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保刈明子のブログ(保刈農園)
http://ameblo.jp/hokariakiko/
坂井涼子の写真ブログ(農業1年生、涼子のドタバタ日記)
http://fotopus.com/naviblog/sakai/2007/08/post_26.html
渋谷和歌子 新潟県女性のチャレンジサイト~事例紹介~「渋谷和歌子さん」
http://www.pref.niigata.lg.jp/danjobyodo/1236542487053.html
田淵展子(BSNテレビ、これからのワンダフル新潟人)
http://www.ohbsn.com/niigatajin/2009/07/13/713.html
新潟日報 2011年1月8日
未来を拓く―若手生産者の挑戦(4)―
雪野菜のカレー味ポトフ、米粉パン、ル・レクチェドレッシングのサラダー。自家製野菜をたっぷりと使い、愛情を込めて調理した月2回の「ベジタブルランチ」が人気を呼んでいる。自家製のコメで米粉を製造販売する保刈農園(新潟県西区)の次女、保刈明子さん(29)ら20代の女性3人が昨年5月から始めた。
会場は同区善久の住宅展示場に併設されたカフェスペース。午前11時半に開店すると、家族連れや
サラリーマンらが来店し、あっという間に12テーブルが埋まる。訪れた中央区の男性(61)は「全部おいしい、野菜が笑いかけてくるよう」と驚いた。
もともと江南区の生産法人スタッフの渋谷和歌子(28)らが不定期で行っていたランチを引き継いだ。「おいしいランチを通じて、米粉や野菜の食べ方を提案したい」と保刈さん。同区の農家の跡取り娘、坂井涼子さん(27)も自慢の野菜を持ち込む。
この3人が、若い女性就農者ならではの感性で消費者にアピールする「農業女子」たちだ。「食」の多様な視点から農業の枠組みを広げ、新風を吹き込んでいる。
ランチの開催は毎月第2、第4木曜日。献立づくりは「そのとき何が取れるか」から始まる。中央区の料理研究家の田淵展子さん(54)のアドバイスを受け、例えば白菜の茎はサラダに、葉っぱはスープに、と丹精込めた食材を余すことなく使う。
農作業や直売所の運営など休む暇もない3人。1回の開催に付き3回は繰り返す試作や、前日の仕込みで集まるたび、睡眠時間を削る。保刈さんは「コストパフォーマンスが合うかというと難しいけど、『毎日やってほしい』と言われるとうれしい」と笑う。
千葉県の高校を経てUターンした保刈さん。県農業大学校を卒業後、コメや枝豆を生産する父母を支え、4年前からは自ら米粉の企画販売も手掛ける。当初は小麦粉の代替としか考えられずパンを焼いても固くなったが、田淵さんと出会って「米粉の良さを伸ばすことが大切」と教えられた。行く先々で「米粉を知ってますか」と気後れせず話しかけ、今では年間3トンを販売する。収支はまだとんとんで、安定して利益をだすには10倍に増やすことが必要。ゆくゆくは「米粉を極める」のが目標だ。
農業の後継者を志す女性は、県内ではまだ少ない。3人が顔を合わせ、時間が空くと話すことは一つ。「結婚はどうする」「家は」―。農業はプライベートと切り離しにくいだけに悩みは尽きない。
しかし保刈さんにとって、ランチで培った「女子」の絆は掛け替えのない宝。「違う仕事をいいなと思うこともあるけど、私は私。農業で人を幸せにできれば」。次のランチは13日。米粉をたっぷり使ったグラタンが登場するはずだ。
株式会社 新潟農園
http://www.n-kome.jp/
株式会社神明
http://www.akafuji.co.jp/
新潟日報 2011年1月9日
新潟県JA関係者ら!
環太平洋連携協定(TPP)をめぐる論議が続く中、輸出で日本のコメ農業の活路を開こうとする機運が高まりつつある。和食ブームや内外価格差の縮小を背景に、卸最大手の神明(神戸市)が年間輸出目標を3.6倍に引き上げ、商社も売り込み策を練り直すなど、アジアの富裕層を狙った動きが加速。新潟県関係者も新市場開拓へ期待感を寄せている。
統計によると、主食用コメの輸出量は2010年1~10月で1,380トン。国内生産量824万トンに対して微々たる量だ。国産米の平均取引価格は消費減退などを受け昨年11月時点で60キロ1万2,630円と4年前から17%下落。一方、国際的は世界的需要で上昇基調にある。日本人が主食にする短粒種では、3年前に5キロ当たり約10ドル(FOB=本船渡し価格)あった価格差が足元は5ドルまで縮まっている。
すしなどの普及に加え、安全性や食味で勝る日本産米の人気は高い。神明は昨年、JA北越後(新発田市)JA魚沼みなみ(南魚沼市)などと連携して本県産米の輸出を始め、欧州や豪州などへの販売強化を図る。日本産米の輸出実績330トン(09年産)に対し、10年産は一気に1,200トンに拡大する計画。さらに、18年までに年間1万トンの大台乗せを目指す。
10年産魚沼コシヒカリ20トンの輸出を計画する同JAでは「出荷も販売も順調。すし向けが中心で、量が足りないほどだと聞いている」と手応えを語る。
総合商社の兼松は、栃木県と組みコシヒカリを売り込むフェアを毎年、香港で開催してきたが、「今後は東南アジアや欧米でも検討中」(穀物油脂部)。
農林水産省は昨年12月、中国国営企業と農産物の対中輸出拡大で合意した。
新潟県農協中央会の万歳章会長は「中国は相当の購買力を持っている。コメ生産県としてはありがたい。価格の折り合いが付けばぜひ輸出したい」と語る。
本県関係者は、検疫体制の条件緩和による新潟港からの輸出の可能性についても注視している。
コメ輸出も手掛ける新潟農園(新潟市秋葉区)の平野栄治代表は「中国は市場として潜在性が高く、販路が整えば、新潟のコメを輸出できるチャンスが広がる」と語る。
もはやリーダーシップで解決できる時期は過ぎた!
2011.01.08(Sat)JBプレス 川嶋諭
新しい年を迎えて1週間が経った。今年は厳冬が予測されていたにもかかわらず、東京では1月7日になってやっと初氷を観測した。例年よりも27日も遅いという。
菅首相出演で視聴率大幅ダウン!
大雪に悩む地方には誠に申し訳ないが、東京の空気がピリッとしないわけである。
1月5日のテレビ朝日「報道ステーション」に突然登場した菅直人首相を見て、「何でいまさら。ほかにやらなければならない大切な仕事は山とあるだろう」という印象を持った人が多かったに違いない。
1月7日付の産経新聞は、この時の視聴率が6.9%だったと報じている。この番組自体は通常で13~14%あるそうで、約半分の視聴率しか取れなかったことになる。
どうも世間の思いと首相官邸の考えは位相が180度ずれてしまっているらしい。
1月8日発売の文藝春秋では参院議長の西岡武夫氏が首相について「あまりに思いつきでモノを言うことが多すぎる」などと、一刀両断にしている。
新年早々からあまりに滑稽で哀れを誘う姿を見せられて、政権に対して期待はもちろん、怒りも覚えなくなった。
何もかもピリッとしない。2011年はご存知の通り、世界の大激変が予想される2012年の前の年である。こんなに間の抜けた始まり方でいいのだろうか。
2012年については「激動の2012年を前に世界は」「世界大激変前夜、2011年という歴史的時空」で再確認ください。
太平洋の向う側では、訪米中の前原誠司外務大臣が、一国の元首並みの接待を受けているという。米国は日本の政権が既にレイムダックと言わんばかりの対応である。何とちぐはぐな新年だろう。
日本全体がまとまりなく拡散し切っているような感じを受ける。今年のキーワードはもしかしたらこの「拡散」になるのかもしれないと、ふと思った。そう、拡散。エントロピーなんだ。
世界中が哀れな眼差しを向ける日本!
水は高いところから低いところにしか流れない。やかんのお湯はいずれ冷めて周囲の温度と一緒になる。エントロピー増大の法則というものがある。世の中のものは放っておけば必ず拡散に向かうという物理学の法則である。
今の日本はやかんのお湯が大気の温度と一緒になる寸前の、熱が拡散し切った状態に近いのかもしれない。
そう考えると、FTの名物コラムニストであるデビッド・ピリング氏が皮肉たっぷりに書いた「経済が停滞しても幸せな国ニッポン」を読んでも、批判を受けている国民の1人のはずなのに、不愉快な気持ちを通り越して、第三者的に笑いがこみ上げてくる。
「日本は世界で最も成功した社会か? こう問いかけただけでも、冷笑を誘い、読者が朝食のテーブルでふき出すことになるだろう」
「韓国や香港、米国のビジネスマンに日本をどう思うか尋ねれば、10人中9人は悲しげに首を振り、普段はバングラデシュの洪水の犠牲者に向けられるような悲嘆に暮れた表情を見せる」
「『あの国に起きたことは、本当に嘆かわしいことだ』。シンガポールの著名な外交官は最近、筆者にこう語った。「彼らはすっかり道に迷ってしまった」。
エントロピーの法則に抗えない日本!
ピリング氏はデフレによって日本人はアニマルスピリッツを奪われてしまったと書いているが、確かに、アニマルスピリッツをほぼ拡散し尽くしてしまったようである。
一度拡散したものを元の形に戻すには大変な力、パワーがいる。これも物理学の教える通りである。
エアコンのヒートポンプは、大気に拡散した熱を集めて室内を暖める働きをするが、その際にコンプレッサーを回すために大変な動力を必要とする。
日本人がアニマルスピリッツを取り戻すためには、何らかの大変大きなエネルギーを加えて国民のモチベーションを上げなければならない。そのエネルギーを与えるのが本来は政治の役割だ。
高度成長期までの日本にエネルギーを与え続けてきたのは、欧米に追いつけ追い越せの指示を出した政治と、それを受けて作戦を練って実行に移した官僚のパワーだった。
デカンショ節で日本は強くなったが・・・
「デカンショデカンショで半年暮らす あ~よいよい」
「あとの半年寝て暮らす よ~ぉい よ~ぉい デッカンショ」
ご存知デカンショ節である。デカルト、カント、ショーペンハウエルを徹底的に勉強して欧米に1日も早く追いつこう。こうした唄まで登場して日本人のベクトルを同じ方向にまとめ上げた。
しかし、日本が迂闊にも欧米に完全に追いついたと思い込んでしまった1980年代末を機に、日本人のアニマルスピリッツというエントロピーは増大に向かう。そして、超新星が誕生したかのようなバブルが弾けて、拡散の勢いは一気に拡大した。
この拡散し切った超新星が元の星の輝きを取り戻すには、強力な引力が必要になる。ブラックホールである。残念ながら今の日本にはブラックホールが近くに出現してくれるのを待つしかないのだろうか。
団塊の世代が最後の背中を押す!
しかし、時は確実に流れていく。世の中は時間の関数であることも忘れてはいけない。時間とともに拡散はいよいよ不可逆の領域に入っていく。もう日本人が元のアニマルスピリッツを取り戻すことは完全に不可能になるかもしれない。
そんな日本の将来を暗示しているのがこの記事「高齢化するベビーブーマー」だ。
この記事自体は米国のベビーブーマーたちについて書かれたものである。しかし、恐らくこの記事の内容はほとんどが日本にも当てはまる。
米国のベビーブーマーたち、日本では団塊の世代が、現役引退のピークを迎え、社会保障費の増大など社会に与える影響は極めて大きい。しかし、最も影響が大きいのは、そうしたコストの問題よりも彼らの意識の変化だと言う。
「高齢者は近年、投票集団として特徴的な姿を示すようになってきた」
「退職後の生活がかつてないほど安楽になったことで、政治の動向を追う時間と手段を手にし、自分たちの動機となる問題ができたのだ」
政治に熱心になったベビーブーマーたちは、自分たちの権利が侵食されることを徹底的に嫌う。そして、自分たちが数で優位に立っていることを長い間、肌で感じてきただけに、投票という形で自分たちの権利を守ろうとする。
「福祉を削減せずにベビーブーム世代の退職に伴う費用をまかなうには、前例のない規模での増税が必要となる。それに関しては、福祉削減以上に支持が得られないだろう。既存の政治をひっくり返すベビーブーム世代の力は、かつてないほど大きくなっている」
エコノミスト誌は以前に、同じような問題が欧州で始まっていることを指摘している。それがこの記事「欧州の憂慮すべき老人支配」だった。
世界最大の老人支配の国になるニッポン!
同じことが日本で起きないという保証は全くない。それどころかエコノミスト誌がまだ書いていないだけで、先進国で最も少子高齢化の勢いが激しい日本にこそ特徴的に現れやすい問題と言えるのではないだろうか。
何しろ、日本は世界で最も長寿の国である。団塊世代の権利行使は世界で最も長く続く。それは日本の構造改革が世界で最も遅れるというあり難い反作用を生み出す。
アニマルスピリッツは経験を重ねたお年寄りよりも、怖さを知らない若者に宿りやすい。時は、確実にその意欲を削ぎ完全に失わせるように流れていく。
その流れを止めることは、米国のバラク・オバマ大統領にもできないようだ。もちろん、日本のリーダー(それも今は団塊世代)にできるとは全く考えられない。
だとすれば、もはやリーダーシップどうのこうのと言っても虚しいだけ。日本は2回の失われた10年という時間を空費したために、アニマルスピリッツは不可逆な領域へ入ってしまっている危険性が高いことになる。
年初からのピリッとしない空気は、そうした虚しさのせいだったのかもしれない。しかし、待てよ。マヤ暦の終わる来年は、ひょっとしたらブラックホールが生まれるかもしれない。
何がブラックホールになるかは分からない。恐らく複合的に生じるのだろう。実際、その兆候は少しずつ感じられるようになってきた。
例えば、この記事「ブラジルレアルに魅せられる日本マネー」。
個人のお金は日本国債を避けブラジルへ!
「JPモルガンと野村証券が別々にまとめた推計によると、日本の個人投資家の対ブラジル投資額は累計で6兆円を超えるという。これは日本の国内総生産(GDP)の1%を超える金額だ」
日本の政治を信じられなくなった個人投資家は、日本の国債に見切りをつけ、日本以外に投資先を真剣に探すようになってきた。
「野村証券の為替ストラテジスト、池田雄之輔氏は、日本の投資信託市場における成功のカギは、高利回り通貨と資源国へのエクスポージャーを提供することだと言う」
「このため、ブラジルとその資源重視の経済に人気が集まっているわけだ。ブラジル関連商品の取引は、高収益の投資対象になってきた。レアルの対円相場は2009年初め以来27%上昇しており、金利は日本の0~0.1%に対して、ブラジルは現在10.75%だ」
ブラジルへの投資は、通貨高と金利の両面で恩恵を受けてきたわけだ。ただし、ブラジル通貨レアルがこれからも上昇を続けるとは限らないと記事は言う。
日本の国債は利率を大幅にアップ!
ブラジルが通貨高を何とか阻止しようと躍起になっているからだが、だからといって日本からの投資熱は冷めそうにもないという。
「野村の池田氏は、レアルの下落は恐らく、日本人投資家に新たな投資機会を提供することになると言う」
そう言えば、1月7日付の朝日新聞は「個人向け国債 利率大幅上げ」の見出しで、財務相が10年満期の国債の利率を大幅に引き上げると報道していた。個人向け国債は昨年8~10月の販売実績が史上最低の1417億円にまで減少しているという。
政治不信も手伝って国民からそっぽを向かれ始めた日本国債。それは危機的な財政赤字を抱える一方、再建策を全く打ち出せない政府に重くのしかかる。
そして、つまらない内輪もめが原因で通常国会の召集を1月末にまで遅らせるという政府。それは、参院での議決も必要な予算関連法案に必ず跳ね返ってくる。
短期国債償還のための赤字国債を発行できず、日本国債が信用を失って暴落という爆弾を抱えることにもなりかねない。ブラックホールが出現するとしても、それは何も来年、2012年と決まったわけではないのだ。
刮目せよ!
激動の2011年 日本の生き残る道
『週刊新潮』 2010年12月30日・2011年1月6日合併号 日本ルネッサンス・拡大版 第442回
櫻井よしこ
惰眠を貪る日本の政治とは対照的に、国際社会は諸国が戦略を練り、素早い判断で行動しなければ食い潰されてしまう覇権争いの時代を迎えている。とりわけアジアでは中国、インド間で国益をかけた熾烈な駆け引きが展開されるだろう。それは、以降100年間の世界を規定すると言ってもよいような重大な意味を持つもので、日本も当然、大きな影響をうける。
2012年には、ロシア、米国、韓国、台湾が各々選挙の時期を迎え、中国でも新指導者が誕生する。彼らが戦う戦略ゲームは、後に詳述する中国の新たな決意と、中国による核拡散という重大な変数を交えながら展開される。
加えて北朝鮮情勢はいつ急変してもおかしくない。
指導層の一斉交替が起きる2012年を前にした2011年は、すでに世界の緊張の中心となった西太平洋とインド洋における複雑な戦略戦が熱く闘われる年だ。アジアの大国日本といえども、覚悟と戦略なしには乗り切れないだろう。
中国の異常な軍拡についてはすでに多く語られ、世界はその脅威に直面してきた。だが、世界はいま新たな中国の脅威に直面している。中国が2009年夏に政治姿勢の変更を決定したからだ。それは、韜光養晦(とうこうようかい)(姿勢を低く保って力を蓄える)という鄧小平の教えに訣別して、有所作為(なすべきことをなす)という戦術への転換だった。自信をつけた中国は、国際社会の制度や価値観に中国の利益を犠牲にして合わせるのは不合理だと考え、逆に、国際社会のルールや価値観を中国風に変えていくことを選んだのだ。
中国は紛れもなく、覇権大国になると宣言したのである。彼らは日本、インド、ロシア、台湾をはじめ近隣諸国のほぼすべてと領土領海、地勢を侵すか侵されるかという深刻で微妙な問題を抱えることになった。それも、なすべきことをなすと決めた彼らにとっては、覚悟の内なのだ。
旧ソ連と異なり、国家基盤としての経済の重要性を知悉する中国は、軍事にとどまらず、全分野に覇権を及ぼそうとする。一例が金融だ。強い経済を実現し維持するために、経済の基盤である金融を中国式に制度設計しようとするのだ。
1985年のプラザ合意以降、常に不条理なまでの円高によって成長力を殺がれ続ける日本を横目に、中国は人民元を安すぎる水準にとどめてきた。欧米諸国の切り上げ圧力を、米国に次ぐ軍事力に象徴される国家の意思をもって、断固、はね返してきた。のみならず、中国人民銀行の周小川総裁が09年3月に「世界の準備通貨としてのドルから離れる」ことを提唱したように、ドル体制への挑戦を公然と打ち出した。
人民元を基軸通貨化する戦略目標を掲げたのだ。
国際通貨基金(IMF)やアジア開発銀行(ADB)で議決権を高めつつあるのも、中国式の金融制度を作り上げる「努力」の一環だと考えてよいだろう。他方、10年12月6日までに、外資依存型の経済運営を全面的に改めると発表。外資系製造業に与えていた優遇税制を全廃し、脱外資路線を明らかにした。中国は本当に自信をつけたのである。
中国の自信は、しかし、知的財産権の侵害に見られるように、多くの場合、国際社会のルール破りに発展する。世界貿易機関(WTO)に加盟したにも拘らず、レアアースを一方的に輸出規制した。力で相手国を捻じ伏せるこの手法こそ、紛れもない中国の手法だった。
知的財産権を侵害して技術や製品を入手するのであれば、当然開発コストは限りなく安くなり、競争力は強まる。そうして手にした経済力と異常なペースで進めた軍拡の相乗効果が現在の中国の国際社会での存在感を作り上げた。そして、彼らは遂に世界の地勢を根本的に変えるに至った。
中国は1982年、鄧小平の時代に長期戦略を立て、2010年までに日本列島からボルネオまでの第一列島線内部の制海権を打ち立てると決めた。
2020年までに小笠原諸島からグアムをつなぐ西太平洋の制海権を確立し、2040年までに西太平洋とインド洋で米海軍の独占的支配を阻止すると定めた。中国の外洋進出はまさにこの戦略に沿って実現されてきた。
拡大路線を驀進中!
中国の進出でインド洋も西太平洋も緊張の海に変わったが、彼らが安心して外洋に進出出来たのは、進出に先だって周到に背後を固めたからだ。一例が新疆ウイグル自治区の扱いである。弾圧と虐殺の極みといえるこの事例に、中国膨張の基本型が見てとれる。
人口800万から1,500万といわれたウイグル人の国、東トルキスタンを軍事力で奪ったあと、彼らの団結を阻止するために、漢民族をウイグル自治区に大量に送り込んだ。ウイグル人に凄まじい弾圧を加え、彼らとルーツを同じくする中央アジアのトルコ系民族からも切り離しを図った。中央アジア諸国に手厚い援助を実施して中国への非難を封じ込めたのだ。こうして中国内のウイグル人は内でも外でも孤立させられ、抵抗力を殺がれた。
一方で中国は中央アジア諸国の豊富な資源も自国のものにし始めた。カザフスタンからカスピ海経由で新疆に延びる原油パイプライン、トルクメニスタンからウズベキスタンとカザフスタンを経由する天然ガスパイプラインの建設だ。
中国はウイグル人の祖国を奪い、渇望する資源を手に入れ、中央アジア諸国を中国に依存せしめることに成功したのである。
中国の拡大路線は極東ロシアにも急速に伸びつつある。かつて中国を凌駕したロシアの国力の凋落は、特に極東で顕著である。ヨーロッパの面積の約2倍の極東に住むロシア人は現在わずか700万人、5年後には450万人に減少する。国境の南には土地や資源、起業の機会を求めて越境の時機を窺う億単位の中国人がいる。事実、すでに多くが入植済みである。少ない人口と豊富な資源を特徴とする極東ロシアはいずれ中国圏に組み込まれていかざるを得ず、このことはロシア首脳部の心中深くで、中国への猜疑心となっている。
中国が好んで使う「平和的台頭」という表現にも拘らず、中国は全方位で拡大路線を驀進中なのだ。空母を建造する傍ら、米国の空母牽制のために75隻もの潜水艦を確保したと見られる。米軍を無力化する二つのサイバー部隊もフル稼働中だ。有事の際、米空母の接近を阻止する対艦弾道ミサイルとそれを支えるレーダー網も完備済みだ。事態の深刻さは、米国防総省系のランド研究所が2009年の報告で「米国は2020年までに中国の攻撃から台湾を守ることが出来なくなる」と分析したほどである。
台湾を制圧すれば、中国は南シナ海により大きな海軍力を振り向けられる。中国にとって南シナ海は極めて重要な世界制覇戦略の拠点である。
海上自衛隊で指揮官を務めた潜水艦の専門家、岡崎研究所副理事長の川村純彦氏が指摘した。
「中国は、南シナ海を対米核攻撃の第二撃力の基地にしようとしています。仮に核戦争が勃発して陸上の基地が攻撃されても、潜水艦は攻撃を免れ得ます。生き残った潜水艦から米国へ核ミサイルを発射する。これが第二撃力です。中国には、まだこの報復能力はなく、必死で持とうとしています。その種の攻撃型潜水艦を隠しておくのに、十分な深さのあるのが南シナ海で、絶好の場所なのです」
南シナ海の海南島に中国が完成させた大規模海軍基地は、潜水艦20隻を収容するトンネル式の地下基地を備えた、最新鋭の普級ミサイル潜水艦の母港である。
「南シナ海を核の第二撃力の基地として聖域化して初めて、米国と対峙出来る物理的な強大国となれる。中国はそう考えているのです」と、川村氏は語る。
「真珠の首飾り作戦」
まさに2040年までに西太平洋とインド洋から米国を排除して中国の覇権を打ちたてる戦略を実現する非常に重要な第一ステップが南シナ海制覇なのだ。
中国は一度立案すると忍耐強く継続する。決して諦めず、しかも柔軟である。
たとえば、この十数年間、インド洋支配を目指してインドを取り囲む形で軍事基地や軍艦の収容が可能な大規模港湾を整備してきた。通称、「真珠の首飾り作戦」と呼ばれる同作戦はバングラデシュ、ミャンマー、スリランカ、パキスタンなどの協力で進められた。
欧米諸国はミャンマーの軍事政権に「民主化」の要求を突きつけ、援助を断ち切ったが、中国は惜しみなく援助を与えた。東南アジアで最も広い国土と豊富な資源を有する穏やかな国民性のこの国で、中国は見返りに資源と土地を手に入れ、さらに対インド戦略拠点としてシットウェに港を築いて足場にした。
2011年には雲南省の昆明とミャンマー最大の都市ヤンゴンを結ぶ高速鉄道の建設に着手する。鉄道は途中で枝分かれしてシットウェの港にも通ずることになる。
中国は相手国の政体にも価値観にも拘らない。自分の望むものをひたすら追求する。そうして中国が第三世界に与えた最大のものが核兵器とミサイルである。
インドの著名な戦略研究家でジャーナリストのラジャ・モハン氏が指摘した。
「パキスタンの核も北朝鮮の核も元を辿ればすべて中国が与えたものです」
核とミサイルを持った北朝鮮が東アジアの問題国であるように、核とミサイルを手にしたパキスタンは南アジアの問題国である。しかも彼らの背後にはタリバン勢力が存在し、今後のアフガン情勢に深い影を落としている。これらはすべて、中国の核の拡散が生み出した結果である。中国こそ平和と秩序の破壊者なのだ。
そんな中国に包囲されようとしているインドだが、おしなべて冷静である。国家安全保障担当の首相補佐官、メノン氏に中国の真珠の首飾り作戦について問うと、こう答えた。
「港湾を築いたりすること自体はなんら脅威ではありません。その使い方が問題なのです」
一方、モハン氏はパキスタンへの中国の核の提供について、「複雑な問題について語り合う印中両国の政治的意思が大事だ」と語る。
インドの外交、安全保障政策形成に大きな影響力を持ち、高く評価される官民の二氏の発言は、少なくとも表面的には、驚く程中立的で冷静だ。だが情勢は容易ではない。
シンクタンク国家基本問題研究所副理事長で、長年外交政策を論じてきた田久保忠衛氏が指摘する。
「いまタリバンらテロリストたちは、2011年夏にも始まる欧米軍撤退を待っているでしょう。米国が去ったあと、パキスタンが核やミサイルと一緒に、勢力を盛り返したタリバンに絡めとられることが懸念されます。インドに対して大変な脅威です。隣接するイランも同じです。インドはイランと比較的よい関係ですから、協力するのか。しかし、イランと緊密化すれば、イランの核を疑う米国はどう思うのか。米軍撤退後の戦略図は全く見えてきません。その中で、中国だけは、米軍が治安維持に汗をかいているアフガニスタンで、いまも着々と銅の鉱山開発を進めています」
雄々しい国に!
こうした中、インドでは、伝統的な非同盟外交を守りつつも、二国間或いは、イラン、ロシア、米国、日本、韓国、豪州、東南アジアまで視野に入れた多国間の戦略的関係を構築すべきだとの意見が少なくない。不安定な核保有国のパキスタン、展望の開けないアフガニスタンという現実の危機を前にして、インドは世界を視野に入れた大戦略を考え、生き残りの道を探る。
2010年11月6日、オバマ大統領はインドを訪問し、4日間の長きにわたって滞在した。インド国会では、インドの国連安全保障理事会の常任理事国入りを支持すると語った。米国とインドの共通点を強調し、中国との違いを浮き彫りにした。
オバマ大統領もまた、十分に気づいたのだ。ユーラシア大陸、インド洋、西太平洋問題の元凶が中国であることを。そのうえで戦略の立て直しを図っているのである。南アジアのパワーバランスが再び変化し始めたのだ。
2011年以降の世界的問題にどう対処すべきか。メノン氏は日印間の多角的二国間協力の必要性を強調した。決して言葉には出さないが、中国を意識しているのは明らかだ。インドへのわが国の対処が問われており、その対処は日本の生き残りにも決定的な意味を持つ。
経済交流や幅広い人間の交流は無論のこと、日印二国間の軍事交流を同時進行で充実させていくことが当面の課題である。
しかし、誤解を恐れずに言えば、これとても枝葉の問題である。日本がいまとことん考えるべきは、現行体制の下で、日本は国家として機能するのかということだ。憲法9条で尖閣を守れるのかということでもある。
政治家も官僚も国民も、日本の国家運営に責任を感じ、いまこそ、激しく変化する国際社会に刮目し、日本の在り方を考えなければならない。
中華帝国主義を掲げ、強烈な国家主権意識で押してくる中国にどのようにまともにわたり合うかを考え、雄々しい国になることだ。志をたて、未来世代のためにも大戦略を錬り始めるのだ。
ステルス機
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%A9%9F
2011年1月7日 東京新聞 朝刊
【北京=朝田憲祐】中国軍が、レーダーに捕捉されにくい最新型の次世代ステルス戦闘機「殲(せん)20」を開発し、六日、四川省成都で試作機の滑走試験を行ったことが分かった。民間の軍事研究機関、漢和情報センター(本部カナダ)が本紙に明らかにした。空母建造など海軍力増強が顕著な中国が、空軍力の強化にも力を入れていることを示した格好だ。西側の軍事関係者の間では、九日からのゲーツ米国防長官の訪中を前に、空軍力の近代化を誇示するため、中国当局が意図的に情報を流した、との見方も出ている。
「第五世代」と呼ばれるステルス戦闘機は、実戦配備された米国の「F22」と、ロシアが開発を進める「T50」だけ。
「殲20」は、中国軍系の航空機メーカー「成都飛機(航空機)工業」が開発。機体は黒っぽく、やや丸みを帯びている。国産エンジンを搭載しているとみられ、高度のステルス性や巡航速度を備えている「F22」と比べると性能は劣るという。同センターによれば殲20は近く飛行試験に移る見通しだが、実戦配備にはさらに十年程度かかるとみている。
この日の滑走試験は、十二月と一月五日に続き三回目で、中国国防省や共産党中央軍事委員会の幹部も視察。同センターは「本来は飛行試験が予定されていたが、結果的に試験滑走に終わった可能性がある。何らかのトラブルが起きたのかもしれない」と分析した。
「殲20」の写真は、年末からインターネット上で出回っているほか、共産党機関紙・人民日報系の環球時報や国営中央テレビも「中国の次世代戦闘機に外国メディアが注目」と報道。香港在住の軍事専門家、平可夫氏は「殲20」が実戦配備されれば「アジアの軍事バランスに大きな影響を与える可能性がある」と指摘している。
これに対し、中国外務省の洪磊副報道局長は六日の定例会見で「中国は防御的な国防政策を堅持しており、いかなる国にも脅威を与えない」と述べ、西側で広がる中国脅威論にくぎを刺した。
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