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平成22年 第12回「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」(松江市)有機栽培・JAS認定部門で特別優秀賞を受賞。(食味90・味度83・計173点) 平成25年、第15回魚沼と第16回北京開催運動中! 無農薬魚沼産コシヒカリ生産農家・理想の稲作技術『CO2削減農法』 http://www.uonumakoshihikari.com/
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図解! 循環型農業団地構想とは?
http://www.net-ir.ne.jp/ir_magazine/special/images/vol87/1378_09_l.jpg

確実な事業成長を遂げてきた雪国まいたけが挑戦する次なる成長戦略は、これまでのイメージを真っ向から覆すカット野菜事業だ。雪国まいたけが新たに市場を創造しようとしているのは、まさに青果部門における炒めてよし、蒸してよし、電子レンジでの調理も可能なカット野菜だ。新事業の開始について、またその先にある将来構想について、大平喜信代表取締役社長に話を聞いた。

サラダ系カット野菜ではなく『調理用カット野菜』の新市場を創出!

2009年10月、雪国まいたけは一部の量販店で、炒めたり、蒸したりする調理用カット野菜「もやし野菜ミックス」「きのこ野菜ミックス」の販売を開始する。一般の消費者向けに出回っているカット野菜市場は、200億~300億円市場といわれているが、これはコンビニエンスストアなどで販売されているサラダを中心としたサラダ系カット野菜の比率が半分を超えていると予想されており、調理用のカット野菜市場の潜在ニーズは計り知れない。

「これまでも小売店によっては、青果のカット野菜を販売しているところもありました。核家族化や女性の社会進出が進むなかで、こうした便利な商材に対するニーズは高いものがあります。けれど、市場はそれほど伸びてきませんでした」(大平社長、以下コメントすべて同じ) 市場が拡大してこなかったのは、「まず、価格が割高であったこと。

丸ごとの野菜を購入して、使いきれずに家で腐らせてしまう可能性があるとしても、カットされて、ある程度用途が限定されて売られている野菜のほうが割高であれば、お得感がまったくありません。そうした消費者心理が働けば、必然的に購入には結びつかない。だから、カット野菜のほうが圧倒的に経済的だという認識を持ってもらえる価格帯で商品を提供しなければ意味がないのです」と大平社長は語る。

地域の農家と協同一致して 安全・安心な生鮮野菜を安価に提供する新スタイルを確立!

これまで同社が築き上げてきた生産ノウハウの賜物である「きのこ」や「もやし」に加え、キャベツやにんじんといった生鮮野菜をセットした商品の準備が進んでいる。しかし、きのこやもやしの生産ノウハウにいかに造詣が深くても、きのこ・もやし同様に低コストで高効率、かつ安全・安心な商品として生鮮野菜を提供することは可能なのだろうか。

「それはもちろん簡単なことではありません。農家さんたちを巻き込んでのプロジェクトです。大規模農家さんとタイアップしながら、委託生産してもらい、生産過程のデータなどはすべて当社に寄せていただくという契約農家のスタイルです」 農家での栽培データをすべて提供してもらうことで買取単価を保証。今後、データの蓄積・分析を重ね、きのこやもやし同様に作り方に工夫を加えて、市場を拡大するという計画だ。

「自社では効率的な栽培方法の確立などに向けてデータ取得のための試験農場を展開するくらいで、すべてを自社で生産することはしません。当社が実績をあげてきた『農業の工業化』という発想を基に、どれだけ農地に『安全・安心』で『将来性のある』新しい生産方法・生産技術をもたらせるかがキーポイントになってきます」 一見、きのこやもやしの栽培とジャンルが違うのでは、と思えるこの計画だが、41ページまでで紹介した「雪国まいたけの強み」すべてをフル活用することができる。

「今では、栽培きのこの販売は当たり前かもしれませんが、25年前はきのこの事業化は無理だといわれていました。現在の農業と同じような状況です。まず間違いなくいえるのは、当社のきのこの大量生産・栽培技術は日本一ではなく世界一だという自信があるということ。同業他社では延べ床面積の半分以下しか栽培に利用できていませんが、当社は延べ床面積の73%を栽培に利用しています。自然の生態系を再現した大量生産技術があるからこそ、栽培効率のいい工場設計ができるということ。

だからこそ化学農薬や化学肥料を使わず、自然エネルギーを最大限に活用し、徹底した低コストを実現することができるのです。生鮮野菜についても同様の考え方での事業化を進めていくつもりです」 加えてきのこは48時間以内に310種類、カット野菜は14時間以内に224種類の残留農薬・重金属を分析できる検査技術を用いることで、消費者が望む「安全・安心」を担保できる野菜の提供が可能という点、ほぼ全国の量販店に独自の販売ルートを持っているという点も実現に向けて大きな力となる。カット野菜は鮮度を重視するため、きのこより短時間で検査を行うことから、現時点では224種類となっているが、徐々にその種類を増やしていく計画だという。

日本の食糧事情を変える可能性を秘めた雪国まいたけの『循環型農業団地構想』

雪国まいたけでは、「カット野菜」を成功へと導くべく、低コスト戦略を追求した結果、「循環型農業団地構想」というものに行き着いたという。

「きのこ栽培では、二酸化炭素が発生します。一方で、生鮮野菜が育つには光合成の原料のひとつとなる二酸化炭素が欠かせません。そこで、きのこ栽培工場と生鮮野菜工場を隣接させ、二酸化炭素をうまくやりとりすることで、生産の効率性向上に取り組んでいます。すでに、試験農場でレタスなどの生産を開始しています」廃棄ガスと呼ばれ、地球温暖化に影響しているといわれる二酸化炭素をうまく使いきって、無農薬野菜を作ってしまおうという発想だ。

さらに、きのこ栽培で使用した「おが屑(廃菌床)」を、高圧蒸気を発生させるバイオエネルギーの原料として利用することも視野に入っている。「現在も、使用済みのおが屑は燃やして蒸気を発生させ、利用しています。それをさらに進めて、タービンを回せるだけの高圧蒸気を発生させ、ここで発電する『オガボイラー発電』を考えています。

発電の後、排出された廃棄ガスを従来通り、暖房に使うという仕組みです」 現在も地熱を活用し、水温の上昇などに利用する仕組みを独自に開発・運用している同社には、クリーンエネルギーを使いこなす土壌がすでに育っている。さらに、カット野菜の生産時に発生するカット後に残った野菜を堆肥化したり、バイオエネルギー発生後、最後に残った残渣物を有機肥料として生鮮野菜の栽培に還元していくという。 「メタンガスによるバイオエネルギーや食品廃棄物を利用した養豚といったプロジェクトは世のなかでも進められています。

それを部分的に行うのではなく、雪国まいたけでは、すべてを還流させ、完結していく仕組みを作りたいと考えています。何も無駄にしない。それが実現できれば、現在よりもさらに低コストな生産体制が出来上がるのです」 養豚まで取り込むにはまだ時間がかかるとの見解だが、現在、雪国まいたけではきのこが持つ薬理効果の研究を国内外の大学や研究機関と推進しており、まいたけに含有されるMDフラクションに免疫力を活性化させる作用があると期待されている。実際、米国FDA(食品医薬品局)において薬としての許可を受けるための臨床試験はフェーズ2に入る予定だ。

「まいたけを栽培した後の廃菌床を利用して飼料を作れば、抗生物質を使わずに豚の免疫力を活性化して、より安全な肉を安定的に、かつ安価に提供できることにつながってくると考えています。そうして育てた豚肉をカット野菜とセットで売るようにすれば、『肉だけ買うよりセットのほうがお得だね』という状況を作ることができます。 この発想の原点は、カット野菜をいかに成功させるかというところにあるんです。それを突き詰めていったらこれになっちゃった(笑)。できる・できない、を考えるのではなく、どこに無駄があって、どこに工夫できるか、また、何が望まれているかということだけ考えれば、いろんな発想が出てくるんですよ。後はやるだけです」 確かに、かつてきのこの事業化は無理だといわれていた。それを成し遂げてしまった雪国まいたけの大平社長が語ると説得力が生まれる。

食料自給率アップ国際競争力の向上にも つながる未来を創る画期的なプロジェクト!

現在、日本の食料自給率はカロリーベースで約41%と先進国のなかでも最も低く、農業従事者の7割を60歳以上が占めているといわれている。「放っておけば、20年後には、農業をしてくれている人たちのほとんどがいなくなってしまう。だから、農業を持続可能な形で工業化させて『ここならば、きちんと自分の将来をかけられる』と若者に感じてもらえる、そういう仕組みに変えていかないと、農業をやる人がいなくなってしまいます」

カット野菜事業の採算性の追求から始まった「循環型農業団地構想」。「500haくらいの大規模農場を日本全国20~30カ所で実現できれば、結果として、農業の効率性が上がり、減農薬が実現できます。というのも、現在のような小規模農地だと、農家ごとに農機を保有していますから、稼働率が悪くなる。また、農薬もあちこちで散布するので、回数が増える。今の農薬で駆除できるのは幼虫だけで成虫は他の農地に逃げるだけです。

なので、一斉に行えば、一気に害虫が駆除できますが、ばらばらにやると、結局害虫は農地を行ったり来たりすることになるので、結果的に農薬を散布する回数が増えて、費用もかかります。

それと、大規模農地で栽培した野菜は、すべて一定の価格で当社が買い取り、より一層生産効率をアップさせます。これで、農業従事者の所得向上と安定化を図ることができて、今後を担う若者の参入も期待できます。そうすれば、食料自給率の問題や国際競争力の向上など、いくつもの問題が解決の方向に進むんじゃないかな」と大平社長はおおらかに語る。「私の幸せの定義は『社会の人が喜ぶ、自分も満足する、経済的な豊かさを享受できる』この3つが揃わないとならないということ。

小手先だけ、誤魔化してもばれなきゃ儲かるというのでは幸せになれないんです。後ろめたさがあったら幸せになれない。正しい方向からまっすぐに社会に貢献をしていく、そして人に喜んでもらえれば、自分もうれしい」 確かに壮大なプロジェクトだ。だが雪国まいたけには、そうした正しいことをやり抜くという思いを原動力に、成し遂げてきた数々の実績があることを忘れてはならない。
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図解! 循環型農業団地構想とは?
http://www.net-ir.ne.jp/ir_magazine/special/images/vol87/1378_09_l.jpg

生き物の生命の息吹を肌で感じその要求に応えるノウハウで農業の工業化を実現!

現在の雪国まいたけの強み!

雪国まいたけは、今となっては社会的にも意識が高くなってきた「食の安全・安心」「地球温暖化防止につながる消費電力の削減」などに関するさまざまな技術開発に早くから取り組み、独特なビジネスモデルを構築してきた。このビジネスモデルを支える一つひとつの要因が、すべて同社の強みとなっていることは間違いない。

徹底した低コスト化と、きのこが自生する自然環境の状況を人工的に再現する生産技術。さらに、徹底的な食の安全・安心を追求し、48時間以内に310種類の残留農薬・重金属を分析できる検査技術を国内で唯一確立していること、そして全国の量販店に独自の販売ルートを持ち、価格競争力を保持していること、この4つを武器に圧倒的な強さで事業を拡大している。

低コストの実現にはさまざまな取り組みがあるが、まず、電力消費量の削減があげられる。年間電気使用料金は同業他社の約3分の1。この決定的な違いはどこにあるのか。 「通常、農家できのこを栽培する場合に使用する電気量と比較すると、出荷量当たり数分の1程度しか使用していない。同業他社のやり方は、農家のやり方をたくさん集めたスタイル。しかし、雪国まいたけは農業を工業化、つまり均一になるように管理して大規模化している点が大きく異なる」ということだ。 冷暖房コントロールが不可欠なきのこ栽培。その胆となる空調設備についても自社で設計し、工場内部に建築時から導入している。「きのこ栽培に必要な冷暖房を供給する空調設備を専門会社に発注したら、非常に大掛かりな設備になる。

その設置場所も設置コストも馬鹿にならない」 さらに、雪国まいたけでは社会の動きにも先んじて、25年前から自然エネルギーのひとつである地熱の利用を進めてきた。7年前から、実際の冷暖房を賄っている。自然エネルギーをうまく活用しながら、さらに排出したものも自然環境に負荷がかからない形でいかにして利用していくかの研究にも余念がない。

きのこの生育にふさわしい自然環境をいかにして人工的に再現するか―。これは、温度や湿度を一定にすればいいといった類の話ではなく、そう簡単にできるものではない。気温が何度の時に、湿度は何%にするのか、加えて、光の加減、二酸化炭素の濃度、風、刺激……自然環境を成り立たせているあらゆる要素のバランスを突き詰める必要がある。「どういう状態の時、まいたけは最も活性化するのか」がわからなければ、どんなに資金をかけて設備を整えても、まいたけの量産は不可能だ。単なる工業製品とは違って、食物は「生き物」だからこそ、その要求を肌で感じてそれに応える農業のノウハウが必要。それがなければ、工業化は決して真似できない。

安全、安心をお届けする「雪国まいたけ安全システム」

雪国まいたけのホームページ、携帯サイトでは、ラベルの製造番号を入力すると検査結果がすぐに閲覧できる

食品衛生法第3条には、食品等事業者に対し「自らの責任においてそれらの安全性を確保するため、販売食品等の安全性の確保に係る知識及び技術の習得、販売食品等の原材料の安全性の確保、販売食品等の自主検査の実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と定められている。 あらゆるリスクを想定し、食品提供者の使命として、誰もが困難と思っていることであっても「やるべきことをやる」。

それが、創業以来変わらぬ雪国まいたけのポリシーだ。 同社では、栽培工程で農薬などは一切使用していない。栽培床となる「おが屑」などもすべて天然ものを利用しているため、どこかで紛れ込む可能性は拭いきれない。そこで、1997年に残留農薬・重金属検査、衛生検査(微生物検査)をはじめとした各種検査を行う専門部署を設置し、検査技術の開発を進めてきた。「もやし」の原料となる緑豆は、ほとんどが中国からの輸入品で成り立っているが、同社では、原料段階から残留農薬・重金属検査、衛生検査、さらに製品出荷検査を実施。「おいしさ」に加え、厳しい鮮度管理基準に基づいた「新鮮な食品」、そして「安全」も「安心」も確実に提供している。

メーカーと共同開発した自社の残留農薬分析技術によって、310種類の農薬の一斉検査が可能。同社の残留農薬検査の検査基準は、食品衛生法で定められた基準値よりもはるかに厳しい基準値で運用されている。重金属検査については、きのこ栽培において確認が必要とされる有害性重金属のヒ素、鉛、カドミウム、水銀の検査を実施。検査結果は毎日、一般公開されており、製品ラベルやパッケージのQRコードから携帯電話専用サイトで確認できるほか、同社のホームページ上で詳細を確認することができるようになっている。
(雪国まいたけのホームページ、携帯サイトでは、ラベルの製造番号を入力すると検査結果がすぐに閲覧できる)

雪国まいたけの海外展開「マイタケ」が世界の共通語になる!

2005年2月、経済の成長の著しい中国・上海市に現地法人を設立し、高度な生産技術がもたらす高品質なえのき茸の生産を開始した雪国まいたけ。瞬く間に販路を獲得し、業績も順調に推移してきた。

その後、2008年には吉林省長春市で工場建設に着工。上海工場の拡充も進め、えりんぎの生産も計画している。さらに、2009年8月には、四川省成都市の近郊に現地法人を設立し、工場建設の準備を進めるなど、2010年12月期までに売上高30億円、経常利益率約30%を見込み、確実かつスピーディに中国市場創出を実現している。

また、食文化のグルメ化や国際化、健康志向の高まりが進む米国向けの市場創出も進めている。2000年には、米国デラウェア州にユキグニマイタケコーポレーションオブアメリカを設立して米国における市場調査および工場の建設準備を進めており、現在は国産きのこを毎月空輸して、市場調査を兼ねて「マイタケ」「ブナシメジ」の呼び名で販売している。米国のきのこ市場全体は、この15年で2割強に拡大。

きのこのバリエーションを増やしていくことで、より市場育成に拍車がかかると見込んでいる。すでにニューヨーク州サリバン郡に約19万m2の工場用地を取得し、現地生産に備えている。

*雪国まいたけ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%AA%E5%9B%BD%E3%81%BE%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%91

1.役員の異動
(新任取締役候補)取締役兼執行役員 鈴木邦夫
(現 執行役員 社長特命担当兼循環型農業団地プロジェクトリーダー)
2.異動予定日
平成22年6月29日

*特別企画 株式会社雪国まいたけ[1378] (IRマガジンvol.87 2009年秋号)
http://www.net-ir.ne.jp/ir_magazine/special/vol087_1378.html

強い信念がよのなかを変える。
幻のきのこを現実のものにした会社が『循環型農業団地構想』で未来の「食」を確かなものに!

図解! 循環型農業団地構想とは?
http://www.net-ir.ne.jp/ir_magazine/special/images/vol87/1378_09_l.jpg

食の安全、先進国中最も低い食料自給率、高齢化する農業人口――。私たちの命を支える「食」は危機に晒されているといっても過言ではない。
しかし、こうした危機の突破口が開かれるかもしれない。かつて幻といわれたきのこの人工栽培と工業化を成し遂げ、食の安全が叫ばれる現状を20年も前に予見していた会社「雪国まいたけ」がカット野菜に進出する。
そして、将来的には、農業を工業化し、食物を安定供給するだけでなく、その栽培に必要なエネルギーも自然エネルギーで賄い、環境負荷の低減を実現するという。一見すると、何の関わりも見えてこないカット野菜と循環型農業団地構想。そして、それが日本の食をどのように救うのか。そのつながりを探るためには、雪国まいたけの過去から現在までを紐解く必要がある。

始まりは 太もやし栽培!
今からさかのぼること約35年。資本金70万円を元手に、当時1000万円は必要とされていた「もやし」の栽培設備を自らの手で作り上げ、試行錯誤の結果、当時は珍しかった「太もやし」の生産に成功した人物が雪国まいたけの大平喜信社長だ。

もやし栽培を始めた当時、太もやしを生産できる企業は、日本国内で2社しかなく、その栽培方法を教えてくれる生産者は皆無。もちろん周囲は「できるわけない」の一点張りだった。 「太もやしをつくるには、小屋のなかでストーブをたいて不完全燃焼させるらしい」というヒントだけを頼りに、大平社長は挑戦を繰り返すが、「少し太くなってきた」と喜んでいると、翌日には腐ってダメになってしまう。

あくる日も、あくる日も試行錯誤の繰り返しだった。 ある時、研究熱心な大平社長の頭に「もやしは土のなかで芽を出さなければ、根を張ることができない。だからもやし自身、湿った土に根を張って、乾燥から身を守らないと生き残れないことを知っている。『ここが命を次につなぐのにふさわしい場所』かどうか、もやしはどうやって判断しているのだろうか……」そんな疑問が浮かんだ。その疑問を追求し、検証しつづけた結果、どうやら生存の秘密は「二酸化炭素の濃度にある」という答えにたどりつき、見事、生産に成功。栽培を始めてから、3年の年月が過ぎていた。その時、大平社長は確信した。「できないのは途中であきらめるからだ。あきらめなかったらいつか必ず実現できる」

自分が口にしたくないものは 絶対に作らない、出荷しない!
ようやく出荷できるようになり、地域のもやし市場を席巻するようになってから1年半ほど経つと、その方法を知った同業他社が次々と太もやしの生産に成功し、市場に参入してきた。

すると、それまで太もやしの価値を認め、購入してくれていた流通店が、「大平さんのところのもやしは色が悪い」ということを理由に、取引を渋るようになった。同業他社は見た目がきれいな、漂白した白い太もやしを流通させ始めていたのだった。 すると、大平社長は1980年、年商4000万円(年産350~400トン)にまでなっていたもやしの生産を、それ以上無理に拡大するのをやめてしまう。理由は「漂白したもやしは、自分が食べたくない。そんなものを生産して、消費者に売りたくないから」。

嘘が大嫌いな大平社長は、「金儲けのために、消費者がわからないからといって、自分が食べたくないものを作りたくない。後から、消費者に『漂白されているものだったら食べなきゃよかった』と思わせることはもっと嫌だった。そこで、漂白されたもやしが主流の市場に自分は合っていないと思った」と言う。

そして、「きのこなら、漂白剤も、保存料も何も必要ないだろう」との思いから、当時は幻のきのこといわれていたまいたけの栽培に参入する。しかし、農薬が不要だと思ったきのこの栽培でも「この農薬を使えば、雑菌が繁殖しませんよ」とすぐに、農薬販売者が訪ねてきたという。 「確かに、20年前は、手間をかけず効率的に、安くて見た目が良くて、おいしく食べられる、ということばかりを誰もが望んでいた時代だった」と大平社長は当時のことを振り返る。

それでも農薬や化学肥料は一切使わないと決めていた。食品添加物も次々に認可されていたが、「このままでいけば、いずれ使いすぎることになり、社会問題になってくる。そうした時代になったら、やっぱり安全が大事だという方向に立ち戻るにちがいない」と考え、きのこの生態研究を突き詰めて効率化を図ることで、農薬も化学肥料も使わないきのこ栽培の工業化へ突き進んでいった。

まいたけが自生する山奥の移ろいを再現。まいたけの人工栽培に成功!
まいたけ栽培のスタート当時は、もやし同様に苦労した。2カ月間、菌を仕込んでも仕込んでもきのこは出ず、日々、廃棄処分が増えるばかりだった。

しかし、ある気づきをきっかけに、適切な処置を施すと、当時「幻のきのこ」と呼ばれていたまいたけが育ち始めた。とはいえ、収穫効率は現在の半分以下。それでも大平社長は「まだ産声を上げたばかりの産業だから、私が日本で一番先にまいたけの量産技術を開発するぞ!」という目標を打ち立てた。

「まいたけは自生しているものをとってくるもの。人工栽培なんて絶対に不可能だ」といわれていた時分のことである。 量産技術は少しずつだが、確実に構築されつつあった。

次に大平社長が考えたのが、「従来の流通経路ではなく、独自の直販ルートを確立する」ということだった。農協、全農、経済連、青果市場、仲買、小売店、消費者へと渡る従来の流通ルートで販売していたら、競合の出現で市場はあっという間に販売価格だけが競争の焦点になる。「それでは、いいもの・きちんとしたものを消費者に継続的に届けることが難しくなる。品質保証体制を強化し店頭に入れるまで自社で責任を持ちたい」と考えたからだ。

量産技術と直販ルートの確立で 独自のビジネスモデルを構築!
「無理だ、無謀だ」と揶揄されながらも、至上命題だった量産技術と直販ルートの確立に邁進し、全国展開している大手スーパーマーケットの店頭に「雪国まいたけ」が並ぶようになったのは83年のことだった。

それから2年もしないうちに、大資本を持つ大企業が「アグリビジネス」としてきのこ事業に参入してきた。そこで大平社長の次なる目標が出てくる。それは、「どんなに大きな企業が参入してきても、適正価格でいいものを販売しつづけるために、全国のまいたけの価格をうちの会社がコントロールする」というものだった。

日々、研究や努力を重ね、生産コストを下げていく。そして、コストが下がった分はすべて販売価格に反映させる。良い品質を保ちながら、安定的に低価格で提供すること、これが最大の参入障壁となる。理想にすぎないと笑い飛ばされながらも、そうした実にシンプルな手法を用いて、高い参入障壁を築き、現在の業界地位を作り上げてきた。 現在は、まいたけ・えりんぎ・ぶなしめじの三本柱が整い、「きのこ総合企業」としての基盤が確立。2004年には、それまで細々と続けていた無漂白の「雪国もやし」の専用大規模工場を建設するとともに、またユニークなCMをはじめとする積極的な拡販が成功し、売上構成比のバランスも上々だ。

「不可能だと思い込んで、自らが行動を起こさないために、実現しないことが多いのではないでしょうか」とは、大平社長の言葉だ。周囲に絶対にできないといわれても信念を持ってやり遂げていく、それが創業から続く雪国まいたけのDNA。大平社長の言葉を借りれば、「現在の非常識を未来の常識に変えていく」――このように、いくつもの不可能を可能にしてきた強い信念が、まったく新しい可能性を切り開き、未来を創り続けていくにちがいない。


YouTube
http://ja.wikipedia.org/wiki/YouTube


文:Stephen Shankland(CNET News)翻訳校正:編集部 2010/05/20 07:54

 Googleは米国時間5月19日、オープンソースでロイヤリティフリーのビデオフォーマット「WebM」を発表した。MozillaおよびOperaが、同エンコーディング技術を自社のブラウザでサポートすると表明しており、Googleは、同社のYouTubeサイトで対応すると約束した。

 「WebMプロジェクトは、すべての人々が無料で利用できる、ウェブ向けの高品質なオープンビデオフォーマットを開発することを目的としている」とWebMのウェブページには記されている。予想されていたとおり、Googleは19日、Google I/Oカンファレンスと連携してこの取り組みを働きかけた。

 WebMの提供によって、Googleがどれだけの成功を収められるかはまだわからないが、同社には、ウェブに対する大きな野望、強力なブランド、YouTubeの高い人気に支えられる絶大な影響力、そして、WebMプロジェクトを妨げる法的な脅威があってもそれに対処できるだけの莫大な資金がある。

 Googleは、自社以外のサポートも発表した。「2010年5月19日にリリースした『VP8』とWebMの仕様は正式なものであり、すべての人々に対し、これらをアプリケーション開発に使用することを推奨する。Google、Mozilla、およびOperaの3社すべてが、自社のブラウザにWebMサポートを追加し、5月19日以降にYouTubeにアップロードされる720p以上のすべての動画は、HTML5実験の一環としてWebMでエンコードされる予定である」(Google)

 同フォーマットは、Googleが2010年2月にOn2 Technologiesから手に入れたVP8技術をベースとする。また、オーディオ技術「Ogg Vorbis」も使用している。これも元々はOn2が開発したものである。

 ビデオをエンコードおよびデコードするためのこの「コーデック」技術は、H.264に競合するものである。H.264は、AppleとMicrosoftが好んで使用しているが、ライセンス料が高く、制約も厳しく、オープンソースソフトウェアでは使用されていない。こうしたオープンソースソフトウェアとしては、Mozillaの「Firefox」やGoogleの「Chromium」が挙げられる。Chromiumは、Googleの「Google Chrome」ブラウザの基盤となっているオープンソースプロジェクトである。

 Apple、Microsoft、Opera、およびMozillaからは、本件に関する即座のコメントはなかった。

 Googleはまた、WebMのソフトウェア開発キット(SDK)、ライセンスガイド、ソースコード、FAQもリリースした。

 GoogleはOn2 Technologiesの買収に際し、「高品質なビデオ圧縮技術はウェブプラットフォームの一部であるべきである」と主張していた(Googleは、もう1社、ビデオ会議およびVoIP(voice over Internet Protocol)に関連する技術を専門とするGlobal IP Solutions(GIPS)の買収手続きを現在進めている)。

 現在、ウェブビデオの処理に最も多く使用されるプレーヤーはAdobe Systemsの「Flash」である。Flashでは、H.264コーデックによってデータを処理している。Apple、Mozilla、Microsoft、Google、Operaなどのウェブブラウザメーカーは、新しいHTML5ビデオ規格によって、ビデオを、Flashなどのプラグインを使用することなく、直接ウェブサイト上に作成したいと考えている。

 しかし、HTML5は、特定のコーデックを指定しておらず、どのコーデックが最良であるかについてはブラウザメーカーらの意見が一致していない。MicrosoftとAppleは、H.264を推進しているが、MozillaとOperaは、H.264を好まず、VP8の何年か前の前身である「VP3」をベースとするオープンソースの「Ogg Theora」コーデックを推進している。GoogleのChromeは、その中間の立場をとり、Ogg TheoraとH.264の両方をサポートしている。そのため、現時点では、HTML5ビデオの使用を検討するウェブ開発者らに対し、多くの不確定な要素が存在する。

 Googleのエンジニアリング担当バイスプレジデントを務めるVic Gundotra氏は、WebM発表後の記者会見で、「多くのビデオコーデックが、特許権やライセンス料について、不確定な要素に悩まされている」と述べた。「ウェブには、オープン規格が必要である」(Gundotra氏)


この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
クラウドコンピューティング

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%89%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0

ベニオフ氏が日本の“クラウド”市場に感じた懸念とは?

5月17日、大阪で開催された「Cloud Computing World 2010 in Osaka」の基調講演では、米国Salesforce.comの会長兼CEO(最高経営責任者)、マーク・ベニオフ(Marc Benioff)氏が登壇、クラウド・コンピューティングがもたらすメリットや同社の提供するサービス/プラットフォーム、さらに日本市場へのメッセージなどを語った。

クラウドの効率性の本質は、「マルチテナント」に宿る
 今回、5月初旬に来日したベニオフ氏は、およそ2週間をかけ、さまざまな顧客との対話やトレードショーなどへの参加を通じて、日本市場におけるクラウド・コンピューティングの実情を見てきた。

 そのなかで、ベニオフ氏は日本市場におけるクラウド・コンピューティング・モデルについて、ある「懸念」を感じたという。それは、さまざまなITベンダーがそれぞれ独自の解釈で自社製品/サービスを“クラウド”と呼んでおり、そのためにクラウドの定義が明確ではなくなり、ユーザーにとって混乱した存在になっているということだ。

 「ITベンダーによっては、データセンター・ソリューションや古いコンピューティング・モデルの製品を“クラウド”と称して、顧客にソフトウェアやハードウェアを買うよう勧めている。だが、それはクラウド・コンピューティングではない」

 ベニオフ氏は、クラウドの名で呼ばれているサービスや製品が「すべて同じというわけではない」ことを強調し、クラウド・コンピューティングに対する誤った認識を正さなければならないと述べた。


 では、クラウド・コンピューティングはどう定義されるのだろうか。ベニオフ氏は、クラウド・コンピューティング・モデルとはインターネット上で、効率や効果の高いサービスを提供するモデルであるとしたうえで、その本質は「マルチテナント」型のアーキテクチャにあると説明する。

 「ビルやアパートと同じように、クラウド・コンピューティングでは多数のカスタマーが同じプラットフォームやサービスを共有する。それによって効率性が高まり、ユーザーはよりクオリティの高いサービスを享受できる」

クラウドが実現するのは、「効率性」と「民主主義」
 クラウド・コンピューティングの効率性の高さを象徴するエピソードとして、ベニオフ氏は米国Microsoftの役員、クレイグ・マンディ(Craig Mundie)氏と同席した際の出来事を披露した。ベニオフ氏が、「もしもSalesforce.comが存在しなかったら、我々の顧客企業7万2,500社は全部で何台のサーバを購入していただろうか」と尋ねたところ、マンディ氏は「およそ10万台だろう」と答えたという。だが、Salesforce.comは現在、3,000台程度のサーバでサービスを運用している。

 「つまり、我々は(従来のコンピューティング・モデルと比較して)わずか3%のサーバ台数で、7万2,500社の顧客にサービスを提供しているわけだ。このように非常に効率の高いサービスが提供できる、これこそがクラウド・コンピューティングと呼ぶに値するものである」


日本国内でも郵便局や経済産業省、損保ジャパンといった数万ユーザー規模の大規模企業から、数十ユーザー規模の小規模企業までをサポートしている

 ベニオフ氏はクラウド・コンピューティングによって、「Efficiency(効率性)」に加え、ITの「Democracy(民主主義)」も実現すると主張する。

 「数万ユーザー規模の大企業から、数十ユーザー以下の中小企業までが当社の顧客だ。だが、マルチテナントであるため、企業規模にかかわらずすべての顧客が同等の“パワー”を享受することができる。大企業と中小企業の間に境界はない」

 ここでいう“パワー”とは、例えばアプリケーションの使いやすさや品質であり、プラットフォームの強靱さである。従来のコンピューティング・モデルでは、大規模なIT投資のできる企業だけがそれを享受できていた。

 「このような効率性を提供しない、デモクラシーを提供しないITベンダーは、クラウド・ベンダーとは言えない」

コンピューティング・スタイルの大きな変化と「Cloud2」
 1999年、「なぜエンタープライズ・ソフトウェアはAmazon.comのように簡単に使えないのか」という疑問をきっかけにSalesforce.comを創業したベニオフ氏は、現在再び、コンピューティング・モデルに「エキサイティングな」変化が起きていると述べる。同氏はそれを“Cloud1からCloud2への変化”だと表現する。

ベニオフ氏は、2000年代の“Cloud1”と現在の“Cloud2”にはさまざまな点で違いがあると指摘した

 「Amazon.comやEbay、Googleといった、2000年台の“Cloud1”では効率性やコスト削減、使いやすさなどが特徴だった。一方、これからの10年に実現する“Cloud2”では、コラボレーション、次世代デバイス(スマートフォンなどのモバイル・デバイス)への対応、リアルタイム性が重要だ」

 「3G携帯通信網、ソーシャル・ネットワークなどが普及している日本市場は、Cloud2の分野で先行している」と語るベニオフ氏は、Cloud2の代表例としてFacebookやTwitter、YouTubeのようなソーシャル・アプリケーションを挙げた。そして、今後はビジネス・ソフトウェアの世界でも、Cloud2への変化が影響を与えることを強調する。「2010年現在の新たな問いは、『なぜビジネス・ソフトウェアはFacebookやmixiのように簡単に使えないのか』ということだ」。

 ベニオフ氏は、企業がビジネスのなかで“Cloud2”を容易に活用できるように、Force.comプラットフォームや「Sales Cloud 2」「Service Cloud 2」といったアプリケーションが提供されていることを紹介した。


ベニオフ氏が語る“Cloud2”のアプリケーション/プラットフォームは、コラボレーション、次世代デバイス対応、リアルタイム性を実現するものである。ベニオフ氏は、Force.comプラットフォームにおいてそれを実現していると強調した

「情報が集まってくる」Chatter
 同社が提供するプラットフォームのなかで、ベニオフ氏が特に強調したのが、企業内SNSサービスの「Chatter」がもたらすメリットである。Chatterは単独のコラボレーション・ツールとしてだけではなく、コラボレーション基盤として、Force.comベースのほかのアプリケーションに組み込むことも可能だ。

 ベニオフ氏は、企業内で大量の情報が流通する状況のなかで、ビジネスに大きな損失を与える「重要な情報の見落とし」が発生していると指摘する。そうしたなかで有益なのが、ユーザーどうしで情報の共有や修正、フィルタリングが行えるSNSの力だ。ベニオフ氏は、Facebookでは必要な情報をユーザー自らが集めるのではなく、自然に「情報が集まってくる」のだと述べ、同じような情報環境を企業内で安全に実現するのがChatterである、と説明した。


Chatterでは、ユーザー(人)だけでなく、共有ドキュメントやアプリケーションを「フォロー」できる。ユーザーのコメントやドキュメントの変更、アプリケーションがプッシュする各種情報を、すべて同じタイムライン上でリアルタイムに見ることができる(デモ画面より)

 なお、現在Chatterは全世界で500社の顧客企業を対象にプライベート・ベータ版が公開されており、年内には「Salesforce CRM」の全エディション、および「Force.com」の標準機能として正式提供が開始される予定だ。

(Computerworld.jp)
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