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産経新聞 2月17日(木)
 
【ワシントン=佐々木類】米海軍は今月初め、空母搭載型のステルス無人戦闘攻撃機(-47B)の初試験飛行に成功した。中国が開発中で、米空母への攻撃可能な対艦弾道ミサイル(ASBM)の射程外から、中国沿岸部のミサイル部隊を攻撃することが可能だ。ASBMは防御が難しく、西太平洋から米軍を排除する中国の「接近阻止戦略」を具体化する“空母キラー”とされる。米海軍の-47Bの開発は、これを無力化し、西太平洋での米軍のプレゼンスを確保するねらいがある。

 -47Bは、国防産業大手、ノースロップ・グラマン社が、米海軍の発注を受け2005年から本格的な開発に着手した。

 2月4日、カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地で29分間、高度1500メートルまで上昇、初の試験飛行に成功した。13年に実際の空母を使った離着陸テストの実施を目指し、将来は日本を拠点にする米第7艦隊の空母打撃群に配備する。

 機体はレーダーに捕捉されにくいステルス性。空間の限られた空母甲板でスペースをとらないよう尾翼がないのが特徴だ。

 米誌アビエーション・ウィークによると、同機はASBMの発射段階迎撃(BPI)システムを採用。ミサイル発射直後に熱源を捕捉して発射場所を探知、レーザー光線や高出力マイクロ波で破壊する。

 米軍は地上から遠隔操作する高々度無人偵察機「グローバルホーク」をアフガン戦争で運用中だが、-47Bは事前に飛行方法や経路をコンピューターで入力させた後、遠隔操作をしない「自律飛行型」だ。

 -47Bが攻撃対象として想定しているのは、中国が開発中のASBM「東風21」だ。米戦略予算評価センター(CSBA)によると、東風21は射程約2130キロ。中国沿岸部から発射した場合、沖縄を含む日本全土とグアム西方海域までを射程とし、西太平洋に展開する米第7艦隊の大きな脅威となる。

 だが、-47Bが実戦配備されれば、米空母は東風21の射程外から中国沿岸部を攻撃できる。「接近阻止戦略」の形骸化とミサイルの無力化を図ることで、この地域における米軍優位の維持を目指す。

 また、高度1万8千メートルから560キロ先を偵察できるグローバルホークもすでにグアム基地に配備されており、無人偵察機による高々度偵察と遠距離からの対地攻撃が可能となる。

 
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