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自衛隊を正規軍化し、東アジアの不安定要因を払拭せよ!

2010.10.01(Fri)JBプレス 岡本智博

 国内治安さえも米軍に委ねていた1951年の日米安全保障条約(旧安保条約)が改定され、日米同盟の根幹として意義づけられた新安保条約が締結されてから50年が経過した。

 この間に発足した自衛隊では旧軍関係者は既に全員退官しており、その人々から直接の薫陶を受けた人々もほぼ退官してしまった。

  現在の自衛隊には、戦後教育を受け、ややもすると、世界一般の軍人ではない官僚化された人たちで運営されているという、好ましくない傾向が見え隠れする。

 さらに、警察予備隊として発足した自衛隊は、警察予備隊としてのDNAをしっかりと保持しつつ、また、50有余年にわたった政府の防衛・安全保障政策が反映された結果、軍隊的要素と警察的要素を併せ持つこととなった。

 現在の自衛隊は、鵺(ぬえ)のような存在として国際的にも国内的にも認識されているところである。

 そしてこの傾向は、「働く自衛隊」として部隊が海外に展開するにつれ、新たに具体的な制約が自衛隊に課せられ、そのたびに警察予備隊のDNAが掘り起こされていく感がある。

 このような状況下、日米同盟の根幹として締結された新安保条約の、“同盟としての深化”を図るにはどのような問題・課題が存在するのかを考察することは、極めて喫緊かつ重要なことと考える。以下、そのような問題意識に従い筆をすすめることとする。

存在する自衛隊から働く自衛隊へ!

 平成4(1992)年9月17日、自衛隊が初めてカンボジアにおいて平和維持活動(PKO)を実施してから既に18年の時が流れようとしている。これがいわば「存在する自衛隊から働く自衛隊へ」の変化の始まりであった。

 また平成16(2004)年3月、防衛庁(当時)・自衛隊および統合幕僚会議設立50周年を迎えた記念式典において石破茂防衛庁長官(当時)は、「ただ存在するだけの自衛隊の時代は終わった。いよいよ機能する自衛隊になった」という訓辞をされた。

 これもまた、自衛隊によるイラクにおける公共施設の復旧・整備等ならびに米軍に対する輸送支援の開始という変化の始まりであった。

 自衛隊のかかる変化の背景には、冷戦の終焉、伝統型脅威(State-actor)から非伝統型脅威(Non-state actor)へという脅威の変化が存在した。
 
 このような変化は、本来警察に付与されるべき任務と軍隊に付与されるべき任務の重なりを必然的に大きくすることを促し、世界各国は拡大された脅威のパラダイムに効率的に対応すべく、それぞれの国内法理に従って警察活動として対応したり、あるいは軍隊活動の一部として対応したりして今日に至っている。

 端的にいえば、軍事力の平時における活用が一般化し、世界各国は兵員の削減を抑制し多様な任務に対応しようとしている。そして、こうした経緯の中で多用されたのが、MOOTW(Military Operation Other Than War)という言葉であった。

 しかしその半面、「存在する自衛隊」の時代では演習や教育訓練がしっかりと行き届き、行往坐臥の間に“軍人とは”と自問自答する余裕があったが、「働く自衛隊」になった現在は、当面の実任務の遂行に追われて軍人魂を磨く余裕がなくなっている。

 もちろん国連の平和活動への貢献を通じて自衛隊の本来の任務を遂行する技量を練磨することは可能であるが、どうしても偏りが出て自衛官の士気に関わる問題も出始めている。


自衛隊は軍隊なのか警察なのか!

 他方、このような変化は自衛隊という実力組織に極めて深刻な問題、先に述べた問題とは別の問題を引き起こしている。

 国際貢献の必要性から自衛隊は海外において前述のような活動を実施してきたが、その都度、「本格軍隊ではない自衛隊」の軍隊活動をどこまで容認するのかという議論が国会論議の中心となった。

 もとより我が国は憲法第9条第2項に示す通り、「前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」のであり、自衛隊は「専守防衛に徹した自衛隊」なのであって、世界各国の常識に従った軍隊ではなく、自衛権行使のための実力組織として存在している。

 例えば、日本の自衛隊には軍法、軍事法廷、軍法会議、軍営倉が存在しない。軍警察が存在しないのである。敵前逃亡など軍の規律違反に対する法的措置は、自衛隊法第123条に示される「懲役7年以下の懲役または禁固」といった類のものである。

 この条文も防衛出動が下令されている状態においての防衛出動命令を受けた者に対しての罰則であり、防衛出動下令以前であれば依願退職は可能となっている。

 こうした法体系が採られているのは、自衛隊が「警察予備隊」として発足したことに淵源する。自国民の犯罪者の取り締まりを任務とする警察の、しかも警察予備としての自衛隊であるから、世界に共通の軍隊としての文化は全く存在しないのである。
 
それに、まず、日本国憲法には「国民の国防に対する義務」規定が存在しない。

 また、警察予備を創設するという意図が発足当初から存在したことから、「武器の使用」についても自国民を対象とする警察よりも、さらに低い程度に抑えられている。その根本的な諸問題を抱えたまま、自衛隊は現在、多くの国際貢献に赴いているのである。

 鵺(ぬえ)のような存在の自衛隊! 

このような経緯から、自衛隊は時には軍隊として、またある時には警察予備隊として活動することを余儀なくされる。現在ソマリア沖で実施されている「海賊対処」活動では、「自衛隊は行政警察権を行使できるが司法警察権は行使できない」とされている。

 従って「司法警察権を保持する海上保安官が自衛艦に同乗して警察活動を実施する」のである。まさしく、自衛隊は警察予備隊なのである。

 任務を通じて海外に生活する機会が多かった筆者が所見するところ、世界各国の人々からすれば、まず全員が「自衛隊は軍隊である」と理解している。こういう筆者もそのような誤解を助長することに図らずも加担している1人であった。

 それは、「英語で説明する自衛隊は完全な軍隊となってしまう」からである。例えば自分の身分を「Lieutenant General」と言ったり、「Infantry」「Artillery」という職種説明をしてしまったりする。

 現実では自衛隊には「中将」も「歩兵」も「砲兵」も存在しない。しかも数年前に海上保安庁が「Japan Coast Guard」と英語名を変えたものだから、ある米軍高官は「いよいよ日本に準軍隊が整備されたね」と語り始めた。

 自衛隊は本格軍隊と理解していたからである。このような自衛隊であるから、前述のように「日本の自衛隊には軍法、軍事法廷、軍法会議、軍営倉が存在しない」と知った米軍中将は、「本当にそれで軍隊なのか」と真面目な顔で質問を返してきた。

 我が国の中でも、憲法9条が厳然として存在しているにもかかわらず、自衛隊は本格軍隊であると認識している者が大多数である。

 そして時の政府は、鵺のような自衛隊の存在を利用して、我が国の安全保障戦略――「あいまい戦略」(Ambiguity Strategy)を採り続けている。

しかし自由民主党は、平成15(2003)年7月に自衛隊を本格的な軍隊として位置づけ、国際貢献(国際活動)を新たな任務に加え、軍事裁判所の設置、国家緊急権の明示等を含む「安全保障についての要綱案」を提言している。

 また民主党の一部でも、自衛隊を本格的な軍隊として位置づけるとともに、通常戦レベルでの日本防衛の任務を段階的に自衛隊が主体的に実施していく中で、施設・区域提供規模の低減やいわゆる「思いやり予算」の見直しを実施していく方向を採ることで、日米安保条約の第5条に示された米国の日本防衛義務と第6条に示された日本の米軍に対する施設・区域の提供という日米両国の義務のバランスを健全化していこうとする考えを打ち出そうと検討しているようである。

 いずれにせよ、国家防衛を「あいまい戦略」に委ねる方法には既に限界が透けて見えているし、このような戦略は国家としての威信をあまりにも蔑ろにしている。

 自衛隊は鵺のような存在から脱却すべきときが来ているし、その方向が日米同盟“深化”の第一歩であると考える。自衛隊が鵺の存在である限り日本は国家としての信用が得られず、世界各国から尊敬の念や信用が得られない。

 最近の我が国経済停滞の根源には、日本という国家に対する世界各国の信用の程度にその類の揺らぎがあるという事実があることを、ここに指摘しておきたい。

 いずれにせよ、日本がこのような「あいまい戦略」を放棄し、自衛隊を本格軍隊と認知する方向が日米同盟の“深化”のための第一歩であることは言うまでもないことなのである。

 逆に自衛隊を警察予備隊DNAを堅持したままの組織として放置するのであれば、世界各国からの信用も、また、米国の日米同盟に対する姿勢も、決して肯定的にはならないと言えよう。

真の同盟のための「西太平洋相互防衛」構想!

 さて、我が国の憲法を改正して自衛隊を本格軍隊として位置づけることができれば、「同盟」の本質として日本および米国が個別的自衛権を行使することはもとより、集団的自衛権を行使することができることは「国連憲章」を引用するまでもなく明らかとなる。

 しかしながら、米国の軍事戦略の展開は地球規模であり、日本が米国と同一歩調を取って地球規模で米国との集団的自衛権行使を追求することになれば、これは日本の国家戦略を危うくすることにつながる。

 自衛隊の軍事力は国家防衛のための実力組織として専念すべきであり、在日米軍基地は東アジア・太平洋地域の平和と安定に貢献することに特化して存在すべきである。

 我が国が米国と一体となって地球規模で「同盟の本質」を全うする考え方は、米国としても望ましいとは思っていないであろう。



これらを考慮して「日米間の真の同盟」を追求するためには、昭和26(1951)年9月8日に「日米安全保障条約」(旧安保条約)が締結されるまでの間に我が国と米国が重ねた議論を改めて思い起こす必要があろう。

すなわちこの件に関し、ディーン・アチソン米国務長官(当時)は「日本はグアムまで防衛する。米国は日本を防衛する。その双務性が基本ではなかろうか」と提案した。

 我が国が第2次世界大戦の教訓として、決して他国を侵略しないという決意を有していることを斟酌して、アチソンは日米同盟の双務性を「西太平洋地域」に限定したのであろう。

 もしこの議論をよしとするのであれば、我が国は自衛隊の海・空戦力を西太平洋において発揮し、米国との「同盟の双務性」を全うするという選択肢が出てくる。

 すなわち、自衛隊の陸上戦力は日本領域および米国の要請があればグアムにおいてのみ発揮され、米国の軍事力展開が地球規模であってもこれを限界とし、日本の軍事力、主として海・空戦力は日本および米国の領域内およびその周辺の公海ならびに公海上空域において発揮されることに限定されることとなる。

 このような場合、日本は米国の実施する世界全般にわたる軍事力行使に「巻き込まれること」を阻止するための措置を明確にしておくことが肝要であろう。

 さらに敷衍すれば、「戦闘の最終的な決は陸上戦力が定める」ことは、先のイラク戦争の例を引くまでもなく当然のことである。

 このような選択肢であるならば、自衛隊は陸上も、海上も、そして航空も、しかるべきレベルにそれぞれの戦力を向上させ、米国との「共同戦闘」を可能にしなくてはならない。

 そして、このような方向が我が国の防衛・安全保障の基本として位置づけられるのであれば、「日米同盟」は明確に同盟関係となり、「同盟の深化」も雄大な一歩を進めていくこととなろう。

 去る平成22(2010)年6月28日(現地時間では27日)、菅直人首相はバラク・オバマ米大統領と会談し、米軍普天間飛行場移設問題を含む日米同盟の深化について合意した。しかし、現行の日米安全保障体制で、真の日米同盟は確立できるのであろうか。

日本からの施設・区域の提供と思いやり予算で米兵の血を当てにする安全保障体制が、本当に日米同盟の深化を生むのであろうか。

「周辺事態」対応措置の強化!

 我が国が有事を迎える前の段階、すなわち、周辺事態に対する対応措置を実施するための「周辺事態安全確保法」は、平成11(1999)年3月24日に施行されたが、自衛隊が本格軍隊として位置づけられるのであれば、当然、新たな「周辺事態安全確保法」の制定が必要となる。

 すなわち、自衛隊が正規の軍隊であれば、あえて後方地域と戦闘地域といった区分を考慮する必要もないし、公海上の捜索・救難も可能である。戦地に向かう戦闘機に対しても給油・弾薬補給・整備も可能となる。

 加えてこれまでのような制約を一切払拭し、国際基準に依拠した武器使用基準を制定し、米軍再展開部隊の受け入れのための民間空港・港湾の指定、戦闘機および艦船に対する給油支援を含む物資の補給・輸送支援等後方支援ならびに弾薬・武器の提供・整備の実施にかかる全面協力、公海を含む機雷の除去など、さらにはこれらを踏まえた「周辺事態下における日米実動演習」を具体化することができる。

 そしてまた、周辺事態において日本が主体的に実施する活動、すなわち、難民の保護、捜索・救難、船舶検査、海外邦人の救出についても公海上は当然のこと、敵の領海であっても実施できるし、実施しなければならない。

 加えて、航行する船舶に対する臨検も国際法に基づいて実施しなければならない。さらに、海外在住の邦人救出についても、事前の外交交渉によって各国と邦人救出のマニュアルを確立しておき、当該国との軍事的連携を確保することができるであろう。

 また、周辺事態として蓋然性が高まり始めている“第2次朝鮮戦争”が生起した場合、日本が締結しているいわゆる「国連軍地位協定」、すなわち、朝鮮戦争参加10カ国(現在8カ国:米国・英国・フランス・オーストラリア・カナダ・タイ・フィリピンなど)に対し、国連軍基地として指定されている横田・座間・横須賀・佐世保・嘉手納・普天間・ホワイトビーチの7カ所(現在は在日米軍基地)の使用を、政府の確固とした施策として推進することができる。

 そのほか、自衛隊と米軍の協力として考えられている「情報交換」「機雷の除去」「海・空域調整」についても、具体的な検討が可能となる。

 そして、特に「電波管理」の権限については、有事を基本とした形態に改めて日米の通信にかかる相互運用を高める施策が推進されることとなろう。

 米国はかつて、「周辺事態安全確保法」の成立を極めて高く評価した。しかし具体策を追求する過程において、多くの障害がその先に広がっていることを認識して落胆した。

従って米国は、本格軍隊としての自衛隊の下に成立する「新周辺事態安全確保法」がいかに東アジア・太平洋地域の安全・安定に寄与するかを十分理解している。

 「新周辺事態安全確保法」の成立とこれに基づく対応措置の具体化は、「日米同盟」の進化および深化に大きく貢献することとなろう。

 しかしその前に、立法化された「周辺事態安全確保法」に基づいた日米の実動訓練は、11年経過した今日でも全く実施されていない。

 日・米・中の三角関係が云々されているが、軍事面で言えば日米はここに述べたように既に緊密な関係にあり、決して正三角形にはならないと言うべきである。

兵器の相互共同運用性(Interoperability)の進化!

 1992年7月、冷戦終結に伴う「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み」(EASI)が米国政府から公表された。これに示された4項目は、我が国が通常戦力レベルでの自衛能力を獲得し、併せて日米同盟の深化を推進するうえで極めて貴重な視点を与えてくれる。

 すなわち、米側は、
(1)可能な限りの在日米兵力の削減はあっても、北東アジアにおける安定と抑止に不可欠な基地を米国は確保する、
(2)日本の領海防衛能力と千哩海上交通路能力の向上は容認しても、日本のパワープロジェクション能力の造成は拒否する、
(3)日米間の技術還流は促進するが相互補完性(Non-Complementary)のない兵器体系の日本独自の開発は抑制する、
(4)日米のハードおよびソフト面の相互運用性の向上を図るというものである。

 これら4項目は、米国側から発信されたとはいえ我が国が取るべき方向を考えるうえで、また「日米同盟の深化」を考えるうえで極めて重要なメルクマールとなると考える。

 特に、東アジア・太平洋地域有事において日米共同作戦の実施が不可欠となる状況に至るのであれば、自衛隊および米軍の使用する兵器体系における相互運用性の確保は絶対に必要である。

 例えば海・空戦力の造成にあっては、「F-35」など第5世代戦闘機の導入や3万トン級のDDH(ヘリコプター搭載型護衛艦)の建造は必ず実現させなければならないし、潜水艦などによる米軍と自衛隊の役割分担なども考慮しなくてはならない。

 そして、定められた役割分担に応じた兵器体系の導入も、また、米国軍が推進するトランスフォーメーションにも可能な限り追随することも考慮しなくてはならないであろう。

加えて、相互運用性は単に兵器体系のみにとどまらず、作戦思想・教義(ドクトリン)・軍事教育・訓練の分野にまで深化させる必要がある。

 これらを効率的に実現するためには、日米防衛協議などを利用して日米間の軍事戦略にかかる協議が必要不可欠であるとともに、通常戦力レベルを超えた、いわゆる「米国の核の傘」の運用についても更なる具体化が進捗するであろう。

正規軍と準軍隊が存在するのが当たり前!

 以上、日米同盟の真の同盟化のために考慮すべき課題について縷々述べてきたが、現在の自衛隊はどう見ても軍隊の本質を欠いた準軍事組織でしかない。

 米国は約146万の正規軍と米国内および周辺海域の防衛を任務とする約50万の準軍隊を保持するが、このことはその他の先進諸国においても全く同様である。

 軍隊には正規軍と準軍隊が存在するという極めて初歩的な軍事知識さえ欠如した政治状況の下、自衛隊の実態が次第に明確になるにつれ、両国は「日米同盟」の深刻な再検討を余儀なくされるであろうことを、ここに大きな警鐘とともに注意を喚起する次第である。

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ニューズウィーク日本版 10月1日(金)15時20分配信


ウィキペディアやブログの失速で見えてきた「ソーシャルメディア」の転換点

トニー・ダコプル、アンジェラ・ウー

 2009年の春は、インターネットの歴史の一大転換点だったのかもしれない。オンライン百科事典ウィキペディアの勢いに、陰りが見え始めたのだ。

 03年に10万件だった記事数が現在は全言語版合計で1600万件を突破するなど、ウィキペディアは急成長を遂げてきた。しかし09年春、創設以来おそらく初めてのことが起きた。記事の執筆・事実確認・更新を無償で行うボランティア編集者の人数が大幅に減少したのだ。

 その後も記事の執筆・更新は振るわないままだと、ウィキペディアを運営する非営利団体ウィキメディア財団の広報担当者は認める。状況は「極めて深刻」だという。

 原因については、さまざまな仮説が唱えられている。ウィキペディアが百科事典としてほぼ完成したからだという説もある。一部のボランティア編集者のあまりに攻撃的な編集姿勢や、「荒らし」防止のための複雑過ぎるルールのせいで、気軽に参加できなくなったからだという説もある。

 このような説は、もっと根本的な人間の性質を見落としている。ほとんどの人間は、「ただ働き」なんてしたくないのだ。

「誰もが情報を発信できる」「大勢のアマチュアが協力すれば世界を変えられる」という理念には、多くの人が魅力を感じる。しかし仕事を終えて疲れて帰宅すれば、インターネットを通じて世界に貢献するよりは、かわいい子猫の動画を見たり、安い航空券を売っている業者を探したりしたい。

 その点は、ウィキペディア側もよく心得ている。今後展開していく新しい勧誘キャンペーンでは、オンライン上に人類の知識を集積することの崇高な意義だけを訴えるつもりはない。大学の授業の課題の一環として、学生にウィキペディアの執筆・編集に参加してもらおうと考えている。そのために既に、ジョージ・ワシントン大学やプリンストン大学などの8人の大学教授と合意を交わした。

■ユーザーに広がる倦怠感

 一般のユーザーが情報を発信して主体的に関わる「ソーシャルメディア」は世界を変える可能性を秘めている、その変革のプロセスはまだ始まったばかりだ──テクノロジー系のジャーナリストはそう言い続けてきた。

 なるほど、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のフェースブックは、「幽霊会員」を除いても5億人のユーザーがいるという。オンライン写真共有サイトのフリッカーには、約40億枚の写真が投稿されている。動画投稿サイトのYouTubeの勢いもとどまるところを知らない。

 見落とせないのは、これらのサービスがユーザーに明確な恩恵を提供していることだ。時間と手間をかける代わりに、友達と手軽に連絡を取り合ったり、オンラインゲームを楽しんだり、赤ん坊の写真を親戚や友人に見せたり、ファッションモデルがステージから転げ落ちる動画を見たりできる。

 この条件を満たすものを別にすると、インターネットへのユーザーの主体的な参加を前提とするソーシャルメディアには、このところ元気がなく見えるものが多い。

 これまでは、インターネットが比較的新しいテクノロジーで、ユーザーがいわば集団的な熱狂状態にあった。そのおかげで、オンライン百科事典の記事を書くような作業が新鮮で、格好よくて、楽しいものに思えた。

 しかし今や、アメリカの全世帯の3分の2がインターネットに接続している時代だ。「共通の善」のために無償で奉仕するという発想はやや色あせて見え、ネット上の活動に参加することが退屈に感じられるようになった。

■書き込むのは10人に1人

 そうした倦怠感はさまざまな場面に表れている。アマチュアユーザーが執筆するブログは、「誰でも情報発信できる」というインターネットの民主的な性格を象徴するものとして早い時期に脚光を浴びたが、ここにきて衰退の兆候が表れ始めている。

 ブログ専門検索サイトのテクノラティによれば、プロのブロガーは増えているが、趣味でブログを書く人は減っている。ブログの約95%は、開設されてすぐに更新されなくなるという。民間調査機関ピュー財団の最近の調査によると、アメリカの18~24歳の層で自分を「ブロガー」と位置付けている人の割合は、06年から09年の3年間で半分に減った。

 ミニブログサービスのツイッターにユーザーが流れた面もあるだろう。しかし、ツイッターに実際に書き込んでいる人は意外に少ないのかもしれない。09年のハーバード大学の調査によると、ツイッターのすべての書き込みの90%はわずか10%のユーザーの投稿だという。ツイッター利用者のほとんどは、ほかの人の書き込みを読んでいるだけなのだ。

 ピュー財団の調査によると、ニュース記事や意見記事を書いて投稿した経験があると答えたインターネット利用者は、10人に1人に満たない。ブログやウェブサイトのコメント欄に書き込んだ経験がある人は、わずか4人に1人だ。

 一般ユーザーの無償の活動に頼ってきたウェブサイトは、ユーザーのつなぎ留めに躍起になっている。しかし、ユーザーの争奪戦は激しくなるばかりだ。「資源、つまりユーザーの数は限られているのに、それを活用する場の数は昔に比べてはるかに増えている」と、ミシガン州立大学のクリフ・ランピ助教授(オンライン・コミュニケーション)は言う。

 賢明なウェブサイトは、既に対応し始めている。テクノロジー系ニュースサイトのディグは、ユーザーの投票によりトップページの掲載記事を決める方針で人気を集めている。しかし読者は大勢獲得できたものの、記事の投票を行うユーザー数は伸び悩んでいた。そこで年内にサイトを刷新し、サイト上で友達と交流する機能を取り入れることでユーザーを呼び込もうと考えている。

■カギを握るのは「ご褒美」

 オンラインショッピングサイトのアマゾンや、店舗の口コミ情報サイトのイエルプ、製品レビューサイトのEピニオンズなど、アマチュアが無報酬で寄せるレビューに依存しているウェブサイトは、レビューアーに何らかの「ご褒美」を与える仕組みを取り入れている。イエルプは、レビューをたくさん投稿したユーザーを招いてパーティーを行っている。

 ゴーカーやハフィントン・ポストなど、読者のコメントが売りもののニュースサイトでは、優れたコメントを寄せるユーザーに、星印による評価や特権を与えるなどしている。YouTubeも、カーネギーホールで演奏したりグッゲンハイム美術館に作品を展示したりするチャンスを呼び水にして、投稿を促そうとしている。

 効果はある。ゴーカーが星印によるユーザーの評価制度を導入して、「星付き」ユーザーのコメントをサイト上で目立ちやすくしたところ、コメント欄への書き込み量が過去最高を記録した。

 とりわけ優れたユーザーにさまざまな特権(ほかのユーザーの書き込みを削除する権利など)を認めているハフィントン・ポストは、どのニュースサイトよりコメント欄への書き込みが活発だと胸を張る。イエルプは、3カ月に100万件のペースで新しいレビューが投稿されていると言う。

「ご褒美」を使ってユーザーの参加を促す仕組みは、今後ますます重要になるだろう。従来インターネットがあまり普及していなかった国や地域にサービスを拡大しようと思えば、なおさらだ。

 09年、グーグルはアフリカ東部地域で「キスワヒリ・ウィキペディア・チャレンジ」というプロジェクトを始めた。ウィキペディアにスワヒリ語の記事を増やすために、インターネット接続用のモデムや携帯電話、ノートパソコンなどのプレゼントを用意したのだ。

 この活動は成果を挙げた。『クラウドソーシング──みんなのパワーが世界を動かす』の著者ジェフ・ハウが06年に指摘したように、ソーシャルメディアの世界で勝者になる条件は、「十分に報われているとユーザーに感じさせる方程式を確立する」ことのようだ。

 やがて星印やプレゼントだけでなく、現金を配る日が来るのかもしれない。それでは投稿が仕事と変わらなくなる気もするが。

 


*ボランティアがウィキペディアから“ログオフ”!


2009年 11月 23日 1:00 JST

 

毎月3億2500万人が訪れ、アクセスランキング世界第5位を誇るユーザー参加型オンライン事典Wikipedia.org(ウィキペディア)は、これまでにないほどのボランティア編集者の減少という事態に見舞われている。


 

これはウィキペディアがインターネット上で普及させてきたアマチュアの地位向上という大衆化の旗印に重大な影響を及ぼす可能性がある。

 ウィキペディアのデータを分析する、マドリード(スペイン)のレイ・ファン・カルロス大学の調査グループ、リベロソフト(Libresoft)のプロ ジェクト・マネジャー、フェリペ・オルテガ氏によると、2009年の最初の3カ月で編集者は4万9000人以上減少した。1年前の同じ期間では4900人の減少だったという。

 ウィキペディアは世界中の人々がアクセスできる「全人類の知識の結集」を目指し、2001年、非営利団体の 「Wikimedia Foundation」(ウィキメディア財団)によって設立された。誰もが新規記事の執筆や既存の項目の編集を行えるシステムを採用し、大勢のボランティ ア編集者を参加させ、世界規模で利用者数を拡大することに成功した。米国の市場調査会社コムスコアによると、昨年9月からの一年間で、ウィキペディアの訪 問者数は約20%増加している。


 

訪問者が増加する一方で、ウィキペディアを支えるボランティア編集者が減少している状況に対し、同サイトが今後も拡大し続けることができるのか、 正確性を改善することができるのかという疑問が生じている。ウィキペディアは不正確な情報の表示や、悪意ある投稿者による意図的な虚偽情報の掲載によって、その信頼性が損なわれるという事態にも直面している。

 「ウィキペディアを取り巻く環境はますます厳しいものになってきている」とオルテガ氏は指摘する。「オンライン・ボランティアの多くは、特定の記事の内容について、繰り返し議論しなければならないことに疲れ果てている」


 

ウィキペディアの苦戦は、インターネット時代の最も有望な理念である「クラウドソーシング」の発展にも影を落としている。クラウドソーシングは、大勢のウェブ利用者の知識を集約させる、従来の規則や階層にとらわれない優れた方法として広く紹介されてきた。

 だが、ウィキペディアは成熟するにつれて、自由な発言が制限されるようになり、多くのウェブページに規則が明記されるようになった。ゼロックス社 の研究者の調査によると、記事を編集しようとする新規訪問者は、無意識に規則違反を犯す可能性がある者として通知され、編集箇所が削除される、というケースが増えているという。

 ウィキペディアの創設者であり、ウィキメディア財団の名誉理事であるジミー・ウェールズ氏は、新規訪問者に対する敵対的な態度は是正できる問題だとした上で、自らの最優先事項は記載内容の正確さを期することだと述べた。そして新しい記事を掲載する前に、上級編集者に承認を得ることを要求している。そうすることで今年1月に発生した、エドワード・ケネディ米上院議員の死を実際よりかなり前に掲載するという蛮行は防げるはずだとしている。


 

ウィキペディアは、誰にでも編集可能とすることで、中立的なコンセンサスのみを掲載することを目指してきた。だが、広く普及したことで、この中立性が損なわれる結果になっている。落書き、冷やかし、宣伝といったあらゆる荒らし行為のターゲットになってしまったのだ。

 南カリフォルニア大学の教授で「ウィキペディア・レボリューション」の著者でもあり、自身もウィキペディアの定期的な投稿者でもあるアンド リュー・リー氏によると、2005年、米国のジャーナリスト、ジョン・シーゲンソーラー氏がジョン・F・ケネディおよびロバート・ケネディの暗殺事件にかかわっていた可能性を示唆する事実と異なる記述が4カ月にわたって放置される事件が発生し、ウィキベディアのオンライン編集者はそれ以降、荒らし行為や疑わしい編集行為に対する取締りを強化するようになったという。

 それによって、同サイトはボランティア編集者が新規則を多数設けることを協議しなければならないような階層社会的なものへと変化し、新規訪問者が話題性の高い記事を編集できないようにする機能も導入した。その結果、以前のように新規訪問者が自由に記事を作成できることで人気を博していた時期から大きな転換を迎えることになった。 

 財団が昨年実施した調査によると、編集者の平均年齢は26.8歳で、87%が男性であるという。

 ウィキメディア財団の対外活動責任者であるフランク・シュレンブルグ氏は、新規ボランティア編集者のために基本規則を一箇所に集約する「ブックシェルフ(bookshelf)という取り組みを進め、編集者の減少に歯止めをかけ、増加に持ち込みたい考えだ。

 毎年、世界各地のウィキペディアの執筆者や編集者が集まって開催される国際会議Wikimania(ウィキマニア)の議題のトップは、この5年ほど「ウィキペディアは絶滅寸前」だという。

原文: Volunteers Log Off as Wikipedia Ages


*Wikipedia運営団体、「ボランティア編集者激減」の報道に反論!


 

「Wikipediaのボランティア編集者の減少が拡大している」とする報道に対し、Wikimedia Foundationは、ボランティア編集者の数は安定しているとコメントしている。


 

2009年11月27日 15時31分 更新


 

「Wikipediaのボランティア編集者が激減している」とする報道に対し、Wikipediaを運営するWikimedia Foundationがコメントを発表した。編集者の数は安定していると反論している。

 このコメントは、Wikipediaのボランティア編集者の減少が拡大していると報じたWall Street Journalの記事 を受けてのもの。同紙が引用したスペインの研究者フェリペ・オルテガ氏の調査によると、英語版Wikipediaのボランティア編集者は2009年第1四半期に4万9000人減少した。これに対して前年の同じ時期は4900人の減少だった。

 しかしWikimedia Foundationは、同財団の統計では、ボランティア編集者の数は2年半前をピークに減少したが、その後は安定していると主張している。また読者数と記事数は増えているとも語っている。

 また同財団は、オルテガ氏の調査手法について幾つかの指摘をしている。同氏の調査では、1回でも投稿した人を編集者としてカウントしており、この方式だとWikipedia全体(すべての言語版)で300万人の編集者がいることになる。同財団は5回以上投稿した人を編集者と定義しており、編集者は全部で100万人弱になるという。

 さらにオルテガ氏の調査では、1カ月間の編集者数ではなく、ボランティア編集者がいつ投稿を始め、いつやめたか(ログアウト日を「最後の投稿」と定義)を測定している。Wikimedia Foundationは、この手法では長期的なトレンドを測定するのは難しいと指摘している。

 Wikimedia Foundationの統計では、英語版Wikipediaのアクティブ編集者(1カ月に5件以上投稿)は2007年3月に5万4510人とピークに達し、その後およそ25%減少し、この1年は4万人程度で推移している。この間にほかの言語版のWikipediaの多くでは編集者が増えており、「全体では、編集の数はここ数年、高いレベルで安定して推移している」という。

 しかし同財団は最後に、Wikipediaの内容を充実させるにはもっと多くの編集者が必要だとし、「今よりも大幅に編集者を増やしたい」と話している。

知事の決断一定評価! 清津川流量増、具体策見えず?

 東京電力湯沢発電所の水利権更新をめぐる問題で「発電のため清津川から取った水を魚野川に流すという現在の仕組みを見直す抜本策を検討する」ことで泉田裕彦知事と十日町市の関口芳史市長、南魚沼市の井口一郎市長が28日に合意した。両市の関係者は知事の決断を評価する一方、「いつ動き出すのか」「実現性はあるのか」など疑問視する声も上がった。

魚野川「減量なら農業に影響」

 旧中里村長として東電に水利権の放棄を要請したことがある十日町市の山本茂穂(79)は「一歩前進だが、県にはもっと早く動いてほしかった。清津川の水は清津川に流れるべきで、どのように実現するのか注目したい」と期待する。

 中魚沼漁協(同市)の長谷川克一組合長は「根本的解決に向けて県が動き出した点は評価できる」とした上で、「アユ漁が盛んな夏場に清津川への流量増加を求めているが、具体策は見えてこない」と、要求が実現しない不満を口にした。
 
 同市の住民団体「清津川を守る会」事務局の藤ノ木信子さん(53)は「水の流れを見直す検討を知事が打ち出した点は評価できる。ただ、いつ抜本策が動き出すか分からないので流量の増加は今後も求めていく」と話した。

 一方、農業用水を魚野川の水に頼る南魚沼市では、「仕組みを根本的に見直さないうちは、毎回いさかいが起きる。解決への一歩だか、今の魚野川の流量が確保できるならば、という大前提がある」(井口一郎市長)と強調する。
 
 南魚沼土地改良区の原田勝重理事長は「現在の水の量でぎりぎりやり繰りしている状態。これ以上の減量はない」として「ダムでも造らないと解決にはならないだろうが。国の方針に逆行する上、発電所の問題もある」と実現性を疑問視する。

 南魚沼市の農業、宮田隆雄さん(62)は。「後継者も少ない中、水がこれ以上減ると稲作をやめる人も出てくる」と不安がる。抜本策については「将来的にダムは必要。山が深いから水をためられるし、大きいのを造ってほしい」と訴える。

新潟日報
産経新聞 9月28日(火)12時24分配信
全国丼サミットおだわら2010 -ふるさと食の祭典-
http://www.0465.net/blog/mall/index.html?page=3422

 全国各地のご当地丼の味を楽しむ「第2回全国丼(どんぶり)サミットおだわら2010D-7」が10月2、3日、神奈川県小田原市の小田原城二の丸広場などで行われる。厚木市で今月18、19日に開かれたご当地グルメの祭典「B-1グランプリin厚木」には、2日間で約43万5千人が訪れており、小田原市の担当者は「2日間で5万人の来場者を見込んでいる」と、丼での町おこしに期待が高まっている。

丼サミットには、開催地の「小田原どん」のほか、「仙台づけ丼」(宮城県)▽「能登丼」(石川県)▽「おらが丼」(千葉県)▽など、全国7カ所から36種類が出品される。小田原どんは、地元の食材を使い伝統工芸品・小田原漆器の器に盛りつけることなどが条件。主にアジやタイといった新鮮な海産物が使われている。各地の丼もこうしたコンセプトで調理されている。

 各丼ともサミット用にミニサイズでイベント用のプラスチック容器で提供される。値段は300~1千円。小田原市担当者は「2~3個を食べ比べてほしい」と話す。B-1グランプリとは違い投票によって順位は付けず、「各地の丼を楽しむのがテーマ」(同市担当者)という。

 2日には、タレントの梅宮辰夫さんがゲストとして登場。オリジナルの「梅宮丼」が披露される。同市担当者は「梅宮丼は当日まで非公表。運がよい人は食べられるかも。会場でサプライズな形で発表したい」と趣向を凝らす。

 会場の一角では同じ日程で「ふるさとうまいもの市」も開かれ、B-1グランプリにも参加した「南足柄・まさカリー」など県西部の20種類が出品されるイベントも開かれる。

 丼サミットは今年1月、金沢市で初開催。各地で持ち回りで開かれることになった。同市担当者は「現地でないと食べられない丼が、全国から集まる。食べ比べを楽しんでほしい」と意気込んでいる。
県、十日町市、南魚沼市の3者会談で一致?

 東京電力湯沢発電所の水利権更新をめぐり清津川の流量増量を求める十日町市と、魚野川への放流を現状通り行うよう求める南魚沼市の意見が割れている問題で、泉田裕彦知事と十日町市の関口芳史市長、南魚沼市の井口一郎市長による3者会談が28日、県庁で行われた。発電のため清津川から取水し、魚野川へ放流する現在の水の流れを見直す抜本的な解決策を検討することで一致した。

 環境への影響などを調べるため専門家による委員会を設置し、魚野川の流量が減った場合の対策なども検討する方向。今回の初のトップ会談で90年近く続いてきた両河川をめぐる水問題が前進する可能性が出てきた。ただ、土地改良区など地元関係団体の同意や東電の理解が必要な上、財源や技術的な問題もあり、どこまで見直しが進むかは不透明だ。

 泉田知事は会談後、報道陣に対し「専門家の知見を入れてあらゆる可能性を排除せずに検討する。選択肢は多ければ多いほどいい」と述べ、清津川から分水の減量や中止、ダムなど整備なども選択肢に検討を進める考えを示した。今後、清津川の取水量が見直されれば流量は増加する一方、農業など営む南魚沼市では流量が減ることになる。これまで同市は魚野川の流量が減少した場合、ダムやため池などを整備して流量を確保しる対策が必要だとしてきた。
 
 井口市長は「清津川の水を利用していくことで後に同様な問題が起きないとも限らない。できれば魚野川の流域の中で水量を満たせる方法がみいだせれば一番いい」と語った。
 
 関口市長は「抜本的対策を体制ができたことは解決への大きな一歩」と評価した。

こうした抜本的対応とは別に、12月末に期限を迎える水利権更新について、泉田知事は会談後、来月末をめどに地元の意見の取りまとめを目指す意向を明らかにした。来年からの新たな水利権更新申請についても期限が11月末のため、今後対応が協議される見通し。


*実現性に疑問の声も!

 今回の分水の抜本的な見直し方針は清津川の流量増量を求める十日町市と、魚野川の流量減少をダムなどの施設で補うことを求める南魚沼市のどちらの主張も全面的に取り入れた形となった。両市は高く評価するが、現時点では実現性を疑問視する声は少なくない。県幹部の1人は「全くの想定外。寝耳に水だ」と戸惑いを隠さなかった。国の関係者からは「従来のルールを超えた話。公共事業削減の流れの中で、予算を含め本当に実現できるか」との声も上がった。

 東京電力湯沢発電所は清津川から最大毎秒6.121トンを分水して発電している。ダムやため池などによって魚野川流域での流量確保対策を行うにしても、分水量をどれだけ減らすかによって対策や施設の規模はかわってくる。
 5年間実施した試験放流との整合性の問題もあり、県土木部職員は「最適の答えのない流量をこの先、どう決めていくのか」と頭を抱えた。

 分水を頼りに農業や基盤整備をすすめてきた土地改良にも影響が出る可能性があるが、減水部分をどう補うのかなど対策ははっきりしていない。県農地部は「土地改良事業は地元の意向と申請でうごくものだ。今後どう進むか分からないが、できることをやるしかない」と語る。

 今後の水利権更新や発電への影響について、国土交通省北陸整備局は「詳細が分からず何とも言えない」、東電信濃川電力所は「会談の内容について正式な話を聞いていないのでコメントできない」としている。

新潟日報 9/29
 
地元選出議員の動きは?
 
民主党県連を通じ、国に要望して国営事業で取り組む必要がある!

農林水産副大臣は、6区選出の筒井信隆衆議院議員である!
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AD%92%E4%BA%95%E4%BF%A1%E9%9A%86
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