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2010年度 グッドデザイン賞 受賞(トゥギャッター株式会社)
http://www.g-mark.org/award/detail.html?id=37046


「Togetter」で起業した開発者の吉田俊明さん。「Togetterは小さな声を広く一般に伝える拡声器」と“まとめ”の可能性を語る。

2010年12月21日 ITmedia

Twitterのつぶやきをまとめられるサービス「Togetter」(トゥギャッター)の存在感が増している。昨年9月に公開し、月間ページビューは900万、月間ユニークユーザーは200万にのぼる。開発者の吉田俊明さん(29)が、Web制作会社に勤めながら個人で運営してきたが、今年6月に会社を辞め、Togetterを運営する株式会社を設立した。

 「自分が開発したサービスに独立せざるを得ない状態に追い込まれた」。Togetterの規模が増し、システム開発やユーザーサポートの業務は片手間では支えきれないほどに。Togetterがもうかるかは「よく分からなかった」が、このままではマネタイズ方法を考える時間もない。起業し、腰を据えて取り組むことを決心した。

 さまざまな個人のつぶやきがTogetterにまとめられ、まとめを中心に議論が起こる。「小さな声を広く一般に伝える拡声器みたいで面白い。Togetterで何かを変えたい」――吉田さんが言葉に力を込める。

Togetterでつぶやきが“うねり”に!

Togetterは、Twitterのつぶやきをドラッグ&ドロップで自由に並べ替え、1ページにまとめられるサービス。昨年9月に公開し、ブレイクしたのは今年1月3日。pixiv上での著作権に関連するまとめができ、はてなブックマークで注目を浴びて利用者が急激に伸び始めた。

 これまで累計で約7万9000件、1日に約300件のまとめができている。編集者が語る京極夏彦さんのデビューエピソードのように1人のつぶやきをまとめたものや、青少年健全育成条例成立に関するまとめのように、さまざまな人の意見を集めたものもある。

 吉田さんは名刺の裏に、話題になったまとめのタイトルと概要をプリントしている。「天空の鯖ラピュタ」「【ツイッターの奇跡】亡くなった父が最後に撮影した公園を探してください」「ブラック企業から残業代を回収したところまでの一連ツイート」など、名刺にプリントしたまとめは20種類ほどある。

 宮崎県で口蹄疫が発生した際には、現地の酪農家や行政側の声がいち早くまとめられ、口蹄疫問題への関心がTwitterで高まった。都心の集中豪雨の様子をレポートするつぶやきのまとめは被害状況の把握に一役買った。Togetterは「多くのつぶやきの流れを可視化し、うねりを作ることができる」と語る。

 つぶやきが、発言者以外のユーザーによって偏った視点でまとめられてしまうこともある。今年7月にまとめに使われた自分のつぶやきを削除できる機能を追加。まとめの削除依頼が吉田さんのもとに届けば、中身を検証して実際に削除したり、依頼者とまとめ作成者を仲介したりしている。まとめの削除依頼が吉田さんのもとに届くのは月に1回ほど。ユーザーが納得し、安心してTogetterを利用できるよう「環境整備していく」と話す。

独立せざるを得ない状態!?

Togetterは吉田さんがヤフー在籍時に個人で開発した。その後、Web制作会社バスキュールに転職し、趣味の範囲で運営してきたが、サイトの規模が増すにつれ、システム開発やユーザーサポートに費やす時間も長くなり、片手間では支えきれないほどに。「ユーザーが安心して使える環境を担保する」ため、今年6月にTogetterを運営する会社トゥギャッターを設立した。

 起業前、Togetterの収入源はアフィリエイト広告のみで、収入はほとんどなかったという。今後ももうかるかは「よく分からなかった」が、当時はマネタイズ方法をじっくり考える暇もないほど忙しい状態。腰を据えて収益化に取り組むためにも「とりあえず法人化してしまえばいいんじゃないか」と考えた。

自分が開発したサービスに独立せざるを得ない状態に追い込まれた」と冗談っぽく語る吉田さん。まさか自分が社長になるとは、1年前には思いもしなかったという。

 トゥギャッターの社員は吉田さん1人だ。資本金は非公開。都内のあるIT企業から、Togetterの営業活動や資金面をサポートしてもらっている。収益源はTogetterに掲載する広告。今後はTogetterのまとめに説明を加えたり、内容を要約したりした上で、外部に有料で提供したり、提供先での広告売り上げを提供先とシェアする――といったビジネスも検討している。

Togetterは「拡声器」「メディア」!

吉田さんはTogetterを「メディア」と表現する。「情報発信ツール」というイメージだ。個人のつぶやきがTogetterでまとめられ、それをもとにネット上で議論が起こるように、「Togetterは小さな声を広く一般に伝える拡声器みたいな感じ。それはメディアがもともと持っている本質という気がする」と語る。

 12月にスタートしたTogetterの英語版「Chirpstory」(チャープストーリー)は、Togetterよりシンプルで、まとめのタイトルの文字サイズが大きいなど、海外のニュースサイトを参考にしたデザイン。海外のユーザーに「普段ネットニュースを読んでいるのと同じ感覚で、Chirpstoryを受け入れてもらえれば」と期待する。

 海外展開は、Togetter開設当初からチャレンジしたいと考えていた。GoogleやFacebookが世界的なサービスに育っていったように、Webサービスで起業し、世界を目指していくことは「Web業界では自然な流れ」と話す。

Chirpstoryは公開されたばかりで、アクセスや作成されたまとめの数はまだまだ少ないが、1つのまとめをきっかけに急激にアクセスを伸ばしたTogetterのように、Chirpstoryも「RTの連鎖が止まらないようなコンテンツができれば」ブレイクするのではと考えている。吉田さん自身もChirpstoryでまとめを投稿し、地道にコンテンツを増やしている。

 今後の目標をたずねると、「Togetterを中心にして、つぶやきで世界が変わったら面白いと思っている」という答え。「Twitterはこれまでは無視されてきた小さな力を大きな流れに変える力を持っている。Togetterはその力をさらに強くできる。Togetter発で政治や政策が変わったりしたら面白いですね」

 つぶやきがTogetterを通して広まることで「1人のクレームや誰かのちょっとした失敗が、企業や政治に大きな影響を及ぼしてしまうかもしれない」という難しい側面もある。「まだまだTogetterは進化の途中。ユーザーのみなさんと新しい形のメディアプラットフォームの進化を楽しみたい」

 

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ITmedia News 1月21日(金)

「ぼくたちはいいまんがも、悪いまんがも、ちゃんと自分でえらべます(ω)」――昨年12月に改正案が成立した東京都の青少年育成条例について、子どもの目線で書かれたこんな意見が、ネットで注目を浴びた。「はるかぜちゃん」こと、横浜市に住む小学4年生の春名風花(はるな・ふうか)さん(9)が、Twitterに書いたつぶやきだ。【岡田有花,ITmedia】

はるかぜちゃんは長文で意見を披露。「きれいなものや、笑えるものだけみせて育てた子供が人にやさしい大人になるとは、ぼくは思いません(ω)(ω)」など、子ども離れした鋭い洞察と文章力が話題になり、「大人のなりすましでは」ともうわさされた。

 だが書いていたのは、はるかぜちゃん本人。大人が書いたと疑われたと知った時には、「そーじゃなーい! と、家でぐるぐるまわって怒りました」。大きな目で、相手の目をじっと見て話す。身長127センチと小柄できゃしゃ。声は高く、かわいらしい。

 特撮番組「満福少女ドラゴネット」(tvk)や子ども向け番組「ラメキーノ」(テレビ東京)、映画「カムイ外伝」などに出演している。漫画やアニメ、しょこたん中川翔子さん)が好きで、子役の仕事も大好き。「ひぐらしのなく頃に」の実写版に出演することが夢だ。

 0歳からモデルとして働き、3歳から自分のケータイを持ち、ブログを書いてきた。9歳にして芸歴9年、ブログ歴6年。大人に伝わる文章力を、漫画とブログと芝居で磨いている。

●3歳からケータイ、ブログ 操作法、いつの間にか習得

 ネットデビューは0歳のころ。母の郁世さんが書いていた育児ブログ(現在は削除)に実名で“出演”し、雑誌などのスチールモデルの仕事も受けていた。「親バカだったので、赤ちゃんの写真があちこちに載るのがうれしくて」。郁世さんは振り返る。

 3歳のころ、携帯電話を買い与えた。「赤ちゃんのころからケータイが好きで、自分のを壊されたくなかった」(郁世さん)というのが理由。操作法は教えていないが、ある日、託児所から父親あてにメールを送信してきたという。本人は当時のことを忘れていて、操作法をどう習得したのかは分からないままだ。

 初めてブログを書いたのも3歳のころ。「テレビに出るようになって、育児ブログに子どもへの話しかけが増えた。母がしゃしゃり出て勝手に返事するのも変なので、やれるならやってみなさいと」(郁世さん)と、ケータイから書かせ始めた。

 当時の所属事務所のブログ(現在は削除)も、3歳のころから自分で更新。仕事のことや飼っている猫のこと、好きだったアニメ「ローゼンメイデン」のことなどをひらがなだらけの文章でつづり、母に撮ってもらった写真とともに更新していた。

 所属事務所が変わった今も、携帯電話からブログを書き続けている。毎日のちょっとした事件をリポートしたり、仕事や夢を語ったり。更新頻度は事務所イチだ。

 芸能事務所は、子役によるネット発信を禁止しているところがほとんどという。撮影情報など秘密の漏えいを防ぐためだ。だがはるかぜちゃんの所属事務所・スマイルモンキーは珍しく、公式サイトでタレントにブログを書かせている。「優しい事務所。自分の思うことを書き込める場所があることがうれしいです」(はるかぜちゃん)

●「ブログは思ったことを全部書けない」 9歳でTwitter

 9歳になったばかりの3月に、Twitterを始めた。仕事場でスタッフがTwitterについて話していたのを聞いて興味を持ち、母に登録してもらったという。操作法もすぐ習得した。

 Twitterは以前、13歳未満のユーザーによる使用を規約で禁止していたが、その条項はすでに削除されている。Twitterのプライバシーポリシーには現在、13歳未満が保護者に許諾なく個人情報を提供した場合の対応が書かれているが、13歳未満による利用は禁止していない。

 使い方は大人のTwitterと変わらない。「撮影も、あとちょっとです(ω)今日もさむいねむいがんばりまん(ω)」「天下一品こってりラーメンさいこう(ω)」など日々思ったことをつぶやき、番組を見てくれたファンなどとリプライで交流。ハッシュタグを付けてつぶやくこともある。

 Twitterはブログより楽しいという。「ブログだとみんなが見るし、思ったことを全部書けない。(事務所のブログはコメント欄がないので)返事ももらえない。Twitterのほうが、返事とかほかの人の意見が聞けるので楽しいです」

 大人をはっとさせるつぶやきも多い。例えば、大人が考える「子どもらしさ」について。「大人がすきな子どもらしい子なんか本当は、いないです(ω)かしこい子どもは、大人が笑ってくれるからそうしてるだけ(ω)」と喝破する。

 普段から子どもであることに甘えず、自分の意見をはっきり言うため、「生意気」「こまっしゃくれている」と嫌われ、損することも多い。監督など仕事場の大人に甘えれば好かれるし、もっとせりふや役をもらえるかもしれない――と分かっていても、はるかぜちゃんは「自分を隠したくない」と貫く。

 Twitterやブログではよく“しゃべる”が、普段はおとなしい。家では部屋にこもってずっと漫画を読み、いろいろ考えているという。ネットは気持ちをはき出せる場所。「普段はあまりしゃべらないけど思うことはいろいろあって、怒った後とかに、Twitterにだーっと書いたり」するそうだ。

 気持ちをリアルに表現できる自分だけの言葉を探し続けている。例えば「(ω)」は、「(^ω^)」を間違えて入力したことから生まれたオリジナルの記号だ。口頭では「わたし」と自称するが、Twitterの1人称は「ぼく」。そのほうがしっくり来るからだ。漢字は得意だが、「かわいいから」とひらがなを多用する。しょこたんの「がんばるお」にあこがれ、小学2年生のころ「がんばりまん」という言葉も発明した。

●「全部漫画に教えてもらった」

 都の青少年育成条例問題についても、自分で考え、意見をつぶやいた。普段は見ないニュース番組をたまたま母と見て、「大好きな漫画が読めなくなってしまうかもしれない」と不安になり、Twitterに気持ちをぶつけた。

 はるかぜちゃんの家には、1000冊ほど漫画があるという。3歳のころ、祖母の家にあった「ガラスの仮面」にのめり込み、母が持っていた漫画も読みあさり、祖母が送ってくれた漫画も読み、書店で自ら新しい漫画を発掘し――古今の漫画を読みためてきた。漫画本は自分の給料で買っている。

 「ひぐらしのなく頃に」や「GANTZ」「カムイ外伝」「パタリロ」など、暴力表現や差別表現、性表現などがあり、一部の大人が「子どもに見せたくない」と言うような漫画にも、大好きな作品がたくさんある。都条例改正で、そんな作品が読めなくなってしまうのではないかと、ニュースを見て不安になった。

 一番好きな漫画「ひぐらしのなく頃に」は、小学校2年生のころ本屋で見つけて初めて読んだ。殺人や流血シーンもあるが、「いろんな感情を教えてもらった漫画」で、子どもも「読まないともったいない」と思っている。「邪魔な人間を殺してでも幸せをつかもうとして、でもやっぱり無理で、こんなことをしなけりゃよかった、と後悔する漫画。人を傷付けたら一生自分は幸せになれない、人を傷付けたらダメなんだ、ということが分かる」漫画だ。

 「全部漫画に教えてもらった」。はるかぜちゃんの人生は、漫画で変わった。本気で演技に打ち込もうと思ったのは、「ガラスの仮面」で真剣に演技する北島マヤに心を打たれたから。漢字も難しい言葉も、立場の違う人たちの思いも、優しさや悲しさ、命の大切さも、漫画に教えてもらった。漫画のキャラと同じ立場の人物は、キャラになり切ることで上手に演じられる。

 Twitterに書いた、「ぼくたちはいいまんがも、悪いまんがも、ちゃんと自分でえらべます(ω)」は、漫画で学んできた9歳の、切実な叫びだ。「きれいなものや、笑えるものだけみせて育てた子供が人にやさしい大人になるとは、ぼくは思いません(ω)(ω)」「都条例ぷんすか(ω)」。こんなふうにも書いた。

 都条例に関する一連のつぶやきは「Togetter」にまとめられ、ニュースサイトにも取りあげられ、大人からたくさんのメッセージが届いた。「思っていることを書いただけで、そんなにみんなに喜んでもらえると思わなかった。賛成してくれる人が多いとは思わなかったです」と、はるかぜちゃんは振り返る。

 ブログOKの事務所だが、子役によるTwitterは認めていなかった。だが出演番組の宣伝のためという名目で、はるかぜちゃんのみ特別に許可。昨年いっぱいの期間限定という約束だったが、「はるかぜちゃんの感性と独特な文面による表現力をこのまま封じ込めてしまうのはもったいない」と、今年に入っても許している。

 

●2ちゃんの実況板までチェック

 はるかぜちゃんのネットツールは主に携帯で、PCは「ニコニコ動画」でアニメを見る程度。ただ、出演番組の放送が終わった後、母に、「2ちゃんねるの実況板を印刷して見せて」とねだることがあるという。「自分の仕事について、どういうことが書かれているかが気になる」(はるかぜちゃん)からだ。

 「このガキうぜぇ、氏ね」などかなりひどいことも書かれているが、郁世さんは隠さず見せる。「大人は子どもには悪いことを言わないので、子役は調子に乗っていくが、それだといつまでたってもうまくならない」と考えているためだ。

 はるかぜちゃんは根拠のない中傷には怒り、演技の批判からは学び、ほめ言葉には大喜びする。嫌なことが書いてあっても、「一晩寝るところっと忘れて、ほめ言葉だけ覚えている」(はるかぜちゃん)という。

●「子どもは結構、賢いんじゃないか」

 「何かを教えたり、制限することもなかった」――郁世さんははるかぜちゃんを、「小さな大人」として育ててきた。幼児語を使ったり言い換えたりせず、大人の言葉で対等に接している。自分もそうして母に育てられたという。

 漫画も自由に読ませているが、不安はないと話す。「子どもは結構、賢いんじゃないか。くだらないエロ漫画を買ってくることもあるが、つまらないと言ってブックオフに売っている。魚の骨を取ってやるように、必要なもの、不要なものを大人が分けてあげることもないのではないか。演技をするなら、人の汚いところも見ておいた方がいい」

 携帯電話も自由に使わせており、はるかぜちゃんはモバゲータウンやGREEでも遊んでいる。だが課金ゲームで散財することもなく、モバゲーやGREEで出会う見知らぬ人は警戒している。「何を使うにしても使う人の問題だと思っていて、うちの子どもは大丈夫と、変な信頼をしている」(郁世さん)

●「ひぐらし」実写版に出たい

 はるかぜちゃんの次の夢は、実写版「ひぐらし」に出演し、ヒロイン・古手梨花を演じることだ。ひぐらしの実写版映画は過去にあったが、小学生のキャラクターを高校生の役者が演じていて「違う」と思ったそう。髪型などキャラのイメージも原作と大きく異なっており、「ひぐらしの監督さんやメイクさんは、何を考えているのかと思いました」とはるかぜちゃんは憤る。

 ひぐらし実写版の話がいつ来てもいいよう漫画を読み込み、アニメを何度も見て、せりふを練習している。もうすぐ5年生。「梨花役は、5年生まではいけると思う。あと1年!」と気を引き締める。

 郁世さんはだいぶ前から“ステージママ”に飽き、娘の仕事に付き合うのにも疲れてきたという。子役を続けているのは、はるかぜちゃんの強い意思。「仕事があるしやわせにかんしゃなのです(ω)」「昔の仕事のろくがをみるといつも、へたに見えて後悔するから、何年たって見ても後悔しない演技をのこしたいです(ω)」――Twitterには仕事への思いもつづられている。

 将来の夢を聞くと、「このままずっと演技を続けて、見てくれた人が感動したり、応援してくれるような女優さんになりたい」という答え。声優や歌手もやってみたいというはるかぜちゃんの毎日は、「@harukazechan」でフォローできる。

Xi (携帯電話)
http://ja.wikipedia.org/wiki/Xi_(%E6%90%BA%E5%B8%AF%E9%9B%BB%E8%A9%B1)


nikkei TRENDYnet 1月20日(木)

2010年12月24日、NTTドコモは次世代通信規格「LTE」による高速データ通信サービス「Xi(クロッシィ)」を開始した。最大75Mbps、屋外で最大37.5Mbpsという光インターネット回線にも迫るほどの高速通信速度は本当に出るのだろうか。Xiの実力を見ていこう。

次世代の高速通信規格として期待が高まるLong Term Evolution(LTE:ロング・ターム・エボリューション)は、100Mbps超の高速通信速度と帯域の広さ、遅延の少なさを特徴とする。海外では、米ベライゾン・ワイヤレスなどがサービスを提供。国内ではNTTドコモが先陣を切り、KDDIやイー・モバイルも2012年以降にサービスを開始する予定だ。

 NTTドコモがサービスを開始したLTE「Xi」(以下、クロッシィ)は、屋外37.5Mbps、羽田空港や新大阪駅などの一部屋内では75Mbpsという高速通信が特徴。クロッシィ対応端末の追加投入やエリア展開が本格的になる2012年以降は、周波数帯域幅を拡大し、さらに高速化する予定だ。

▼LTEの利用周波数帯域幅と通信速度

 クロッシィのエリアは、2011年1月現在で東京、名古屋、大阪の三大都市圏内の市街地に限られる。ただし、クロッシィ端末はFOMA(HSPA)ネットワークにも対応しており、クロッシィのエリア外では従来のFOMA端末と同様に利用できる。つまり、基本的には対応エリアを気にする必要はない。

 今回、実際にクロッシィ対応USBデータ通信端末「L-02C」を使用して、東京の都心部と大阪で通信速度や使い勝手をテストした。LTEの特長である低遅延性能を試すため、ヤマハが開発中の遠距離音楽セッションツール「NETDUETTO β」についても実験している。

料金プランは2種類。定額制で通信できる期間限定キャンペーンに注目

 料金プランは、2年間の継続契約を前提とした「Xiデータプランにねん」とノーマルな「Xiデータプラン」の2種類があり、基本使用料は前者が1000円、後者が2470円となる。どちらも従量制だが、「クロッシィスタートキャンペーン」として、2012年4月30日まではそれぞれ上限4935円、上限6450円で契約できる。もちろん、プロバイダーとしてmoperaUのUスタンダードプラン(525円/月)の契約も別途必要だ。

 現時点でL-02C本体は0円で販売されており、店舗によってはキャッシュバックを実施しているところもある。4月30日までにmoperaUに新規加入すると、NTTドコモのホットスポットサービス「公衆無線LAN」を1年間無料で利用できる。

 2012年4月30日以降に契約した場合はパケット上限の設定がなくなり、使った分だけパケット代がかさんでしまう。クロッシィの契約を考えているのであれば、キャンペーンや料金プランが切り替わるタイミングには注目しておいた方がよいだろう。

▼2012年4月30日以降の「クロッシィ」料金

クロッシィ対応データ通信端末は、USB接続の「L-02C」を用意

 国内初のクロッシィ対応USBデータ通信端末「L-02C」。前述のとおり、この端末はクロッシィ(LTE)に加えて既存のFOMA(3G)ネットワークにも対応している。クロッシィのエリア外では下り最大7.2Mbps、上り最大5.7Mbpsで通信可能だ。

 ノートパソコンで利用する際の平均消費電流は、クロッシィ(LTE)エリアで380mA、FOMA(3G)エリアで310mAとなっている。同じLGエレクトロニクス製のFOMA専用USBデータ通信端末「L-05A」の平均消費電流は260mAと、消費電流はやや増えている。だが、実際にはバッテリーが急激に減るといったことはなかった。

屋内の高速エリアではFTTH並みの通信速度を実現!

 クロッシィの本領が発揮できる下り最大75Mbps、上り最大25Mbpsに対応した室内設備での速度について見てみよう。2011年1月現在でこの高速通信に対応しているのは、全国でも羽田空港、アーバンネット名古屋ビル、新大阪駅構内の一部、阪急BIGMAN前、ドコモモバイルメディアラボ梅田のみとなっている。屋外での展開にも期待したい。

▼高速通信対応エリアでの通信速度テスト

 結果だけを見れば、従来のFOMAなどの3Gモバイルデータ通信と比べてかなり良好な結果が出た。とはいえ、フロアの多くがクロッシィに対応した羽田空港以外はエリアがとても限られており、実用性はまだ低いといえる。UQコミュニケーションズのモバイルWiMAXと比べた場合、クロッシィは倍の周波数幅で通信していることを考えると、もう少し速度が出てもよさそうだ。

屋外では、下りは高速だが上りの速度が伸び悩む

 今度は、ダウンロードが最大37.5Mbps、アップロードが最大12.5Mbpsとなる通常エリアでの計測結果を見ていこう。都内での計測結果では、下り速度はおおむね高速だが、上り速度が思うように伸びなかった。クロッシィのエリアは、FOMAネットワークならHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)に対応していることが多く、上りで1Mbpsを超えることも珍しくないだけになおさら残念だ。

▼クロッシィ対応エリアでの通信速度テスト

 今回のテストでは、5回計測したデータのうち中央の3回分から平均値を出している。ただ突発的に極端な速度が出た現象についても記述しておきたい。東京駅で下り16.89Mbps、上り0.31Mbps、新宿駅西口では下り22.13Mbps、上り4.12Mbpsという数値が確認できた。しかし、それらが計測されたのは一度だけで、以後は表の平均値に近い値しか出なかった。新宿駅西口並みの速度がコンスタントに出れば、クロッシィの評価も上がるのだが…。

 大阪では、エリアの端からエリアの中心部へ移動しながら速度を計測した。具体的には、大阪駅から東に約1km離れた天満橋駅から、クロッシィのエリア内となる谷町線中崎町駅方面に進み、都島通りを阪急梅田駅方面へ移動した。

 まず、クロッシィとFOMAのエリアの境界が続く天満橋駅付近のエリアだ。マンションの多さからか、中崎町駅に着くまではL-02Cが動作しなくなるなど不安定な状況が続いた。阪急梅田駅までの見通しの良い中崎町駅に着くと良好な計測結果を示したが、阪急梅田駅近辺に到着すると高架や高層建築物の影響か、通信速度は振るわなかった。このあたりは、クロッシィの基地局がFOMA並みに充実するまで仕方ないのかもしれない。

▼Xiエリア外からエリアの中心に向かってのスピードテスト

 ここまでのテストでは上り速度が遅いのが気になった。そこでJR川崎駅前でクロッシィとFOMA両方の通信速度を計測してみた。FOMAの上り最大5.7Mbpsに対応する数少ないHSUPA対応エリアという好条件だったこともあるが、上り速度はFOMAの方が良好だった。基地局の密度なども関係しているのだろうが、やや残念な結果だ。

▼川崎駅前でXiとFOMAの通信速度を比較

移動中の通信状況と、FOMAへのネットワーク切り替えを検証

 続いて、移動中の通信の実用性を検証した。JR山手線に乗ったままクロッシィネットワークに接続したところ、エリアが地続きになっているところであれば問題なく通信を継続できた。とはいえ、FOMAなどの一般的な3Gデータ通信と同じく、非移動時と比べれば通信速度は落ちる。

 クロッシィネットワークの接続中にクロッシィのエリア外へ移動すると、自動的にFOMAネットワークへの接続に切り替わる。切り替わりに要する時間は約3秒ほどで、LEDランプの変化を見ていなければ気づかないレベルだ。クロッシィからFOMAネットワークへ切り替わってもIPアドレスは変わらないので、通信中のインターネットサービスもそのまま利用できる。

 注意したいのが、クロッシィとFOMAネットワークの自動切り替えは、クロッシィのエリア外に出た場合に限られる。逆に、FOMAエリアからクロッシィエリアに進入しても、クロッシィネットワークへ自動的に接続されることはない。クロッシィネットワークへ接続するには、FOMA回線をいったん切断して接続し直さなければならないのだ。

低遅延通信は音楽セッションを可能にするか?

 NTTドコモの山田隆持社長は、クロッシィによって、リアルタイムの同時通訳やネットワーク接続を意識させないクラウドサービスが実現できるとしている。だが、それには、通信の速さだけでなく、ネットワークの遅延が少ないなどの総合的な品質が問われることとなる。

 そこで、ヤマハが1月6日から無償配布を開始した「NETDUETTO β(ネットデュエット・ベータ)」を利用し、遠隔地の人間とインターネット越しに音楽セッションやカラオケのデュエットが可能かを実験してみた。

 結果、フレッツ光とクロッシィを接続した場合の遅延は60msec前後と良好な値を示した。ちなみに、パソコンのオーディオインターフェース部分の遅延が6msec、事前にPingで測定した素の遅延が50msec前後だ。FTTH同士の接続に比べるとやや劣るが、この程度の遅延ならば音楽セッションも可能なレベルだといえよう。ちなみに、FOMA(HSUPA対応エリア)接続では140msec前後と、セッションどころか会話ですらストレスを感じるレベルだ。

 演奏や作曲を趣味とする知人にも、ギターでクロッシィでのNETDUETTO β環境を体験してもらった。知人いわく「セッションにも十分使える。演奏のリハーサルをしておけばより確実だが、見知った相手ならばアドリブにもついていけるだろう」とのことだ。

▼ヤマハ「NETDUETTO」利用時の遅延

 今回のテストでは、通信エリアや上り速度については不満だった。一方で下りの通信速度は速く、通信の遅延は少ない。驚かされるほどの性能を体感できた。特に、クラウド系サービスやFTPでのファイル転送時は、サービス提供者側による2Mbpsや1Mbpsといった速度制限すら気になるほどだ。遅延の少なさは、ブラウザーでの読み込みやリモートアクセスなども快適にしてくれる。

 現時点では、データ通信端末としてイー・モバイルやUQ WiMAXほどの優位性はない。ただ音声端末にもクロッシィが導入される今年後半には評価も変わってくるだろう。それまでに、より安定した高速データ通信サービスへと進化することに期待したい。

皆川部屋通信
http://minagawabeya.blog71.fc2.com/

Twitter新潟県議会議員 皆川雄二
http://twitter.com/#!/minagawabeya
ツイー党
http://tweetou.net/politicians/minagawabeya/

YouTube 皆川雄二 議員 (9月定例会)
http://www.youtube.com/watch?v=aju8YQdID3o

YouTube 皆川雄二 議員(2月定例会)
http://player.video.search.yahoo.co.jp/video/768985b90c818fd01f576197392d56b7?p=%E7%9A%86%E5%B7%9D%E9%9B%84%E4%BA%8C&b=1&of=&dr=&st=&s=&pd=&ma=&rkf=1&from=srp


◇1月22日午後2時より、新潟県魚沼市地域振興センターにて県政報告会を開催します。特別ゲストとして、新潟お笑い集団NAMARAナマラのケーシーズの健康講座が行われます。

皆川 雄二(みながわ ゆうじ、1967年6月8日 - ) は、日本の政治家。新潟県議会議員(魚沼市北魚沼郡選挙区、1期)。新潟県北魚沼郡小出町(現魚沼市)出身。

所属委員会
•2009年7月10日より
•厚生環境委員会(副委員長)
•少子高齢・青少年対策特別委員会

経歴
•1983年(昭和58年)- 小出町立小出中学校卒業。
•1985年(昭和60年)- 新潟県立小出高等学校定時制中退。
•2003年(平成15年)- 小出町議会議員当選。
•2004年(平成16年)- 魚沼市議会議員当選。
•2005年(平成17年)- 魚沼市議会議員当選(2期目)
•2007年(平成19年)- 新潟県議会議員当選。

関連項目
•齊藤隆景・大平悦子・井口一郎・関口芳史・上村清隆
•米山隆一・星瑞枝
•魚沼基幹病院・•雪国観光圏・尾瀬
•2014年問題
•日本の道州制論議

外部リンク
•皆川部屋通信
•魚沼から行く尾瀬

そうりゅう (潜水艦)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%9D%E3%81%86%E3%82%8A%E3%82%85%E3%81%86


官と民の良好な「三角関係」が失われていく!

2011.01.21(Fri)JBプレス 桜林美佐

2010年11月14日の日曜日、私は神戸に向かっていた。翌日、川崎重工業の神戸工場で潜水艦の命名・進水式があるためだ。

 前夜のうちから、神戸には海上幕僚監部など多くの関係者が集まっていたが、彼らは基本的に企業の人間とは別行動である。膝を突き合わせて潜水艦のこれからについて語り合う、などという光景はない。

 昨今は不正や癒着を防ぐという観点から、企業の関係者と現役自衛官が杯を交わすことは忌避される。また、発注の際は、何ごとも随意契約をやめて競争入札を取り入れる流れとなってきている。

 しかしこのことは、受発注者間のコミュニケーション不足と、これまで互いに情報をやり取りして共に技術発展に努めてきた企業間の不協和音をもたらすという側面もある。

 杓子定規な取り決めが、日本らしい技術進歩・発展を阻むことにはならないか・・・。

 そんなことを思いながら迎えた翌朝、工場には次々に人が集まってきた。どんな進水式でもそうだが、「こんなにたくさんの人が関わっていたのか」と驚くほど、多くの関係者の手によって建造されていることが分かる。

そうりゅう」型は日本の潜水艦技術の結晶!

 潜水艦1隻の建造には約1400社が関わるという。この場にはいない、さらに沢山の人々が、この1隻の行く末をどこかで見守っているのだ。

 今回、進水式を迎える潜水艦は、「そうりゅう」型の4艦目である。

 「そうりゅう」型とは、海上自衛隊の潜水艦として初めて非大気依存推進機関(AIP:Air Independent Propulsion)のスターリングエンジンを採用したもの。

 このエンジンは燃焼時に大気を必要としないので、潜航したままの充電が可能である。そのため、潜水艦は頻繁に浮上することなく行動することができる。

原子力潜水艦を持たないわが国としては画期的な潜水艦であり、不断の努力で遂げた技術の結晶と言える。

 従来の潜水艦と見た目で明らかに違うのは、艦尾の4枚の舵だ。「十」字型ではなく、「X」字型になっている。こうすると、4枚の舵のいずれかが故障しても、残った舵である程度は操艦ができるという。

2~3年の間、船台が空いてしまうのは大ダメージ!

 さて11月15日、「そうりゅう」型の4番艦は、杉本正彦海上幕僚長により「けんりゅう」と命名された後、支綱が切断された。

 「けんりゅう」は、居並ぶ海上自衛官が敬礼する中、船台を滑り降りていく。初めて海上に放たれる姿を、関係者はまるで歩き始めたわが子のように見つめている。感動的なシーンだ。

 しかし、企業の関係者の胸中は複雑である。

 潜水艦の建造は、これまで三菱重工と川崎重工の2社が随意契約で請け負ってきた。2つの企業はライバルであるが、互いに切磋琢磨して優れたものを造ろうと技術を磨き、官との良好な「三角関係」を築いてきた。

 だが、その関係が前述したような背景によって崩れてきている。さらに、その崩壊を一層加速させるような出来事があった。

 現在、日本が保有する潜水艦は16隻。毎年1隻が退役し、1隻が新たに建造されてきた。新しい潜水艦は、三菱重工と川崎重工の2社が1年おきに受注することになっていた。だが、2009(平成21)年度に予算が付かず、その流れが止まったのだ。

 2009年度は、本来は川崎重工が受注する年だった。川崎重工は2010年度も受注できないとすると、3年間受注がなくなってしまうことになる。一方、仮に2010年度に川崎重工が受注したとすると、三菱重工が2年間は受注できないということになる。

いずれにしろ船台にブランクができるダメージは大きい。仕事のない下請け企業には、撤退を余儀なくされるところも出てきてしまった。

 潜水艦製造には極めて特殊かつ高度な技術を要する。例えば、溶接工は、人が1人入れるかどうかの狭さの空間で作業するなど、熟練の技が必要である。

 潜水艦建造の技術者になるためには5年間の育成プログラムを経て、防衛省の技量資格を取得しなければならない。この認定制度は厳格で、3カ月間作業に従事しないと資格が失効してしまう。つまり、建造が中断すれば、技術者が「無免許」となってしまうのだ。

 技術者が技量を取り戻し、免許を再取得するためには、多大な時間と労力がかかる。そのため、企業は受注を想定して作業を進め、技術者を保つしかないという。

 「潜水艦を造れない間は他の仕事を」などというわけにもいかない。潜水艦建造の専門的な技量が下がってしまうからだ。受注がなくとも技量を保つため、企業は耐えなければならないのである。

新艦の建造を続けなければ技術が失われる!

 そして2010年度、待望の新造艦の予算約528億円が付いた。しかし、潜水艦の建造としては初めて競争入札を実施することとなった。

 受注したのは川崎重工だった。契約額は、随意契約だった2008(平成20)年度と比べると2億8770万円低くなった。

 先般、策定された「防衛計画の大綱」(PDF)や「中期防衛力整備計画」(PDF)では、「動的防衛力」をキーワードに、平素の警戒・監視活動を重要視するとしている。潜水艦についても6隻増やして22隻体制をとることになった。

 だが、元々2社が1隻ずつ建造していたところを、急に増産はできず、現有艦の艦齢延長(延命)措置を施すことになる。

 技術者を維持するためには、新しい潜水艦を建造し続けることが重要だ。しかし、延命にコストがかかれば、新造の予算が取れなくなる恐れがある。そうなると技術者の維持は困難になる。

 建造がストップしたり、厳しい価格競争に陥れば、2社の関係はますます冷え込み、技術進歩を阻むのではないか。そんな心配を、ついしてしまうのである。

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