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DF-21(東風-21 (Dong-Feng-21)
http://ja.wikipedia.org/wiki/DF-21_(%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB )
弾道ミサイル配備で南シナ海「聖域」化を目論む中国!
2010.11.26(Fri)JBプレス 阿部純一
現在の中国の軍備について米国が最も関心を寄せているのは、対艦弾道ミサイルの開発だろう。
中国は「東風21」をベースに、衛星情報をもとに軌道を修正し、米海軍の空母を攻撃する能力を保持する通常弾頭型の「東風21D」の開発を進めている。これを米国は、中国の「接近阻止」(Anti-Access)戦略の主要手段として見ている。
中国は1996年3月の台湾総統選挙に際し、弾道ミサイル演習で台湾を威嚇した。それに対して米国は2個空母戦闘群を台湾近海に展開して中国に圧力をかけた。
この前例を念頭に置けば、台湾に対して中国が軍事行動を起こそうとする場合、中国は米国の介入が当然あり得ると考えるだろう。
米国の軍事プレゼンスを示す最も効果的な手段が空母の派遣であるとするなら、その空母を攻撃し得る能力を持つことで介入阻止を図るのは、中国としては当然の選択ということになる。
弾道ミサイルが米空母を台湾から引き離す!
「接近阻止」の能力は、例えば潜水艦や巡航ミサイルでも担うことができる。実際、中国はそのためにディーゼル潜水艦の近代化と増強に努めてきたし、対艦ミサイルも開発、増強してきた。
しかし、それらに対して、米軍にはある程度効果の期待できる対処法がある。潜水艦には潜水艦で対抗できるし、米海軍の対潜哨戒能力は高い。巡航ミサイルに対しては、空母を護衛するイージス艦の防空システムで対応が可能だからだ。
しかし、弾道ミサイルで攻撃してくるとなると、厄介なことになる。
ミサイル防衛システムとして準中距離ミサイルまで対応が可能なスタンダードミサイル「SM-3ブロックIA」を搭載したイージス駆逐艦が近くで護衛に当たっていれば、対処し得るだろう。
だが、海上を移動する空母に合わせて軌道を修正しながら接近してくる弾道ミサイルに対して、現有のミサイル防衛システムがどの程度有効なのかは分からないからだ。
空母艦載機の作戦行動半径は700キロメートル程度とされ、最大でも1000キロメートル以内だろうから、米空母を台湾から1000キロメートル以上引き離しておけば事実上無力化できる。対艦弾道ミサイルは、中国にとってそのための有効な手段と考えられる。
海南島基地に新ミサイル配備、南シナ海「聖域」化への布石!
これに関連して、2010年8月7日、香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」が興味深い記事を載せていた。
その記事によれば、広東省北部の韶関市に新設されたミサイル基地に、第2砲兵96166部隊が配属され、準中距離通常弾頭ミサイル「東風21C」か「長剣10」地上発射巡航ミサイルのどちらかが配備される見込みだという。南シナ海の西沙、南沙諸島、台湾、さらには沖縄の嘉手納までを射程範囲に収め、また同基地に空母攻撃用の「東風21D」が配備されるという観測もあるとされている。
もちろん、その射程から見て、北部を中心としたベトナムの大部分、フィリピン、沖縄の普天間基地も攻撃可能であろう。精密誘導が可能な「長剣10」なら、米海軍の空母も狙うことができる。
つまり、韶関市に新設されたミサイル基地は、南シナ海における中国の「接近阻止」戦略の一角を担う形になる。
中国は現在開発中の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「巨浪2」を12基搭載する予定の「晋」級ミサイル原潜(タイプ094)をすでに3隻就航させ、南シナ海の海南島に新設された基地に配備している。
「晋」級ミサイル原潜を抑止力として安定的に運用しようとするなら、南シナ海をミサイル原潜の「聖域」にしなければならないことになる。そのためには、南シナ海を中国が完全にコントロール下に置く必要がある。だが、もちろん南シナ海は、例えば渤海湾のように自らの領土に囲まれた内海ではない。
今年に入って、南シナ海を中国の「核心的利益」と位置づけ、同海域の南沙諸島などの領有を巡り、中国の強硬な姿勢が目立つのも、その関連で考えなければならないであろう。また、2009年3月に海南島から120キロメートル離れた南シナ海で潜水艦の音響調査をしていた米海軍音響測定船「インペッカブル」の活動を、中国が民間船舶を使って執拗に妨害したのも、同様の意図に基づく行動であろう。
ミサイル原潜配備のための南シナ海「聖域」化に向けて、中国は着実に歩を進めているのである。
日本の米軍基地、自衛隊基地が危機にさらされている!
なお、さらにわが国にとって無視できない報道があった。
米紙「ワシントン・タイムズ」は、11月14日に次のように伝えた。米国議会の政策諮問機関「米中経済・安全保障検討委員会」が17日に公表予定の年次リポートによれば、「米中間で紛争が起これば、中国はミサイルによる攻撃だけで、韓国の烏山、群山両基地、日本の嘉手納、三沢、横田各基地、グアム島のアンダーソン基地という東アジアの6つの主要基地のうち、グアム以外の5つまで破壊することができる」というのである。
実際に、韓国も日本も、米国防総省の年次リポートで示されている中国本土から2000キロメートル以内をカバーする中国の「接近阻止」領域の範囲に含まれているし、中国の「東風3」「東風21」はその射程から日本攻撃の任務も負っているものと判断されてきた。
この記事の趣旨は、それだけ中国の通常弾頭ミサイルや巡航ミサイルの能力が向上してきたことを強調することにある。
しかし、なぜこの記事で横須賀の米海軍基地や、沖縄駐留米海兵隊の普天間基地への攻撃に言及していないのか不審に思い、米中経済・安全保障検討委員会が公表した年次リポートに当たってみた。
その結果、分かったのは、当該部分の元になったのは、2010年5月に開かれた同委員会におけるランド・コーポレーションの研究員、ジェフ・ハーゲン氏の証言であった。それは「米空軍の作戦行動への中国の航空宇宙能力の潜在的影響」と題されていた。すなわち、元の議論の対象は、米空軍基地への影響に絞られていたのである。
そうだとすれば、横須賀の海軍基地、普天間の海兵隊基地はおろか、厚木の海軍飛行場、岩国の海兵隊飛行場も当然ながら攻撃を受け、破壊される可能性はある。同時に、日本の自衛隊の基地も無事では済まないだろう。
中国に近すぎて、沖縄の米軍基地は「危険」!
これは今後、日米同盟や米韓同盟に深刻な問題を突きつけることになる事態である。
というのも、冷戦時代、米軍はソ連と直接向き合う北海道に基地を置かず、三沢基地を北限としてきた事実があるからだ。
戦争が起きれば自動的に巻き込まれる最前線に基地を置きたくないのが米軍の本音なのだろう。韓国では、ソウル以北で北朝鮮に隣接した米軍基地は、すでに南に下げている。
そう考えれば、米国が少なくとも韓国や沖縄の米軍基地を「中国に近すぎて危険だ」と判断する可能性はある。
沖縄駐留の海兵隊を半減させ、8000人をグアムに移転させる構想も、日本側の希望と米軍の再編方針のマッチングから生まれた、と見るよりも、高まる中国の軍事的脅威に対応し、安全な後方に下げようとしたと見るべきではないだろうか。
そうだとすれば、今後、ますます沖縄から米軍が引き揚げていく事態も考慮しなくてはならないだろう。
中国の「接近阻止」戦略への米軍の警戒が高まれば、例えばわが国に対してミサイル防衛の拡充要求なども当然強まる。
しかし、問題は、米軍が安全な後方に移動することで東シナ海が事実上「中国の海」になってしまうことだ。そして、台湾は中国の軍事圧力に対し日米同盟の後ろ盾を失い、ほとんど「孤立無援」になってしまうことである。
もとよりトータルの軍事力では中国はまだまだ米国に遠く及ばない。しかし、弾道ミサイルという防御手段の極めて弱い武器を活用することで、中国は東アジアの軍事バランスの文脈を自国優位に書き換えようとしているのである。
日米韓が無理押しすれば軍事衝突エスカレートも!
緊迫の朝鮮半島、ビル・エモット特別インタビュー
2010年11月25日 DIAMOND online
韓国側に軍人だけでなく民間人の死傷者も多数出た北朝鮮による延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件は、欧米でも連日トップニュースとして報じられている。日本では、軍事衝突が一気にエスカレートする可能性は低いとの見方が大勢だが、果たしてそうなのか。世界の政財界のリーダーたちが愛読するイギリスの高級紙「The Economist」の編集長時代に北朝鮮問題を頻繁に取り上げた国際ジャーナリストのビル・エモット氏は、朝鮮半島の危機的状況は継続しており、日米中韓の関係各国が互いの立ち位置と役割を取り間違えると、文字通り報復が報復を呼ぶ不測の事態に陥る可能性も十分にあり得ると警鐘を鳴らす。
(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集長、麻生祐司)
――北朝鮮の砲撃事件をどう見たか。
1953年の朝鮮戦争休戦後初めて陸上の非軍事施設をターゲットに行った攻撃という意味で、ここ数十年の間に繰り返されてきた他の軍事衝突とは同列に語ることのできない、文字通り南北対立の半世紀の歴史の中で最も深刻な出来事であり、これによって、朝鮮半島情勢は極めて危険なステージに突入したと言ってよいと思う。
1983年に北朝鮮の複数工作員の手によってビルマ(現ミャンマー)のラングーン(現・首都ヤンゴン)で起きた爆破テロ事件も、多くの韓国政府高官や閣僚が命を落とすという非常に凄惨な出来事だったが、あの当時は北朝鮮の核武装問題は深刻ではなかった。だが今は違う。北朝鮮の核武装増強の可能性もある中で、民間人も攻撃のターゲットになるという最悪の事態が起きた。
――軍事衝突がエスカレートする可能性もあると考えるか。
民間人の居住地域をターゲットにしたという事実は、あまりに重い。金正日(キム・ジョンイル)総書記の後継者として30歳にも満たない金正恩(キム・ジョンウン)氏が指名されたばかりであり、次代の指導部のリーダーシップもいまだ脆弱であることを考えると、韓国や米国の動きに刺激されて、何かの拍子に軍主導で一気に攻撃がエスカレートする可能性は否めないと思う。
なにより心配なのは、最近、北朝鮮の軍隊が指導部の下できちんと制御されていない感じがすることだ。朝鮮半島の緊張が早晩和らぐと確信を持って説明できる要素は現在まったく見つからない。
――北朝鮮は今回の砲撃でいかなる政治目的を達成したかったのだろうか。
金正日総書記が深刻な健康不安を抱え、金正恩氏への権力移譲が急がれる中で、指導部の“タフネス”を示すためだとか、朝鮮半島西側の黄海上での韓国軍による軍事演習への対抗措置だったとか、あるいは制裁の緩和や新たな援助を引き出すためといったもっともらしい説明が各メディアで報じられているが、はっきり言って、どれも説得力を欠く。
それだけの理由で、韓国側の本気の反撃を招く覚悟を持って、民間人の住む島に本当に砲弾の雨を降らすだろうか。北朝鮮も、今回の延坪島(ヨンピョンド)砲撃で一線を越えたことは認識しているはずだ。
推察するに、最近新たに確認された北朝鮮のウラン濃縮施設にからんで、ピョンヤンとワシントンとの間に水面下で抜き差しならぬやりとりがあったのではないか。
今回の攻撃が意図せざる突発的なものだったとする見方も少なからずあるようだが、私はそれはないと思う。新たなウラン濃縮施設が確認された時期から日が近すぎる。それに、北朝鮮軍による場当たり的な博打だったとしたら、そちらのほうが深刻だ。指導部が軍を制御できていないことになるからだ。
――米国は今後、どう出ると思うか。
当面は、北朝鮮そしてその後ろ盾である中国の出方を探りながら、常套手段に打って出るはずだ。つまり、韓国と日本と連携して、国連安全保障理事会で非難決議や追加制裁を求めていくだろう。ただ、中国の抵抗は必至だ。
そこで今回はさらに一歩踏み出して、韓国における軍事的プレゼンスの強化に動くかもしれない。すでに米韓両国は、28日から黄海上で米空母を参加させた合同軍事演習を実施すると発表している。米韓は在韓米軍の段階的縮小で合意しており、大幅な改編がすでに進行中だが、今回の北朝鮮の攻撃をきっかけに、そのペースを遅くする可能性もあるだろう。
ちなみに、そうした動きにまで出るとしたら、北朝鮮の新たな挑発行為を牽制するというよりも、中国への圧力を強化するという意味のほうが大きい。黄海での合同軍事演習は、中国の反発を招くのは必定だ。
北朝鮮の態度を改めさせることができる国は、中国以外にはない。北朝鮮問題の解決の鍵を握っているのは、とにかく中国だ。
しかし、その中国も、北朝鮮に圧力をかけて、現行システムをうかつに潰せば、北朝鮮が国家的な大混乱に陥るなかで難民が自国に殺到することを知っている。それだけは避けたい。
だから、東アジアの平和と安定を望むという言葉を繰り返すだけで、北朝鮮の政治体制に大きな変化を迫る積極的な行動には出られないだろう。ここに、北朝鮮がずっと変わらないでいられる大きな理由がある。
とはいえ、このタイミングで、いずれかの国が無理押しして、北朝鮮を変えようとしたときに、何が起きるのかは誰にも想像がつかない。そうした関係各国の恐怖感のなかで、北朝鮮はいわば奔放に振舞っている。
――日本はどうすればよい?
納得がいかない人もいるだろうが、とにかくオバマ政権の外交の支持者でい続けるしかない。また、それ以前の問題として、普天間基地問題を通じて米国との間に生まれた溝を埋める努力をもっとしなければならない。
非公式な外交ルートをフルに活用して、北朝鮮問題の事態打開へ中国に直接働きかけることは当然やるべきことだが、尖閣諸島問題で挑発的な行動に出た中国がふりあげたこぶしを突然下ろし、日本の意見や要望に真摯に耳を傾け始めるとはとても思えない。
日本が円滑かつ効果的なアジア外交を進めるためには、強固な日米関係がなにより前提として不可欠だ。鳩山前政権下で見失われたその厳しい現実を改めて受け入れ、日本は行動しなければならない。
Bill Emmott(ビル・エモット)
1956年8月英国生まれ。オックスフォード大学モードリン・カレッジで政治学、哲学、経済学の優等学位を取得。その後、英国の高級週刊紙「The Economist(エコノミスト)」に入社、東京支局長などを経て、1993年から2006年まで編集長を務めた。在任中に、同紙の部数は50万部から100万部に倍増。1990年の著書『日はまた沈む ジャパン・パワーの限界』(草思社)は、日本のバブル崩壊を予測し、ベストセラーとなった。『日はまた昇る 日本のこれからの15年』(草思社)、『日本の選択』(共著、講談社インターナショナル)、『アジア三国志 中国・インド・日本の大戦略』(日本経済新聞出版社)など著書多数。現在は、フリーの国際ジャーナリストとして活躍中。
Photo by Justine Stoddart
日米韓が無理押しすれば軍事衝突エスカレートも!
緊迫の朝鮮半島、ビル・エモット特別インタビュー
2010年11月25日 DIAMOND online
韓国側に軍人だけでなく民間人の死傷者も多数出た北朝鮮による延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件は、欧米でも連日トップニュースとして報じられている。日本では、軍事衝突が一気にエスカレートする可能性は低いとの見方が大勢だが、果たしてそうなのか。世界の政財界のリーダーたちが愛読するイギリスの高級紙「The Economist」の編集長時代に北朝鮮問題を頻繁に取り上げた国際ジャーナリストのビル・エモット氏は、朝鮮半島の危機的状況は継続しており、日米中韓の関係各国が互いの立ち位置と役割を取り間違えると、文字通り報復が報復を呼ぶ不測の事態に陥る可能性も十分にあり得ると警鐘を鳴らす。
(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集長、麻生祐司)
――北朝鮮の砲撃事件をどう見たか。
1953年の朝鮮戦争休戦後初めて陸上の非軍事施設をターゲットに行った攻撃という意味で、ここ数十年の間に繰り返されてきた他の軍事衝突とは同列に語ることのできない、文字通り南北対立の半世紀の歴史の中で最も深刻な出来事であり、これによって、朝鮮半島情勢は極めて危険なステージに突入したと言ってよいと思う。
1983年に北朝鮮の複数工作員の手によってビルマ(現ミャンマー)のラングーン(現・首都ヤンゴン)で起きた爆破テロ事件も、多くの韓国政府高官や閣僚が命を落とすという非常に凄惨な出来事だったが、あの当時は北朝鮮の核武装問題は深刻ではなかった。だが今は違う。北朝鮮の核武装増強の可能性もある中で、民間人も攻撃のターゲットになるという最悪の事態が起きた。
――軍事衝突がエスカレートする可能性もあると考えるか。
民間人の居住地域をターゲットにしたという事実は、あまりに重い。金正日(キム・ジョンイル)総書記の後継者として30歳にも満たない金正恩(キム・ジョンウン)氏が指名されたばかりであり、次代の指導部のリーダーシップもいまだ脆弱であることを考えると、韓国や米国の動きに刺激されて、何かの拍子に軍主導で一気に攻撃がエスカレートする可能性は否めないと思う。
なにより心配なのは、最近、北朝鮮の軍隊が指導部の下できちんと制御されていない感じがすることだ。朝鮮半島の緊張が早晩和らぐと確信を持って説明できる要素は現在まったく見つからない。
――北朝鮮は今回の砲撃でいかなる政治目的を達成したかったのだろうか。
金正日総書記が深刻な健康不安を抱え、金正恩氏への権力移譲が急がれる中で、指導部の“タフネス”を示すためだとか、朝鮮半島西側の黄海上での韓国軍による軍事演習への対抗措置だったとか、あるいは制裁の緩和や新たな援助を引き出すためといったもっともらしい説明が各メディアで報じられているが、はっきり言って、どれも説得力を欠く。
それだけの理由で、韓国側の本気の反撃を招く覚悟を持って、民間人の住む島に本当に砲弾の雨を降らすだろうか。北朝鮮も、今回の延坪島(ヨンピョンド)砲撃で一線を越えたことは認識しているはずだ。
推察するに、最近新たに確認された北朝鮮のウラン濃縮施設にからんで、ピョンヤンとワシントンとの間に水面下で抜き差しならぬやりとりがあったのではないか。
今回の攻撃が意図せざる突発的なものだったとする見方も少なからずあるようだが、私はそれはないと思う。新たなウラン濃縮施設が確認された時期から日が近すぎる。それに、北朝鮮軍による場当たり的な博打だったとしたら、そちらのほうが深刻だ。指導部が軍を制御できていないことになるからだ。
――米国は今後、どう出ると思うか。
当面は、北朝鮮そしてその後ろ盾である中国の出方を探りながら、常套手段に打って出るはずだ。つまり、韓国と日本と連携して、国連安全保障理事会で非難決議や追加制裁を求めていくだろう。ただ、中国の抵抗は必至だ。
そこで今回はさらに一歩踏み出して、韓国における軍事的プレゼンスの強化に動くかもしれない。すでに米韓両国は、28日から黄海上で米空母を参加させた合同軍事演習を実施すると発表している。米韓は在韓米軍の段階的縮小で合意しており、大幅な改編がすでに進行中だが、今回の北朝鮮の攻撃をきっかけに、そのペースを遅くする可能性もあるだろう。
ちなみに、そうした動きにまで出るとしたら、北朝鮮の新たな挑発行為を牽制するというよりも、中国への圧力を強化するという意味のほうが大きい。黄海での合同軍事演習は、中国の反発を招くのは必定だ。
北朝鮮の態度を改めさせることができる国は、中国以外にはない。北朝鮮問題の解決の鍵を握っているのは、とにかく中国だ。
しかし、その中国も、北朝鮮に圧力をかけて、現行システムをうかつに潰せば、北朝鮮が国家的な大混乱に陥るなかで難民が自国に殺到することを知っている。それだけは避けたい。
だから、東アジアの平和と安定を望むという言葉を繰り返すだけで、北朝鮮の政治体制に大きな変化を迫る積極的な行動には出られないだろう。ここに、北朝鮮がずっと変わらないでいられる大きな理由がある。
とはいえ、このタイミングで、いずれかの国が無理押しして、北朝鮮を変えようとしたときに、何が起きるのかは誰にも想像がつかない。そうした関係各国の恐怖感のなかで、北朝鮮はいわば奔放に振舞っている。
――日本はどうすればよい?
納得がいかない人もいるだろうが、とにかくオバマ政権の外交の支持者でい続けるしかない。また、それ以前の問題として、普天間基地問題を通じて米国との間に生まれた溝を埋める努力をもっとしなければならない。
非公式な外交ルートをフルに活用して、北朝鮮問題の事態打開へ中国に直接働きかけることは当然やるべきことだが、尖閣諸島問題で挑発的な行動に出た中国がふりあげたこぶしを突然下ろし、日本の意見や要望に真摯に耳を傾け始めるとはとても思えない。
日本が円滑かつ効果的なアジア外交を進めるためには、強固な日米関係がなにより前提として不可欠だ。鳩山前政権下で見失われたその厳しい現実を改めて受け入れ、日本は行動しなければならない。
Bill Emmott(ビル・エモット)
1956年8月英国生まれ。オックスフォード大学モードリン・カレッジで政治学、哲学、経済学の優等学位を取得。その後、英国の高級週刊紙「The Economist(エコノミスト)」に入社、東京支局長などを経て、1993年から2006年まで編集長を務めた。在任中に、同紙の部数は50万部から100万部に倍増。1990年の著書『日はまた沈む ジャパン・パワーの限界』(草思社)は、日本のバブル崩壊を予測し、ベストセラーとなった。『日はまた昇る 日本のこれからの15年』(草思社)、『日本の選択』(共著、講談社インターナショナル)、『アジア三国志 中国・インド・日本の大戦略』(日本経済新聞出版社)など著書多数。現在は、フリーの国際ジャーナリストとして活躍中。
Photo by Justine Stoddart
もはや“無政府状態”の危機管理態勢を憂う!
DIAMOND online 週刊・上杉隆
朝鮮半島西岸の延坪島で発生した韓国と北朝鮮との砲撃戦は多くの死傷者を出す事態になった。
朝鮮戦争停戦後、民家への攻撃、ならびに民間人の犠牲者(きょう判明)を出す重大事案の発生は初めてである。
韓国の李明博大統領が即座に警戒レベルを引き上げ、北朝鮮に対して強い非難声明を出したのは当然ではあるが、それにもまして今回は、世界からの反応が早かった。
とりわけ、米国やロシアなど6者協議当事国は即座に反応し、北朝鮮への抗議の声をあげている。とくに、深夜3時にもかかわらず補佐官から報告を受けたオバマ大統領が30分以内に声明を発表した米国の動きは特筆に値する。その危機管理能力と意識の高さを改めて世界に示した。
信じがたい菅首相の第一報受容経路発言!
一方で日本政府の反応はどうだったのだろうか。
「北朝鮮が韓国の島に砲撃を加え、韓国軍も応戦したという報道があり、私にも3時半ごろに秘書官を通して連絡がありました」
信じがたいことに、これは内閣総理大臣の言葉である。首相がどうやって第一報を知ったのかという機密事項について、菅首相は恥も外聞もなくこう言い放ったのだ。
いまや日本は無政府状態になった。首相が一般国民と同じレベルで情報を得て、それを公言してしまう国なのである。
この発言の瞬間、菅首相は自ら危機管理能力の欠如とその意識の無いことを公然と宣言したのも同じである。
また、同じく日本政府には情報調査能力が欠如していることを内外に示し、外交チャンネル、とりわけ韓国とのそれがまったく機能していないことも暴露してしまった。
さらに、菅官邸には外務省からも防衛省からも情報があがらず、記者クラブの記者たちからもそっと耳打ちされることがないことも証明してしまったのだ。
大いなる危惧を覚える。これこそ国家の最大の危機ではないだろうか。
“二次災害”すら招きかねない杜撰な危機管理態勢!
インテリジェンスの見地からすれば、少なくとも首相、官房長官、外務大臣、防衛大臣の4閣僚は、こうした国家の存亡にも絡む機密情報のチャネルをうかつにも「報道から知った」と言うべきではない。
それによって、政府の体を為していないことが海外にバレてしまい、それこそ危機管理上危険な状態に陥いる。
また、首相、官房長官、防衛大臣などによる関係閣僚会議が始まったのは事案発生から6時間も経ってからだ。
そのあたりの経緯が産経新聞に掲載されている。引用してみる(ちなみに記者クラブに所属していない筆者はいまだ官邸に入ることができず、一切取材ができない。この場を借りて改めて情報公開に後ろ向きの菅民主党政権に抗議したい)。
【以下引用】
〈官邸メンバーの招集も遅かった。仙谷由人官房長官は首相に呼ばれ、首相や古川元久官房副長官、伊藤哲朗内閣危機管理監らによる会議に加わったが、それも途中から。仙谷氏は14日、横浜市で行われた日韓首脳会談に同席し、首相と官房長官が同時に都心を離れる危機管理上の問題が指摘されていたが、実際の危機でも出足は遅れた。
首相は午後4時50分すぎ、仙谷氏らに(1)情報収集に全力を挙げる(2)不測の事態に備えしっかり対応できるように 準備する―の2点を指示した。前原誠司外相はオーストラリア訪問中で、会議に間に合わなかった北沢俊美防衛相には電話で伝えた。北沢氏が東京・市谷の防衛省に入ったのは午後5時すぎ。防衛省幹部が午後4時すぎに「防衛相は登庁しない」と明言しており、首相の指示で急遽(きゅうきょ)防衛省に向かったようだ。
防衛省政務三役の腰の重さは、内局(背広組)や自衛隊(制服組)の幹部にも伝わった。
中江公人事務次官や折木良一統合幕僚長が登庁したのは午後5時40分になっていた〉(産経新聞ウェブ版)。
今回、攻撃を受けた韓国政府は即座に被害映像を公開した。中には軍事施設から撮影されたものも含まれる。国家の機密情報を国内外に広めたのだ。
だが、そうした情報公開こそが国際世論を味方につける最大の武器であると韓国政府は知っているのだ。実際にそのスピンコントロールの狙い通り、国連を含む国際社会は北朝鮮への厳しい非難を行っている。韓国政府は情報戦において勝利を収めている。
これこそ日本政府が見習うべき姿勢である。だが果たして、「尖閣ビデオ」を2ヵ月間も隠蔽し続けた菅官邸に、この意味を理解できるであろうか。
政府機能の回復を切に願う。
仁多米
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%81%E5%A4%9A%E7%B1%B3
奥出雲仁多米
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%A5%E5%87%BA%E9%9B%B2%E4%BB%81%E5%A4%9A%E7%B1%B3
奥出雲町
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%A5%E5%87%BA%E9%9B%B2%E7%94%BA
2010.11.25(Thu)JBプレス 橋本久義
1977年に、この地、出雲地方に伝わる「たたら」を復元した。
現在の「村下」(むらげ=たたらの総指揮者)は木原明さん。1954年生まれだからまだまだ若い。
工業高校を卒業後、島根県安来市にあった日立金属に入社し、冶金研究所に配属された。この研究所で、「たたら製鉄」を近代化した「角型溶鉱炉」による木炭製鉄の業務に、若い頃から従事してきた。
奥出雲は製鉄産業の故郷!
島根県の奥出雲地方には、江戸時代末まで田部(たなべ)家、桜井家、糸原家、木倉(ぼくら)家など、日本を代表する大手製鉄業者が競ってたたらを吹き、日本の製鉄の中心地であった。
この地に製鉄業者が集まったのは、古くからこの周辺で良質の砂鉄が大量に採れたからだ。
この地の砂鉄を原料にして刀などの鉄器具を得ることは古代から行われていたようだ。古事記に、スサノオノミコトが鳥上山(とりがみやま)で八岐大蛇を退治して天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を得た、とある。それは、鳥上山にいた製鉄業者から、刀を奪ってきたのではないかと言われている。上流に鳥上山がある斐伊川(ひいかわ)は、砂鉄の影響でいつも血を流したように赤く、これが大蛇の血と言われたという。
昔は砂鉄を得るのに「鉄荒流し(かんならながし)」という技法を使った。各沢から水を集めて流れを作り、崖の下に穴を掘って、崖を崩して流す。川を流れる間に比重の差で砂鉄が分離される。大量の土砂が発生し、下流は大きな影響を受けた。
たたらは、粘土で築いた箱型の低い炉に、原料の砂鉄と燃焼剤兼還元剤の木炭を交互に装入し、焚いて鋼を得る日本古来の製鉄技術である。江戸中期に技術的に完成した。
奥出雲地方は、明治維新までは、刀剣用「玉鋼(たまはがね)」の唯一の産地として大いに栄えた。だが、明治以降は日本刀の需要が激減。一方で鋼の生産方法としてはコスト高なため、大正年間に生産が途絶えた。
1940年には軍刀用として「靖国たたら」「業雲(むらくも)たたら」などが復活したが、戦後に再び途絶えた。
途絶えていたたたらを復活!
日本刀を鍛えるためには、刀身材料を折り返して鍛錬する。一般的には12回以上折り返す。それが強靱性を持たせる。それを行うには、玉鋼でないと不可能だ。洋鉄は純度が違うため、折り返しができない。つまり洋鉄では日本刀はできない。
そこで1977年に日本美術刀剣保存協会が、日本刀に関する伝統技術の保存のために文化庁補助事業として、島根県横田町の鳥上木炭銑(とりがみもくたんせん)工場に「たたら製鉄」を復活させた。
これが「日刀保(にっとうほ)たたら」である。今、全国で作られる日本刀の材料は、すべてここが供給している。また東大寺修理の際には、傷んでいた和釘、和鎹(かすがい)と全く同じ成分のものを4000本作って奉納した。
鳥上木炭銑工場でたたらが復活できたのは、戦前に「靖国たたら」として一時復活した際に築かれた高殿(たかどの)、炉床(地下構造)が残っており、なおかつ全体の詳細な図面が保存されていたからである。また、靖国たたら時代の村下である安部由蔵さん(1902~95)と久村観治さん(1903~79)が健在であったことも大きな要因である。この時、木原明さんが弟子として参加し、その後修業して、村下になった。
先人が命がけで築き上げてきた!
たたらの操業が始まると砂鉄と木炭を30分おきに投入する。作業は三昼夜(70時間)無休で続けられ、その間、村下(むらげ)をはじめとする重要な作業員は眠れない。
最後に炉を壊すと、炉の底に「ケラ」と呼ばれる約2.5トンの鋼の塊ができる。これをさらにじゃがいも大まで砕き、成分によって等級を分ける。
1回の操業に必要な木炭は、森の面積にして1ヘクタール分が必要だ。田部家などのたたら家元は、それぞれ数百ヘクタールの森林所有者であった。しかも、その森林は、楢などの雑木でなければならないという。完全に炭化しない「生焼け」状態の木炭が良いとされる。
現在も毎年、木原村下の指揮の下に、湿気が少ない冬に3回ほどたたら吹きが行われる。生産された玉鋼は全国の刀匠約250名に配分されている。
鳥上木炭銑工場は、県内外の小中学生や社会人を対象に、たたらを公開している。地元の横田中学校では、3日間通しの夏休みの体験学習を16年間続けているという。「地域の歴史や文化と共に、鉄やモノづくりの大切さを伝えたいと考えています」(木原さん)。
木原さんは言う。
「たたらの技術は、先人が命がけで試行錯誤しながら作り上げてきたものばかりです。例えば、高さ1.2メートルしかない炉の上部は熔鉱炉の役割を果たします。下部の羽口付近では炉壁を溶かしながらその空洞に鋼を育み、ノロ(=スラッグ、鉱滓)の中に不純物を逃がし、あたかも転炉のような作用をします。化学的知識のない時代から、長年の体験で培われてきた高度な技術です」
「古来より職人たちは、砂鉄を選び、炉床や炉を造り、苛酷な三昼夜の操業をこなしてきました。そして、常に形を変える不定形なケラを成長させる技法、どの種類の砂鉄をどこに入れるか、火の道にどのように風を通すかといった技法を培ってきました」
「炉頂から燃え上がる炎(ホセ)の色彩や勢い、両側に合計40本あるホド穴一つひとつから、火の色や輝きを観察して炉内の状況を把握し、たたら(=フイゴ)の吹き方や砂鉄、木炭の量、装入位置を微妙に変えます。私たちはホド穴一つひとつが一基の熔鉱炉というつもりで操業しています」
村下の誇りが込められた技術
木原さんは、安部村下の弟子になった時から、3日間の徹夜に耐える体力をつけるため、毎朝、上半身裸で3キロメートルを走り、バーベルを持ち上げる筋トレと金屋子神社参拝を日課とした。あまりの寒さで凍え死にそうになったこともあったらしい。
「良い村下になるためには、心と技に加えて、炎を見る、音を聴くなど、火を扱う上での『感性』とも言える総合的な観察力がなければダメです。
砂鉄を適切に装入すると、羽口近くで砂鉄が“しじれる”独特の音がして、鋼ができます。安部師匠からは、これらを聞き分ける感性と体力、精神力(根性)、才能を養うことが肝要と教えられました」
たたらの技術は、試行錯誤の末に築き上げられた経験・体験の結晶であり、村下の誇りが込められている。
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