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平成22年 第12回「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」(松江市)有機栽培・JAS認定部門で特別優秀賞を受賞。(食味90・味度83・計173点) 平成25年、第15回魚沼と第16回北京開催運動中! 無農薬魚沼産コシヒカリ生産農家・理想の稲作技術『CO2削減農法』 http://www.uonumakoshihikari.com/
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農林水産省総合食料局食糧部食糧貿易課
http://www.maff.go.jp/j/soushoku/boueki/kome_yusyutu/china.html

米輸出関連ホームページ
http://www.maff.go.jp/j/soushoku/boueki/kome_yusyutu/kanren.html


1. 中国にお米は輸出できますか。

日本産米の中国向け輸出にあたっては、植物検疫条件により、中国側が承認した精米工場で精米されたお米のみ輸出できることとなっています。このため、輸出をするためには、精米工場の承認もしくは、委託精米を行う必要があります。

2. 検疫条件とは、具体的にどのような内容ですか。
主な条件としては、

中国側の認可を受けた、指定精米工場で精米されていること
輸出前に、登録くん蒸倉庫で精米にくん蒸処理を実施すること
輸出検査を実施し、植物検疫証明書を添付すること
精米の積み込み前に、再汚染防止措置としてコンテナなどに検査及び消毒を行うこと
などが挙げられます。

3. 精米工場の認可をもらうにはどのような手続きが必要ですか。
精米工場の認可手続きは、

(1)精米工場内に誘引剤(フェロモン)を用いたトラップを設置し、カツオブシムシ類が無発生であることを確認

(2)管轄の植物防疫所に指定申請書を提出

(3)日本側の植物防疫官による実地検査

(4)中国側検査官による現地視察ののち、中国側より認可

(5)植物防疫所より指定通知を交付

という流れになっています。


4. 中国には全農が輸出していると聞きましたが、輸出に当たって特定の資格などは必要ですか。
中国に米を輸出するにあたって、資格のようなものは必要ありませんので、全農(JAグループ)でなければ輸出できないということはありません。新規に精米工場の承認を得るか、既に承認を得ている精米工場に精米を委託することにより、植物検疫条件を満たせば、輸出することができます。


5. 商業用ではなく、個人消費用、サンプル、おみやげなどの、少量の輸出であっても、植物検疫条件が適用されるのですか。
輸出数量に関わらず、上記2の検疫条件が適用されることとなります。


6. 中国での米の関税率はどれくらいですか。
中国は関税割当制度を導入しており、関税割当枠を有する輸入業者による輸出であれば1%、関税割当枠がない場合は65%の関税がかかります。また、増値税という、物品の輸入を行う場合などに適用される税を、別途通関に納めることになっており、米の場合は税率が13%となっています。


7. 中国で日本産米を販売する際に注意するべき点はありますか。
現地産米との価格差、商習慣の違い、小売業者の確保、表示義務等の制度上の問題などが考えられますので、事前の十分な市場実態の把握と輸出計画の策定が必要です。農林水産省では委託事業により中国の市場調査を実施しておりますので、ご活用ください。

総合食料局食糧部食糧貿易課
担当者:貿易企画班 森、福水
代表:03-3502-8111 begin_of_the_skype_highlighting              03-3502-8111      end_of_the_skype_highlighting(内線4270)
ダイヤルイン:03-3502-7965 begin_of_the_skype_highlighting              03-3502-7965      end_of_the_skype_highlighting
FAX:03-3591-1692


日本産精米の対中輸出検疫条件の概要

1.検疫対象病害虫
・ヒメアカカツオブシムシ、カザリマダラカツオブシムシ、ヒメマダラカツオ
ブシムシの3種のカツオブシムシ(以下「カツオブシムシ類」)
(注) ・イネもみ枯れ細菌病菌及びイネえそモザイクウイルス
(注)イネもみ枯れ細菌病菌、イネえそモザイクウイルスは、玄米、籾、土
壌等により感染する病害であり、検疫措置として、精米に玄米、籾、土壌
等が混入していないことのみ確認

2.精米工場
精米工場(付属する玄米貯蔵庫を含む。)は、カツオブシムシ類の誘引剤を
使用したトラップ調査を1年間実施し、カツオブシムシ類が発生していない
ことを確認の上、指定する。

3.包装材の条件
清潔かつ衛生的で、通気性のある新しい包装材で包装。各包装には中国向け
であること、品種、精米工場及び輸出者の名称・住所を中国語で表記。

4.くん蒸処理
(1)輸出前にリン化アルミニウムを用いたくん蒸を実施。
(2)くん蒸倉庫は、予め3か月間、カツオブシムシ類の誘引剤を用いたトラッ
プ調査を実施。
(3)くん蒸の都度、くん蒸開始1か月前から精米の搬出時までの間、カツオブ
シムシ類の誘引剤を用いたトラップ調査を実施。

5.輸出検査
(1)植物防疫所の輸出検査を受検し、植物検疫証明書を添付。
(2)土、玄米、籾、ぬか、雑草種子及びその他植物残さが混入していないこと
を確認。

6.再汚染防止措置
精米の積込み前に、コンテナー等に対して検査及び消毒を実施。

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利権争いに終始し改革進まず~中国株式会社の研究~その88

2010.12.10(Fri)JBプレス 宮家邦彦

 前回お約束した通り、今回はウィキリークスが暴露しつつある米国務省公電25万通のうち中国関連公電の「正しい読み方」についてご説明しよう。

どこで見られるのか!

実は「wikileaks.org」というサイトはもはや存在しない。アマゾン・ドットコムがサーバーホスティングを停止したからだろうか。現在筆者がアクセスしているのはスイスドメインのサイトである。

 同サイトもいずれ閉鎖されるかもしれない。これに備えてか、ウィキリークスは既に1000カ所以上ものミラーサイトを確保している。

 ホームページの右上のMirrorsをクリックするとそのリストがある。こいつは相当手強い連中のようだ。

 同ホームページにある「Cablegate: 250,000 US Embassy Diplomatic Cable」をクリックすると、目指す「米国大使館秘密公電」のページに辿り着ける。12月8日夜現在で1095件が「公開」された、とある。

 ただし、これだけでは公電は見られない。中国関連については、このページの左側にある「Browse by tag」のアルファベット「C」をクリックし、更に「CH」をクリックするとようやく中国関連公電の一覧表が出てくる。

 「CH」とは「中国本土関連公電」に付けられたタグであり、これ以外にも発電元の大使館別、発電された年月日別、「公開」された日付別、秘密区分別で公電検索が可能になっている。実によくできたシステムではないか。

 ちなみに、このタグについてウィキリークスは詳しく説明していないが、ご丁寧にもネット上には国務省公電で使われるタグ集まで掲載されている。まあ、世の中には暇な人がいるものだと感心してしまう。

国務省公電のスタイル!

 それでは具体的に電文を見ていこう。以下は2009年に在北京米国大使が国務長官に送った公電2112(原文)の冒頭部分である。

VZCZCXRO4533
OO RUEHCN RUEHGH RUEHVC
DE RUEHBJ #2112/01 2041059
ZNY CCCCC ZZH
O 231059Z JUL 09
FM AMEMBASSY BEIJING
TO RUEHC/SECSTATE WASHDC IMMEDIATE 5339
INFO RUEHOO/CHINA POSTS COLLECTIVE
RHEHNSC/NSC WASHDC

 最初の5行は電子処理用のコードで、3行目に公電番号、5行目には発電日時が記されている。6行目以降を見ると、これが在北京大使館発国務長官宛であり、コピーが中国内の米国公館とホワイトハウスのNSCに送付されたことが分かる。

C O N F I D E N T I A L SECTION 01 OF 02 BEIJING 002112
SIPDIS
E.O. 12958: DECL: 07/23/2034
TAGS: PGOV CH
SUBJECT: TOP LEADERSHIP DYNAMICS DRIVEN BY CONSENSUS,
INTERESTS, CONTACTS SAY
REF: A. BEIJING 2063 B. BEIJING 2040
Classified By: Political Minister Counselor (筆者注:個人名は省略). Reasons 1.4 (b/d).

 10行目以降には秘密区分、秘密指定解除日時、内容別タグがある。さらに、公電の件名「接触者情報:コンセンサスと既得権に基づく最高指導部の意思決定」と書かれ、最後に関連公電番号、秘密指定責任者名とその指定理由が記されている。

やはり中国は株式会社!

 今回筆者がこの公電を選んだ理由は内容が実にユニークだったからだ。ウィキリークスが暴露しつつある中国関連公電には中国政府高官らから直接、間接に聞いた話が多く、信憑性を欠くものも少なくない。

 ところが、この公電は共産党中枢に近い情報提供者の率直な意見を報告しており、ほかの公電とはかなり趣が異なる。特に、興味深い点を掻い摘んでご紹介しよう。

 公電は要約部分で次の通り述べている。

●共産党指導部、特に政治局常務委員会における意思決定の主たる要因はコンセンサスの必要性と既得権益の保護である。

●政治局常務委員間の関係は「大企業の取締役」同士の関係によく似ており、巨大権益を巡る軋轢や「太子党」と「共青団」の競争が意思決定を左右する。

何ということだ。中国人自身が米外交官に中国のシステムは「株式会社」に近いと伝えていたとは知らなかった。これまで何度も(中国株式会社の研究~その10、その35など)、中国は「国家」ではなく、「株式会社」であると書いてきた筆者にとっては強力な援軍である。

中国株式会社の実態!

さらに、公電本文では、複数の中国人接触者からの情報として、次の通り報告している。

●胡錦濤は大企業の取締役会議長か最高経営責任者(CEO)のようである。政治局常務委員会の意思決定は企業のそれに近く、大株主であればあるほど発言力は増す。

●最大株主である胡錦濤の意見は最も重いが、常務委員会は通常コンセンサスにより意思決定するため、事実上、すべての常務委員に拒否権がある。

●通常意思決定は常務委員9人により行われるが、北朝鮮や台湾のような重要問題については政治局メンバー25人全員による決定が必要である。

●最高レベルに「江沢民・上海派」と「胡錦濤・温家宝派」の確執はあるが、いずれのグループも優勢ではなく、主要意思決定にはコンセンサスが必要である。

●共産党は様々な利益集団の集合体であり、そこには改革派はいない。彼らは競って中国経済のパイを奪い合うため、中国の政治システムは硬直化している。

●意思決定の原動力が既得権を巡る争いであるために、必要な改革は一向に進まない。

●李鵬元首相の電力利権、周永康常務委員の石油利権、故陳雲元第1副首相一族の銀行利権、賈慶林常務委員の北京不動産利権、胡錦濤女婿のIT利権、温家宝妻の宝石利権などは特に有名である。

●彼らと結んだ地方・企業の幹部は利権ネットワークを形成し、短期間で元が取れる高度成長を志向するため、意思決定過程では常に経済改革、情報の透明性に反対する声が優勢となる。

といった具合である。

 まだまだ続くが、もうこのくらいにしておこう。本稿を執筆中にニューヨーク・タイムズが米政府の圧力でウィキリークス関連の連載記事を突然中止したというニュースが飛び込んできたからだ。

 この続きに関心のある向きは原文を参照してほしい。

 ウィキリークスについては今後「驚くべき内容」が暴露された時点で再び取り上げることとし、次回こそは、人民元を巡る米中間の綱引きの続報を書くつもりである。

日本の「集団的自衛権」否定は日米共同防衛の足かせ!

自衛権
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%86%E5%9B%A3%E7%9A%84%E8%87%AA%E8%A1%9B%E6%A8%A9

2010.12.09(Thu)JBプレス 古森義久

米国議会が日本の憲法第9条を日米共同防衛への障害と見なし、改憲を望むようになった――。

 この現実は日本の護憲派にはショックであろう。だが、米国議会上下両院の一般的な認識として、日本側の憲法9条の現行解釈による集団的自衛権の行使禁止は、「より緊密な日米共同防衛には障害となる」というのである。

 日本の憲法を改正するか否かはあくまで日本独自の判断によるというのが正論である。だが、日本の防衛が米国という同盟パートナーに大幅に依存し、しかも日本の憲法がかつて米国側により起草されたという事実を見れば、どうしても米国の意向が重視されてきた側面は否めない。

 つまり、日本で改憲を考えるに当たっては、米国が改憲に賛成なのか、反対なのかが、どうしても大きなカギとなってきたのである。

憲法9条の制約を指摘する超党派の議会の報告書
 日本ではこのところ日米同盟の重要性が再認識されるようになった。中国の尖閣諸島海域への強引な侵入と、それに伴う理不尽な日本への威嚇が、米国との防衛協力の価値を改めて意識させたからだと言えよう。

 だが、その日米の防衛協力や共同防衛では、日本の憲法から生じる制約がいつも浮上する。米国は日本を支援するために軍事力を行使する構えだが、日本側は米国への支援はもとより、日本自身のためであっても、日本の本土や領海を一歩出れば軍事力は一切使えない。憲法9条に違反するとされるからだ。この点が日米同盟の固有の片務性である。

 だが、米国側でも日本の憲法のあり方には多様な意見が存在してきた。米国が日本を占領した時期に起草した日本国憲法は、本来、日本を二度と軍事強国にしないことが主眼だった。だから日本が軍事力や戦力を永遠に持てないようにするという特徴があった。だが、その後、朝鮮戦争の勃発で米側に日本の武装を求める動きが高まった。

 それでもなおその後の長い年月、「日本が改憲して軍事面での規制をなくせば、また軍事大国の道を進む」というような、日本の左翼の主張にも似た護憲論が米側でも有力だった。

 だが、そうした米国の認識が変わってきたのだ。

 その変化の集約は、米国の議会調査局が2010年10月に作成した日米関係についての報告「日米関係=米国議会にとっての諸課題」の記述に見ることができる。

 議会調査局とは、連邦議会上下両院議員たちが審議する際に情報や資料を提供する調査研究機関であり、超党派のシンクタンクだと言える。

その議会調査局が公表した同報告は、日米関係における諸問題を解説する中で「憲法9条の制約」と題し、以下のように述べていた。

 「一般的に言って、米国が起草した日本の憲法は、より緊密な日米防衛協力への障害となっている。なぜならば憲法9条の現行の解釈が、日本に『集団的自衛』に関与することを禁じているからだ。『集団的自衛』とは第三国に対する米国との戦闘協力のことである。日本の憲法の第9条は日本の『国権の発動』としての戦争を違法だとし、『交戦権』を禁止している」

 「過去においては、日本の世論は自衛隊に課された憲法上の制限を強く支持していたが、近年、そういう意見はかなり弱くなってしまった。日本の現政権(民主党政権)は、憲法9条の改正についてはなお意見が分かれており、近い将来に改憲の論議を始めるという見通しは少ない」

日本の集団的自衛権否定が足かせになっている
 以上の記述を集約すれば、米国議会の一般の認識として、日本の憲法は日米両国の「より緊密な防衛協力」にとっては障害となっている、というのである。特に憲法9条の現在の解釈によって、日本は世界の他の諸国と異なり、集団的自衛権を行使も発揮もできないことになる、というのだ。

 つまり、日米共通の敵となる外国の攻撃や侵略に対しても、米国と一体になって「集団で」戦闘することは今の憲法では禁じられているということである。

 だから、日米同盟をもっと堅固にし、これまで以上に両国の軍事上の緊密な防衛協力を進めるには、日本側の集団的自衛権の行使禁止が大きな邪魔になる、というわけだ。その結果、日米防衛協力の推進のためには「日本が憲法を改正すべきだ」という意見が米国議会の一般的な思潮となった、ということになる。

 議会調査局というのはすでに述べたように、連邦議会の上下両院の議員たちの法案審議の資料を作成することを存在の目的としており、民主党、共和党の区別にかかわらず、超党派の客観的な情報や思考を供することで知られてきた。

 その議会調査局が日本の憲法について取り上げ、「日本が集団的自衛権を否定することが日米共同防衛協力への障害となり、日本の同協力への参入をも大幅に妨げている」という見解を米国議会での一般的な考え方として記述しているのだ。

 いつの間にか、米国側でも日本の憲法の改正の是非については「是」の論者が多数派になったのである。この点は今後の日本での憲法論議でも、重要な一因となるだろう。

無視される日中平和友好条約の領土保全・平等互恵の原則!

2010.12.08(Wed)JBプレス 横地光明

前言
今回尖閣諸島領海内で発生した中国漁船と海上保安庁巡視船の衝突(22.9.7事実は漁船の体当たり)事件に係る民主党政権の対応は、中国の威圧に屈せられたと国民をいたく失望させ、世界世論から日本外交の大きな敗北と評され、我が国は国威を著しく失した。

 日本外交の弱さを暴露してしまった政府は、中国側の非を突き奮起して主導権を奪還し、外交主権の再確立を講ずべきであるのに、媚中外交に終始した。

中国が世界世論の厳しさに直面し、また衝突時の模様を撮影したビデオがリークされ事実が明らかになりいささか傲慢ぶりを緩和する兆候を示すと「冷静」「戦略的互恵関係の早期回復」を隠れ蓑に、なりふり構わず中国の意を迎え、ただ首脳会談を持たんとするありさまは国辱的と非難されても抗弁できないものを感ずる。

 加えてその渦中、日本の対中態度を見ていたロシアが「日本は強い姿勢を取れない」と見透かし、日本のたびたびの警告にもかかわらず大統領が北方領土視察をあえて行い、我が国は東西から翻弄され、国際的弱さを内外に露呈してしまった。

 本問題に関し、野党側が糾弾すると政府は「では前政権時代はどうであったのか」と切り返すが、その非は認められるにしても、今回の政治的失態の責めを逃れることはできない。

 もちろん、歴代自民党政権が取ってきた主体性を欠いた処置が今回の事案の大きな伏線になっていることも見逃し得ない。

尖閣諸島に関する法と歴史!


 尖閣諸島は、中台を除く世界諸国が認めるように、法的にも歴史的にも明々白々たる我が国固有の領土で、中台がこの領有を主張する権利はいささかもない。

 すなわち、明治政府が明治28(1890)年に他国の支配が及んでいないことを慎重に調査し、無主地先占の国際法理で領有化を図ったのであるが、中国を含め他国からの異議は全くなかった。

 同島は民間人に貸与され魚釣島に居住した島民は、羽毛・グアノの採集に従事し鰹節工場を営んだ。その後無人となったが米軍の管理占領時代は射爆場となり所有者に借料が支払われていた(今も政府が借り上げ年220万円を支払っている)。

 中国側も1970年までは日本領と認めていた。

 例えば、大正8(1919)年に中国漁船が同島付近で遭難し、島民に救助(31人)された折には、中国駐長崎領事だった馮冤は沖縄県八重山郡諸島和洋島(魚釣島のこと)の石垣村雇玉代勢孫伴や鰹節工場主古賀善次等に感謝状を送った。

 また、1950年北京市役所発行の世界地図帳でも国境は同島の外に引かれ、地名も日本名になっていた。

 1968年1月8日付の人民日報の記事でも琉球諸島が7つの諸島からなるとしてその1つに尖閣諸島を挙げている。ちなみに同島の現所有者はさいたま市在住の結婚式場を経営する民間の人物である。

 しかるに、1968年、ECAFE(国連極東経済機関)が同島海域に大量の石油埋蔵量があることを発表すると、中国は突然(1970年12月)、台湾(1970年夏)に続き領有権を主張し始めた。

 しかし国際紛争の裁判上重要なクリテカルデート上、今頃に至って中国の史書や古地図にある・琉球への冊封使が見たなどと言い立ててもいずれも領有の判断根拠には全くならない。

北方領土については詳説を避けるが、法と歴史上日本の固有の領土であることは厳然たる事実であり、従来から米国の支持するところでもある。

自民党政権の責任!


 1972年、田中角栄氏は首相に就任するとすぐさま訪中し、日中国交正常化交渉に取り組んだ。最後の段階で自ら周恩来首相(以下、職位は当時)に尖閣諸島問題を切り出したが、周首相が「今は話したくない。石油が出るから問題だ」と言い、ほかの話題に転じたため、彼の真意を測らずそのまま(9月29日)日中国交正常化共同声明に調印してしまった。

 この田中首相・大平正芳外相の領土問題の軽視や先の見えない判断が、その後に波乱を招くことになった。

 すなわちその後6年にわたる長い平和条約交渉の最終段階で暗礁に乗り上げた1978年4月に、これを揺さぶりかつ尖閣の領土権誇示のためか、中国は100隻を超す大漁船団を尖閣周域に接近させ領海を侵犯した。

 しかし、鄧小平が「二度と領海侵犯を起こさない」と福田赳夫首相、園田直外相などの日本側代表団に約束して、共同声明と同じ内容の主権・領土の相互保全・相互不可侵・平等互恵・内政不干渉・平和友好・武力による威嚇を排し紛争の平和的解決・覇権反対を内容とする平和友好条約が署名された(1978年8月12日)。

 しかるに、批准書交換に来日した鄧小平は日本記者クラブで講演し、尖閣問題に関し、「我々の時代に解決方法が探し出せなくとも、次の世代、次の次の世代が解決方法を探しだせる」と棚上げ論を述べた。

 これに対する日本側の対応はなく、本年(2010年10月22日)の国会で前原誠司外相が「合意したわけではない」と日本側の立場を説明したが、なぜその時福田政権ははっきり日本側の立場を明確にしなかったのかの責任が問われる。

 今度もまた提案しているが中国側のあたかも領土問題があるかのごとき棚上げ論には決して乗ってはならない。

 中国政府はまた尖閣棚上げを提案してきたようであり、時あたかも唐家璇元国務委員・元外相が来日して経済界指導者ばかりでなく首相官邸にまで乗り込んで、過去に両国政治家は棚上げした問題だ荒立てるなと懐柔する行動をしたようだが政府は明確に否定することが必要だ。

 中国は1992年2月25日に不法にも尖閣諸島を取り込んだ「領海及び接続水域法」を制定公布したが、この重大事案にもかかわらず、はなはだ遺憾にも宮沢喜一内閣の処置は北京大使館から口頭で中国政府関係部署に抗議しただけだった。

 それだけではなくその10月には天皇の訪中を実現させた。この弱腰卑屈な媚中外交で中国の意に従う姿勢は目に余るものがあった。

 さらに2004年3月24日、中国の過激活動グループ7人が魚釣島に不法上陸し、警察が逮捕し送検を準備したが、小泉純一郎内閣(福田康夫官房長官)の法務省は日中関係を考慮するためとしこれを抑え、即時の強制送還ですませて再び国権を傷つけた。

 これら自民党政権の主権を危うくし国益を損した経緯が、中国側を「日本扱い易し、強く出れば屈する」と判断させ次第に手段をエスカレートし今次の漁船問題に繋がったことは否定できない。

 自民党政権は、「国際政治の本質は権力闘争で根源はパワーバランスにある」(ハンス・モーゲンソー)ことを忘れ、かねて「日本なんかはひ弱な花だ」(ズビグネフ・ブレジンスキー)と揶揄され、「相当の軍事力を持たない日本は国際責任を果たせない」(ヘンリー・キッシンジャー)と警告され、加えて国際関係が激動するにもかかわらず、安全保障を日米同盟に頼り切り、軍事力こそが外交力・国際発言力の源なのに、軽武装で経済発展に専念していても国際的地位を獲得し安全が確保できるとの観念から脱出できなかった。

 このため国際関係の安定の基盤である至当な国防態勢の整備の努力を怠り、国防費の対GDP比を常識外の1%以下に抑え、占領軍の押しつけの憲法のまま自衛隊を国防軍か行政機関か分からない鵺(ぬえ)的存在に放置し、集団的自衛権の解釈の呪縛を解かず、ハンディキャップ国家論を拭いきれず、まともな国際的発言能力の保有努力とその意欲を欠き、中国には日本のみ侵略国家と非難され歴史認識で責め続けられたが平和友好条約の内政不干渉・平等互恵の原則を忘れ有効毅然たる対応策を講じてこなかった。

これらに関しては現代の元勲とも言われる中曽根康弘元首相の責任も決して軽くない。氏は防衛長官に就任すると勇ましく自主防衛を掲げたが、中国に軍国主義と非難されるとたちまち前言を翻し、軍事戦略上主体性のない「専守防衛」に転換し、首相になると戦後政治の総決算を唱えたが中国に攻撃されると「胡耀邦の政治的苦境を救うためだ」と称し、個人の問題を首相の国家的責務と混同し、あっさり靖国神社参拝を中止(後藤田正晴官房庁長官も同罪)し中国の内政干渉の鏑矢を作った。

 その後教科書検定への近隣条項基準の追加(鈴木善幸首相:宮沢喜一官房長官)、南京事件の事実に触れただけの法務大臣の罷免(羽田孜首相)、多額のODAの供与を迫られ、一方、韓国には竹島を放置して実力支配され、確たる証拠がないのにいわゆる従軍慰安婦問題を認めさせられ(宮沢首相:河野洋平官房長長官)、日韓併合を一方的に謝罪し、正論を述べた文部大臣を罷免(中曽根首相)し、また世界各国が厳しく対処するハイジャック犯の要求に屈し(福田赳夫首相)て世界の顰蹙(ひんしゅく)を買い、我が国の国家威信の毀損を重ねた。

 一方、ロシアの歴代大統領に振り回され、資源を餌に多額の経済・技術支援を吸い取られながら、北方領土問題は少しも進捗せず、かえって日本に脅威を与え続けた原子力潜水艦の廃棄に資金協力をさせられるありさまだった。

 加えてグローバル世界の到来にもかかわらず、この視点を疎かにし、国内問題にかまけて地域エゴと結び利益誘導に走り、不急不要な道路・空港・港湾を造ったが国際ハブは他国に奪われ、高コスト体質と巨額の財政赤字を残し、票田確保のためか米作は日本の固有の文化などと称して肝心の農業の国際競争力向上を顧みず保護のみに走り、FTA(自由貿易協定)・FTAAP(アジア太平洋自由貿易協定)・EPA(経済連携協定)・TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の締結・加盟を怠った。

 このため「Japan as No.1」の国際競争力を世界1番から中国の18位、韓国の24位の後塵を拝する27位(スイス・IMD:国際経営開発研究所2010年、しかも貿易は54位)に転落させ31位のインドに追い越されそうになった責めもある。


民主党政権の失態!

だが、民主党政権になるとこの傾向はさらに深刻になり憂慮に堪えない。鳩山由紀夫前首相は、日米同盟が日本の安全保障上死活的に重要であり、沖縄基地がそれを支える主要な一環であるのに、中核の普天間基地の移転に関し、総選挙運動中「沖縄住民の意に反して基地問題施策を進めない」と公約した。

 こうなれば県民が基地撤去や県外移転を求めるのは当然で県内移設が不可能になるのは目に見えている。

 このため米国に基地移転を何回も公約したが、推進は少しもできず米国の不信を買い日米関係をぎくしゃくさせ中国・ロシアに付け入られる隙を作った。

 元来、統治権とは「国の必要とすることはいかなることも排除して強制執行する権限」でこれを放棄しては一国の政治は進められない。換言すれば鳩山氏は内政面で国権の中心の統治権を大きく毀傷した。

 外政においても、「イデオロギー外交を排する」「私は価値観外交を嫌う、外交は価値観が違う国とも共存共栄の関係を築くことだ」とし、夢想的友愛論に立って日米基軸を中国寄りにシフトしようとし、米国の嫌う反米親中論者として知られる人物を駐米大使に充てようとしたり、国会開会中に160人余の国会議員を含む640人の代表団で胡錦濤国家主席を表敬した日米中正三角形論者の小沢一郎氏一派を登用し、その要求を入れ慣例を無視して、中国側の要求に屈し習近平国家副主席の天皇会見の実現を許した。

 また中国の欲する米国をアジアから追い出すことにつながるASEAN+3(日中韓)からなる東アジア共同体構想を進めようとした。

 これは自ら、日米関係分断に加担し華夷体制下に入りこもうとするもので、中国の支配体制を有利にしてそれだけ日本の国威を損ずるものだ。

 安全を頼る米国には「対等」を主張しながら、外国が「日本は中国の威圧・恫喝に屈している」と言われるような絶えず威圧する中国に何も主張できず卑屈な姿勢を取るのはいかなることであろう。

 加えて鳩山首相は岡田克也外相の北東アジア非核地帯構想の推進を容認した。これは北朝鮮の核廃棄を前提に、米中露に核不使用を要望するものだが、中露から「米国の核の傘を外してこい」と言われたら一体何を担保にして日本への核脅威を抑止するつもりなのか?

 ソ連に日ソ中立条約を破られた手痛い教訓を忘れ、公約をいつでも無視する中国を信用するのはいかなる思慮なのであろうか?

確かに世界には5つの非核地帯(アフリカ・カリブ・南太平洋・東南アジア・中央アジア)があるが、皆世界戦略上の要域でない核戦力交叉の及ばない地域のみであり、海洋勢力と大陸勢力の接触点の地政学的要衝の北東アジアで成立するはずがなく、かつ政府高官が「原爆攻撃日本消滅」を広言してはばからない中国や何をするか分からない北朝鮮や大国主義・権力主義の警察国家のロシアを信ずるのでは危険極まりない。

 またそれなのに「日本海を平和の海」と叫んでロシアに甘い期待を抱かせて、今次のロシア大統領の平然とした北方領土視察をさせる背景を作った鳩山氏は国政を担う見識を欠いていた。

 今次(9月初めの尖閣諸島領海での漁船拿捕事件)の問題では、菅政権は「粛々と法に則り対応する」としながら、想定外の中国の声を荒げた抗議、官民の交流中止、レアアースの禁輸、フジタ社員の拘束や反日デモの頻発に遭遇すると、たちまち中国の態度に委縮し世界の注目を浴びる中で、法を曲げて船長・乗組員・船を釈放し中国に「日本は強く出れば屈する」と確信させ、世界から日本外交の大敗北と伝えられ、国権と国威を大きく損じ国民の多くが深く慨嘆した。

 菅首相はその直後ニューヨークの国連総会、続いてブリュッセルのアジア欧州会合(ASEM)、ハノイの東アジアサミットの首脳会議に出席したが、中国の温家宝首相が多くの機会で中国の立場を強く主張したのに、我が菅首相の主張は弱々しい限りで、温首相との会見でも日本の法的歴史的立場を強調し中国の不当性を主張するのではなく、ただ事態鎮静と関係修復を哀願するような状況に終わったのは遺憾至極であった。

 俗語だがこれは「盗人猛々しい」を思い出させるもので、「無理が通って道理が引っこむ」のでは国際政治はできない。内閣の政策決定調整の要である仙谷由人官房長官は野党議員が「こんなことでは日本は中国の属国化するぞ」と戒めたら「日本の属国化は今に始まったことではない」と答えたという。

 かかる意識の政治家が官房長官では国の前途は真っ暗だ。また同長官は「釈放せずに横浜APECが吹っ飛んでもいいのか」と反論したようだが、仮に中国首脳が不参加でも会議は吹っ飛ぶまいし、それがかえって国際的立場を失うことになることを知る中国の不参加はあり得まいと思われ、その判断は合点できない。

小国ノルウェーがノーベル平和賞授与に関し中国の抗議に毅然と対応しているのに反し、我が国現政府は、ひたすら中曽根元首相も異議を唱える中国に阿(おもね)る内容空疎曖昧かつ中国を利するだけの「戦略的互恵関係の回復」の美名や「冷静な対処」を隠れ蓑に、ひたすら中国の意を迎えんと首脳会談開催に汲々としている。

 また常に情報公開・法令順守を口にしマニフェストで公約しながら、既にリークされ誰もが見ているのにいまだに中国漁船の不法な行動を映したビデオ公開を抑え、十分に権利のある巡視船の損傷補償要求を逃げている。

 中国は長崎国旗事件(1958年)では外務部長が強い抗議をしてきたが、日本側はこれらを見逃してきたため、中国人暴徒の日の丸焼却・踏みにじりや、外交公館や日系企業・商店の破壊は日常茶飯事と化している。

 これらは日中共同声明・平和友好条約の「主権・領土の相互尊重、相互不可侵、平等互恵、平和友好の原則」の明確な違反であり強く抗議し相応の処置を取らなくてはならないものである。

 外交交渉では主導権を取ることが肝要で、相手に求めることをせず、いつも相手から日本の対応次第だと脅かされっぱなしでは、国益を失うばかりだ。

 対ロシア政策も同様で、外交上の強い処置があってしかるべきだ。日本はアジア諸国からリーダーたらんことを求められているが、リーダーは新しい方向を示さなければならない。しかしそれだけでは単なる評論家の域を出ず、これを実行させなければならない。それには影響力が不可欠だ。

対中戦略のリアリズム!

国際政治でも国内政治でも、個人間でも、理由なき譲歩は、さらなる次の大きな禍根になることは歴史の示すところだ。

 誰でも知るように歴史上の大きな教訓とされるミュンヘン会議(1938年9月)でアドルフ・ヒットラー率いるドイツのチェコスロバキアのズデーデン割譲要求に、英首相ネヴィル・チェンバレンがただ善良な動機でこれを受け入れる宥和背策を取ったため、戦う決意のないことを見て取られ、かえってヒットラーにすぐあとスロバキアを解体させ、ついには第2次世界大戦を引き起こさせて何百万もの人命を失わせてしまった。

 従ってこれに徴すれば中国が今後さらに強い行動に出ることは疑いない。

 尖閣諸島に関しては、その常套手段の領有権主張→周辺の海洋調査→領海を侵犯しての漁労→漁業監視船の遊弋→軍艦出没→武力占領事態の最終段階突入への危険も予想されるのに、政府はなお中国の反発を恐れてか「固有の領土」と口にするだけに終始している。

中国では尖閣攻略戦のシミュレーションをしているとの噂もあり、米国でも中国の武力使用があり得ると観測(米海軍大学教授の議会証言)しており、日本をよく知るJ・アワー教授に「日本は領土を守る覚悟の程を示せ」と言われてもなお政府は同島への官民の接近を禁じ、同海域における日米共同演習の実施や自衛隊の直接配備措置の考えがないのは全く気が知れない。
今後の国際関係の重点は発展を続け日米中露印の絡むアジア太平洋に移り、米国が世界秩序の最大の課題と認識する異質で台頭する中国の影響をまともに受ける東アジアが焦点となることは疑いない。

 従って、厳しい国際情勢に荒波の中で生き国威国権を守るには、対中国施策が試金石だが、中国は

(1)民主主義でなく値観感の異なる共産党一党独裁国家で、現状維持に満足しない修正主義的でかつ重商主義的政策を今後も続けよう。

 またその強大化は止まらないだろうし、軍部が一層力を持つ予想から、外交の強硬化は加速し、ひとりよがりの傍若無人な国益・威信獲得を求める習性から世界が期待する責任ある大国化に転移し、あるいは欧米流国際秩序に順応することは容易に望めそうもない。

 しかし日中の経済の相互依存関係は断ち得ないし、両国の正常な関係は日本のみならずアジア・太平洋の安全と平和及び繁栄に不可欠である。日本は敵対でもなく従属でもない平等互恵の関係にならなくてはならない。

(2)5000年の歴史の中華思想はなお生き続け、富強によりアジアに中華体制を再確立し、そして発展途上国を取り込みあるいはイスラム諸国と連携し世界覇権を目指すであろうことは確かだろう。

(3)古来より自らは中華の優位な立場にあると自尊し、日本は辺境の朝貢国・日本人を東夷とみなし、「小日本人」と蔑称する。

 それにもかかわらず日中戦争で侵略し、今日ライバル的地位にあることは許せないとの特別な反日的国民感情を有し、その強いナショナリズムから、日本を威圧し中華冊封体制に組み込みたい基本的衝動から抜けられないようだ。

 従って日本が中国と同じ地位の国連常任理事国入りなど初めから認めるはずがない。

(4)外交政策はもっぱら国益中心で国際信義等は眼中になく、国共内戦が不利となれば、抗日名目に国共合作を行い、有利と見ればその国府側を追討し、ソ連と同盟し資本主義帝国米国と対立したと思うと一転して、米国と組み恩義を受けたソ連に対抗するなど変幻自在だ。

 日中国交正常化共同声明と平和友好条約での、「主権・領土の相互尊重・相互不可侵・内政不干渉・平等互恵・平和友好・覇権反対の公約」、鄧小平の「尖閣の領海侵犯を二度としないとの言」、2008年6月の胡錦濤主席のからむ「東シナ海のガス田共同開発の合意」などのすべてを踏みにじっており、戦略的国境論で3戦(輿論戦・法律戦・心理戦)で戦いを挑む中国に信頼するだけでははなはだ危険だ。

(5)高い経済成長はなお続き軍事力がますます強大化し、政治外交力はいよいよ強まるであろうから、ますます日本単独でその圧力をかわすことはできない。尖閣問題・レアアースで中国が強硬方針を修正しようとしたのも米国が反応したためで、ますます日米関係を緊密にし与国との強い連帯の構築が必要となる。

(6)実効支配が最大の武器と考える中国は東シナ海の排他的経済水域(EEZ)の大陸棚延長論、ガス田の独占、尖閣諸島領有化の意図を今後とも放棄しないばかりか、より強い行動に出るであろう。

 同島付近には常時多くの中国漁船が操業しているようであるが、もし武装兵が乗船して突然上陸占領の挙に出ることもなしとしないだろう。

従って日本は日中国交正常化共同声明・平和友好条約の原則に立ち返ることを目標に、

(1)まず、政治外交などの政策万般にわたり安全保障体制を強化し、ハンディキャップ国家論を脱し、普通の国となり主張・発信する外交を展開するとともに国際的地位の向上に努める。

(2)軍事面ばかりでなく、政治経済文化面における交流を緊密にし日米同盟を一層強化するとともに、アジア諸国、環太平洋諸国との連帯を重視し、インド・ロシアとの関係を適切にしアジアの勢力均衡を図る。

 このためには為政者の安全保障感覚を刷新する。

三木武夫首相がG7で「SS-20」(ソ連の中距離核ミサイル、当時ソ連が東欧に配備し国際間の大問題になっていた)が話題の中心になったのにこれが全く理解できず、他国の首脳に資質を訝しまれ、鈴木善幸首相が「日米安全保障条約は軍事同盟でない」と発言し見識を慨嘆され、鳩山首相が「沖縄基地の抑止機能を初めて理解した」と言った無責任さにあきれられたが、これでは首相となる資格がない。

(3)グローバル化に対応して強い国際競争力を構築する。このためには内向き志向を脱し、視野の狭い農業保護主義を脱し、日本市場を開き、世界市場に活路を求める。

(4)対中国の基本方針は平等互恵を原則に米国と同様に、関与とリスクヘッジを併用する。この際、市場参入・資源輸入・投資・技術供与においてリスクに耐えられる限度を見極める。

(5)周辺における海空の監視警戒を厳重にし、日米共同防衛計画策定と演習の実施、自衛隊等の官憲を常駐させ、尖閣の実効支配を強化し、万一の場合の兵力投入能力を整備し、領土を守る固い決意を示し付け入られる隙をなくし、また東シナ海のガス田開発を開始するとともに領海法・要域警備法令を速やかに制定する。

結語
 いずれにしても、「神も人間も支配できる場合は何時でも支配する。それは本能からする必然」(古代ギリシャの歴史学者ツキディデス)であり、「人間が他を支配する傾向は個人から国家に至るまで人間の結びつきのあらゆる関係に見られる」(モーゲンソー)ことから中華思想で台頭する中国は支配意欲を益々強めてくるであろう。

 また「寛容や忍耐をもってしても人間の敵意を決して溶解できないし、報酬や経済支援を与えても敵対関係を好転できない」(マキァヴェリ)ことに鑑み、善意や道徳のみに頼らず、リアリズムに徹することが肝心だ。

 このため国の安全と繁栄を確保し外交上毅然とするには、「国際政治の本質は権力闘争」(モーゲンソー)で、「軍事力のない外交は楽器のない楽譜でしかな」(ゲーツ国防長官)く、「弱国に外交なし」の現実を認識して国防力を強化しなければならない。

 中国は日本の意思のほどを見ている。それには「日本は悪い国です。どうか皆さんの憐れみで生かして下さい」式の自虐史観に立つ卑屈な哀願懇情を捨て、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼してわれらの安全と生存を保持する」憲法の理念がいかに空疎であるかを悟り、国家原理を立て直さなくてはならない。

西郷隆盛は「正道を踏み国を以って斃るるの精神無くんば、外国交際は全かる可からず。彼の強大に畏縮し、円滑を主とし、曲げて彼の意に順従する時は、軽侮を招き、好親却って破れ、終には彼の制を受けるに至らん」(西郷南洲遺訓17)と遺した。明治維新の元勲の教訓を忘れてはならない。

 付言:しかるに野党の政治家がこの戒めを忘れるなと迫ったのに対し、政府高官が言うべき資格もないのに「それはこれで道を誤った西郷の言だ」と妄言したことにはその高慢ぶりに驚きを隠し得ない。

 世界は「日中関係を歪めているのは日本が中国の銃口外交に威圧恫喝されて正当な立場を主張しないためだ」と言っている。

 我が国は危機管理体制を確立し、毅然として発言し、日中関係を、戦略的互恵関係ではなく共同声明、平和友好条約の主権領土の相互尊重・内政不干渉・平等互恵の対等の関係に立ち戻らせなくてはならない!

 このことは対ロシア政策についても同じである。

 助けてもらう米国には対等を主張し、公益を損ねんとする中国には屈従するでは話にならないし、国法を犯した者を釈放英雄とし、国民の知る権利に犠牲的精神を発揮した公務員を唯形式論で罰するのでは国民は納得できない。


宮古、台湾海峡の防御は万全、バシー海峡の守りを固めよ!

2010.12.06(Mon)JBプレス 保井信治

 尖閣諸島海域における我が国巡視船と中国漁船の衝突事件に、我が国政府は場当たり的な対応に終始して国民の顰蹙を買ったが、唯一、米国国務長官から尖閣は日米安保の対象であるとの明確なメッセージを引き出したことは大きな成果であった。

中国のやり方は中東のテロリスト並み!

しかも、国際社会は今回の中国の行為に眉をひそめた。中国の採った態度はまさに人のもの欲しさに何でもありの強談判であり、最後は人質を取るなど中東のテロリスト並みの手も打った。

 これが国連常任理事国とは聞いて呆れる悪行三昧である。さらに、中国国内では反体制に発展しかねない反日デモが頻発するなど、中国にとってはまさに様々な意味で「藪蛇」となった格好である。

 ところで、中国をそこまで強気にさせている要因は何か。

 巷間、様々な分析がなされ、マスコミをにぎわしているが、いまや我が国を抜いて世界第2位の国内総生産(GDP)を誇ろうかという経済力、および過去20年間その経済力を注ぎ込んで急速な近代化を達成した軍事力が背景にあることは万人の認めるところであろう。

 特に軍事力に関しては、海・空軍の近代化およびその増勢には確かに目を見張るものがある。

 そして、最近、中国軍関係者およびマスコミには、中国海軍は海上自衛隊を凌駕する戦力を築き上げたという発言が随所に見られるのも事実である。もう海上自衛隊を恐れる必要はない、と。

 しかし、本当にそうであろうか、果たして中国海軍はそこまでの実力を手にしたのであろうか。

 今回のリポートは、最近新聞紙上に度々登場する、「第1列島線」なるものを少し詳しく見ることを通じて、台湾の重要性および中国海軍が当面する根本的な制約を指摘してみたいと思う。

第1列島線とは何か!

いわゆる「第1列島線」とは、中国が海軍建設の道程を示す規準として使用した概念である。

 図に示すように、我が国の南西諸島、台湾およびフィリピン、ボルネオなどの国々をつなぎ、台湾島を挿んで東シナ海および南シナ海をすっぽりと囲んでいる。

 中国は2010年までに、まず、この線で囲まれる海域の支配権を確立することを目的に海軍を整備していると言われる。

 ちなみに、その先には、小笠原列島、グアム、サイパンをつなぐ第2列島線があり、2040年までには第2列島線で囲まれる海域の支配権を確立する計画である。さらに2040年以降は米国海軍と同等の海軍を目指しているとも言われる。

 その目的は海洋資源の独占および台湾解放と米国の軍事的影響力の排除である。しかし、ここに揚げられた国名、地名はすべて中華人民共和国の領土ではない。


1 台湾海峡(と中華民国軍)

台湾海峡を台湾北部の都市・台北および同南部の都市・台南と大陸の距離で測れば、最狭部は約130キロ、広いところでも約210キロである。

 また、台湾海峡の水深は驚くほど浅く、海峡全域の水深はほぼ100%近くで水深50メートルより浅い。

 特に台南と大陸福建省詔安間の水深は、台湾島と台湾島の西約50キロ沖にある澎湖島間の澎湖港道を除くと30メートルより浅く、そのうえ、水深10メートルを切る海域も相当に広い。

 海図を見ると触雷したのか、それとも座礁したのであろうか点々と沈没船の印が目につく。

 また、台湾海峡には、大陸側の福建省沿岸に10キロ内外の距離を隔ててへばりつくように中華民国が実効支配する金門県金門諸島および馬祖群島(閩江河口外を囲むように広く点在)があり、金門諸島も馬祖群島も堅固に要塞化され中華民国軍が護りを固めている。

大日本帝国海軍の潜水艦も避けた台湾海峡!

さらに、前述の澎湖群島は、大小合わせて90の島々からなるが、人が住んでいる島はそのうちの19島であり、中華民国軍が同様に護りを固めている。

 さて、この海峡を大型の艦船が行動するには単純に水深から見ても、行動の自由を大きく制約されることがお分かりになると思う。

 加えて、台湾島沿岸および前述の島々には中華民国国産の地対艦ミサイル雄風II(射程80キロ)、雄風III(ラムジェット推進超音速、射程300キロ)が配備されている。

さらに、機雷敷設の危険性を考えると、中華人民共和国は空母どころか普通の軍艦でさえ通峡させようとはしないだろう。

 まして、澎湖港道以外浮上しないと航行できない潜水艦も台湾海峡を通過させることはあるまい。ちなみに、大日本帝国海軍も潜水艦は台湾海峡を使用していない。

 併せて、中華民国空軍についても触れてみたい。同空軍には現在、「F16A/B」戦闘機150機、「ミラージュ2000-5」戦闘機60機、国産の「経国(F-CK-1)」戦闘機130機が第一線で運用中である。

これらはいずれも中国空軍が有する「スホイ27」戦闘機76機(ロシアから輸入)、「J11」戦闘機(同ライセンス国産)96機、国産「J10」戦闘機100機と性能的にほぼ互角もしくは凌駕していると言われている。

 さらにパイロットの技量および管制システムを含めた総合力は中国はまだまだ台湾の比ではない(中華民国空軍に詳しい空自OB)。

 また、前記のほか中国はロシアから戦闘攻撃機「スホイ30」を90機購入しているが、台湾海峡の制空権は中華民国が今も譲らない実力を有していると言えるだろう。

加えて、ロシアが中国に売却する戦闘機は自国より性能の落ちる輸出バージョンであり、しかも、中国向けバージョンはインド向けよりも性能が劣る。

 一方、米国の台湾向けF16A/B戦闘機はA/B型としてはブロック20という高性能型であり、今は許可していない「F16C/D」型の売却も中国の戦闘機能力の進化を勘案しながら、いずれ認めることになろう。

 これが、米国、ロシアのバランス感覚であり知恵である。それならばと、中国は2020年頃の配備を目標に、第5世代戦闘機「J-XX」を開発中であると伝えられている。

中国に米国を凌駕する戦闘機の開発は不可能!

果たして、中国は米国の戦闘機を凌駕する戦闘機を国産できるのであろうか。筆者には、不可能と思えるのであるが、ゼロ戦の例もあるぞと航空機の専門家に笑われるであろうか。

 次に陸軍を見てみたい。中華民国は陸軍約20万人、加えて165万人の予備役を有している。

 ちなみに、中国は海兵隊1万人、陸軍140万人であるが、以上述べてきたところからも中国陸軍が台湾を武力制圧することは極めて困難であると言えよう。

 また、大陸には合計250基の発射台と1000発を超える「東風11」「東風15」弾道弾が台湾を照準していると言われるが、台湾にも、上海や三峡ダムを射程内とする射程1000キロメートルを超える「雄風2E巡航ミサイル」500発以上が反撃に備えているのである。

ダグラス・マッカーサーは朝鮮戦争当時、台湾は空母20隻に相当すると述べた。また、1996年に李登輝は総統直接選挙中演説で「中共には台湾攻撃の能力はない」と繰り返し発言した。

 確かに現在の中国軍の実力は当時とは歴然とした違いがあるが、上記の通り中華民国も相当の近代化戦力を保有している。

 てこずる間に、チベット族、ウイグル族、国内民主派勢力、農工と呼ばれる人々、あふれる失業者が各地に蜂起して国内が騒乱状態に陥り、台湾解放どころではなくなる可能性は極めて高い。

 ちなみに、貧富の格差を示す「ジニ係数」は、中国では2007年に0.47であったが、2010年には社会の安定が危ぶまれるとされる0.5をついに超えたのではないかと言われている。

 話が飛躍したが、つまり、中国海軍は中華民国軍が健在である限り、台湾海峡を通過することはできない。

 従って、中国海軍艦艇が、太平洋に交通し、あるいは東シナ海と南シナ海を交通するためには沖縄本島と宮古島間の宮古海峡および台湾島とルソン島(フィリピン)間のバシー海峡を常用することになる。

2 宮古海峡

 奄美群島、沖縄群島および先島群島の中で島と島との距離が最も離れているのが沖縄本島と宮古島の間であり、宮古海峡と呼ばれるその距離は約270キロ。

なお、同海峡以外にも与那国島と西表島間および与那国島と台湾島間は他国の領海を通過することなく通狭できる海峡であるが、その領海部分を除くと、幅は前者がわずか約26キロ、後者は約70キロであり、常識的には、自由度が制約される狭い海峡を通過することは避けるであろう。

宮古海峡は陸自の地対艦ミサイルの餌食に!

 そこで、沖縄本島、宮古島間の宮古海峡を常用航路とするわけであるが、我が国には陸上自衛隊が地対艦ミサイル「SSM1」を有し、さらに「SSM1改」を開発中である。

 前者の射程は百数十キロ以上、後者はその2倍である。つまり、SSM1であれば沖縄本島と宮古島に配備すれば、SSM1改ならばどちらかの島に配備すれば海峡全部を射程内に収めることができる。

 なお、このSSMは車載され容易に移動できる。中国海軍は、有事、これらの島々を占領しない限りこのSSMの脅威を排除することは難しい。

 また、たとえ占領したとしても、占領を維持するための弾薬・資材・燃料・重機・食糧などの補給には相当の犠牲を払わなければならない。


なぜか。まず、単純に、これらの島々は中国から遠い。最も近い大陸から宮古島までは約570キロ、与那国島までは約380キロ、尖閣諸島までは約350キロも離れているが、補給を維持するためには隠れるところのない洋上をこの距離、補給部隊が進出しなければならない。

この間に、我々は、南西諸島を島伝いに進出、あるいは先島群島に基地を設けるなどした海自潜水艦、ミサイル艇、護衛艦、「P1」「P3C」哨戒機(対艦ミサイル装備)、空自F2支援戦闘機、陸自AH64アパッチ攻撃ヘリコプター、地対艦誘導弾SSM1(同改)等で重層的に阻止ラインを重ねて敵の補給部隊を阻止することができる。

 占領部隊は容易に孤立してしまうだろう。

 また、そのためには、石垣島、宮古島、下地島等々、島々の民間空港の活用を図ることが必要であるが、制空権の獲得も我が国には有利である。米空軍および米海軍空母の支援も期待できる。

 従って、有事、この海域を航行できる可能性が残る中国の艦船は潜水艦のみとなる。潜水艦を無力化するにはまず見つけることが先決であるが、そのためには、狭い海峡に網を張り、航行できる幅を極力狭くすることが有効である。

宮古海峡は原潜の通過も困難に近い!

 現在の技術をもってすれば、水深1000メートル程度でも音響センサーや有効な障害物および機雷の敷設は可能である。

 宮古海峡で水深1000メートルを超えるのはわずかに幅約40キロであり、残りは500メートルより浅い。

 従って、500メートル以浅には障害物、機雷などを、水深1000メートルを超える幅40キロには係維センサー、哨戒航空機などによるソノブイフィールドの設定、AOS(音響測定艦)の配備ならびに潜水艦を待機させるなど複数のセンサー群を運用して、探知が得られ次第、潜水艦もしくは、対潜哨戒に当たる護衛艦、艦載ヘリコプター、固定翼哨戒機(P1、P3C)などを使用して攻撃するのである。

 中国潜水艦も容易には宮古海峡を通狭できない。

 次に、もう1つ、この海域に進入することができる海峡がある。台湾島とルソン島間に横たわるバシー海峡である。南シナ海の海南島には中国海軍の新型原子力潜水艦および最新鋭大型艦が多数配備された南海艦隊がいる。

3 バシー海峡

台湾島南端とルソン島間の距離は約360キロあるが、ルソン島からは北へ、バブヤン諸島、バタン諸島などが隙間なく連なり、その北端の島ノースアイランドと台湾南端の小欄嶼島間はわずか90キロしかない。

 しかも、水深が50メートル以上あるのはさらに幅40キロ足らずである。ここまでの条件は宮古海峡とほぼ同じである。

 しかし、バシー海峡を挟む東西の海域は水深2000~3000メートルの深海であり、幅40キロの海域も水深50メートルから急激に2000~3000メートルの深海に達している。

 また、ここは、我が国領海ではなく、深さ的にも障害物などの設置は困難である。付近には、基地を提供してくれる我が国の島々もない。

潜水艦の探知が難しいバシー海峡!


 従って、公海上に宮古海峡と同様の阻止ラインを構築することは可能であるが、特に潜水艦の探知は宮古海峡と異なり相当困難になるものと予想できる。

「しもきた」型LST3隻、「ひゅうが」型DDH2隻、および一回り大きい平成22(2010)年度計画DDH(2隻計画)は、基地を提供する島々の代わりとして、海自対潜ヘリコプターはもちろん、陸自攻撃ヘリコプター「AH64Dアパッチ」の母艦としても大いにその存在感を示すことができるだろう。

 対艦弾道弾にはイージス艦の「SM-3」で対処すればよい。しかし、この方面から来る中国南海艦隊の原子力潜水艦には、深海を行動する場合の探知が可能である音響測定艦の増勢など、さらなる対策が必要である。ここを通してしまえば、我が国のシーレーンに大きな脅威となる。

おわりに

 以上、縷々述べてきたことは、有事、中国海軍が第1列島線の外に出ること、否、近づくことすら自殺的行為であること。

 ただし、バシー海峡方面から進出する中国原潜には十分な警戒とさらなる対策が必要であること。

 また、尖閣諸島、先島群島をたとえ一時的に占領されたとしても、中国海軍にはその維持が困難であること、である。

 しかし、前述した中には、我が国が既に手にしていることのほかに、我が国がまだ手をつけていないものの、手を打てばという前提があることを改めて確認しておきたい。

それは、先島群島への陸上自衛隊など所要部隊の常駐であり、海上自衛隊の掃海艇、ミサイル艇など小型艦艇の寄港、補給が可能な設備の構築などおよび石垣島、宮古島などの民間空港は特に航空自衛隊との平時からの共同使用である。

 また、台湾が我が国に敵対する勢力によって支配されていないことが大前提であることも改めて指摘しておきたい。

台湾が中国の手に落ちればすべての策は水泡に帰す!


 今回、言及しなかったが中華民国は海軍も相当の戦力を保有している。しかし、台湾が中国に支配される時、尖閣諸島、先島群島は我が国から近く大陸から遠い島から一転して中国に近く、我が国から遠い島と化して、ここに述べた策はすべて水泡に帰す。

 従って、我が国政府は台湾有事に備えて、当然予測される中国の恫喝に臆することなく、迷うことなく周辺事態安全確保法を速やかに発動する決意と周到な準備をしていなければならない。

 民主的な台湾は、まさに我が国とは運命共同体であると言っても過言ではない。我が国政府が、その時になって慌てふためき、事後、そのことに気づいても致命的に遅いのである。

 最後に、筆者は、中国海軍の現状を見て、井戸の中の蛙が井戸の外に出て、イソップ物語にあるごとく、第1列島線付近で懸命に腹を膨らましている図を思い描くのである。

 もっと、もっと、と囃し立てているのは、ロシアと米国である。

 ロシアは軍需産業への資金調達と、中国のエネルギーを海洋方面に浪費させること、米国、特に米海軍にはソ連海軍という脅威が消滅した後の悪者が必要である。

 中国には冷静に海洋戦略を見つめ直すことを勧めたい。力ずくで近隣諸国の資源を奪いにいくのか、それとも他国の資源には資金を投資し、共同開発して平和的に安価な資源を確保するのか、である。

 また、我々も冷静に中国海軍を見つめ直すことが肝要である。本質をとらえ、必要な手を打てば、中国海軍を、たとえ空母を保有したとしても、いたずらに恐れることはないのである。

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