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【経済ニュース】 2010/07/31(土) 10:42 サーチナ
マシンの性能アップやソフトの進化により、専門知識のいるCG作成をプロに頼らずとも容易に行える時代に突入しているようだ。
建築業界ではCGの技術革新が進んでいる。マンション広告などは写真ではなくCGパース(建物完成予想図)で表現している事が多い。また、最近は専門知識のいるCGパースをクリエーターに頼ることなく、設計士や建築・不動産関係の人がプレゼンなどに使えるCGを自ら作ることができる時代に突入しているという。
一級建築士事務所(有)ATA企画のCGアーティストで、CGコンテストで数々の受賞歴を持つ多田朱利さんに話を伺うことができた。
「以前はレンダリングという色付けなどの計算時間が一晩以上かかることもありました。しかし最近ではCPUの数がクアッドコア(4個)、クアッドコア×2(8個)といったハイスペックなPCが比較的安価で手に入るようになり、一般家庭や企業に普及しだしています。マシンの性能アップのおかげで計算時間が格段に早くなり、CGソフト自体も進化しているので、さらに早く仕上げることが可能になりました」。
今までネックだったレンダリングの計算時間は現在のPC環境ならクリアできるようだ。と言っても、操作が難しそうでCG知識もない状態ではとても無理だと思ってしまうのだが…。
「実は意外にも簡単なんですよ」と多田氏は続ける。
「建築パースは『V-ray』というソフトがかなりのシェアを誇っていて弊社でももちろん使用していますが、私は『Maxwell』というソフトもよく使っています。操作しやすく、難しいCG概念を必要としない上に綺麗なので、おすすめです。あくまでも個人的な感想ですが、他で例えるなら画像加工ソフトの『Photoshop』の機能を使いこなすよりも操作は簡単なイメージです。『Maxwell』は少ない設定でフォトリアルな画像が作りやすいんです。素人の方でしたらモデリングには『Google SketchUp』を使えば、より簡単にCGを作り上げることができると思います」。
『Google SketchUp』は3Dモデリングを簡単に作成できるソフトだ(無料と有料版あり)。作った3Dモデルは『Google Earth』上に配置することも可能。このソフトはプロでも使える充分な性能があり、一般的なマシンでもサクサク動くという。
「高性能マシンとソフトに頼ってしまうことで、建築業界に携わる人にとって、プレゼンなどで充分に通用するCGを自ら作れる土壌ができてきたと言えると思います」。
多田氏は「簡単に自分で作れるリアルCGセミナー(8/25)」を秋葉原で開催。受講者は建築士や設計事務所、不動産業界の人やCG作成に興味がある人を対象にし、難しい概念なしで充分にCGが作れることを広めていきたいとしている。
「CGを作るのは難しいという固定概念さえ捨ててもらって、もっと多くの方々にとって身近な存在になると嬉しいです」と同氏。
一般人にとってCGは見るものであり、自分で作るものではないという固定概念は確かにある。それほどに従来はとても敷居が高いものだった。が、マシンの性能アップとソフトの進化により、意外にも自分で作れる身近なものへと変わりつつあるようだ。
建築業界だけでなく、プレゼン資料などをCGで作る、マンションや一軒家を購入する際の日影計算をCGで行うなど、ビジネスシーンや日常生活の中で簡単にCGを操る日が来るのもそう遠い未来ではなさそうだ。
石坂 美由紀[著](情報提供:MONEYzine)
http://www.orientalgiken.co.jp/
【第120回】 2010年8月6日 週刊ダイヤモンド編集部
モノづくりを支える“研究施設のプロ”オリエンタル技研工業社長 林進
木目が温かな棚に大理石調のテーブル。高級マンションのシステムキッチンかと見まがうほどだが、研究施設用の「実験台」である。従来の機能一辺倒で無機質な製品に対し、“快適性”を重視したデザインが研究者たちに好評だ。
有害な化学物質などを取り扱うための「ヒュームフード」(下の写真)では、環境対策を徹底している。排気風量を作業状況に合わせて自動調節し、非使用時には扉が閉じて使用エネルギーを大幅に節約。各設備はLANで結ばれ、CO2削減量を表示、研究者に省エネを促す。
安全で、作業効率のいい研究所をつくりたい──。林進が、研究実験用設備機器メーカー、オリエンタル技研工業を設立したのは1978年。当時、メーカーでも大学でも、研究所は薄暗く、化学薬品のにおいが立ち込めているのが当たり前だった。「高度成長期で、大手メーカーでも生産施設には力を入れていたが、研究施設は古いままだった。事故も多発し、これでいいのかという思いがあった」。
林は理化学機器メーカーに13年勤め、開発や営業に従事した。機器の立ち上げで長期間研究現場に立ち会うこともあり、旧態依然とした設備環境に対する疑問を強めていた。
「どこでも作っているようなモノではダメだ」と、37歳で会社を立ち上げた。資本金の1000万円は、兄弟で住宅資金を出し合って捻出した。
スタート時の社員は、自身も含めて3人。「昼は営業、夜は設計」という毎日が続いた。当初は資金繰りにも苦労した。妻の実家に頼み込んで資金を借り、窮地を脱したこともある。
最も苦しかったのは「人が採れなかったこと」だ。斬新で使い勝手のよい製品が好評を得て、初年度から黒字達成。以後一度も赤字を出したことはなく、堅実に成長を遂げてきた。ところが時代はバブル期、大手志向の学生には見向きもされなかった。
状況が変わったのは設立10年目、茨城県つくば市に工場兼ショールームを建設してからだ。「これを見て、徐々に学生が入ってくれるようになった」。今では社員100人、博士課程修了者や海外で研究経験を持つ一流の人材が望んで入社してくる。
ライバルと一線を画す提案力と開発力で
大手から引き合い殺到
設備機器の分野では、競合メーカーは多数ある。しかし林は「われわれのようなビジネスモデルはほかにない」と胸を張る。
オリエンタル技研工業は、単に設備機器の製造販売にとどまらず、「どういった施設・設備にすればいいのか」というコンサルティングから、機器導入後のメンテナンスまで一貫して行う体制を備える。「そうでなければ、研究者のニーズに合ったものは作れない」。子会社に日本で唯一の“研究施設専門”一級建築事務所を持ち、コンペで大手を打ち負かして施設そのものの設計から手がけることもある。
顧客は、まず製薬、バイオテクノロジー、化粧品、食品などのメーカー。日本を代表する企業の名が並ぶ。むろん大学や、国の研究機関も同様だ。
特に現在は、製薬業界からの注文が活況だ。主力商品の特許が相次いで切れる“2010年問題”に直面して各社とも新薬開発に躍起であり、大規模な研究施設を競って建設しているからだ。さらに、少子化のなかで学生を集めるため、施設・設備の充実に力を入れる私立大学からの引き合いも多いという。
ユーザーの高い評価を支えるのは、45年に及ぶ林の経験とノウハウ、そして「最先端の研究開発には、最先端の施設・設備が必要」という理念である。いまや作業効率だけでなく、居住性やデザインも、研究者の能力を引き出す重要な要素だ。
世界の先を行く「最先端の研究施設」で
モノづくりを支援
日本の研究開発環境は、米欧と比べいまだに3割遅れているというのが林の実感だ。留学した研究者が、「ろくな設備がないから」と帰って来たがらないような現実もある。「だからわれわれが、魅力ある環境を提案していく」。そのために、世界の最新動向を常に探り、米欧企業とのタイアップも積極的に行う。
もちろん、現場の研究者のニーズをくみ上げることにも余念がない。というよりも、林の考えに賛同する研究者たちとコラボレーションを行っているというほうが近い。つくば市の工場には、打ち合わせのために日本中から研究者が足繁く訪れる。林は長年、筑波大学産学連携会の理事を務め、また東京農工大学に寄付口座を設けるなどで、大学とのパイプも太い。
さらに、世界の一歩先を行くために打ち出したのが、地球環境にも配慮した「グリーンラボラトリー」のコンセプトだ。冒頭で紹介したヒュームフードはその一端だが、これらの機器は数百台もの単位で納入されるため、省エネ・環境負荷低減の効果は大きい。CO2削減は研究施設でも喫緊の課題であり、ランニングコスト削減にもなるため好評を博している。
「日本が生き残るためには、やはりモノづくりで負けるわけにはいかない。その意味で、研究開発環境というのはきわめて重要であり、ニーズがすたれることはない」。日本中が不況にあえぐなかで、今年度は大幅な増収増益を見込む。成長を急ぐつもりはないが、売上高100億円が当面の目標だ。(敬称略)
(「週刊ダイヤモンド」編集部 河野拓郎)
http://e-kit.jp/e-kitshop.htm
秋月電子通商
http://akizukidenshi.com/
【第97回】 2010年8月11日 週刊ダイヤモンド編集部
「生産活動を行う消費者」たち 電子工作ブームが意味する未来
今、電子工作がブームとなっていることをご存知だろうか。かつての電子工作と違うのは、インターネットの技術と情報、そして理念が盛り込まれていること。じつはこれは大きな意味を持つ。「生産者」となった個人は、大手メーカー中心のものづくりを脅かす存在になるかもしれない。そんな当世の電子工作ブームを読み解いていこう。(「週刊ダイヤモンド」副編集長 深澤 献)
私、結構寝坊をするんですけど、目覚まし時計をインターネットにつなぐとおもしろいかも、と思って作ったのがこれです」
岩淵さんの作る作品に共通しているのは、ウェブとメカの融合。「これからはウェブとハードができる技術者が強い」というのが持論 http://koress.jp/
Photo by Toshiaki Usami そう言って岩渕志学さんは、「ソーシャル目覚し時計」を掲げてみせた。パッと見はなんの変哲もないが、裏側を見るとディスプレイとLANポートが付いている。
「パソコン(PC)を介さず単体でネットに接続でき、ネットからアラームの時刻を設定できるんです」
しかも、ソーシャルネットワーキングサービス「mixi」上で動作するmixiアプリとしても機能する。マイミク(相互に友人関係を登録した相手)の人が自由にアラーム設定できる趣向だ。アラーム設定時間にはディスプレイに設定者のIDが表示され、止めた時間もmixiに記録される。こうして、起床時間と起こした人の履歴が残るというわけだ。
岩渕さんの本業は、大手ウェブ企業のエンジニア。2007年2月に、同じウェブ関連のエンジニア3人でウェブの新サービスを開発するサークルを立ち上げたが、「本業だけに閉じていたら、大事なものを見落とす可能性がある」と気づき、2年前からハードウエアの製作に取り組み始めた。
最初に作ったのは「2ちゃんねる赤色灯」。ある話題で発言数が急増し、いわゆる“祭り”が起こると、赤色灯が大回転して教えてくれるもの。赤色灯にLANポートが付いておりネットに直結、2ちゃんねるを24時間巡回するようプログラムされている。
「モノが実際に動いたときの感動の大きさは、ウェブとはレベルが違った」と岩渕さんは振り返る。
最新作は「秋月ドランク」。機械に息を吹きかけると、血中アルコール濃度を検出し、ツイッターに「へべれけなう」などと自動で投稿するマシンだ。アルコールセンサの実験のために酒を飲んでいるうち、酔っ払ってはんだごてを持つ手が怪しくなったという苦心の作である。
年前までは電子工作の知識はゼロだった。情報源はもっぱらネット。他人の回路を読みまくった。「たとえば『○○・自作』と作りたいものを検索すれば、必要な情報はほぼ得られる。真空式モノクロテレビを自作している人までいて驚いた」と岩渕さん。
岩渕さん自身も、ウェブサイトで製作物を紹介するのはもちろん、電子工作愛好家のメーリングリストを運営したり、電子工作のイベントがあれば積極的に出かけ、これまでの成果を発表している。
インターネットが担う
共有コミュニケーション
常に愛好家たちでにぎわう、秋葉原の電子部品専門店「秋月電子通商」http://akizukidenshi.com/ Photo by TU 秋葉原にある電子部品専門店の秋月電子通商は、電子工作愛好家のあいだでは“聖地”と呼ばれる有名店。電子機器の組み立てキットや、各種電子部品、回路図集などを求める人びとで、常に溢れ返っている。また、巷では電子工作を披露し合うイベントや、初心者からの電子工作教室なども頻繁に開かれ、活況を呈している。今、明らかに電子工作がブームだ。
そう聞けば「自分もかつては鉱石ラジオや真空管アンプといったアナログ回路の製作に精を出した」と懐かしがる読者諸兄もいるだろう。そして、最近の主流はコンピュータを活用したメカトロニクスであり、ネットを絡めたガジェットの作製なのかと理解するかもしれない。
確かに、過去の電子工作ブームとの大きな違いはネットの存在だ。だが、必ずしも工作物がネットにつながっているというわけではない。製作過程ではネット上の情報収集は不可欠だし、製作物はネット上に公開して、感想を求めたり、場合によっては他者がよりよく作り替えたりすることもある。
ネット時代は集合知の時代といわれるが、成果物を大勢で寄ってたかってよりよいものに高めていくという動きは、いかにも当世の電子工作ブームの特徴といえる。
たとえば、ネットの動画共有サイト「ニコニコ動画」にニコニコ技術部というカテゴリーがある。何かを「作ってみた」「やってみた」といった動画に付与されるタグだ。ここでは、ハードウエア、ソフトウエアを問わず、作品を発表し、お互いにコメントし合っている。それが、次の製作へのモチベーションにつながっていく様子が見て取れる。
こうした「共有コミュニケーション文化」こそが、今の電子工作ブームの最大の特徴といってよい。
05年に米国で創刊され、06年8月に日本語版が登場した「Make:」(オライリー・ジャパン刊。6ページのキーワード参照)という雑誌も、今の電子工作ブームを象徴する存在だ。
担当編集者の田村英男さんは「当初は“一風変わった工作雑誌”というとらえられ方だったが、07年頃からニコニコ動画やユーチューブで製作物を公開するような動きが始まり、さらにArduino(6ページのキーワード参照)の登場で流れが変わった」と語る。
Arduinoというのはイタリア生まれの8ビットマイコン。ボードと開発環境がセットになっており、PCでプログラミングを行える。設計情報が無料で公開されているオープンソースハードウエアなのでボードを自作することも可能だが、数多くの既製品が販売されている。最も標準的なモデルで3200円程度。これにより、できることのレベルがぐんと上がった。さらにArduino上で使用するXBeeという無線モジュールや、温度センサなどの部品も数多くラインナップされたことで、電子工作人口の増加にも貢献した。
Wiiリモコンで、壁を駆け上がる自作ロボットを操作する勝さん
http://jksoft.my.coocan.jp/ Photo by TU 「じぇーけーそふと」というハンドルネームで電子工作を発表している勝純一さん。本業は組み込みプログラマーだが、趣味で電子工作を楽しんでいる。最新作は、壁ライントレーサー「うおーるぼっと」。既存のロボットキットに磁石を取り付け、スチール製の壁を走れるようにし、さらにArduinoとXBeeの組み合わせで、無線操作できるようにした。それも任天堂のWiiリモコンで操作できるよう、自らプログラムを組んだ。
現在、日本で流通するArduinoの8~9割方はスイッチサイエンスという販売代理店で売られている。2年前、スイッチサイエンス代表の金本茂さんが、自分で使うためにイタリアから個人で仕入れたのが最初。おもしろいのでほかの人にも分けてあげようと、まとまった量を買っているうち、販売代理店の誘いがあった。「それでも当初は週3~4件の注文だったのが、今は1000個仕入れて2ヵ月持つか持たないか」と金本さんもその人気に驚きを隠さない。
欲しいものは自分たちで作る
前出の「Make:」が掲げるコンセプトは、「Do It With Others」。欲しいものは自分たちで作るというものだ。
まさにその精神を体現するのが、ウェブのプロデュース、システム構築などを行う技術ベンチャーのチームラボ。同社には、社員旅行先で「卵を2メートルの高さから落としても割れない仕組みを作れ」といったお題に、チーム対抗で挑んだりするのを恒例行事とするような、ものづくりを楽しむ文化がそもそもある。
たとえば、入社2年目の山本遼さんは、「らぼかへ」と名づけられた社内カフェ(社員の1人が勝手にコーヒーメーカーを置いて、1杯60円で販売)の残量を、全社員にリアルタイムで知らせるシステムを自作した。ウェブカメラで残量を計測し、ネットのブラウザのステータスバーに表示するというものだ。「PCの画面に向かったまま、ちょっと視線をズラすだけで自然に見られる」と山本さんは説明する。
このシステムを作ったところ、「トイレの空き状況もネットでわかるといいんだけど」という要望がメールで寄せられた。というのも、男性社員の数に比べトイレの個室の数が少なく、わざわざ足を運んでも空いていないということが多いからだ。そこで作製したのが、トイレ個室センサ「ヘブンズドア」だ。仕組みは至ってシンプル。個室のドアに無線マウスがくっついており、ドアを閉めるとクリックされる。その信号がトイレの外に置いてあるPCに届く。空き状況は、らぼかへと同様、ブラウザに表示される。
さらに、「殺伐としたトイレに癒やしを加えるため」(山本さん)にトイレ癒やしガジェット「アクトトイレ」を作製。トイレットペーパーを引っ張ると、その動きに合わせて画面上のネズミが地球を回るアニメが動くというもの。ペーパーの回転は、これまたマウスを応用し、赤外線センサで感知する仕組みとした。難点は、楽しくてついついペーパーをたくさん使ってしまうこと。そこで、回し過ぎるとネズミが疲れて死んでしまうオチにしたという。
一方、チームラボの創業メンバーで取締役CTO(最高技術責任者)を務める青木俊介さんは07年、チームラボとは別にユカイ工学という会社を立ち上げた。
ホンダの二足歩行ロボットASIMOがニューヨークの地下鉄の階段を上ってくるCMを見て、涙が出るくらい感動し、そして焦ったという青木さんがこだわるのは、ロボット開発。ただし、必ずしも人の役に立つロボットではなく、「自分たちがユカイと思うものを作り出していきたい」と語る。
これまでにはカッパ型ロボット「カッパノイド」、鳥取県の水木しげる記念館の「目玉おやじロボット」を用いたデジタル妖怪探しゲームなどを開発。現在は、若い女の子がPCのそばに置いて楽しむ「ココナッチ」という小型ロボットを鋭意作製中だ。
青木さんは開成高校から東京大学工学部を卒業したいわばエリート技術者だが、大手メーカーに入るという発想はまったくなかったという。「自分でやったほうがおもしろいし、ワクワク度が違う。ネットによる物流革命で、今は個人で買える部品の範囲が広がっているし、サンプルを小ロットで製造するのも簡単にできる。大組織のメリットは限りなく、なくなってきている」と青木さんは言う。
もっとも現状は、収益は上がっていない。チームラボでアルバイトをしていたところ、同社に誘われた鷺坂隆志さんは現在、東大の大学院博士課程2年目。その他のコアメンバー2人も学生だ。「彼らが学生でいるあいだに、なんとか会社を軌道に乗せたい」と青木さんは意気込んでいる。
最終型はパーソナル・ファブリケーション
電子工作の事業化を目指す事例としては、茨城県つくば市にユニークな取り組みがある。
「FPGAカフェ」の開店準備に追われる相部さん
左の基盤が右の4つのモジュールになる http://www.susutawari.org/ 相部範之さんは、筑波大学大学院で「パーソナライズド・ガジェットの開発・販売支援の事業化に関する研究」というテーマで研究活動を行っている。
相部さんは、経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)から認定された「天才プログラマー/スーパークリエータ」(前出の青木さんや後出の小林茂さんも認定)の1人で、FPGA(Field Programmable Gate Array)というLSIを用いた事業計画を練っている。
FPGAは、回路をはんだづけしていく通常のLSIと違い、PCで回路をプログラムできるチップである。家電メーカーでも試作段階ではFPGAを使いつつ、商品化の際には専用LSIにして大量生産するのが普通だ。最終製品に使用されることはまずない。しかし、個人が自分だけのガジェットを作ろうとする場合には、FPGAは使い勝手がよい。
相部さんは、FPGAの設計情報をライブラリーとして公開し、個人でさまざまなLSIを作れる時代を目指している。そして、独自に取り組んでいるのが、通常は1枚の基板に集積する回路を、機能別に分割し、5センチメートル角にモジュール化するという研究。モジュールはブロックのように積み重ねられ、必要な機能だけを組み合わせて使えるというものだ。
この研究は、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の09年度の「若手研究者ベンチャー創出推進事業」に採択されており、3年間で約3000万円の研究費が与えられている。「プロジェクトが終了する2年後までに50種類のモジュールを開発し、起業したい」と相部さんは目論む。
5月末には、つくば市内で日曜日だけ開くカフェをオープン予定。知り合いから超格安で借りた店舗には、JSTの研究費で購入したデジタル回路の動作確認を行うロジックアナライザや、チップマウンタやプロッターなど高度な工作機器が揃っている。
「カフェと並行して、物販をやります。秋葉原でしか買えないような部品をつくばの研究所や大学をターゲットに販売したり、自分が開発した商品も売りたい。そして最終的には、LSIモジュールを使って、お客さんがコーヒーを飲んでいるあいだに、個々のリクエストに応じたハードウエアを組み立て、動く状態で持って帰ってもらうような店を考えています」
それこそが、相部さんの思い描く“パーソナライズド・ガジェット”のイメージなのだ。
「いまや、商品づくりのベースのアイディアに、大企業も個人も差はない」と語るのは、フリーランスのデザイナーである北村穣さん。
http://www.rudesign.jp/form/
個人のアイディアが大手メーカーを経由せずとも製品になる──。たとえば、北村さんがデザインしたiPhoneやiPad用のスタンドは、自らレーザーカッターで切り出し、すでに最終製品のかたちになっている。そして、PCで作製した展開図を、別の者がダウンロードして、自分のレーザーカッターで“出力”すれば、同じものをどこでも、いくらでも作れる。まさしく「パーソナル・ファブリケーション」だ。
なにしろレーザーカッターや3Dプリンタといった出力マシンの価格は下落の一途。いずれ街中に出力ショップが生まれ、それどころか家庭にまで普及するかもしれない。インクジェットプリンタが家庭に普及し、年賀状や写真を家で印刷する時代になったように、である。
「いずれ、デザインやプロダクトも、データで買える時代になる」と北村さんは言う。
アルビン・トフラーは1980年に発表した著書『第三の波』のなかで「生産活動を行う消費者」、すなわち「プロシューマー」という概念を提示した。情報を容易に共有化でき、生産コストが格段に下がったことで、真のプロシューマーが活躍する舞台は完全に出来上がった。
昨今の電子工作ブームは、その序章ともいえる。
F-X (航空自衛隊)
http://ja.wikipedia.org/wiki/F-X_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A)
F35ライトニングⅡ
http://www.jiji.com/jc/v2?id=20091122F-35_Lightning_II&rel=y&g=pol
8月13日16時53分配信 時事通信
防衛省は13日までに、航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)について、米英などが共同開発中のF35、欧州共同開発のユーロファイター、米国のFA18E/Fの3機種に候補を絞り込んだ。同省は、新たな防衛計画大綱や次期中期防衛力整備計画(中期防)を取りまとめる年末を目指し、選定作業を加速させる方針。ただ、年内に結論が出ない事態も想定し、8月末の2011年度予算概算要求段階での調達費計上は見送る考えだ。
FXは老朽化したF4戦闘機の後継機。同省はこれら3機種のほか、米国のF22、F15FX、仏ラファールの計6機種を調査対象に指定し、選定作業を進めてきた。
防衛省は当初、レーダーに捕捉されにくいステルス性能を備えた最新鋭のF22を軸に検討に入ったが、機密保持を理由に米議会が輸出を禁じていることから、最終的に導入を断念した。また、F15FXは、6機種の中では旧世代機に当たることから除外。ラファールも、開発企業などからの積極的な情報提供がなく、候補からはずすことにした。
心神 (航空機)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E7%A5%9E_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)
心神戦闘機
ステルス性と高運動性能を持った国産ステルス戦闘機(のプロトタイプ)。最新戦闘機・最新鋭戦闘機で次期主力戦闘機とも噂されていますが実は先進技術実証機です。
http://www.fighter-info.com/003.html
*日本がアジア初のステルス戦闘機を自主開発か-中国メディア
2010/05/11(火) 13:51 サーチナ
アジアの空軍の中でも一流だと言われている日本の航空自衛隊。隣国が第4世代の戦闘機を大規模に装備し始めている中、日本は第5世代のステルス戦闘機の開発に目を向けている。米国製F-22ステルス戦闘機の購入が不透明になってから、日本は国産ステルス戦闘機の開発を決心した。
チャイナネットによると、日本の行動は、米国に圧力をかけてF-22の交渉に影響を与えるためだと外部の人たちは推測しているが、4月27日の英国のウェブサイト「フライト・ナショナル」は、「日本は第5世代のステルス戦闘機『心神』」の原型機に海外のエンジンを購入することを考えており、明らかにステルス戦闘機の開発を加速させている」と報じた。
このプロジェクトは先進技術実証機(ATD-X)と呼ばれ、日本は国外企業から性能の高い航空エンジンを輸入し、ATD-X開発の加速を望んでいる。しかしこの戦闘機が成熟すれば、日本は国産エンジンを開発する能力を備えるだろう。
ATD-XのエンジンXF5-1の開発を行っているのが、日本の国際エンジンメーカーのIHIだ。今、原型機に国外のエンジンを購入することは、IHIにより多くの開発時間を与え、ATD-Xプロジェクトが計画通りに進むことを確保できる。こうしたことから見ると、日本は間違いなくATD-Xを最後まで開発する決心で、強大な航空製造業と電子工業のバックアップのもと、日本が最初のアジア系ステルス戦闘機を開発する可能性は大きい。(編集担当:米原裕子)
*中国から見た日本「ステルス戦闘機の購入は中国への対抗」
2009/11/25(水) 18:04 サーチナ
日本のメディアは23日、日本防衛省は次期主力戦闘機(FX)に、レーダーに捕捉されにくいステルス性に優れたF35を採用する方向で調整に入ったと報道した。
これについて、中国では「日本の対応は中国の航空戦力が太平洋海域に展開し、東北アジアでは比較優位にあることを暗に示すものであり、中国が現在開発中の第四世代戦闘機の公表に対する日本側の緊急対応だ」と考えられているという。チャイナネットが報じた。
中国軍事戦略学者の戴旭氏は「環球時報」の取材に応じ、「F35は第三世代戦闘機より20年から30年ほど進んでいる。ステルス能力という点では、F22をガラス球だとすると、F35はサッカーボールだ。第四代戦闘機の中でF35の性能はF22の8割ほどだが、東アジアにとってF35は唯一無二で、東アジアの従来の軍事力バランスをひっくり返すことも可能だ」と話す。
「日本は中国を口実にしているが、中国は日本に対して優位とはならない」と戴旭氏は語る。
続けて、「オーストラリアは100機を購入予定で、シンガポールもこの戦闘機を気に入っているようだ。またインドも最近は米国の戦闘機ばかりを選んで購入している。日本がF35を購入すれば、韓国なども続いて主力戦闘機を購入することになり、東アジアの空軍戦闘機は総入れ替えとなるだろう。そうなれば、東アジアのそのほかの国の第三世代戦闘機と、それに関連する防空システムは過去のものとなり、中国は今後F35にとり囲まれることになる。これは中国にとって厳しい挑戦であり、ステルス戦闘機の脅威だ」と語った。(編集担当:米原裕子)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%87%E5%B1%B1%E5%96%84%E5%8D%9A
地域主権戦略会議
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E4%B8%BB%E6%A8%A9%E6%88%A6%E7%95%A5%E4%BC%9A%E8%AD%B0
骨抜きになった“地域主権改革”の顛末――慶応義塾大学 片山善博教授インタビュー
昨年の衆議院総選挙では最重要論点の1つだった「地域主権」「地方分権」をめぐる問題意識が後退している。参議院選挙を前に、6月22日に閣議決定された『地域主権大綱』の内容も、“骨抜き”と指摘されている状況だ。なぜ、この1年で「地域主権」に関する議論がおぼつかなくなってしまったのか。鳥取県知事時代に「改革派」として絶大な支持率を誇った慶応義塾大学・片山善博教授に、その理由と本来あるべき地域主権改革の姿を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)
地域主権改革は全く進展なし
“総務省流の骨抜き改革”へ
――昨年の衆院選では注目を浴びていた「地域主権」の問題が、影を潜めている。その理由はなぜか。
昨年、自民党が地方改革の一環として「道州制」を全面に押し出していたのに対し、民主党は「住民投票法」の制定や「住民によるガバナンス形成」「議会改革」をはじめとした地域主権改革を打ち出していた。これは、非常に的を射たアジェンダ設定だった。
もしこれらをしっかりと進めていれば、民主党はこの分野で国民の支持を得られていたはずだ。しかし、実際には何も進めていない。行なったのは、1年前から何ら進展していない『地域主権大綱』をまとめただけである。これでは、住民や国民が関心を持つはずがない。
現在の民主党は、自民党時代の地方分権路線と全く同じ道を歩んでいるといってもいい。結局、総務省流の従来路線になっている。過去、自民党型の地方分権改革が国民の関心を得られなかったのと同様に、民主党の地域主権改革も関心を呼んでいないのだろう。
――現在の地域主権改革は、「総務省主導の色合いが強い」ということか。
明らかに総務省流だ。改革のプログラムのなかに「総務省」自身や「住民」が登場しないことからも、明らかだろう。
確かに「義務付け・枠付けの廃止」や「市町村への権限移譲」、「一括交付金化」を目指すという方針は基本的に正しい。ところが、これらは全て総務省に関係のない項目で、総務省の利害に絡んだ改革案が登場しない。
総務省が持っているいびつな権限、つまり交付税の私物化やひも付き化などについては、一切口を拭っている。つまり、対象となるのは他省に関係する案件ばかり。これでは、「総務省以外の省庁の影響力を排除する作戦」と受け取られても、仕方がない。自治体をがんじがらめにする規制を自ら持っていながら、他省を規制するのはおかしい。まず、自らの改革をすべきだ。
総務省が描く理想像は、自治体への他省の介入や影響力を排除し、自らが一省で支配をしたいというものだろう。そういう文脈で捉えれば、様々な問題意識を持つ住民にも、表に登場して欲しくないはずだ。
したがって、彼らにとって議会は現在のような「疎かな状況」が続くことがふさわしいため、議会改革は全く謳われず、当然「住民」も改革プログラムに登場しない。「草の根自治・ガバナンス」は口先だけで、決して本気ではない。これが“総務省流の地方分権改革”のあらましだ。
与党になったら興味なし?
総務省の言いなりになった“改革”
――片山教授は、昨年のダイヤモンド・オンラインでのインタビューのなかで民主党が打ち出した「草の根的な改革」を評価されていたが、現在のような結果になったことをどう評価しているか。
民主党の力量不足だ。問題の所在をはっきり認識していなかったのだろう。地方分権改革が進まなかったのは、「総務省改革」を行わなかったこと、住民の政治参加機会を拡大する「住民自治強化」が必要だという、2つのポイントを意識していなかったからだ。
原口総務相の責任も大きい。「原口プラン」の内容は、総務省官僚がつくった自民党時代の「麻生プラン」「鳩山プラン」など歴代の総務大臣のプランの延長線上でできたもので、基本的に中身は同じだ。政権が変わっても同じ流儀で、本質は何も変わっていない。
――民主党自身も、「地域主権」や「地方分権」に興味がなくなってしまったのか。
政権を取ったら、興味を失ってしまったのだろう。野党のときは、政府を批判するわけだから自ずと分権的体質になるが、与党になればその必要性はなくなるからだ。
本来なら、財政再建や政治主導を目指す際に、本当の地域主権改革を行なえば、それらも随分進むことになる。税金の使い道の決定権を自治体に渡せば、住民の身近なところに移るわけだから、地域主権改革は国のあり方までも変えることができるはずだ。
官僚の抵抗があったにせよ、原口総務相自身に総務省をリードするだけの力がなかったのだろう。原口プランにも大綱にも「総務省改革」が出てこないことからも、それは明らかだ。
菅首相に期待する
「行政の透明化」での地方改革
――では菅首相の就任は、地方自治改革にどう影響するだろうか。
まだ、未知数だ。ただ、期待していることはある。なぜなら、厚生労働大臣時代の「薬害エイズ問題」に対する向き合い方が象徴的なように、菅首相は「透明性の確保」を政策課題として重視しているからだ。
国が抱え込んで行なっている仕事も、「事業仕分け」によって本来は誰がやるべきかを点検すると、役人の利権や天下り団体のためだったということがよくわかった。引き続き「透明化」をしていけば、国が行なっている仕事も住民の身近なところで行なった方がいいというケースは多いはずだ。したがって、透明性は分権や地域主権改革を進めるうえで、大きなエンジンになる。そういった意味で期待している。
また、「強い財政」を打ち出したことについても期待をしている。単に消費税の増税だけで強い財政を実現しようとしているならあまり期待はできないが、同時にいびつな歳出構造を変えれば、効果が見込める。財政再建を進めていく過程で、国と地方がもたれ合いを行なっている無駄を省けば、地域主権改革が進む可能性もあるだろう。
住民が自治体の仕事・税を決められる
「可変的な税システム」の構築
――国民や民主党の関心は薄れつつあるが、財政面でも地域主権や地方分権の重要性は高まってきているように思う。実現には、何から始めていけばよいのか。
今の地方財政のシステムは、“護送船団方式”だ。これは、総務省が枠組みを決め、財源を保障し、予算を確保、借金の面倒みるというやり方で、本来主役であるはずの住民や議会が全く登場しない「異常なシステム」である。
地方自治の本質は、自分たちで仕事を決め、それに必要なコストを税として負担するもの。毎年、仕事の量や質は変わるのだから、当然税率も毎年変わるべきである。米国やオーストラリアがそのよい例だ。だが、日本は基本的に税率を固定してしまっている。
日本は、そのメカニズムが全く作動しておらず、住民も無関心のため、財政破綻が起きるのだ。財政破綻は、議会や住民による税率調整が働いていれば、基本的に起きない。税率を可変的にさせるだけで物事は解決する。無駄な「箱物」もなくなる。つくるかつくらないか、借金するかどうかは、国ではなく、地元で決めるべきだ。
去年の民主党の政策集『インデックス2009』に書かれていたように、借金や税率は住民の代表である議会が決め、大きな金額については直接住民に意見を問う住民投票をするという形が、あるべき姿である。だが、アジェンダとして上がってこない状況だ。
それは、総務省にとって財政局、そして地方債課が命だからである。こんな時代になっても、地方債の権限にしがみついているなんて、お粗末だとしか言いようがない。
――そのほか、地域主権を実現するために行なっていくべきことはあるか。
現在、財政システム全体が、公共事業などのハード重視になっている。ハード事業は、総務省のお墨付きをもらって起債をするが、多くの場合、後で交付税が上乗せされる。つまり、自己負担が少なくて済み、補助金をもらっているのと同じ状況だ。
一方で、福祉や教育のようなソフト事業はそういったことが一切なく、冷遇されている。だからハード事業に勢いが傾く。つまり、地方財政システム自体が「コンクリート重視」なのだ。それを改めて、「コンクリートか人か」という選択を自治体ごとにできるような、イーブンの条件をつくるべきだ。
――国家公務員の見直しが問われている一方で、地方公務員の改革はどのように行なっていくべきか。
基本的には、地方公務員の給与の問題は自治体単位で決めるべきだ。だが、今は護送船団的で、国が人事院勧告を出したら自治体も「右にならえ」になっている。
地域主権改革が行なわれれば、国家公務員の給与水準と切り離して地方公務員の給与を論じる風潮が出てくる。「地域の給与水準と比較した場合、地方公務員の給与水準はおかしい」と議会が指摘すれば、問題は解消するだろう。
ところが、現在の体制下では議会がおぼつかないから、給与水準1つとっても、国に倣って右から左に流されてしまう。総務省が音頭を取るのは、まさに“中央集権的スタイル”と言ってもいい。
この問題は、一見地方分権改革と無縁に思えるが、議会改革や草の根ガバナンスを強化すれば、自ずと改まるもの。全く議会改革をやらないでいれば、一律に人件費がカットされることになり、その弊害が生まれることになる。これでは、自治でもなんでもない。
鳥取県も議会改革をまず行なうことで、人件費の問題などにメスを入れた。現業(守衛や運転手など)の給与について議案が議会から上がり、25%カットに至ったのだ。議会から一種の圧力がかかると、改革は随分やりやすいものだ。
私は改革派の知事として様々なことに取り組んだと言われているが、「そのきっかけやチャンスをくれたのは議会だった」と言っても過言ではないだろう。
「根回しはしない」
知事と議会の“距離感”から改革を
――議会改革の実行は難しいかと思うが、どのようなことから始めていけばよいのか。
今の法制度・仕組みのなかでもできることはある。たとえば、首長が「根回しはしない」と宣言するだけでも大きく変わる。私自身は、最初の議会でその旨を表明した。また、名古屋市による同様の取り組みが、大きな改革につながっていることからも、その効果は明らかだろう。
だが、これまではほとんどの議会が対立を避け、「車の両輪」と称しながら首長と一輪車になってきたのが実態だ。
首長と議会は決して対決をする必要はないが、二元代表なのだから、本来議会は対抗軸議会になるべきである。議会との間に距離を置けば、議会は自ずと活性化するだろう。
また、選挙制度改革も1つの方法だろう。今の議会は、自分の損得ばかりを考える「選挙至上主義的」なところがある。だから、チェックも納税者の視点も感じられない。
そういったことを避けるために、市町村レベルの自治体議会では職を持ちながら議員をすることが認められるべきだろう。これは、すでに北欧で導入されている。そうすれば、議員にしがみつく人はいなくなり、次の選挙を気にしないため、納税者の視点で議論に取り組めるようになるはずだ。
さらに、国の地方債への関与や交付金の誘導装置をなくし、税率や起債を議会で決めざるを得なくして、議会を活発化させることが非常に重要だ。現在は、税率も借金も最終的には国が決めており、議会はやることがない。だから、「口利き」ばかりが横行するようになるのだ。
もし「口利き」が有効でなくなれば、議員はこれまで「口利き」で解決してきた個別の問題を普遍化し、政策課題として議場で論じざるを得なくなる。要するに、個別の問題を解決するのではなく、「システムを解決することによって個別の問題を解決する」ことが、本来の政治の姿である。こうした議会の姿を実現する改革こそ、地域主権改革のために、まず取り組むべきことだろう。
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