[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
2010.12.01(Wed)JBプレス Financial Times(2010年11月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
これまで秘密だった米国務省の膨大な外交公電がウィキリークスによってウェブ上に公開された。これらの文書を精査することは、現在の歴史をかじることを意味する。外交的な欺瞞や外国首脳の直截な人物評が見出しを飾った。だが、全体像を見ると、地球上最も強大な国の1つが優位性を保とうと格闘している姿が浮かび上がってくる。
各国首脳の人物評!
米国の外交官の筆致は鋭いが、大抵正確だ。イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ首相は確かに無責任で虚栄心が強く、外交政策の問題については、ロシアのウラジーミル・プーチン首相の操り人形だ。
フランスのニコラ・サルコジ大統領は怒りっぽく、傲慢だと評されたが、筆者はフランスの外交官がもっとひどいことを言うのを聞いたことがある。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、創造性に富んだ指導者ではないという観察に抗議できないはずだ。
ロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領については、2008年の外交公電の記述とはいえ、プーチン氏がバットマンで、メドベージェフ氏がロビンだとする配役を本人が喜んだとは思えない。大統領は最近、訪問者に対して必ず、ロシアの外交政策は自分が一手に掌握していると強調している。
実際、権力のバランスは多少変わったように見える。それでも、多くのロシア人が米国の評価をとがめることはないだろう。
中東和平プロセスの再開に向けた米国の努力を妨害していることを考えると、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は軽い仕打ちで済んでいる。同首相は、上品で魅力的だが、約束を守るのを嫌がると評されている。
ロンドンから伝えられた英国のデビッド・キャメロン首相に関する侮蔑的なコメントは、官邸関係者を苛立たせたが、首相はその後、国際舞台の大物として頭角を現したとはとても主張できないだろう。英国の王室の一員による不適切な行為については、何も今に始まったことではない。
こうした高級ゴシップの公表は多くの人のエゴを傷つけるだろうが、実のところ、これは日常的な外交報告の一環に過ぎない。また、国連米代表部の外交官が国連のスタッフの個人情報を集めることがあると聞いても、誰も驚くべきではない。何らかの地位にある人は皆、似たようなことをしているものだ。
言うまでもなく、これらの文書の公開は米国の利益を損ねる。バラク・オバマ大統領率いる米政権は友人を勝ち得て人に影響を与えるのが難しくなるだろう。敵国は警戒を固め、米国の欺瞞の証拠を利用するだろう。
政策に関する文書が明らかにする判断ミスや偽善!
だが、より興味深い文書は、首脳たちの人柄ではなく政策に関するものだ。我々はここに、米国の判断ミスや、同国の一部同盟国の偽善を見て取れる。それが特に際立っているのが中東だ。
シーア派のイランに対するアラブ世界の敵意は、何ら目新しいことではない。サウジアラビアと一部湾岸諸国のスンニ派の指導者たちは長年、表向きはイラン政府に対する敵意を一切否定しながら、米国によるイランの核施設攻撃という考えを受容してきた。
それにもかかわらず、こうした事実が書かれた文書を読むと、はっとする。米政府に対する執拗な働きかけを見ると、イラン政権に対する一部アラブ諸国の態度は、イスラエルのそれとほとんど見分けがつかなくなる。
こうした二枚舌は、何もイランの問題に限った話ではない。イエメン政府は米政府が米軍無人機でイエメン国内の武装ゲリラ「アルカイダ」を爆撃することに満足している。その一方、米国は断固として、攻撃を実行しているのはイエメン軍だという公の作り話を貫かなければならないのだ。
アフガニスタンでは、ハーミド・カルザイ大統領はパラノイド(病的な心配性)と評され、実力者である弟は汚職とアヘン生産に関与しているとされている。だが、米政府は肩をすくめてやり過ごすしかない。ほかに選択肢がないからだ。
同じように、パキスタンの核拡散を食い止めようとする努力は、米国の資金援助に大きく依存しながら、多くの選択肢を確保しておく決意のパキスタン政府によって妨害されている。
膨大な外交文書の中から、我々が学んだことはほかにもある。ロシアが説得に応じて国連による対イラン制裁強化を支持したのは、オバマ政権が欧州への長距離ミサイル防衛システム配備計画を中止した後のことだった。
また、中国は米国の企業と政府施設に対し、何度もサイバー攻撃を仕掛けてきた。欧州諸国の政府にグアンタナモ米軍基地の捕虜を受け入れさせるためには、脅しと賄賂が必要だった。
他国の協力を期待できない世界の超大国!
ここから浮かび上がってくる構図は、世界唯一の超大国がすべての戦いに利害を抱えているのに、他国からはほんのわずかの協力しか期待できない世界だ。
ネタニヤフ氏はオバマ氏にイランを爆撃してほしいと思っているが、米国がパレスチナとの和平交渉を再開させるのを手助けするために譲歩する気は全くない。
ロシアは、イランの核武装についてはどんな西側諸国にも劣らず断固反対だと主張しているが、協力には金銭的な見返りを期待している。
欧州諸国はテロ容疑者の扱いについて米政府を非難するが、状況を変える手助けはしたくない。アラブ諸国の政府は米国に、イランから自国を守ってもらいたいと考えているが、それはあくまで、そうした取り決めが秘密にされることが条件だ。
こうしたことが物語るのは、米国の影響力が確かに衰えているということだ。新興国が台頭し、核拡散や国際テロが起きる世界にあっては、米政府は自国の思い通りにできるという確信を持てないのである。
これについて、我々がどれほど喜ぶべきかは、また別問題だ。ウィキリークスと25万点の公電のおかげで、我々は将来起き得る事態をいくつか垣間見ることができた。例えば、中東で核軍拡競争が起きるような事態と比べたら、外交上の多少のごまかしなど大したことないと考えてもいいのではないだろうか?
リー・クアンユーかく語りき~中国株式会社の研究~その87
2010.12.03(Fri)JBプレス 宮家邦彦
「Wikileaks.org」というトンデモないサイトを最初に見つけたのは確か2009年の春頃だったと思う。まずダウンロードしたのが米情報関係者用防諜マニュアル「Intelligence Threat Handbook」の2004年度版だった。
その後も英国版の防諜マニュアル、中国製のネット検閲ソフトなどを見つけては片っ端から読み漁った。
実のところウィキリークス(Wikileaks)は本コラムを書くうえでも結構重宝していたのである。
この知る人ぞ知るウィキリークスが今年ブレークし、筆者の密かな楽しみがまた1つ失われた。7月にはアフガニスタン戦争に関する米軍・情報機関の機密資料7万5000件を暴露、さらに10月にはイラク戦争関連米軍機密資料40万件が掲載された。
国務省外交電報のリーク!
そして今回の米国務省公電25万件である。個々の内容はメディアで報じられている通りだ。今回の情報漏洩はその件数、内容の広範さ、どれをとっても、1回の外交文書リーク事件としては恐らく史上最悪の失態と言っていいだろう。
あまりに量が多すぎて、どこから話すべきか迷ってしまう。しかも、12月2日夜現在で、25万件中公開されているのはわずか593件(1日当たり120件)だ。今後いかなる情報がいつ出てくるか見当もつかない。
米国務省にとっては誠に「お気の毒」だ。機密公電は米軍諜報アナリストの上等兵が国防省のSiprnet(Secret Internet Protocol Router Network)を通じて入手したものらしい。同上等兵は本年5月に逮捕されたそうだが、もう「後の祭り」である。
今回の大失態は9.11事件以降、米国で各省庁間情報共有の迅速化が叫ばれ、米国在外公館のサーバーを国防省のSiprnetに接続したため起きた悲劇だという。情報のリアルタイム分析と機密保護の脆弱化は表裏一体ということなのだろう。
リー・クアンユーの卓越した中国観!
これまで暴露された中国関連情報の中で最も興味深かったのは、昨年5月30日、シンガポール建国の父であるリー・クアンユー顧問相がスタインバーグ米国務副長官に語った内容をワシントンに報告した公電である。
以下、リー顧問相の中国関連発言を見ていこう。日本で内容は一部しか報じられていないが、この公電を詳しく読めば、このシンガポールの偉人が中国という存在をいかに冷徹に見ているかがよく分かり、非常に参考になるのだ。
ちなみに、シンガポール政府はウィキリークスによる公電漏洩を「国益を害するもの」と強く非難している。当然だろう。まさか、スタインバーグとの会談の記録の詳細がこれほど早く世に出るとは思ってもみなかったに違いない。
リー・クアンユーの見た北朝鮮情勢!
というわけで、シンガポール政府には大変申し訳ないのだが、まずは中朝関係に関するリー顧問相のコメントから始めよう。
●中国は北朝鮮の核兵器保有も国家崩壊も望んでいないが、選択を迫られれば、中国は北朝鮮の国家崩壊よりも核兵器保有の方がましだと考えている。
●北朝鮮は、中国が韓国との関係改善を始めて以降、中国を信頼していない。北朝鮮が核保有国となれば、恐らく日本も核兵器を志向するだろう。
●それでも、中国は緩衝国としての北朝鮮を失うよりは、日本の核武装の可能性の方がましだと考えるだろう。
●北朝鮮は、仮に核兵器による第一撃能力の取得を諦めるにしても、米国による政体変更要求を拒否するため核兵器の保有を望むだろう。
●北朝鮮は、称賛を求めて競技場を威張り歩く筋肉の萎びた老人が指導する精神病的国家である。
●金正日の後継者は、父や祖父のような抜け目なさと癇癪癖を持っておらず、人が虫けらのように死ぬことを見る(心の)準備はできていないかもしれない。
●中国はこのことを十分計算している。中国は(対北朝鮮)共通目標を米国とともに進めたいと思っているが、韓国が北朝鮮を征服することは望んでいない。
といった具合である。要するに、リー顧問相は「中国が北朝鮮の崩壊を簡単に容認することはない」と見ているのだろう。
ウィキリークスが暴露したほかの公電には、中国高官が北は「駄々っ子」だと述べたとか、北朝鮮の崩壊と朝鮮半島の統一を容認・支持したとか書かれている。また、韓国の高官が北朝鮮は金正日死後数年で崩壊する旨述べたとする公電もある。
これらについては、米国や韓国の希望的観測や推測の域を出ない可能性が高いとする論評も少なくない。同感である。その意味でも、リー顧問相のコメントは一読に値すると思っている。
中国内政についてのコメント!
続いて、中国共産党に関するコメントに移ろう。ここでもリー顧問相はジェームズ・スタインバーグ国務副長官に率直に語っている。
●現在、中国情勢が深刻化、不安定化する兆候はなく、中国政府は年8%の経済成長を続けることに自信を深めている。
●中国はもはや共産主義ではなく、共産党一党支配を維持したいだけである。最近の経済危機により、各種改革が進まなくなったとしても致し方ないことだ。
●習近平は「太子党」で江沢民の「弟子」である。地方勤務が長かったが、党が彼の能力を必要とした時、上海の党書記に抜擢され成功した。
●江沢民は胡錦濤が好きではなかったが、党内に支持基盤があり、失点もなかった胡錦濤の台頭を止めることはできなかった。
●王岐山は有能であり、李克強は国務院総理になれないかもしれない。党は65歳になった王岐山を70歳になるまで活用する方法を模索している。
といった具合である。これ以上のコメントは差し控える。シンガポール政府が真っ青になるのも当然だろう。
従来から、リー・クアンユー顧問相は外国人賓客に中国について長々と「講義」をするという話は聞いていたが、まさにこの公電はそうした「講義」の記録なのだと確信した。
同公電によれば、会談中スタインバーグ副長官はほとんど質問することなく、リー顧問相の「ご高説を拝聴する」ばかりだったようだ。さすがの米国務省副長官もリー顧問相とでは、まるで「格が違う」ということなのか。
いずれにせよ、これまでに暴露された国務省公電の中に在北京米国大使館発の電報はまだ少ない。ということは、恐らく、今後より多くの中国関連極秘電報が暴露されていく可能性が高いということだ。
実際、今回ウィキリークスから事前に情報提供を受けた欧米メディアの1つである英ガーディアン紙は、ウィキリークスの創始者が今後中国、ロシアなど「情報公開が不十分な国々」をもターゲットにする旨述べたと報じている。
どうやら、当分「Wikileaks.org」からは目が離せそうにない。既に600件以上の公電が原文のまま「公開」されており、その数は日に日に増えている。次回はこのウィキリークスにある中国関連公電の「正しい読み方」について書いてみたいと思う。
水面下では高まる不信感、北崩壊による第2コソボ化を恐れる!
2010年12月3日 DIAMOND online
2010年11月23日の南北朝鮮の砲撃戦を発端とする東アジアでの緊張は、11月28日から12月1日までの韓米軍事演習をピークとして、その後12月6日から12日まで韓国軍の沿岸部での砲撃訓練もあるとはいえ、一応、局地的な緊張を残しながら下火になっていくと思われる。
「北朝鮮の砲撃は神風だ」と報道された民主党幹部の発言はさておいて、北朝鮮の思惑、韓国の国内事情、米国のアジアに深く関与する姿勢、さらに中国の北朝鮮外交に焦点を当てて見てみると、日本などで報道されているように、「北朝鮮の暴挙に中国は手をこまねいている」ということはない。
北朝鮮に対して中国外交は何を求めているのか、なぜそうしなければならないのか、さらにどんな準備を秘かにしているのか、中国の外交官、学者などを取材し、その内容を整理して報告する。
(北京在住ジャーナリスト 陳言)
国際社会からの「明確に北朝鮮を非難せよ」という大合唱の中では、ロシアの外務次官でさえも、29日に韓国の李允鎬・駐ロシア大使と会談し「人的犠牲をもたらした北朝鮮による韓国領内への砲撃は非難に値する」と立場を明らかにした。
一方、6者協議の主要メンバーとしての中国は、北朝鮮に対する内心の思惑は別として、少なくとも公的な場で非難はしなかった。これにより、北朝鮮が惹起した事件に中国が連帯責任を負わなければならない形になっている。中国はなぜこれほどにも北朝鮮に甘いのか、国際社会では理解を得られていない。
中国国内でもインターネットでは、改革開放を頑なに拒否し、近代の歴史のなかで繰り返して中国に翻意を示しながら、自国の利益だけを最大限に追求していく北朝鮮に対しては、すでに嫌悪感が相当高まっている。
政府は公式には何も言っていないが、世界でも有名な民間告発サイト「ウィキリークス」が暴露した米国の公電によると、中国高官の私的見解としては、「北朝鮮は大人の注意を引くために『駄々っ子』のように振る舞っている」と表現したという。北朝鮮を厄介者だと思っていることは間違いない。ただ公に北朝鮮を批判する事態にまでは、至っていない、というだけだ。
中国外交のキーワードは 「1に平和、2に独立自主」
元国連大使で、2003年から07年まで外交部長(外務大臣)を勤め、現在も全国人民代表大会常務委員の李肇星氏(70歳)に、中国の朝鮮外交の特徴について聞いた。李氏はこの問題に直接答えはしなかったが、国連大使を務めていた時のエピソードを1つ披露してくれた。
当時中国とアメリカは、ある外交問題で厳しく対立していた。国連での会議では、なかなか結論が出せない。その時にアメリカの国連大使に視線を送って、外で2人だけで議論してみようかと誘った。
「アメリカはいろいろ言うが、本音は何だろうか。アメリカの外交を簡単なキーワードで説明してもらえないか」と、李氏はコーヒーショップでアメリカのオルブライト大使に直接に聞いた。
オルブライト大使は単純明快に「1にリーダーシップ、2にパートナーシップだ」と即答した。彼女は間髪をいれずに「では、中国の外交は?」と質問を返してきた。
「1に平和、2に独立自主」と李大使も返答した。
「中国の外交はアメリカとまったく違います。世界で指導的な立場を取ろうとしない。平和を何よりも重要視しています。東アジアでの戦争には絶対に反対します。またアメリカとまったく同様な外交方針を取るなども、考えられません」。李常務委員はエピソードの後に、こう付け加えた。
現在、中国の最大の関心事は朝鮮半島の平和だ。長さ1314キロにものぼる中朝国境は川からなり、夏には歩いても渡れる。今までも多くの脱北者は川を渡って中国に来ているが、戦争になり数十万、数百万の脱北者が来るとしたら、それを受け入れていかざる得ないのは韓国でも日本でもなく、中国となる。
朝鮮半島の平和は、中国東北地域の安全保障と直結!
韓国の軍事演習、北朝鮮による大延坪島への砲撃、さらに空母まで出動させる韓米の合同軍事演習については、中国でも詳細に報道されている。日本などの世論では、民間人を含む4人の死者と十数人の負傷者を出した北朝鮮の砲撃は韓国に対する暴挙と映っているが、中国ではそれだけでなく、朝鮮半島の平和が脅かされていることも自体も大変心配されている。
「戦略と国家の安全から見れば、朝鮮は中国のもっとも重要な隣国です。朝鮮半島の安定は、中国東北三省(遼寧、吉林、黒竜江)の安全に繋がる」と清華大学国際コミュニケーションセンターの李希光部長は言う。
深セン、上海、北京での経済発展に続いて、「東北3省は中国の次の改革開放と近代化建設の重要な地域で、今はますます良好な国際環境を必要としている」(同)。
懸念されるのは、「北東アジアで『第2のコソボ』が現れる」(同)ことだ。
朝鮮戦乱になったら、数百万人の避難民は地雷を踏む危険を冒して、南に下っていくことはあまり考えられない。中国側に押し寄せてくるときには、軍と警察は、当然それを阻止しなければならない。そうすると、「中国には人道主義的配慮がない」などと批判されるだろう。その時には、韓国は国境を開放せず、むしろアメリカ軍などと一緒に「国連軍」の形で、中国に進駐することを求める。さらに朝鮮族自治区に独立自治を求め、第2のコソボを作っていく……と、中国の外交専門家は最悪の事態のシナリオを描く。
すでにアメリカは中国に対する「C型包囲網」を作っているし、日本の麻生太郎元首相も「自由と繁栄の孤」構想を公然と主張してきた。中国にとっては、北朝鮮の存在によって、韓国駐留米軍との間にひとつの緩衝区域ができているのだ。
「だから、朝鮮半島の平和と安定は、中国の重大な核心的利益だと世界に理解してもらわないといけない。誰かが朝鮮半島で戦争を挑めば、それは中国に対する挑発と宣戦布告とみなす」と、李部長は強調する。中国は北朝鮮に挑発を止めてもらおうとしているし、同時に韓国に対しても、最大限の自制を求める。
さらに「アメリカと日本に対しては、南北双方の衝突に機を乗じて、北朝鮮に世論戦、心理戦を仕掛けて、南北戦争を引き起こそうとする気持ちも捨ててもらいたい」と、李部長は付け加える。
中国東北地域の安定と経済成長の達成、アジアでのコソボ問題の出現の阻止などの話題は、日本ではほとんど議論されていないが、中国の専門家の間では当然の議論となっている。
信頼を置けない北朝鮮そこで、30キロの緩衝地域を!
中国と北朝鮮は、表向きには朝鮮戦争を通じて「鮮血で結ばれた友誼」関係を持っていると言われるが、それを額面どおりに受け留めている中国人は、はたして何人いるだろうか。
さまざまな歴史研究の成果によると、朝鮮戦争が勃発する前に、金日成主席はまずソ連総書記のスターリンと相談して戦争を決めた。最終的に中国も参戦したが、武器弾薬をソ連から買ってきて戦っただけでなく、毛沢東主席の息子も含めて、20万人近くの軍人を失った。武器などの購入費は1960年代までソ連に返済しなければならなかった。
中ソ関係が悪くなった時期には、北朝鮮はほとんどソ連側に傾いた。また中国の改革開放に対しては、北朝鮮は一貫して否定していた。中朝間には西側の言っている信頼関係、北朝鮮に対する中国のリーダーシップなどは昔からなかったのである。
いざ朝鮮半島で戦乱が勃発した時には、「第2のコソボ」問題に発展させないために、「時局が制御不能となった場合、中国軍は国境を越え、北朝鮮側へ20キロか30キロぐらいのところまで入って、緩衝地域を作るべきだ」と、上海東亜研究所区域安全研究室の張祖謙室長は主張する。
これにより北朝鮮の避難民を北朝鮮国内で保護し、時局が変わったら中国軍を撤退させればよいと張室長は考える。
日本、韓国の求めている対北朝鮮外交を中国は行ってはいないが、水面下では北朝鮮に対する不信は高まっており、アメリカなどとは違う対北朝鮮政策を、秘かに講じているのである。
2010年12月3日 DIAMOND online 姫田小夏 [ジャーナリスト]
今年10月、中国からの訪日客は一転して9ヵ月振りの前年同月比減(1.8%、1900人減)となったものの、今年2月以来、中国からの訪日客は過去最高記録を更新し、1~10月では128万4300人と前年同期比49%増という高い数字となっている。
確かに数字こそ稼いではいる。だが、中国からの訪日ツアーの「質」はどうなっているのだろうか。実態からは「おもてなし」を受けるどころか、「貧乏国ニッポン」に狼狽する中国人訪日客の姿が浮かび上がる。
尖閣問題で揺れる今年10月の国慶節、そのさなかに上海からあるツアーが1週間の日程で日本に向けて飛び立った。東京から箱根を経由して大阪に抜けるゴールデンコースは、1週間の日程で1万5000元(約18万7500円、1元=約12.5円で換算、以下同)という超VIP向けオーダーメイドツアーだ。だが、このツアーの参加者は惨憺たる「おもてなし」に呆れ果てて帰国の途についた。
そもそも上海発日本行きのツアー価格は、5泊6日で4000元(約5万円)程度というのが定番だとされている。3泊4日で3000元(約3万7500円)という激安ツアーも売り出されるなかで、その数倍にも相当するこのツアーがいかに「破格中の破格」であるかがわかるだろう。
超VIPツアーのはずが、宿はシングル9000円のビジネスホテル!
先日、筆者はこのツアーに参加したAさんと面会した。Aさんはツアーの参加者らを「中国では1日1万元を消費し、150万元超の高級車を乗り回す富豪たち」と描写する。国家機関のトップに属する大物を筆頭に、「やんごとなき人々」がこれに加わったという。
だが、彼らが日本で受けた「おもてなし」は惨憺たるものだった。Aさんはこう振り返る。
「ホテルは中国人だらけのビジネスホテルでした。あちこちで中国語が聞こえるので、中国と間違えるほどでした」
同ホテルは都心のビジネスホテル。シングルルームで9000円程度の、エコノミー仕様だ。
これだけの料金を払いながら、宿泊するのはまるで犬小屋のように狭い客室。中国人だからという理由だけで、他の団体客と同じ扱いで押し込められたエコノミーホテルに、参加者らはまったく合点がいかなかったという。
夕食バイキングは「安さ爆発!」接客は横柄な態度の高校生アルバイト!
さらにAさんは続ける。
「ディナーはバイキングでしたが、肉は固く魚もまずくてもう『安さ爆発!』という感じでした。食事のまずさは百歩譲ったとしても、レストランのサービスのひどさは少なからずショックを受けました」
Aさんによれば、フロアでの接客担当者は高校生のアルバイトだったという。敬語も使わず、横柄な態度、仮に言葉がわからずとも、明らかに中国人を馬鹿にしていることは一目瞭然だったという。
日本語が堪能で、滞日経験も長いAさんはこう結んだ。「ここは日本であるはずなのに、中国よりもサービスはひどい。他のツアー客は、日本を相当の貧乏国と思ったに違いありません」
実は、これは日本での受け入れ先となるホテルやレストランがよくやるパターンだ。中国人旅行客をひとところに集約することで、ピンポイントのサービスを提供しやすいという利点があるからだ。
そしてまた別の利点もある。「日本人常連客の流出回避」がそれだ。実際に飲食店などからは「大声で騒ぎ、マナーを知らない中国人観光客と一緒の席に座ることを嫌がる日本人は少なくない」との声があるように、中国人客と日本人客をどのように“棲み分け”させるかが、ひとつの課題となっているのだ。
コスト削減とバックマージンの果てに肝心の顧客に「実」が残らない惨状!
1泊数万円のホテルに、朝夕の豪華グルメ…。観光立国を目指す日本が期待しているのは、まさにこうしたオーダーメイドツアーでやってくるような中国人訪日客だ。目下、日本の関連団体・企業が「富裕層チャンネル」を掘り起こそうと躍起になっているのは、価格競争に終始する「4000元の定番ツアー」とは異なり、「VIPが落とすマネーこそが日本に経済効果をもたらす」という認識があるためだ。
しかしなぜ、豪華ツアーが貧乏ツアーにすり替わってしまうのだろうか。インバウンドビジネスに詳しい旅行業界のB氏を訪ねた。
「1人1日1万元超を消費する、という情報が末端に伝わっていない可能性があります」
B氏は、中国側の旅行社が日本のランドオペレーター(宿泊や観光地、現地の交通手段など「地上手配」を行う専門会社のこと)に正確な予算を伝えていないケースが散見されると指摘する。また、正確に伝えないどころか、「5000元の予算」などのように虚偽の報告をしている可能性も考えられるという。さらに、格安ツアーの後に高級ツアー、というように交互に送り込んで、前回の赤字を「高級」で埋めるやり方も常套手段のひとつになっているようだ。
また、B氏は“ガイドへの丸投げ”も問題視する。「旅行会社がある程度中抜きし、残りの予算をガイドに与えるやり方もある」。日本でのホテルやレストランを手配するのはガイドの仕事となり、結果、ガイドは実入りを多くするために片っ端から「格安」を手配してしまうことになる。
この丸投げが訪日ツアーの質の悪化をもたらしているとすれば、こうした悪徳ガイドの暗躍を規制すべきだろう。だが、ガイドによっては報酬を旅行会社からもらうのではなく、旅行客を連れて行った買い物先からバックマージンとしてもらう者も多い。彼らが置かれている立場の不安定さ故に、一概にガイドだけを責めることはできないのである。
むしろ、ガイドに対し「クレームの出ない範囲でうまくやれ」と“知恵をつける”旅行社も存在するわけで、結局はコストを下げさせるためのあの手この手は、旅行社が深く関与しているケースが多い。顧客満足度を上げるには、旅行業界に存在する複合的な問題を解決する必要がある。
ちなみに、今回の訪日ツアーを受注した旅行会社を調べてみた。HPには「オバマ氏の大統領就任式典に参加するツアー」や「欧州の雪山で堪能するゴルフツアー」「時計コレクター向けスイス豪遊ツアー」など超VIP向けのツアーがズラリ。しかし、顧客の不満が訴えるように、実際のビジネスは羊頭狗肉、結局は「現地への丸投げでよし」とする質の低さが見て取れるのである。
そして観光客が落としたマネーは華人コミュニティを回遊する!
中国からの訪日旅行者はいまのところ「東京~箱根経由~大阪」のゴールデンコースに8割方集中し、残りのうち1割が「東京~北海道」、さらに1割を「東京滞在」で分けているのが実態だ。日本の各自治体は観光プロモーションに熱心だが、地方の旅館や飲食店などが潤うのはまだまだ先のことだ。
それどころか、日本に落ちたはずの中華マネーもその実、日本の中の中華コミュニティに吸収されがちなのが現状だ。
中国人ガイドが日本を案内し、キックバックの多いの中華料理店に連れて行き、華人が経営する免税店に連れて行く。日本ツアーといえども、訪日客らはなんら華人コミュニティから離れることはなく、また肝心の観光客が落とす中華マネーは日本国内の中華ネットワークにとどまる傾向が強い。
観光に詳しい専門家は「これは日本人が海外旅行に行っても同じこと。現地の日本人ガイドが手配するのは、日系のホテルやレストラン、デパートなど、結局日本人コミュニティの域を出ることがないのです。NYやパリでもジャパンマネーはジャパンコミュニティに落ちるしくみなのです」と語っている。
とはいえ、やはり最大の問題は、日本の得意とする「おもてなし」がすっかり度外視されてしまっていることだろう。
背景には価格競争のすさまじさが存在する。最近は冒頭で紹介した3泊4日3000元(約3万7500円)をも切るような超激安ツアーが続々と登場。エアラインを除けば、内訳は宿泊費込みで1日あたり5000円でのやりくりとなる。結果、中国からのツアー客は薄汚れた狭い客室に詰め込まれ、1食数百円の予算で作った激安ディナーを食べるはめになる。
なかなか日本の「おもてなし」が届かない。ツアーそのものの質が低下するなかでは、等身大の日本すらも伝わらない。しかも、日本が貧乏国のレッテルを貼られるという“風評被害”まで受けたのでは、残念極まりない。
家具やフローリング、プールサイドにと活躍の場が急拡大!
2010.12.01(Wed)JBプレス シュピッツナーゲル典子
高級感や温かみのある風合いが魅力の木製家具やフローリング。うっかりこぼしてしまった飲み物でしみがついてしまった。水分を吸った表面がふやけたりカビが発生したり。こんなはずじゃなかったのに・・・と、手入れに意外に手間がかかり不便を感じている人も多いのでは。
そんな不便を解消する画期的な家具用材「リシスタ」がドイツで登場した。リシスタを用いた製品は、熱や湿気による収縮や変形がなく、汚れも水でふき取るだけ。
しかも、籾殻というゴミを主な原料としているため、究極のエコ材でもある。熱帯林を乱伐から守る新たな環境保全の取り組みとして家具産業界から大きな期待が寄せられている。しかも廃材となったリシスタの50~60%は再利用が可能で、燃やしても有害なガスは発生しない。
リシスタの主原料は焼却処分する籾殻!
この材料を開発したのが、ドイツ・ミュンヘンのミュンヘン・ブールバード・モービル(以下MBM社)を経営するマルクスさんと弟のベルント・ドゥナさん(右の写真)。
MBM社によれば、リシスタの原材料は「籾殻60%、岩塩22%、ミネラルオイル18%のハイブリッド素材」だそうだ。詳細は未公開だが、籾殻と合成樹脂のような重合体を加工した家具用材とでもいおうか。
マレーシアで板状に加工された(業務委託)素材リシスタは、インドネシア・ジャワ島とベトナムのMBM製作所でいすやテーブル、フローリング材などに製品化している。
リシスタ製品の人気のポイントは、「見た目は木のように高級で温かみがあり、手入れは木よりも簡単、環境保全にも貢献」ということ。
リシスタは、削る、研ぐ、磨く、切断、接着、ねじ止めなど木材と同じような取り扱いができる。温度や湿度の変化によるそりや曲がりなども全く生じない。
太陽光線による熱抵抗性にも強く、重量は、木材の種類にもよるが、木製品とほぼ同じだそうだ。
リシスタの表面は、水分をはじくのでふやけも生じないうえ、破片やとげもできない。フローリング上を素足で歩いても怪我をする心配もないし、表面にたまった水分ですべることもない。
湿度が高いと繁殖しやすい細菌やカビの発生もない。通常の汚れなら、水でふき取るだけと手入れもごく簡単だ。
メインテナンスには、家具の表面に上塗液やオイル(250ミリリットル入り・15ユーロ前後)を必要に応じて塗るだけ。いすやテーブルの色に飽きたり、模様替えをしたければ、リシスタ専用塗料をひと塗りするだけで全く違った木材の色合いを楽しむこともできる。
フローリングの価格帯は、1平方メートル当たり110~130ユーロ。テーブルは、長さやフォームにより価格は様々で75センチの丸テーブルなら169ユーロほど。
幅100センチ、長さ220センチ、高さ約74センチの長方形テーブルなら1199ユーロ。ビーチチェア(幅65センチ、長さ201センチ、高さ約36センチ)は699ユーロ。いすは大きさにより119ユーロから269ユーロ。どの製品も15年間の品質保証が付く。
今のところ、リシスタ製品は屋外用家具とフローリングを販売。来年からは屋内用の家具も販売していく予定だ。総売上高は未回答だが、リシスタ製品の売上高は全体の20~25%を占めるそうだ。
「リシスタ製品は、木製よりも値段がやや高めだが、ニーズはあるはず」と、MBM社マーケティングマネジャーのローランド・シュトイバー氏。
景気悪化の影響で、旅行好きのドイツ人も遠出を控えている。その代わりに自宅で過ごす毎日の生活を優雅にしたいと高級家具や電化製品に投資する家庭が増えているからという。
リシスタ製品は、2008年から本格的な販売を開始した。ガーデン家具専門店トーマスや通販最大手のオットー、MBM社販売提携店を通して注文に応じている。
開発には10年費やし、熱帯林原産国の雇用にも貢献!
MBM社は、現CEOの父親ヨセフさんが1954年創業し、2代目CEOマルクスさんとベルントさんが1983年より経営を引き継いだ。
開業以来、アルミニウム、鉄鋼や木材を用いたガーデン家具販売専門店として、製品のデザイン・生産・販売を手がけている。
客層は、レストランやホテルなど接客サービス業界の店舗が多い。同社の製品は、ジャワ島に2カ所ある自社製作所で生産している。
MBM社の国内社員数は、65人。このほかヨーロッパを中心に、インドネシア、北米、南米、南アフリカ、オーストラリアなど全世界に2000人の従業員を抱える。
リシスタ開発のきっかけは、約10年前、インドネシア政府の方針で熱帯林伐採が制限されたことから。
その頃からインドネシアでは天然木材が減少、品質も劣るようになり、家具製作にも支障が出始めた。MBM社は、環境保護を進めていくことには賛同したが、現地従業員の解雇はしたくなかった。
国連食料農業機関(FAO)の世界森林資源評価2010(The Global Forest Resources Assessment 2010)によると、世界の森林面積は40億ヘクタールほど。森林の減少の約31%が木材生産を目的にした伐採によるものと推定されている。
2000~2010年に、森林面積は毎年520万ヘクタール(推計値、コスタリカの国土面積とほぼ同じ)ずつ減少しているという。
1990~2000年の年間830万ヘクタール減に比べると、今のところ森林減少速度は低下しているものの、世界で最も減少が大きかったのはブラジルとインドネシアだった。
そんな中、MBM社はインドネシア政府自然保護政策の後援を得て、天然木材の代用品となる素材の開発研究を始めた。インドネシアに育つあらゆる木材や植物を用いて試行錯誤を繰り返した。
その結果、着目したのがアジア人の主食である米の籾殻だった。籾殻は、それまで焼却処分をしていたものを再利用するので原料コストが一切かからない。しかし、製品化するまでには10年もかかったそうだ(シュトイバー氏)。
2009年末より、同社ジャワ島の製作所では、チーク材やイペ材など熱帯林の使用を全面的に取りやめた。長年木材を用い家具製作をしていた現地の職人たちは、取り扱いが簡単で作業も進めやすいリシスタを使い仕事を継続することができると大満足している。
顧客の評判も上々、日本にもまもなく上陸!
リシスタ製品を利用している顧客の評判も上々のようだ。
木材は、時間がたつと色あせや色がくすんだり、しみができるので何かと手入れが厄介。リシスタは、木材に比べて割高だが、色あせも全くなく、水や食べ物のしみもできない。プールサイドのフローリングや家具に最適」と、イタリア・チロル地方でウェルネスホテル・クウェレンホーフを経営するハインリッヒ・ドルファー氏。
同ホテルのウェルネス部門設計担当をしたシュレットラー社プランニング部長メラニー・ブリゲトさんは次のように語る。
「客がテーブルの赤ワイングラスをひっくりかえしてしまったが、しみができなかった。また、海水セラピー時に塩水が飛び散るが、フローリング表面の変形や色あせなどが全くない。プールサイドの床を頻繁にふき取る必要がなくなった、素足で歩いても滑らない」
多くのレストランやウェルネスホテルの経営者たちから喜びの声が届いていると満足顔だ。
ウィーン国際ホテルマネジメント社イザベラ・フレンさんは「リシスタは、持続可能な未来の建築材」と絶賛する。
最後にシュトイバー氏がニュースを1つ教えてくれた。来年1月より和歌山県海南市のガーデン用品販売会社タカショーを通して、リシスタ製品が日本市場へお目見えする予定だという。
うっとうしい梅雨や蒸し暑い夏など湿気が多い日本でも手入れが簡単なリシスタ製品なら気軽に使えること間違いなしだろう。
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
http://www.uonumakoshihikari.com/
魚沼コシヒカリ理想の稲作技術『CO2削減農法研究会』(勉強会)の設立計画!