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地上デジタルテレビ放送
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E4%B8%8A%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E6%94%BE%E9%80%81

日本の地上デジタルテレビ放送
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E3%83%87%E3%82%B8#.E9.96.A2.E9.80.A3.E9.A0.85.E7.9B.AE

6月22日7時56分配信 産経新聞

■親日ブラジルと連携

地上デジタルテレビ放送の日本方式について、総務省が南米のブラジルと連携し、サッカーのワールドカップ(W杯)に沸く南アフリカ共和国などアフリカ南部15カ国と採用に向け交渉に入ったことが20日、分かった。南米、アジアに続き、アフリカに日本方式を広げることで、周辺機器の輸出を後押しすると同時に、資源獲得などにもつなげたい考えだ。

総務省が交渉に入ったのは、「南部アフリカ開発共同体(SADC)」加盟国。南アフリカは今年8月にも採用方式を決定する意向で、当初は旧宗主国の欧州方式が有力だったが、日本の働きかけにより、再検討することになった。

 *南アでは、W杯を契機に高い経済成長が見込まれ、地デジの普及も期待されている。

 さらに南アを足がかりに周辺国へと採用を広げるため、ブラジルの協力を仰ぐ考え。同国は、日本方式を海外で初めて採用した南米の“親日国”で、同じポルトガル語を使うSADC加盟国のアンゴラやモザンビークとも関係が深い。

 ただ、世界の主な地デジには、日本や欧州、米国、中国の4方式がある。日本方式は、携帯電話端末向けのワンセグが視聴できるほか、山間部などでの電波障害に強いほか、導入コストがライバルに比べて安いというメリットがある。

 すでに南米では、ブラジルやペルーなど中南米8カ国が採用し、ボリビアと最終交渉の段階にある。アジアではフィリピンが採用を決めたほか、近くタイとも交渉に入る方針だ。

 政府は、地デジの日本方式の輸出を成長戦略の柱の一つと位置付けている。海外での普及が進めば、放送用のインフラ機器のほか、対応テレビや携帯端末の輸出促進につながるためだ。

 また、アフリカ諸国では、中国が天然資源の獲得に向け、国家主導の外交戦略を展開し、地デジの中国方式の売り込みでも攻勢をかけている。日本としても地デジを通じて、アフリカとの関係を強化していきたい考えだ。

■南米で進む地デジの日本方式採用 官民一体での売り込み奏功!

地上デジタルテレビ放送で日本方式の採用が南米で相次ぎ、明るい話題となっている。日本の中で独自進化を遂げ、結果的に世界市場から取り残される「ガラパゴス化」が指摘されて久しい中で、今回の成功体験は、日本が世界市場で伍(ご)していくための糸口になり得るのか。3月に放送を開始したばかりのペルーの現場をみた。

*官民一体

 「(NTTドコモが開発した携帯電話上でのメールなどのサービス)iモードが出てきたころから、すでに“ガラパゴス化”は懸念されていたんですよ」

 ペルーの首都リマの日本大使館。地デジ売り込みを担当する藤原慎哉2等書記官がいった。「これからは海外に出ていかないと、日本は立ちゆかない。けれども、民間だけにそれを要求してすむ話ではない」

 日本政府が打ち出したのが、「官民一体」という方法論だった。

 「大使をはじめ、官の人間がこぞって“営業マン”としての気構えをもって地デジ日本方式を売り込んだ。技術的な優位はあったが、人的な営業努力なしでは間違いなく、採用には至っていなかっただろう」と藤原書記官は振り返る。

 南米で日本方式を採用したのは、ペルーがブラジルに続いて2カ国目。昨年4月の日本方式採用決定からわずか1年で予定通り試験放送開始にこぎ着けた。

*やる気出した「官」

 NHKから国際協力機構(JICA)に出向してペルーに赴任し、同国で地デジのアドバイザーを務める阪口安司さんとともに、リマ市内のペルー国営放送を訪ねた。局内には、日本の技術援助による放送機材がずらりと並んでいる。

「日本の技術や人には、信頼感がある。売りっぱなしではなく、アフターケアもしっかりしている」。東京・お台場のフジテレビで研修したこともあるホセ・アギラール技術局長は、すっかり日本ファンだ。

 阪口さんが、備え付けられている地デジ用カメラを指さした。「この機材は、地デジ開始式典に出席する総務省の若手が『ついでだから』といって自分の手荷物として日本から運んできてくれたんですよ」。送料の節約という以上に、その「やる気」に驚いた、と阪口さんはいう。「かれら官僚はもともと極めて優秀。使わない手はない」。

 南米は旧宗主国であるスペイン、ポルトガルの影響力が極めて強い地域。地デジでも欧州方式の採用が当然視されていた。一方日本は、海外に打って出るという戦略を打ち出した手前、地デジ空白地帯だった南米に目を付けたものの、最初は手探りだったという。

 だが、ていねいな勉強会を繰り返し、技術の優位性を根気よくアピールするとともに、総務省幹部が足しげく現地を訪れるという熱意をみせたことで、次第に状況は好転していった。

 総務省がこれほどの熱意を見せた裏側には、きれいごとだけではない事情もある。通信、放送の自由化が進む中で、「許認可官庁」といわれた旧郵政省は急速に存在意義を失いつつある。「海外へ打って出るための官民一体戦略」は、自らの生き残りをかけた新規事業の創出でもあった。

*鈍い「民」の出足

 現在のところ、大成功を収めつつある南米での地デジ売り込みだが、すべてがうまくいっているわけではない。そもそも、システムの売り込みだけでは、ビジネスとしては1銭ももうからない。

 そこからどうやって日本が利益を得ていくか。まず考えられるのは、放送機材の納入と、受信機材(地デジ対応テレビ)の売り込みだが、いずれも日本企業の出足は鈍い。

 「家電売り場で主力を占めるのは韓国勢。日本勢は高級品のイメージこそあるものの、高いと敬遠されている」(地元住民)。そんな中で、韓国企業ははやばやと地デジ対応商品を売り出した。

 「もともと、韓国勢はシステムがどの方式になろうと、それに迅速に対応して商品を開発していく手法。新興国市場への目配りもすばやい」(藤原書記官)。

 その勢いに押されたままでは、せっかくの地デジ売り込みも「単なる税金の無駄遣い」だったといわれかねない。「官民一体」のかけ声の真価が問われるのはこれからといえそうだ。

               ◇

【用語解説】南米の地上デジタル放送

 2006年6月にブラジルが日本方式採用を決定したのを最初に、ペルー、アルゼンチン、チリ、ベネズエラ、エクアドルの6カ国がこれまでに日本方式を採用。南米では人口比で約80%のシェアを占める。ほかには世界でもっとも普及が進んでいる欧州方式、大市場の米国のほか中米などでも採用が進む米国方式があるが、日本方式は携帯電話などでデジタル放送を視聴できる「ワンセグ」など機能面でもっとも優れているとされる。
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