人島が2331である。

 冷戦崩壊以降、ソ連の北海道侵攻のリスクが低下し、朝鮮半島や中国・台湾の緊張の高まりにより九州防衛の重要性がクローズアップされる中、西部方面隊にとって今や離島防衛は最重要課題になりつつある。

 五島列島の最北端の小島、宇久島に生まれた私にとって、離島防衛は単に防衛だけの視点だけでは語れない。それぞれの島(もちろん有人島)には固有の伝統・文化が根づいている。

 単に物理的に島を防衛するだけではなく、これら島固有の伝統・文化までも守ることこそが、離島防衛だと思う。

 かかる観点から、島を外国の侵攻から守る以前にやらなければならないことは、有人島からの人口流出、それがさらに高じて無人島になることを阻止することが絶対に必要である。

 日本国中で「限界集落」が拡大している。九州離島の有人島も同じ問題――いわば「限界島」問題――を抱えている。

 私の故郷・宇久島を例に取ると、第2次世界大戦直後のピーク時に1万2000人あまりいた人口が2003年現在では2000人程度に激減し、かつ高齢化している。年間に生まれる新生児は3~4人程度だという。


私が子供の頃は5校もあった小学校が、今では統合され1校のみ、しかも1学年4~5人程度(教師の師弟を含む)という有様。

今後、続々と無人化すると考えられる島々!

 この子供たちが将来島から出ずに100歳まで生きると仮定しても、その数は300から400人となる。現実的には、島の人口は近い将来には100人を下回るのは確実だろう。

 無人島化した実例がある。宇久島のすぐ南にある野崎島の場合は、島民は最盛期には131人であったが、昭和46(1971)年に残っていた6世帯31人が島を去り、以後は無人島となってしまった。

 野崎島は、その昔、神宮皇后が大陸遠征の途上立ち寄り、航海安全を祈願して太刀一振りを奉納したと伝えられる由緒ある歴史の島である。

 無人の野崎島に残る野首教会は、ユネスコの世界遺産(文化遺産)暫定リストへ掲載が決まった「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を構成する教会の1つである。

 このように、日本で人口の減少が予想される中、九州の離島においては本島以上に人口流出の加速が懸念される。

無人化を食い止め産業を発展させる方法!

 かかる九州の離島・島嶼からの人口流出、引いては無人島化を防ぐことこそが離島防衛の大前提であると思う。

 なぜなら、無人島化すれば島を実効支配する名分が低下し、隙を見ていつの間にか第三国人が定住してしまえば、今の日本の弱腰外交では奪回は極めて困難と思われる。

 島を人体に例えれば、島を「生かす」には「血流」に相当する「人間」を島に定住させ、旅行者を通わせることである。


私は主として防衛上の観点から、2つの無人島化阻止のための施策を考えた。その1つが「長崎・五島キリスト教会巡礼の旅」、2つ目が「九州離島屯田兵制度」である。


教会巡礼の旅と九州離島屯田兵制度!

(1)長崎・五島キリスト教会巡礼の旅

九州補給処長に着任した年の秋、五島列島防衛のための現地研究を福江島で実施した。現地研究とは、机上で作成した防衛計画について、作戦を実施する現地をくまなく歩いてその妥当性や問題点などを研究・検証するフィールドワークのことである。

 福江島を軍事作戦的な視点からくまなく視察していくうちに、同島には教会が多いことに気づいた。旅行パンフレットによると66個の教会があるという。福江島だけでも、福江教会、堂崎教会、水之浦教会、楠原教会、井持浦教会、貝津教会などがある。

 どの教会も信者の篤い信仰心を反映し、手入れが行き届き、教会の近くには十字架のデザインのあるキリスト教徒の墓碑が海を見下ろしていた。私はこれらの教会を見るうちに「長崎・五島キリスト教会巡礼の旅」のアイデアが湧いた。

 「長崎・五島キリスト教会巡礼の旅」構想の要点について述べる。

 この構想は、異国文化の入り口だった長崎市を起点に客船で海を渡り、福江島に、そこから徒歩と小船で五島列島を北上して最北端の宇久島に到達、引き続き船で平戸島に渡り、田平町、佐世保市を経てハウステンボスから島原半島を一周。

 そして再び元の長崎市に戻る巡礼コースを設定し、巡礼者という旅人たちの人の流れ(Flow)を作ることにより、五島列島の無人化を防ごうというアイデアである。

 このアイデアには、欧米人にとっては「異教徒」と思われる日本人にも、江戸時代に命懸けで隠れキリシタンたちが守り通してきたキリスト教の歴史・文化があることを広く国内外に知らしめたい、という願いも込められている。

 このエッセイを書いた後の2008年11月、ローマ法王庁が、17世紀の江戸時代に殉教した日本人キリスト教信者188人に、最高位である「聖人」に次ぐ福者の位が授けられる「列福式」が長崎市で行われた。

 もとより巡礼者は日本人のみを対象とするのではなく、広く欧米等全世界からの来訪者を期待するものである。この巡礼の旅を定着させるためには、国、長崎県、関係市町村、教会組織及び旅行業社などが忍耐と知恵を分かち合わなければならないだろう。

 この巡礼コースの中には、歴史を経た133に及ぶ素晴らしい教会が存在している。巡礼者はコマーシャリズムに踊らされ、美酒・美食を求めて旅行するのではなく、命懸けで信教を守り抜いた古の隠れキリシタンたちの霊魂と、今に生きるその末裔たちとの心の触れ合いを尊ぶ事が大切だと思う。

 そのモデルとして、四国八十八箇所の巡礼や中近東のキリスト教・イスラム教の巡礼制度を研究する必要があろう。

 ハンチントンが唱える「文明の衝突」で、日本は完全に非キリスト教国(日本は神道の国)と思われているが、実は隠れキリシタンの歴史に見られるように、世界に誇れるキリスト教信仰と文化・歴史も存在しているのである。

 この巡礼制度が定着し、欧米からの巡礼者が増えることにより、日本のキリスト教に関する誤解も少しは解消されることだろう。

(2)九州離島屯田兵制度

 離島からの人口流出を防止する政策の1つとして、「九州離島屯田兵制度」を提案したい。この制度は、明治政府が行った北海道への屯田兵制度やイスラエルのキブツにも似た制度である。

 政府が人為的に九州の離島に住民を定住させ、これを防衛の一助にするというアイデアである。この法的裏づけは、これまで防衛という概念が全く排除されてきた「離島振興法」の中に記述すればよいと思う。

 「九州離島屯田兵制度」の要点を列挙する。

●有人の離島の戦略的重要度に応じて、現職陸上自衛隊の1個中隊(約150人から200人)、1個小隊(約20人から30人)、1個班(約10人)を配備することにより、当該島の防衛の基盤を作るほか、人口減少に歯止めをかける一助とする。

 この際つとめて、当該離島出身の子女を採用・配置する。

●上記の現職自衛隊部隊を補強し、支援する離島専用の予備自衛官(新たな予備自衛官制度を創設。「離島屯田兵」と仮称)を島民から採用し、有事には自らの故郷(離島)防衛に当たらせる。これらの採用対象には、農・漁民、役場の職員及び学校の教員などを含める。

●これらの「離島屯田兵」には一定の生活支援給与を支弁する。また、兼業も認める。

●これらの「離島屯田兵」の教育訓練には、主として当該離島に配備された現役自衛官が当る。

●離島配備の現役自衛官はもとより、「離島屯田兵」についても、陸・海・空の所要兵力をバランスよく配備する。

●離島防衛のため、これらの自衛隊兵力(現役自衛隊部隊と「離島屯田兵」)の配備とそのための施設整備に加え、各省庁は所管の業務を通じ、離島防衛と人口流出防止に努める。そのための根拠として「離島振興法」に新たな防衛に関する条項を追加する。
106  107  108  109  110  111  112  113  114  115  116 
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール
HN:
魚沼コシヒカリ.com
年齢:
70
性別:
男性
誕生日:
1954/01/01
職業:
農業
趣味:
スキー・読書・インターネット
自己紹介:
私は、魚沼産コシヒカリを水口の水が飲める最高の稲作最適環境条件で栽培をしています。経営方針は「魚沼産の生産農家直販(通販)サイト」No1を目指す、CO2を削減した高品質適正価格でのご提供です。
http://www.uonumakoshihikari.com/
魚沼コシヒカリ理想の稲作技術『CO2削減農法研究会』(勉強会)の設立計画!
バーコード
ブログ内検索
P R
忍者ブログ [PR]

designed by 26c. / graphics by ふわふわ。り