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複雑怪奇な迷宮「特別会計」の謎は解けるか?
特別会計
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%88%A5%E4%BC%9A%E8%A8%88
2010年10月25日 原英次郎 [ダイヤモンド・オンライン客員論説委員 ジャーナリスト]
今週27日から、事業仕分けの第3弾が始まる。対象は特別会計。第1弾の国の449事業、第2弾の独立行政法人・公益法人に続いて、いよいよ本丸に切り込む。特別会計は、とにかくその予算規模が巨大だ。
国(政府)の会計は「一般会計」と「特別会計」の2つから構成されている。一般会計は税金や国債を主な財源として、社会保障、教育、防衛、公共事業などに、どうおカネを使うか(使ったか)を示す。これに対して、特別会計はある特定の事業を行うための特定の収入、特定の支出が明らかになるように、一般会計とは区別されて経理されているものだ。
特別会計の歳出(支出)総額は、2010年度予算で367.1兆円。もっとも、特別会計には、一般会計からの繰り入れなど、両方の会計に重複計上されている分があるので、それを調整すると歳出純計額は176.4兆円になる。それでも一般会計が92.3兆円だから、ほぼ2倍の大きさになる。にもかかわらず、夏の各省からの予算要求(概算要求)や年末の政府案の決定で、マスコミの脚光を浴びるのは一般会計なのである。みんなが注目する一般会計が「主」で、特別会計が「従」なのに、予算の規模は全く逆転しているのだ。
シーリングも対象外財務省の査定も甘い!
2003年の国会で、自民党の塩川正十郎財務相が「母屋(一般会計)ではおかゆを食って節約しておるのに、離れ座敷(特別会計)で子どもたちがすき焼きを食っておる」と発言して以来、ようやく特別会計に注目が集まり、改革は行われたきたものの、その内容は依然として、複雑怪奇にして、よくわからない。
現在、特別会計は「国債整理基金特別会計」「外国為替資金特別会計」「年金特別会計」など18あり、さらに細かく44勘定に分かれる。事業仕分けの目的は、特別会計のムダをあぶり出すことにある。仕分けを担当する政府の行政刷新会議は、特別会計が行う48事業について、集中的に事業仕分けに取り組むと伝えられているが、個別撃破ではムダをあぶり出すことに限界がある。なぜならムダをあぶり出そうにも、特別会計はわからないことだらけだからである。事を難解にしている原因を整理すると、ポイントは3つになる。
まず、予算の策定段階である。予算の概算要求に当たっては、一般会計にはシーリングが適用される。シーリングとは、歳出要求が安易に膨らまないようするために、閣議で決めた要求基準のことだが、なぜか特別会計にはシーリングが適用されない。
その予算が必要かどうかを決める査定も、特別会計については甘いといわれる。ある財務省のOBは「特別会計については、(査定を受け持つ)財務省はもちろんのこと、各省庁の課長クラスでもよくわからない。本当にわかっているのは、各省庁の係クラス」と言う。時事通信の政治記者・菅正治氏も、その著書『霞が関埋蔵金』の中で、予算査定の責任者である財務省の「主計官が自分の担当である特別会計の骨格すら知らなかったわけなので、ほとんどノーチェックというのが実情なのでしょう」と指摘している。
特別会計は、実は明治以来の歴史を持っている。それだけに、長く特別会計に携わっている下級官僚しか、その真実を知らないというのである。これこそが、特別会計は「役所の財布」と言われる所以だ。そして、特別会計のおカネは、お役人が天下る傘下の独立行政法人、さらにそれにぶら下がる公益法人へと流れていく。過去を振り返っても、「私のしごと館」「サンプラザ」「グリーンピア」などなど、100億円オーダーの無駄遣いの例には事欠かない。
財源も複数あり資金の流れも複雑に絡む!
次に、それを支えている財源(収入)の複雑さがある。一般会計の場合は、税金か国債発行による借金が主な財源だが、特別会計の場合は、(1)一般会計からの繰入金、(2)特定財源(ガソリン税などの目的税)、(3)固有財源(保険料、手数料など)、(4)借入金の4種類もある。さらに、特別会計間の出入りや勘定間の出入りもある。なぜ、こんな複雑な資金のやり取りをしなくてはならないのか、その理由は不明瞭だ。収入のポケットを多くして、いかようにでも資金繰りをつけられるようにしている、と映る。
3つ目が決算処理である。収納済歳入額(収入)-支出済歳出額(支出)を歳計剰余金と言い、いわば余ったお金だ。財務省によれば、歳計剰余金は2009年度決算で29.8兆円、2008年度決算で28.5兆円。消費税1%が約2.5兆円だから、その大きさがわかる。ところが、この剰余金は各会計に積立金として積み立てられたり、翌年度の歳入として繰り入れられているため、借金に苦しむ一般会計への繰り入れは09年度で2.7兆円、08年度で2.4兆円でしかない。
もちろん剰余金の大部分は、将来の国債の返済や年金の支払いのために積み立てられているのだが、問題は積み立ての基準や繰り越しの基準が明確でないということなのだ。積立金の水準について、基準を明記しているのは、09年度予算で財政投融資、外国為替資金など4つの特別会計だけといわれている。ちなみに積立金等は08年度決算で193.8兆円あるが、基準が明確でないから、積立金の水準が多いのか少ないのか、毎年の積立金への積み立てが多いのか少ないのかが、わからない。
剰余金の処分は官僚が決めてよいのか!
特別会計は霞が関の「埋蔵金」として、話題になった。埋蔵金とは「特別会計には多額のムダがあり、新たな財源として使える」という意味である。埋蔵金を考えるときには、毎年のフロー、つまり歳入から歳出を引いた日々の事業にムダがないかどうかと、剰余金が積み上がった積立金、つまりストックが適正かどうかという2つの側面がある。
霞が関の理屈によれば、歳計剰余金も積立金も巨額に上っているが、将来使う見込みがあるから積み立てに回したり翌年度に繰り入れているわけで、フローにもストックにもほとんどムダはない、ということになる。
だが、剰余金をどう使うかは、株式会社でいえば稼いだ利益をいくら株主に配当し、いくら内部留保に回すのかという「利益処分」に当たる。利益処分は株主総会の最も重要な決議事項だ。要するに、特別会計の剰余金の処分に当たっては、実質的には株主に当たる国会のガバナンスが、全く効いていないのである。
さらにである。ある財務省OBはこう語る。「剰余金や積立金といった議論に乗った時点で、官僚に丸めこまれてしまう」。つまり、特別会計は特別の目的のために設けられているので、それぞれ固有の会計処理が認められている。このため官僚用語に乗った時点で、「負け」だというのである。
対応策としては、企業会計を参考としてつくられた、特別会計の損益計算書(PL)とバランスシート(BS)で議論する手があるという。すでに企業会計を参考にした特別会計のBS、PLが公表されている。まだまだ不備な点はあるとはいえ、基準がバラバラな特別会計の予算書よりはましだ。
別の財務省OBは、「特別会計にぶら下がっている独立行政法人、公益法人まで含めた連結決算を行うべきだ」と指摘する。特別会計から交付金や補助金のかたち流れたおカネが、こうした法人に積立金としてたまっている可能性が大きいからだ。
たとえば、埋蔵金の指摘で有名な高橋洋一嘉悦大学教授は、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定について、「資産が3.4兆円で、旧国鉄職員に支払う共済年金のために必要な金額(負債)が約2兆円だから、資産と負債の差額として1.4兆円が余る。同機構は歴史的経緯からいって、こうした利益剰余金があれば国に戻すのが筋だ」と指摘していた。
このように特別会計は、制度や運用自体に構造的な問題を抱えているために、外からは何がムダなのか容易にうかがい知れない迷宮になっているのだ。行政刷新会議が功を焦れば、官僚の思うつぼ。「将を射んと欲すればまず馬を射よ」である。予算・決算の内容が、外からわからるような制度改革を行い、数次にわたり、長期戦覚悟で埋蔵金の発掘に臨むべきだ。敵はそれだけ巨大で、狡猾である。
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